認知症患者の金融資産

日本の国家予算はおよそ100兆円。では、日本人の金融資産の合計はどのくらいあるかご存知でしょうか?
答えは、1800兆円強。ただ、そのうちの1割以上にあたる200兆円以上が、2030年には認知症患者の金融資産になってしまう、というニュースが日経新聞で報じられました。
認知症患者、金融資産200兆円に マネー凍結リスク
記事によれば、1995年には50兆、2010年で100兆なのですが、その後どんどんと詰みあがっていき、2020年には150兆くらい、そして2030年には200兆を突破、という予測となっているようです。
取り上げられていた例としては、認知症になってしまって老人ホームにいる父の、治療費の支払いをしようとしたら引き出せない、といったようなケースです。
このように認知症の方の場合、自らの意志で預金を動かせなくなってしまうだけでなく、事前に準備をしておかないと家族も動かせない、という状況になり、世の中の金融資産の1割が凍結されてしまう、という事態が予想されているわけです。
この200兆という数字は、金融資産の1割、というだけではなく、GDPの4割、という見方もでき、これらのお金が流動性を失うことで、社会的にも大きな損失が見込まれます。
とはいえ、死後に相続で揉めるケースなども多く聞かれることから、家族による横領といった事態も想定しなければならず、対策は簡単ではありません。
どのような対策があり得るのか?
記事では、成年後見人制度の普及、及び、生活資金用の預金を分けてそちらの出し入れのハードルを避ける、といった案が示されていました。
後見人については、月に3万円程度かかってしまう専門家の活用に加え、ボランティアの市民後見人も増やすべき、といったことが書かれています。
個人的には、ボランティアに無責任に頼るというのはあまり賛成ではありません。
案外負担が大きくなったときに、不満を溜めてしまいやすいですし、何より、これだけやってやってるんだから少しくらいいいだろう、と、小さな不正の種にもなりかねないのではないかと思うのです。
そういった意味では、専門家よりも大きくコストを下げつつ複数の人間を担当するような市民後見人を、行政や行政の委託を受けた企業が管理する、という仕組みの方が良いのではないでしょうか。
いずれにせよ、親が認知症になってしまう前に、資産くらいは把握しておかないと、、、と個人的にも思ったニュースでした。