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サービス業における悪質クレーム、医療介護で特に顕著

サービス業における悪質クレーム、医療介護で特に顕著

日本におけるサービス業のクオリティは、他国と比べても非常に高い、と言われています。

これらのクオリティは、日本人ならではのホスピタリティやプロ意識に支えられているものでもありますが、一方でそれを当たり前と思う消費者のクレームが異常なレベルにまでなってしまっているのも、日本の現状なのではないかと思っています。

それを裏付けるような記事がありました。

サービス業に蔓延「悪質クレーム」の被害実態(東洋経済)

産業別労働組合「UAゼンセン」(以下、ゼンセン)が、今年2~5月に実施した悪質クレーム(迷惑行為)に関するアンケート調査の結果を元にした記事で、調査は外食、タクシー、ホテル、病院・介護などサービス業の現場で働く組合員を対象にしたもの、とのことです。

調査の結果

回答した組合員は3万人くらいいたようですが、その約75%に当たる2万2440人が、「業務中に悪質クレーム(迷惑行為)に遭遇したことがある」と回答したとのこと。

個人的には、納得感のある数字かなー、と思いましたが、いかがでしょうか?

実際、駅やコンビニ、飲み屋などで声を荒げている方(個人的な偏見かもしれませんが、50代くらい以上の男性に多いような気がしています)をよく見かけます。

やはり多くみられるのが、「殺すぞ!」や、「馬鹿野郎!」といった罵声的なもの、「会社の偉い人を自分は知っている、お前なんかクビにしてやる」「サービスがなってない」といった権威的(説教)態度による脅迫、となっています。

また、セクハラ行為も3000件以上が報告されているとか。

そして、一番衝撃的だったのが、業界別のデータ。
記事中ではグラフで紹介されていますが、なんと、件数で言うと1位がぶっちぎりの医療・介護・福祉分野で4000件以上の悪質クレームの報告が上がっているとのこと。2位のフードサービスが1500件前後、3位の人材サービスが1200件前後、というのを見ても圧倒的な数です。

まあ、あくまで組合員のデータなので、単純に介護系の人に組合関係者が多いだけかもしれませんが、それにしてもかなりの差がみられます。
外食よりも報告数が多い、というのは正直驚かされました。

クレーマーの特長や対処など

実際、介護のお客様からの理不尽なクレームは後を絶ちません。

いくつか実例を挙げると、

「嫌いなヘルパーに食事を作られた。残り少ない人生で貴重な食事を1食失ったことになる、慰謝料をよこせ!誰の金で飯食ってると思っているんだ!」といったクレームが、なんと生活保護の方から入ったり、

「都議会議員に知り合いがいる、xx(介護保険外のサービス)に対応しないなら、言いつける。ヤクザにも知り合いがいるが、あまりことを荒立てたくはない・・・」といった変な脅しを食らったり、

「インターネットに書き込んでやる、メディアにも知り合いがいる、覚悟しろ!」という脅しをされたり、

「親愛の証にハグをしてほしい、その際手で胸の部分をガードするのはやめてほしい」と若い女性ヘルパーが言われたり・・・

直接個人的に触れたことがあるだけでも、かなりの数になります。

概ね多いのは、無茶な要望を通そうとしたり、特別扱いを求めてくるケースです。その際に、知り合いの権威を振りかざしてくる人が多いのもクレーマーの特長です(特に、議員、マスコミ、警察、弁護士、ヤクザを挙げてくる人が多いですね)。

そして、お決まりのように、「お前では話にならない、社長を出せ!」という展開が待っています。
こうしたクレームにはどう対処するのがよいのでしょうか?

まず、担当者としてやることは、ヒアリングに徹すること。
そして、すべて吐き出させた後に、対応できないものは毅然とした態度で断ることです。そして、「直接乗り込むぞ」「上の者を出せ」といった脅しに対しては、脅迫罪や強要罪にあたることもあるので、あまりに度を過ぎたものに対しては、「会社の弁護士と相談します」という返事をするのも一手です。

そして一番重要なのは、事業所の管理者レベル以上の人間、つまりは会社側の人間は、「必ず従業員を守る!」というスタンスを明らかにし、一方の言い分をすぐに信じてしまわないこと。

クレーマー側の意見、従業員の話、双方をしっかり客観的に聞き、間に入ってあげることが重要です。もちろんクレーマー側の意見にも一理ある、という場合もありますので、そこはあくまで、中立の立場で判断すべきです。

お客様ファーストの思想が行き過ぎると、さらなる人手不足を業界としては招いてしまいます。一度業界全体としてこうした問題については、真剣に考えていく必要がありそうです。

CURATOR
ケアリッツマガジン運営者 Yuri
普段の業務に加えて、いろいろと記事を書いて情報発信しています。プライベートでは女子力高めなことが好きです。