介護助手に資格は必要？業務内容や給料事情、キャリアアップに役立つ資格も紹介

介護助手に資格は必要？業務内容や給料事情、キャリアアップに役立つ資格も紹介

​​介護業界に興味があり、なかでも介護助手を目指そうと考えていませんか。そもそも介護助手には資格が必要かどうか、気になる方もいるかもしれません。本記事では介護助手の資格や業務内容、給料事情などを解説していきます。キャリアアップにおすすめの資格や取得方法も紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

介護助手とは？

業務内容

介護助手の業務内容は、利用者の生活を支えるための多岐にわたる補助業務です。具体的には、清掃や洗濯、食事の配膳・下膳、日用品の補充など、施設の環境整備を行います。また、利用者とコミュニケーションを取りながら、心のケアも重要な役割です。

介護助手は、身体的な介助を主な業務とする介護士とは異なり、間接的なサポートを担当します。例えば、利用者が快適に過ごせる環境づくりや、介護職員の業務をスムーズに進めるための補助作業などがあります。介護現場全体の負担を軽減し、利用者への質の高いケアが実現されます。

一部の施設では、資格を持つスタッフの指導のもと、簡単な介助を行う場合もあります。ただし、無資格でも可能な範囲の業務が中心であり、介護に初めて携わる人にも適した職種です。

1日の流れ

介護助手の1日の流れは、勤務先や利用者の状況によって異なりますが、基本的なスケジュールは以下の通りです。朝は、施設内の清掃や利用者の居室の準備から始まり、ベッドメイキングや共有スペースの整備などが含まれます。

午前中は、利用者が快適に過ごせるよう、食事の配膳や後片付けを行います。その後、日用品の補充や備品の整理を進めながら、利用者とお話をしたり、アクティビティの補助を行うこともあります。昼食後は、施設内の整理や午後の活動の準備に取り組みます。

夕方になると、夕食の準備や配膳を行い、利用者がリラックスした時間を過ごせるよう環境整備を進めます。最後に、居室や共有スペースの点検を行い、業務を終了します。介護助手の1日は多岐にわたる業務が組み合わさり、利用者と施設全体の快適さを保つための重要な役割を担っています。

休日

介護助手の休日は、勤務先や雇用形態によって異なります。特に施設介護では24時間体制のため、シフト勤務が基本です。平日や土日を問わず休日が設定される場合が多く、固定休ではなくローテーション制が一般的です。

また、正社員やパート・アルバイトなどの雇用形態によって、休日数や取得条件も異なります。正社員の場合は年間休日が明確に定められていますが、パートやアルバイトの場合は勤務日数に応じた休日が与えられます。一部の職場では、週休2日制を採用し、連休を取得できる場合もあります。

職場選びの際には、休日制度や勤務条件の事前確認が重要です。

給与事情

介護助手の給与は、雇用形態や地域、勤務先の種類によって大きく異なります。パートやアルバイトの場合、時給制が一般的で、全国平均の時給は約1,000円から1,200円程度が目安です。一方、正社員として働く場合の月収は、初任給で15万円から20万円程度が多い傾向にあります。

参考文献：

労働新聞社 「介護労働者の平均月収24.1万円 時間給は1219円に」（2024年9月29日）

求人ボックス 「介護士の平均年収・時給」（2025年2月更新）

ウィルオブ介護（旧介護ワーク）「介護士の平均年収・月給はどのくらい？」

介護助手は無資格・未経験から始められる職種であるため、他の介護職と比較すると給与水準はやや低めです。しかし、施設によっては夜勤手当や時間外手当、交通費補助などの福利厚生が充実している場合もあります。また、資格取得支援制度を利用してスキルを磨くことで、昇給や介護職へのキャリアアップが可能です。

介護業界全体が慢性的な人手不足に直面しているため、最近では給与の改善に取り組む施設も増えています。地域差や職場環境による違いが大きいため、勤務先を選ぶ際は、給与以外の条件も含めて総合的な判断が重要です。

将来性

介護助手の仕事は、今後ますます重要性を増す職種です。高齢化社会が進む中で、介護を必要とする高齢者の数は増加しており、介護業界全体の需要は引き続き拡大が見込まれています。特に、介護職の補助を担う介護助手の役割は、現場の負担軽減に不可欠な存在として注目されています。

さらに、近年では働きやすい環境づくりを目指し、介護業界全体で給与改善や待遇向上の取り組みが進んでいます。また、無資格からでも挑戦できることから、他業種からの転職や未経験者の参入がしやすい点も魅力です。現場での経験を積むことで、介護職員初任者研修や介護福祉士などの資格を取得し、キャリアアップにつなげることも可能です。

ただし、業界特有の課題として、人手不足や長時間労働が挙げられます。課題に対し、政府や自治体も支援を強化しており、将来的にはより働きやすい環境が整うと期待されています。介護助手は、時代のニーズに応える形で発展し続ける職種です。

混同されやすい職種との違い

【介護福祉士・介護士との違い】

介護助手は資格が不要で、身体介助を行わない点が大きな特徴です。一方で、介護福祉士や介護士は、身体的・精神的なケアを行い、利用者の生活を支える専門職です。

【ホームヘルパーとの違い】

ホームヘルパーは主に在宅介護を担当し、利用者の自宅で直接的なケアを行います。介護助手は施設内での間接支援が中心となります。

【看護助手との違い】

看護助手は医療機関で勤務し、医療行為の補助や看護師のサポートを行います。一方、介護助手は介護に特化しており、医療行為は行いません。

介護助手に資格は必要？

介護助手として働くために、特別な資格は必要ありません。介護助手は、身体介助ではなく環境整備や補助業務が中心となるため、無資格でも始められる職種です。介護業界未経験者や他業種からの転職者が多く選ぶ入門的な役割でもあります。

ただし、資格を取得しておくことで、業務の幅が広がる場合があります。たとえば、介護職員初任者研修を修了していれば、簡単な身体介助を任されることもあり、より利用者と直接関わる機会が増えます。また、資格を持っていることで、他の介護職へのキャリアアップも目指しやすくなります。

一部の施設では、資格を持たない介護助手をサポート体制の中で採用し、研修を提供するケースも増えています。無資格でも応募可能な職場が多い反面、資格取得を支援してくれる職場を選ぶことで、将来的なスキルアップを目指すことが可能です。

キャリアアップにおすすめの介護助手の資格

介護職員初任者研修

介護職員初任者研修は、介護の基礎知識や技術を学ぶための入門資格です。無資格者でも受講でき、修了後は簡単な身体介助や生活援助が可能になります。資格を持つことで、介護助手から介護職員へとステップアップする第一歩を踏み出せます。受講期間は約1〜2ヵ月で、費用は5万円から10万円程度が相場です。

介護福祉士実務者研修

介護福祉士実務者研修は、介護職員初任者研修を修了した後に受講できる中級レベルの資格です。研修では、より専門的な知識や技術を学び、医療ケアにも対応できるスキルが身につきます。介護福祉士の国家試験を受験するための条件となる資格でもあり、キャリアアップに欠かせない資格です。修了までに4〜6ヵ月を要し、費用は約10万円から20万円程度です。

介護福祉士

介護福祉士は、国家資格であり、介護職の中で最も認知度の高い資格です。資格の取得で、介護現場でのリーダー的な役割を担えるようになり、待遇面でも優遇される傾向があります。受験資格として、介護福祉士実務者研修の修了や一定の実務経験が必要です。試験は年1回実施され、合格率は約70％前後です。

介護助手に関する資格取得のための勉強法

スクールに通う

スクールに通う方法は、直接講師の指導を受けながら学ぶため、初心者にとって理解しやすいのが特徴です。特に介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修では、実技の講習が含まれるため、スクールでの学習が効果的です。通学スタイルのスクールでは、仲間と交流しながら学べるメリットもあり、疑問点をその場で解消できるのも魅力です。ただし、受講料は比較的高めで、スケジュールの調整が必要になる場合があります。

通信教育を受ける

通信教育は、自分のペースで学びたい人に向いています。オンライン教材や動画講座の活用で、通学時間を節約しながら学べるのが大きな利点です。特に働きながら資格取得を目指す人にとっては、柔軟な学習環境が適しています。また、費用もスクールに通う場合より比較的安価な場合が多いです。ただし、自分で計画を立てて進める必要があるため、自己管理能力が求められます。

独学で勉強する

独学は、費用を抑えたい場合や、自分のペースで完全に進めたい人に適しています。市販のテキストや問題集を購入し、計画的に進めることで資格取得を目指せます。ただし、学習方法や理解度に不安を感じることもあるため、独学が向いているのは、ある程度の基礎知識がある人や自己学習が得意な人です。特に介護職員初任者研修や実務者研修では実技の指導が含まれるため、独学が難しい場合もある点に注意が必要です。

介護助手の働き先

入所施設

入所施設では、利用者が長期間滞在する環境で介護業務を支えます。以下に代表的な施設を紹介します。

【介護老人保健施設】

介護老人保健施設は、医療ケアとリハビリテーションを重視した施設です。介護助手は、清掃や配膳補助、利用者との交流などを通じて快適な生活環境を提供します。

【特別養護老人ホーム】

特別養護老人ホームは、要介護度が高い利用者を対象とした入所施設です。介護助手は、利用者が穏やかに過ごせるよう、身の回りの支援や環境整備に取り組みます。

【有料老人ホーム】

有料老人ホームは、民間が運営する高齢者向け施設で、介護度に応じた多様なサービスを提供します。介護助手は、利用者の生活全般を支えるサポート業務を担当します。

【グループホーム】

認知症の方が少人数で生活するグループホームでは、家庭的な雰囲気の中で支援を行います。介護助手は、利用者が安心して生活できるよう環境を整えます。

【サービス付き高齢者向け住宅】

高齢者向けの賃貸住宅で、生活支援サービスを提供する施設です。介護助手は、日常的な相談対応や環境整備を担います。

通所施設

通所施設では、利用者が自宅から通う形で日中を過ごします。

【ショートステイ】

短期間利用する宿泊型の施設で、利用者が滞在中に必要なサポートを提供します。介護助手は、環境整備や利用者の身の回りのサポートを行います。

【デイサービス】

日中に介護やリハビリ、レクリエーションを提供する施設です。介護助手は、利用者が楽しく過ごせるよう支援し、施設内の整備を行います。

まとめ

介護助手は、資格がなくても始められる介護業界の入門的な職種であり、現場を支える重要な役割を担っています。主に間接的な支援を行うため、未経験者や他業種からの転職者にも挑戦しやすい仕事です。業務内容は清掃や配膳補助、利用者とのコミュニケーションなど多岐にわたりますが、いずれも現場全体の円滑な運営を支えるために欠かせない業務です。

休日や給与事情は、雇用形態や勤務先によって異なりますが、近年では待遇改善に取り組む施設も増えてきています。また、介護助手からのキャリアアップを目指す際には、資格取得が有効な手段です。介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修をはじめとする資格の取得で、業務の幅が広がり、将来的なキャリアの選択肢も増えます。

働き先も幅広く、入所施設から通所施設まで、さまざまな環境で活躍できます。それぞれの施設には特徴があり、自分のスキルや興味に合った職場を選ぶことが成功の鍵となります。今後も高齢化社会が進む中で、介護助手の需要はますます高まることが予想されます。

初めて介護業界に挑戦する方にとって、介護助手は最適なスタート地点です。現場での経験を積みながら、利用者と施設全体を支える喜びを感じつつ、将来に向けたスキルアップを目指してみてはいかがでしょうか。