【介護コラム】 目と目を合わせて - 第7回- おせち・桜・花火・年越しそば

2011年3月11日、僕は、前年に道徳講師として呼ばれた都内のある中学校で、合唱コンクールの来賓として呼ばれ、生徒さんたちの歌声に目を細めていました。

いよいよ曲もクライマックスに差し掛かり、残り30秒といったところでしょうか、突然体育館が大きく揺れ始めました。
あまりに急な出来事だったためか、歌うことに集中しすぎていたためか、もしくは「伝える」という使命感からか、生徒さんたちが揺れの中でも最後まで歌い切ったことを鮮明に覚えています。

その後の避難も含めて、僕にとってこの時の出来事は非常に印象深く残っていて、9年経った今でも、3月11日になると、時間を合わせて一人黙祷をすることが習慣になっています。

お正月におせちを食べるように、春に桜を、夏に花火を見るように、大晦日に年越しそばを食べるように、この習慣は僕にとって当たり前のことになっています。

震災があってしばらくは、報道番組等で連日、被災地域の現状等が伝えられていました。
他にもアーティストの方やスポーツ選手等が復興支援活動に取り組まれていました。

当時、プロ野球、楽天イーグルスに在籍していた嶋選手のスピーチをテレビで見たとき、画面にくぎ付けになったことを覚えています。内容もさることながら、その懸命な表情が印象的で、目を逸らすことができませんでした。かつてアナウンサーになることを夢見ていた僕にとって、改めて伝えることの大切さを実感させられた瞬間でした。

被災した方の目線に寄り添うことは難しいけど、ちょっとしたことでもできることはやっておきたい。そんな想いから始まった習慣。これからも大切にしていこうと思います。

コラム原案/安部隼人
障害者の目線から、社内での研修講師をしたり、啓蒙活動のためのレポート作成等を担当しています。
晩酌のお供はカニカマ派です。
Illustrator/エム・コウノ