IT導入補助金を厚労省が積極的に呼びかけ!福祉業界IT化の一助となるか?

我々ケアリッツは、訪問介護を中心とする介護事業と、他社向けのITシステム開発事業の2つを事業の柱としています。
そういった背景から我々は比較的業界内でもITには詳しく、ITの導入を積極的に進めてもいるのですが、やはり介護業界全体でみると、IT化が遅れている、というイメージを持たれているのは間違いありません。

介護業界のIT化はなぜ進まないのでしょうか?

介護業界のIT化が難しい理由

まずひとつに、利用者やその家族にITに対応してもらうのは難しい、というのが1点目。
例えば効率を考えて請求書はすべて電子化します!と企業側が宣言したとしても、なかなかそれを受け取る側がITに疎い場合、導入は困難です。介護業界では利用者、及びその家族のいずれも高齢であることが多く、彼らにITを使いこなせ、というのはなかなか難しい注文です。

ですので結果としてIT化できる部分としては、利用者やご家族が関わらない部分に留まることになります。

また2点目としては、働くスタッフがITに疎い、という点。正直介護業界で働いている人は、やはり高齢な方が多かったり、これまでどちらかというとオフィスワークを経験しておらずパソコンが全く触れない、といった方も多くいらっしゃいます。
1点目の利用者・ご家族に比べれば、業務で使うものと割り切って研修を行ったりすることである程度カバーできますし、実際請求ソフトなどについてはなんとか四苦八苦しながらも使えるようにはなっていますが、それでも複雑なシステムを使わせるのはやはり難しいでしょう。

しかし、私の考えるIT化が進まない最大の理由は、「小さい会社にとってIT化を進める十分なインセンティブがない」ということかと思っています。

小さい会社はなぜIT化されない?

介護業界はIT化が遅れている!とはいうものの、実際、介護×ITなどと銘打った展示会に行くと、実に様々な便利で役に立つツールが紹介されています。
記録など書類が音声入力のみで作成できる、とか、チャットのような形で素早く情報共有ができるツール、など、いずれも業務効率化には一定の効果がありそうな商品だったりします。

また実際、大手のいくつかの会社を見てみると、資金もあるためガッツリと業務がIT化されていたりして、まったくIT化が遅れているようには感じません。

問題は、様々な便利なITツールが世にあっても、それらが小さい会社にまったく導入されないことなのです。

しかし、介護業界自体は社員100名以下の会社が市場の9割以上を占めているため、いくら少数の大手企業がIT化されていようと小さな会社でIT導入が進まない限り、総論としては、介護業界はIT化が遅れている、ということになるのです。

小さい会社はなぜIT化しないのでしょうか?理由は彼らが会社を運営している理由にあります。
多くの小さい会社を運営している社長は、ほとんどが元々介護現場で働いていた人です。彼らが会社をやる理由の多くは、「自身が生活していくため」、だったりします。(もちろん中には、理想の介護を追い求めている方、地域貢献がしたい方など素晴らしい方も大勢いらっしゃいますが、割合の問題です)。

彼らにとって重要なのは、今の時点で飯が食えている以上は「現状維持」なのです。現状で無駄な作業などはもちろんあるかもしれないが、リスクを犯し、コストをかけてまでIT化する気は起こらないのです。

厚労省の今回の動き

今回、厚労省がIT導入補助金の活用を呼び掛けている、というニュースがありました。

厚労省、IT導入補助金の活用呼びかけ 小規模事業者が対象 専門家への相談も可能(Joint 介護)

実はこれ、国の施策の中ではかなり異例なことが起きています。どういうことかというと、経産省が一般企業向けに作ったIT導入補助金を、厚労省が介護事業者向けに告知している、という構図なのです。

省庁横断的な施策は、官公庁が一番苦手とするものなのですが、今回はなぜここまで厚労省が頑張るかというと、この補助金の性質にあります。

この補助金は、もらえる条件が「資本金5000万円以下」「常勤従業員100人以下」、となっており、まさに介護業界であれば9割以上の会社が該当するのです。補助率は最大50%、補助額の上限は50万円となっています。

この補助金が活用できれば、上記のように「現状維持」をとにかく目標としてリスクを避けたい介護会社も、IT導入のハードルが下がるのではないか?ということですね。
介護業界においては生産性の向上が急務でもあり、IT導入がそれを後押ししてくれるはず、というわけです。

何を導入していいかわからない、という会社のために、商工会議所などで必要なITツールをアドバイスしてくれるようなサポートもあるようです。

IT導入にコスト面で二の足を踏んでいた会社は、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか?

CURATOR

ケアリッツマガジン運営者 Yuri
普段の業務に加えて、いろいろと記事を書いて情報発信しています。プライベートでは女子力高めなことが好きです。