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医療福祉関係者向け、新型コロナについてのQ&A

医療福祉関係者向け、新型コロナについてのQ&A

緊急事態宣言の効果か、一応徐々にPCR陽性者数は減少傾向にあるようです。
ただ、若者での感染は減ってきたようですが、高齢者での感染数は横這い、ということで、医療福祉関係者にとっては依然として油断できない状況は続いています。

さて、これまでも何度か新型コロナについて記事を書いてきましたが、2021年2月、というこのタイミングで現在新型コロナについてわかってきたことを、Q&A形式でちょっとまとめてみたいと思います。
結構巷では間違った情報や誤解も出回っているので、特に最前線で新型コロナの脅威に接する医療福祉関係の方は、ぜひとも正しい知識を持って、業務に臨んでいただければと思っています。

新型コロナと風邪の違い

Q; 新型コロナって、要はただの風邪なんじゃないの?

A; 基本的に、上気道(鼻やのど)の急性炎症の総称を風邪、と呼びます。普通感冒とも呼びます。
ウイルスが粘膜から感染して炎症を起こし、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、たん、発熱といった症状が起きるものです。
そういった意味では、新型コロナの初期症状もこれに当てはまります。

ただし、インフルエンザもそういった意味では風邪に近い病態ですが、流行性感冒、とも呼ばれ、普通の風邪とは区別されるのが一般的です。

新型コロナについても、初期症状以外に、肺炎を起こしたり血栓を誘発するなど、重症化すると風邪とは異なる症状を引き起こし、致死率も1%前後と風邪に比べると非常に高いため、「ただの風邪」と考えるのではなく、インフルエンザのように風邪に類似した別の病気である、と考えるのが妥当でしょう。

Q; なら、風邪かどうか見分ける方法はないの?

A; 残念ながら初期症状で新型コロナだと見分ける方法はありません。
ただ、傾向としては一般的な風邪症状に加え、

  • 倦怠感や寒気が強く、筋肉痛・関節痛も強め(インフルエンザと類似)
  • 高熱が出た後すぐに平熱に戻り、数日してまた発熱する
  • 味覚障害・嗅覚障害が現れる

こんな症状が出やすいようです。
ただし、インフルエンザやアデノウイルスによっても似たような症状を起こすことはありえるので、新型コロナを見分ける方法、とまでは言えないでしょう。

新型コロナの病態について

Q; 何で重症化したり、様々な後遺症があるの?

A; 正確にはまだわかっていませんが、主な原因は2つあるのではないか、と考えられます。
ひとつは、サイトカインストームによるもの。ウイルスが体内で増殖するとそれを退治するため免疫が活性化します。その結果、ウイルスを倒す代わりに炎症や熱を引き起こすのですが、この機能が何らかの理由で暴走してしまう、ということが分かっています。
そうなると、もはや体内にウイルスがいなくなった後でも全身での炎症が止まらず、肺炎が悪化するなどして重症化してしまう、というわけです。

もうひとつは、全身の血管の炎症によるもの。新型コロナウイルスはACE2受容体というところを侵入口として体内に侵入するのですが、これは上気道に加えて、肺、そして血管に多く存在します。

この、血管に侵入口を多く持っているところが、このウイルスの大きな特徴です。
結果、ウイルスが全身に回ると、体中の血管で炎症反応が起きることになります。全身での炎症は、倦怠感に繋がるほか、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞などのリスクを大きく跳ね上げます。頭髪が抜けたり、といった後遺症もこれによるものかもしれません。

Q; 無症状の人が多いと聞いたけど、なんで?

A; なぜ、症状が出ないのかにははっきりとわかってはいません。

一つ考えられる説としては、免疫機能が弱い場合には炎症や発熱が起きない、というもの。炎症や発熱というものは、ウイルスが直接引き起こしているものではなく、ウイルスを体から排除しようとする免疫反応によるものです。
特に高齢の方などで、無症状から急に重症化するケースなども報告されていますが、それらはこういった理由があるのかもしれません。

もう一つの説は、そもそもPCRで陽性であっても感染したとは限らない、という説。実際に、PCRの一斉検査などで陽性が確認されるが、その際には無症状でその後も一切症状が出ない方がいらっしゃいます。最近だと女優の石原さとみさん、ジャングルポケットの齋藤さんなどもこのケースにあたるようです。
なぜこういうことが起きるのか、実は詳しくまだわかっていません。ただ、おそらくは体内に侵入する前に、自然免疫や粘膜免疫といういわゆるガードマンのような機能でウイルスが排除されてしまっており、最終的には全身の感染に至っていないのではないか、と考えられます。
こうして排除された後、喉や鼻の表面にウイルスの破片などが残っていて、それがPCRで拾われている、というわけです。

特に後者のケースは、マスコミなどで散々こういう方が感染を広げている!と騒ぎ立てられているものの、実は他人に対して感染力が高いのか低いのか、はたまたゼロなのか、ほぼわかっていないのが現状です。

個人的には、もし他人に高い感染力を持っているのであれば、もっと速いスピードで感染経路不明の感染者が爆増するのでは?と思うので、感染力は非常に低いのではないか、と思っています。

Q; 具体的にどうやったらうつるの?マスクの効果は?

A; 基本的な感染経路は、飛沫感染です。お互いマスクなしで近距離・対面で会話した場合には、かなりリスクが高いと言えるでしょう。
今の世の中では、通常こういったシチュエーションは考え難いのですが、唯一この状況になるのが、食事中の会話です。直接飛沫が飛ぶだけでなく、目の前の食べ物にも飛沫が入ることがあるので、この、食事中の会話、が今一番感染のリスクが高い行動と言えるでしょう。

他には、接触感染があり得ます。ウイルスが付着したものを触れることによって、指にウイルスが付着し、それが口や鼻から体内に入るパターンです。
マスコミなどでは、かなりこの接触感染を危険視していますが、実際はそこまでリスクが高いものではありません。もちろん、飛沫を浴びたものをべったり触ってしまったら当然リスクは高くなりますが、日常生活では物体に付着するウイルス量も少ないし、そこから手につくウイルス量も多くはありません。
感染リスクが高いかどうかは、体内に入るウイルスの量によって決まるため、このパターンの感染リスクは低い、と言ってしまってよいでしょう。
またもちろん、こまめに手洗い、消毒をすることでこれを防ぐことが出来ます。

そしてよく、エアロゾル感染というものも話題になります。直接飛沫を浴びなくても、空気中に細かなウイルスを含んだエアロゾルが舞いそれを吸ったことにより感染する、というものです。狭い密閉空間で、カラオケをしたり大声でマスクなしでしゃべる、あるいは咳やくしゃみをする、といった飛沫を大量に放出するようなことがあれば、このリスクが高まります。一方で、普通に生活している部屋の中であれば、浮遊するウイルスの量的に、特に気にするほどのリスクはありません。
乾燥している場合、換気が悪い場合にリスクが高まりますので、特に冬は換気が重要となります。

というわけで、特殊なシチュエーションを除けば、対面でのマスクなしの会話、特に食事がほとんどの感染経路と言えるでしょう。逆に皆が恐れる満員電車、映画館、デパートやスーパーの人混み、といった環境は、今はあまり会話をする人もいないため、そこまでリスクが高いわけではありません。

そういった意味で、マスクは非常に有効です。特に、自身が飛沫を外に出さない効果は絶大です。少なくともウイルスをたくさん含む、大きな飛沫はほとんど防ぐことが出来ます。ただし、ウレタンマスクの場合は、逆に細かい飛沫やエアロゾルを透過してしまうため、感染予防効果が完璧とは言えません。

なので、人混みの中や電車など、特に会話がないような状況であればウレタンマスクでも構いませんが、直接対面で会話する機会がある場合、特に介護現場などでは、必ず不織布マスクを着用することをおすすめします。

Q; もしもかかってしまったら、いつごろから会社に復帰してよいの?

A; 重症化していない場合については、症状が出て10日、かつ解熱して72時間以上が経過していれば、ほぼ感染力なしとして退院してOK、とされています。退院後は、基本的にはすぐに出勤もOKとなります。
後述しますが、その際にPCR検査が陽性であったとしても、特に人にうつす心配はない、とされています。

重症化してしまった場合にはあくまで医師の判断次第となりますが、その場合でもすでにウイルスはいなくなってしまっている(上記の通り、重症の原因がウイルスではなく、ウイルスに対する免疫反応である可能性が高いため)と考えられるので、あまり感染力はない、と今は考えられています。

新型コロナの検査について

Q; PCR検査、抗原検査、抗体検査といろいろあるけど、何が違うの?

A; PCR検査は、簡単に言うと、ウイルスの遺伝子を増幅して検出するものです。コロナウイルスのRNAが検体の中に存在すると、陽性、となります。
一番精度は高く、確定診断に使われますが、うまく検体が取れなかったり(特に喉や鼻の奥を拭うタイプ)、たまたまウイルスがその場所にいなかったりすると陰性となってしまうケース、逆にウイルスがすでに免疫などで分解されて死んだ状態なのにその破片を検出してしまい陽性となるケース、などがありえるので、完璧とは言えません。

抗原検査は、ウイルスの持つタンパク質を検出するものです。新型コロナウイルスは、ざっくり言うとRNAをタンパク質の殻で包んだような構造をしていますが、このタンパクを検出するのです。
PCRと違い、30分程度の短時間で結果がわかるところが大きなメリットです。
一方で、遺伝子を増幅させて検出するPCRよりは、相当ウイルスの量が多くないと陽性にならないため、ある程度症状が出た後でないと判定ができないことが多いです。
また、陽性の場合でも、他の風邪ウイルスなどで似たようなタンパクを検出してしまうケースがあり、偽陽性も一定数出てしまうようです。

抗体検査は、体の中でウイルスと戦った免疫を検出するものです。
なので、ウイルスと戦った後、即ち感染して相当経ってからほぼ治った状態でないと陽性とは出ません。なので、過去にかかったことがあるかどうか、あるいは今後感染する可能性がありそうかを見るために使います。
従って、現在感染しているかを見るには、適していません。

まとめると、PCRは時間がかかるが精度は高い、抗原検査は簡便だが精度が低く陽性となる時期も限られる、抗体検査は過去の感染履歴を知る物、という感じですね。
ただしPCRでも偽陰性、偽陽性の可能性は十分にあるため、完璧な検査方法はない、というのが現状です。

Q; 濃厚接触者になってしまったが、PCR検査は受けた方が良いの?

A; 基本的に、かかっている可能性がある、と思ったらすぐにPCR検査を受けることをおすすめします。

今の保健所の基準で濃厚接触となった場合には、感染のリスクが高いと言えます。
また、熱が出た後でいったん治り、また熱が出るといった特徴があった場合や、味覚障害・嗅覚障害がある場合など、新型コロナでよくみられるような症状があった場合も、リスクが高いと言えます。

秋より前の時期は、感染者数と一般的な発熱確率を考えた時、発熱しただけで新型コロナの可能性が高いとは言い難い状況でしたが、今の感染状況で言えば、発熱しただけでも一定のリスクはあるといえるでしょう。

このように、新型コロナウイルス感染の確率が高い場合には、PCR検査は必須です。

一方で、感染した可能背費の低い人への検査、無症状の人に対して定期的に検査したり、全件検査を行ったりするのは、正直ほぼ無意味だと考えています。あくまでPCR検査は、検体を採取した時の感染状況がわかるだけですし、感染の可能性が低いのに受けた場合には、陽性が出ても偽陽性の可能性が高くなります。
心理的な意味や宣伝効果はあるかもしれませんが、実質的な効果は正直懐疑的です。

Q; PCR陽性でした・・・ いつ会った人にうつしている可能性があるの?

A; PCR検査が陽性になる期間と、人に対しての感染力を持つ期間については、若干のタイムラグがあります。

まず、感染してからは、潜伏期間があり、平均的には約5日の潜伏期間があります。最長では14日、という報告もあるため、濃厚接触者は14日間隔離されるのですが、実は1週間以内には8割、10日以内に95%が発症してしまうことがわかっています。

そして、発症2日前くらいから感染力が高くなり、発症日前後に感染力のピークを迎えるのですが、PCR検査は、発症1日前くらいからようやく陽性となります。なので、感染直後などではPCR検査は陽性になりません。

発症すると、そこから徐々に感染力は落ちていき、10日も経つとほぼ外への感染力はない、と言われています。しかし、PCR検査については、免疫に不活化されたウイルスなども検出してしまうことから、感染力がなくなってもしばらくは陽性が出続けることがあると分かっています。

なので、PCRが陽性だからと言って、必ずしも感染力を現段階で有しているかはわかりません。

新型コロナの治療や予防について

Q; どうやって治療するの?

A; 今のところ、これといった特効薬があるわけではありません。しかし、初期の頃よりは知見も溜まってきており、適切な対応をすることで重症化の率は抑えられるようになってきています。
具体的には、初期はウイルスを殺すためにアビガンやレムデシビルといった抗ウイルス薬を投与し、さらに合わせてサイトカインストームを防ぐために後半戦ではステロイド等の抗炎症薬を投与する、というやり方です。また、疥癬の薬であるイベルメクチン、という薬も効果が高いとして、知見が進められています。

アビガンやレムデシビルといった抗ウイルス薬が、当初はもてはやされたものの、単体であまり効果が上がっていないのは、おそらくはサイトカインストームを防げていないからではないか、と考えています。

Q; 一度かかっても何度もかかるってホント?

A; 再感染の例は初期によく報道されていましたが、その後の研究結果としては、抗体は一定期間は少なくとも機能すると言われています。したがって、ワクチンの効果も同様です。
なので、基本的には再感染は稀である、と言われています。

おそらく初期に確認されていた再感染例は、治癒した後、たまたま不活化したウイルスを拾ってしまってのPCR陽性だったり、といった可能性が高いのだと考えられます。

Q; ワクチンって本当に効くの?

A; 今回、接種が始まっているワクチンは、一般的な不活化ワクチンといわれる、無害化したウイルスを体に入れて免疫に記憶させるものではありません。

その代わり、体内にウイルスの殻の一部を作る設計図であるmRNAを注入し、体内でウイルスの殻と同じタンパク質を生成し、それを免疫に記憶させる、というものです。

ちなみに、中国のシノバック社は、従来同様不活化ワクチンでのアプローチを行っているようです。

mRNAワクチンは、不活化ワクチンと違い、発症予防、重症化予防だけでなく、感染予防の効果もあると考えられています。不活化ワクチンであるインフルエンザワクチンと同じようなイメージを持っている方も多く、感染は予防してくれない、という記述も良く見かけますが、それは誤りです。

インフルエンザはそもそも発症予防効果自体も40-50%程度ですが、新型コロナワクチンは、だいたいどのメーカーのものも有効率90%以上となっています。
有効率90%というのは、数万人のグループを2つに分け、片方にだけワクチンを打ったところ、発症した人の数が10倍違った、という結果を意味します。十分な効果、と言えるのではないでしょうか?

Q; ワクチンって本当に大丈夫?危険じゃない?

A; 正直なところ、それなりの副作用(ワクチンでは副反応と言います)があることは事実のようです。特に、接種部分の腫れ、頭痛、倦怠感、発熱といった副反応が、インフルエンザの何倍も報告はされています。

ただ、これらの症状は一過性であり、重症化したり、その後の生活を脅かすような重大な副反応はほぼ発生しないこともわかっています。

副反応の大きな原因は、別にmRNAが危険だから、というわけではなく、単純にアレルギー反応です。特にmRNAという不安定な物質を体内に届けるため、脂質の膜を使ってコーティングしているのですが、これが一定のアレルギーを引き起こしてしまうと考えられています。
一説には、ポリエチレングリコール(PEG)という物質が、アレルギーの原因なのでは?ともささやかれていますが、詳細はまだよくわかっていません。

一般的にアレルギーを多く持っている方などは、副反応のリスクが高いとは言えるかもしれません。

自身が新型コロナにかかってしまう可能性や、重症化のリスクを鑑みて、これらの副反応と天秤にかけて判断する、というのが賢明でしょう。
福祉や医療に携わる人間は、少なくとも一般の人よりも、新型コロナにかかってしまうリスクは非常に高いと言わざるをえません。そう考えると、一般人よりは、ワクチンを受ける必要性・意義は高いと言えるでしょう。

いかがでしたでしょうか?

ある程度これまでもご紹介してきた内容ではありますが、改めて現時点で、しっかりこれらの内容を理解しておけば、怖がり過ぎることも油断することもなく、業務に向かうことができるのではないでしょうか?

Writer
ケアリッツマガジン運営者 Yuri
普段の業務に加えて、いろいろと記事を書いて情報発信しています。プライベートでは女子力高めなことが好きです。
ペーパー薬剤師。

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