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カイポケが融資の審査業務に進出

カイポケが融資の審査業務に進出

介護請求ソフトとして有名なSMSのカイポケビズですが、先ごろ新たな事業を発表し、話題になっています。
皆さん、カイポケビズってご存知ですか?

カイポケビズとは

カイポケビズは、ワイズマンなどその他の高価なソフトと比較して機能を絞って安価に展開することによって、介護業界の大多数を占める小規模事業者を中心に、業界ではかなり大きなシェアを持っています。

一時期は、月額費用を3900円から25000円-30000円へと大幅な値上げをし、業界に波紋を呼んだこともありました。その際には、8割くらいまで利用企業数が落ち込んだようですが、そこから再び企業数が増え、今は値上げ前よりも利用企業数が増えている状態です。

いったん、安価にしておいて介護事業者の命ともいえる請求の仕組みを握り、普及しきったところで一気に値段を上げる、というのは、ビジネスにおいては非常に巧いやり方だな(賛否両論あるでしょうが)と思わされました。
かつて食べログが、無料から急に月額課金にした際も同じような手法だったのを思い出します。

今回の新規ビジネス

今回の新規ビジネスは、カイポケビズが融資の審査をサポートし、利用企業の急な資金需要にこたえる、といったものです。

カイポケ、事業者の資金繰りをサポート 独自スコアで審査を迅速化 最短5営業日で融資 SMS (Joint介護)

サービス名は「カイポケローンコネクト」というサービスで、融資を希望する事業者の信用スコアを算出する仕組みとのこと。

通常融資を行う、となると、貸し付け事業者には、貸し倒れのリスクが伴います。
そのリスクを担保するために、その事業者がどのくらいの信用度なのか(つまりはお金をしっかり返せる事業者なのかどうか)を判定する、与信審査、というものを行うことになります。

与信審査は各社様々な基準で行うわけですが、要はその会社がどういった経営状態なのかを見極める必要があるため、決算書など資産や売り上げに関わる資料を一式そろえて貸し付け事業者に提出する必要があります。審査には通常数週間かかります。

また、万が一融資されたお金を返せなかったときのリスクに備え、代わりにお金を返してくれる保証人や、お金の代わりに返せなかったときにそのまま貸し付け事業者に渡す「担保」を用意する必要があるわけです。

しかし、今回のカイポケローンコネクトは、独自の基準で定めた信用スコアをすぐに算出することで決算書を提出することなく、数日で融資が可能とのこと。

どうしてこういったことが可能なのか、というと、カイポケが「請求ソフト」であることが関係してきます。請求ソフトは、1枚1枚のレセプト情報が入力されているところが、今回のビジネスモデルのポイントです。
レセプト情報を分析すれば、毎月の売り上げの変動やサービス種別などがすべて把握できるため、倒産のリスクなどがかなりの精度で予想できる、というわけです。

実際にお金を融資するのはSMSではなく、SMSと提携しているGMOイプシロンとのこと。
今回の与信審査の新しい仕組みによって、与信審査の精度があがり、これまで安心して貸すことができなかった小規模事業者にも融資することができる、といったメリットが彼らにはあると思われます。

ファクタリングとの違い

元々、入金のタイミングが2ヶ月かかってしまう介護保険の性質上、この業界では、ファクタリング、という仕組がよく活用されています。

ファクタリングとは、いったん売上が確定したものを先にファクタリングの業者にこちらに振り込んでもらい、後から入金されたものをファクタリング業者に渡す、といった仕組みです。

こうすることで、1か月早くキャッシュを手に入れることが出来る、ということで、運転資金の確保などの目的で利用されているというわけです。当然ファクタリングには手数料がかかるわけですが、毎月0.5-1%程度の手数料がかかります。

今回のカイポケが行う融資と違うのは、ファクタリングは通常恒常的に行われるものであること、また審査には通常融資同様ある程度の期間や書類が必要、という点です。

カイポケローンコネクトが想定するのは急な資金需要であり、例としては利用者が急激に減ったことによる売り上げの落ち込み、請求ミスによる入金の遅れ、監査による返金、などがあげられます。

ちなみに融資金額は30万~5000万、と幅広く、金利は3.5%~13.5%とのこと。

いわゆる消費者金融の金利が14%ということを考えると、上限はかなり高めとなっていますが、ファクタリングの場合は12か月分で手数料を考えると6-12%の金利相当、となるため、まあ妥当なレンジなのかな、という感想です。

これまでは、資金ショートしてしまいかねなかったこういったトラブルに対応できるのは、中小企業にとってもメリットがあるサービスと言えるでしょう。
こういったビジネスに目をつけるSMS、さすが、と言わざるを得ませんね。

CURATOR
ケアリッツマガジン運営者 Yuri
普段の業務に加えて、いろいろと記事を書いて情報発信しています。プライベートでは女子力高めなことが好きです。