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ケアビューティストの給料はどのくらい?働き方や他業種との比較を詳しく紹介

ケアビューティストの給料はどのくらい?働き方や他業種との比較を詳しく紹介

ケアビューティストは、高齢者や福祉施設利用者に対し、美容を通じてQOL(生活の質)を高める専門職です。

興味はあるけど「実際にいくらくらいの給料がもらえるの?」「他の仕事と比べてどうなの?」と、転職や資格取得を前に不安を感じている方も多いでしょう。

本記事では、ケアビューティストの平均給与や働き方、他業種との収入比較まで詳しく解説します。

自分にとって納得できる仕事を見つけるために、ぜひ最後までご覧ください。

ケアビューティストとはどんな仕事?働き方は?

ケアビューティストは、美容の技術を活かして高齢者や身体の不自由な方々に寄り添う、新しい形の美容の専門職です。

介護や医療の現場で求められる存在として、近年ますます注目を集めています。

では、具体的にどのような仕事をするのでしょうか。

まずは「介護美容」や「訪問美容」など、代表的な仕事内容から見ていきましょう。

ケアビューティストはどんな仕事?

 

冒頭で紹介したように、ケアビューティストは高齢者や身体の不自由な方に対して、美容を通じてQOL(生活の質)を高める専門職です。

「介護美容」とも呼ばれ、高齢者施設や個人宅へ訪問し、ご利用者におしゃれを提供します。

  • メイクアップ
  • ネイル
  • ヘアスタイリング
  • アロマテラピー
  • カラーコーディネイト

 

高齢者は、歳をとってくるとともに見た目やおしゃれすることから遠ざかり、日常への意欲が下がりがちです。

しかし、お化粧や服装を整えることで外見を明るく保つことができ、同時に内面からの意欲や自己肯定感を引き出すきっかけにもなります。

なお、ケアビューティストの仕事は、次に紹介する「介護美容」と「訪問美容」に分けられます。

 

【介護美容】

介護美容は、メイクやネイルケア、ヘアアレンジなどを通じて、高齢者のおしゃれをサポートします。

高齢者の身体的・心理的な状態に配慮しながら施術を行うため、高齢者スキルと美容スキルの2つが必要です。

たとえば、車椅子に座ったままでのカットや、皮膚が敏感な方へのスキンケア、長時間同じ姿勢を保つことが難しい方への対応など、通常の美容サービスとは異なる工夫が求められます。

また、施術中の会話やふれあいも大切な要素であり、心のケアとしての役割も果たします。

 

【訪問美容】

訪問美容は、高齢者施設や個人宅へ訪問し、ヘアカットやシャンプーといった施術を提供するサービスです。

移動が困難な方でも、自宅や施設にいながらプロの美容サービスを受けられるのが大きな特徴です。

美容師免許もしくは理容師免許が必要となるため、資格を所有していない方はサービス提供ができません。

一般的には、美容師もしくは理容師となった方が介護スキルを習得し、利用者の身体状況や環境に配慮しながら、安全かつ快適に施術を行えるようになります。

ケアビューティストに資格は必要?

 

ケアビューティストは、基本的に未経験からでも行えるため、特定の資格は必要ありません。

しかし、ヘアケアや顔剃りといった一定の施術を行う場合や訪問美容を行う場合は、美容師免許もしくは理容師免許が必要となります。

また、メイクやネイルといった施術をする際も特定の資格を所有しているほうが、信頼に繋がり、就職する際にも有利になるでしょう。

詳しいスキルや資格は後述しますが、取得するほうがメリットが大きくなりますので、取ってから業務に就くことをおすすめします。

ケアビューティストの働き方

 

ケアビューティストは、大きく分けて以下の3つの働き方があります。

  • 勤務先の介護施設で行う
  • 副業として働く
  • 個人で働く

 

それぞれ詳しく紹介していきます。

 

【勤務先の介護施設で行う】

介護施設では、日々の生活の中でさまざまなレクリエーションを行っていますが、その中で介護美容を取り入れる方法です。

レクリエーションの1つとして取り入れるだけなので、営業といった新たな場所開拓をせずに済み、比較的簡単に行えるところがメリットです。

反対に、勤務先の介護施設でのみの施術となるため、プラスの収入はありません。

プラスの収入として働きたい方は、まずレクリエーションで腕を磨き、そして次に紹介する副業や個人で働くことをおすすめします。

 

【副業として働く】

ケアビューティストは、勤務先の介護施設で働きながら、休日の空いた時間などに別の施設で副業として働く方法もあります。

介護施設に勤めている状態で行うため、もし上手くいかなくても経済的に問題なく、気軽にはじめられるところがメリットです。

しかし、休日の空いた時間に行う必要があるので、自分の時間が確保できなかったり、体力的にきつくなったりするところがデメリットとなります。

また、施術を行える施設を探すための営業も決められた時間の中で行う必要があります。

 

【個人で働く】

ケアビューティストは、フリーランスとして個人で働く方法もあります。

個人で働く場合は、日時や時間を自分で調整できるため、自由に働けるところが大きなメリットです。

しかし、効率よくスケジュールを組む工夫や、継続的な取引先との信頼関係づくりが欠かせません。

また、施術先を見つけるための営業も必須となるため、まず施設に勤めながら空いた時間で営業し、継続して行えるようになってから独立を検討するのが良いでしょう。

ケアビューティストの給料の相場

ここからは、本題であるケアビューティストの給料の相場を紹介していきます。

「正社員」「アルバイト・パート」「フリーランス」の3つに分けて紹介し、他業種との比較も解説しますので、参考にしてください。

正社員の場合

 

正社員の場合の給料は、およそ年収400万円が相場です。

介護職と比較すると、介護職が380万円程度となっているので、20万円ほど高い給料となっています。

また、美容師と比べてみると、美容師が330万円程度なので、70万円ほどケアビューティストの方が高い数値です。

美容師は安定した収入になるまでに時間とスキルが必要な職種でもあるため、収入面だけを考えると、ある程度のスキルを取得したのち、ケアビューティストに転職するのも良いと言えるでしょう。

アルバイト・パートの場合

 

アルバイト・パートの場合は、日給で1万円〜1万3,000円、時給でおよそ1,250円前後です。

ケアビューティストとして働く方は、美容師や理容師の免許のほかに、介護福祉士といった国家資格を所有している方がほとんどのため、通常よりも給料がやや高い傾向です。

特に小さな子どもがいる家庭では、勤務時間や曜日を決められるので、おすすめの働き方と言えるでしょう。

フリーランスの場合

 

フリーランスとして独立した場合の給料は、最大で年収600万円程度が見込まれます。

フリーランスとして稼ぐためには、高い技術力や資格を取得するといった、質の高いサービスを提供できるようになる必要があります。

また、クライアントやリピーターを増やすことも重要で、継続するための信頼関係づくりも欠かせません。

しかし、自分で価格設定ができたり、複数の契約先と取引したりできるため、努力次第では会社員として働くより高い給料が期待できるでしょう。

他業種との比較

 

ケアビューティストと他業種との給料を比較すると、以下のとおりです。

業種年収
平均年収460万円
ケアビューティスト400万円程度
介護職380万円程度
美容師330万円程度
看護師500万円程度
会社員461万円程度

 

ケアビューティストの年収は、美容師や介護職よりはやや高めですが、看護師や全体の平均年収と比較するとやや低めとなっています。

ただし、実際の収入は年齢や経験年数、働き方(正社員・フリーランス・副業など)によって大きく変動します。

特にフリーランスとして独立し、継続的な依頼先や指名顧客を確保できるようになると、年収600万円以上を目指すことも可能です。

ケアビューティストになるメリット

ケアビューティストは、美容を通じて高齢者や身体の不自由な方の日々の暮らしに笑顔と自信を取り戻してもらうことが大きな役割です。

ここでは、ケアビューティストになることで得られるメリットを紹介していきます。

利用者の生活の質が向上する

 

高齢者は年を重ねてくると、見た目やおしゃれに鈍感になり、自分を大切にする気持ちが薄れてしまう方もいます。

体力や気力の低下、周囲との交流機会の減少などが重なることで、日常生活に対する意欲そのものが低下してしまうことも少なくありません。

ケアビューティストは、そういった方に対して施術を行うことで、自信を取り戻し、生活に前向きな気持ちや楽しみを与えられます。

メイクやヘアスタイリングを通じて「きれいになった」「また人に会いたい」と思ってもらえることは、心の健康にもつながるでしょう。

また、外出する機会も増えるので、社会とのつながりが生まれたり、身体を動かすきっかけになったりと、身体的・精神的の両面で良い循環が生まれます。

コミュニケーションの機会が増える

 

ケアビューティストは施術中の会話の中で、利用者の内に秘めた思いや気持ちを引き出すことも仕事の1つです。

髪型やメイクの好みを聞いたり、過去のおしゃれの思い出を振り返ったりする中で、利用者の表情が明るくなり、自然に会話も弾んでいきます。

その方が望む見た目やおしゃれなどを引き出しながら、その方らしい魅力を最大限に引き出すサポートができるのも、ケアビューティストならではの大きな役割です。

気持ちを引き出すことで外出する意欲の向上にもつながるので、他者とのコミュニケーションが増え、孤立感の軽減や精神的な安定にもつながるでしょう。

利用者と介護者の信頼関係が築かれる

 

介護美容を通じて、利用者の見た目やおしゃれをサポートすることは、利用者とスタッフや家族との信頼関係に良好な結果を招きやすくなります。

たとえば、入浴や外出、リハビリなどを拒否していた方が、介護美容により見た目に自信がついてくると、「人前に出ても恥ずかしくない」「誰かに会いたい」といった前向きな気持ちが芽生え、これまで拒否していたことにも少しずつ取り組めるようになることも少なくありません。

また、「次はこうしたい」「こんな服も着てみたい」といった意欲の向上にもつながるので、スタッフや家族との会話も多くなり、日々のコミュニケーションの質も向上していきます。

ケアビューティストの需要

近年、ケアビューティストの需要は増加していると言われています。

介護と美容が合わさることで、利用者の生活が豊かになると、わかってきているからです。

ここでは、ケアビューティストの需要が増加傾向にある理由を紹介していきます。

求人数は増え続けている

 

冒頭で紹介したように、ケアビューティストの需要は現在増加傾向にあると言われています。

求人ボックスによると、求人数は約19,000件と言われており、介護施設や自宅訪問のニーズが増えるに合わせて、その数も増加しています。

訪問美容は特に増えており、都市部では2024年と比べて15%も増えているという結果も出ているほどです。

市場規模は約1,200億円に達している

 

市場規模からみると、介護美容の規模は約1,200億円に達すると言われています。

令和4年の厚生労働省の調査によると、日本の要介護者数は約700万人に達するという結果が出ています。

仮に2ヶ月に1回介護美容を受ける計算だとすると、単価3,000円で約2,100億円です。

高齢者の数は今後まだまだ増えると言われており、それに伴って介護美容のニーズも一層高まると予想されます。

利用者数・利用施設数も増加傾向

 

日本で唯一の介護美容の学校である「介護美容研究所」の調査によると、介護美容を受ける利用者と実施する施設数も増加傾向にあると言われています。

その数は、利用者数27倍、利用施設数42倍という大幅な成長を見せており、わずか数年の間に需要が急拡大していることがわかります。

このように介護業界における介護美容を実施する方や施設も増えてきており、今後もその数は増加していくでしょう。

ケアビューティストになる方法

ケアビューティストになるためには、「介護美容研究所」もしくは「一般財団法人日本介護美容セラピスト協会」でスキルを学ぶ必要があります。

それぞれの特徴を紹介しますので、自分に合った方法で介護美容スキルを習得してください。

介護美容研究所で学ぶ

 

介護美容研究所は、日本で唯一介護美容を学べる学校です。

美容師もしくは理容師の免許を持つ方向けの「訪問美容コース」と、未経験者の方向けの「介護美容コース」の2つがあり、美容技術と介護技術の両方の取得が可能です。

2つのコースのうち介護美容コースは、およそ3ヶ月という短期間で修了可能です。

また、修了後は卒業生限定で利用できる「care sweet」という施設紹介サービスを通じて、自分に合った職場を探しやすくなっています。

資料請求は無料で、無理な勧誘などはないため、興味のある方はお問い合わせしてみてください。

一般財団法人日本介護美容セラピスト協会で資格を取得する

 

一般財団法人日本介護美容セラピスト協会は、ケアビューティストではなく「ビューティタッチセラピスト」と呼ばれる、高齢者の肌に触れながら心や身体の健康を促す美容療法を学ぶ学校です。

手や顔の美容をはじめ、メイクアップなども学べるようになっており、加えて介護の基礎スキルも取得可能です。

約4ヶ月と7日間のカリキュラムで修了でき、認定試験に合格すれば、ビューティタッチセラピストとして活動できるようになります。

ケアビューティストとして活躍するためのスキルや資格

ケアビューティストとして働くためには、介護美容研究所で学んだり、日本介護美容セラピスト協会で資格を取得したりする必要があります。

また、そのほかにも取得することで、より現場で活かせるスキルや資格があります。

美容の知識やスキル

 

ケアビューティストは、若い方よりも高齢者の肌や髪の状態を把握した上での施術が必要です。

時間が長くかかってしまうと、利用者さんの負担になってしまいますので、状況に合わせた施術も必要となってくるでしょう。

また、ヘアケアや顔そりを行う場合は、美容師や理容師の免許が必要となりますので、覚えておきましょう。

なお、そのほかの美容に関する資格には次のものがあります。

 

【メイク関連の資格】

メイク関連の資格には以下のものがあります。

  • 日本化粧品検定
  • JMA日本メイクアップ知識検定試験
  • JMA日本メイクアップ技術検定試験
  • メイクセラピー検定

 

【ネイル関連の資格】

ネイル関連の資格には以下のものがあります。

  • ネイリスト技能検定
  • JNAジェルネイル技能検定

 

【エステ関連の資格】

エステ関連の資格には以下のものがあります。

  • AJESTHE認定エステティシャン
  • AEA認定エステティシャン

介護に関する基礎スキル

 

ケアビューティストとして働くためには、介護現場で必要な最低限のスキルが必要です。

おすすめなのは「介護初任者研修」です。

介護初任者研修は、介護の仕事をする際に必要な資格で、取得すると介護の基礎スキルが身につけられます。

通信講座、もしくは通学講座から選択でき、130時間のカリキュラムを修了したのち、筆記試験に合格すると取得できます。

コミュニケーション能力

 

高齢者とのコミュニケーションは、意思疎通が難しいケースもあります。

通常より、ゆっくりとしたペースで聞いたり話したりする必要があるため、その方に伝わりやすい配慮が必要です。

また、ご家族やスタッフとのやり取りも必要なので、丁寧なコミュニケーションが必須となるでしょう。

ケアビューティストの仕事を探す方法

ケアビューティストとして働くためには、働く場所を探す必要があります。

ここでは、ケアビューティストの仕事を探す方法を3つ紹介していきます。

介護美容研究所から紹介してもらう

 

ケアビューティストになる方法のところでも紹介しましたが、介護美容研究所を卒業すると、施設紹介サービスである「care sweet」を活用できます。

無料登録することで、さまざまな施設を紹介してくれるので、自分のライフスタイルに合わせた働き方が可能です。

人材紹介サービスのサポートを受ける

 

人材紹介サービスに登録し、介護美容の求人を紹介してもらうこともおすすめです。

人材紹介サービスは、登録するだけで条件に合った施設を複数紹介してくれるので、自分に合った場所を見つけやすい特徴があります。

また、自分で見つける手間も省けるので、忙しい方にも活用しやすいでしょう。

近年では、美容やヘルスケアに特化した求人サイトもあり、訪問美容サービスを行う求人も増えてきています。

営業する

 

人材紹介サービスなどで求人が見つからない方は、施設に直接営業してみるのも良いでしょう。

フリーランスの方の中には、営業をして継続的に訪問施術を行える施設や個人宅との契約を見つけた方もいらっしゃいます。

営業はハードルが高く感じられるかもしれませんが、施設のホームページにメールしてみたり、SNSを活用してみたりすると、思わぬニーズやチャンスに出会える可能性があります。

まとめ

本記事では、ケアビューティストの概要を紹介し、詳しい給料や働くメリット、ケアビューティストになるための方法を解説しました。

高齢化が進む日本において、ケアビューティストは今後さらに求められる仕事です。

美容と介護、どちらにも関心がある方にとっては、やりがいと将来性のある選択肢となるでしょう。

興味を持った方は、ぜひ一歩踏み出してみてください。