介護疲れにならないための7つの対策|原因や放置しないほうがよい理由も紹介

介護を続ける中で「もう限界かも…」と感じていませんか。
介護疲れは誰にでも起こり得るもので、放置すれば介助者だけでなく介護される側にも深刻な影響を与えてしまいます。
本記事では、介護疲れの原因やリスク、今日から実践できる7つの対策を分かりやすく紹介します。
今のつらさを少しでも軽くしたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
介護疲れを感じている人は多い
近年、日本国内で高齢化が進んでいる中、「介護疲れ」を感じている人が非常に多いといわれています。
厚生労働省が2022年に実施した調査では、「要介護者」と「同居している主な介護者」の年齢の組み合わせを見ると、「老老介護」と呼ばれる65歳以上同士のケースが63.5%と過去最高となり、高齢者が高齢者を支える状況が一般的になっています。
さらに同調査の「要介護度別にみた「同居の主な介護者」の介護時間の構成割合」によると、要介護3以上では「ほとんど終日」介護にあたっている人がもっとも多い結果となり、1日の大半を介護に費やしている現状が明らかになっています。
この結果から、多くの介護者が長時間の介護を担わざるを得ず、介護疲れが避けられない状況になってきているのです。
参考:「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況 介護の状況」
介護疲れになりやすい方の特徴
介護疲れを感じやすいのは環境面での理由が大きいといえますが、それだけではありません。
中には「大切な人を介護している」と感じながらも、知らないうちに心身ともに疲れてしまい、うつ状態になる方もいます。
特に、以下に当てはまる方は介護疲れが生じやすいといわれています。
- ひとりで考えすぎてしまう方
- 心身が疲れやすい方
- 相手の気持ちに敏感な方
- 責任感が強い方
- 完璧主義の方
- 経済的に余裕がない方
これらの特徴に当てはまる方は、介護疲れが生じやすいため、何らかの対策が必要です。
介護疲れのチェックリスト
介護疲れは本人が気づかないうちに突然現れることも多く、疲れる前に早めに気づくことが大切です。
以下に介護疲れのチェックリストを作成しましたので、一つずつ確認してみましょう。
● 食欲の減少を感じる、もしくは食べても足りないと感じる ● 眠れないときがある、睡眠時間が減った ● ちょっとしたことでイライラする ● しばらく自分の時間が取れていない ● 興味関心が減った ● 人に会うことが億劫に感じる ● 何をするにも疲れを感じる、やる気が起きない ● 周囲に助けてくれる人がいないと感じる ● 理由はないが不安を感じる |
上記いずれかに当てはまる場合は、介護疲れを生じている可能性があります。
症状を感じる場合は絶対に1人で抱え込もうとせず、誰かに助けを求めることが大切です。
介護疲れの原因
介護疲れを生じてしまう原因には、大きく分けて以下の3つがあるといわれています。
- 身体的な疲れ
- 精神的な疲れ
- 経済的な疲れ
それぞれどのような内容なのかを詳しくみていきましょう。
身体的な疲れ
要介護者の中には、体のどこかがうまく機能せず介助が必要になる方も多くいるのが現状です。
要介護者によっては自分よりも大柄な方を介助することもあり、そのような方を介護するとなると、体への負担が大きくなります。
体が不自由な方への介助は、起床から就寝までのほとんどの場面で介助が必要なケースも少なくなく、身体的な疲れを感じやすくなります。
精神的な疲れ
要介護者を介護することは、身体的だけではなく精神的にも疲れを感じやすくなるケースが非常に多くなっています。
例えば、「意思疎通が難しい」「伝えたいことが伝わらない」「やってほしいのにやってくれない」といったことが何度も続くと精神的に疲れを感じやすくなるでしょう。
また、親族や近隣住民などへの気遣いが必要になると、介護者の精神的な負担はより大きくなります。
精神的な疲れは本人が気づきにくいこともありますので、意識的に休息を取り、身近な人や専門機関に早めに相談することが大切です。
経済的な疲れ
要介護者を介護することは、経済的にも疲れを感じやすくなります。
通常、要介護認定を受けた方は介護保険に基づく制度を活用できるため、金額的な負担は減らせます。
しかし、それでも要介護度が4や5といった重度の方となると、介護サービスにかかる費用も高くなるため、経済的な負担が重くなります。
介護に取られる時間により収入も増やせない現状もあるので、介護が長期化するほど家計への負担が積み重なり、経済面のストレスを抱えざるを得ない状況になりやすいのです。
介護疲れを感じやすい場面
一つ前の章で介護疲れを感じる原因は3つあると紹介しましたが、特に疲れを感じやすい場面もあります。
以下に3つのケースを紹介しますので、一つ一つチェックして介護疲れを避けましょう。
要介護度が高い方の介護
要介護者の中でも重度といわれる要介護4や5の方の対応は、日常生活全般に介助が必要となるため、介護疲れを感じやすいといえます。
食事や排泄、入浴はもちろんですが、移動や移乗、体位変換なども加わるので、介護を行う人の負担が重くなりやすいでしょう。
特に高齢の方が介護を行うケースでは、身体的な疲れはもちろん、精神的にも負担を感じやすくなります。
認知症の方の介護
認知症を患っている方への介護は、特に疲れを感じやすいケースです。
人によっては問題行動や暴言、暴力といった症状が見られ、こういったケースは介護にあたる側の心理的な負担が増しやすくなります。
特に在宅介護では、1人で対応せざるを得ないため、常にストレスを感じやすくなります。
終末期における介護
要介護者の中には「自分の最期の時間は自宅で過ごしたい」と思う方も少なくありません。
しかし、終末期における介護は何があっても対応できるように、医療・看護体制といったサポートが常に必要です。
もちろんサポート以外の時間は、見守る必要も出てくるため、一般的な介護と比べて負担を感じやすくなるといわれています。
また、自分が大切に思う方の最期を見ることも、介助者にとって精神的に辛くなりやすいでしょう。
介護疲れを放置しないほうがよい理由
介護疲れは、介護者はもちろん要介護者にとってもマイナスとなる場面が非常に多くあります。
介護を続ける中で疲れを放置してしまうと、心身のゆとりを失い、冷静な判断や適切な対応が難しくなる場面が増えてしまいます。
その結果、無意識のうちに深刻な問題へ発展する可能性もあります。
ここからは、介護疲れを放置するとどのようなリスクが生じるのか、具体的に見ていきましょう。
虐待につながるから
介護疲れから生じるストレスが、虐待につながってしまうケースは少なくありません。
ケースとしては、身体的な虐待はもちろん、精神的な虐待やネグレクト(介護放棄)などに発展する可能性が非常に高くなります。
最悪の場合、殺人事件や無理心中を図るケースも現実的に起こり得るのです。
うつや体調不良につながるから
介護疲れはうつや体調不良といった健康面にもつながります。
特に真面目な方や責任感が強い方は、こういった体調不良になりやすい傾向があります。
場合によっては食欲低下や睡眠不足、疲労感といった症状により、介護者自身の生活に大きな影響を及ぼしますので注意が必要です。
介護者の生活が成り立たなくなるから
介護者の中には、親の介護を理由に離職される方も少なくありません。
離職すると当然収入はゼロになりますので、経済力が落ち生活が苦しくなりやすいでしょう。
また、再就職するとなってもキャリアにブランクができるため、再び同じ仕事に就けないケースも出てきます。
誰かに助けを求めることが大切
ここまで、介護疲れが招きやすいケースを挙げてきましたが、これらを防ぐためには誰かに助けを求めることが大切です。
人によっては「親の介護は子どもがすべき」「誰かに頼ることは迷惑をかける」といった考えから、助けを求めない方もいますが、それでは介護者も要介護者も負担が大きくなるだけです。
誰かに話を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になるケースもあります。
最悪なケースにつなげないためにも、疲れている現状を受け入れ、誰かに相談したり助けを求めたりしていきましょう。
介護疲れにならないための7つの対策
介護疲れは介護者の健康に悪影響を与えることはもちろん、介護される側への身体的・精神的な虐待につながるケースもあります。
そのようなケースを防ぐためにも、介護疲れの対策をしておくことが大切です。
ここからは、介護疲れにならないための対策を7つ紹介していきます。
ストレス発散方法を見つける
要介護者を介護する際は、うまくいかないことも多くストレスがたまりやすくなります。
そのため、自分なりのストレス発散方法を見つけておくことが大切です。
例えば、スポーツが好きな方であれば、1日の中で体を動かす時間を設けたり、テレビで観戦したりするのがよいでしょう。
また、リラックスする時間が欲しい方であれば、ゆっくり入浴したり、好きな音楽を聴いたり、マッサージグッズを取り入れたりするのもおすすめです。
個々によって発散方法は異なるため、自分が好きなことをポイントに見つけてみるとよいでしょう。
頼れる方に助けを求める
介護疲れの対策には、頼れる方に助けを求めることが特に重要です。
場合によっては頼れる方が近くにいない方もいらっしゃるかもしれませんが、ダメもとで聞いてみると助けてくれるケースも少なくありません。
反対に、身近に介護を行っている人がいる場合は「何か困ったことはないかな?」「お手伝いするよ」など、声掛けするのも大切です。
介護負担軽減が期待できるアイテムを活用する
自宅で介護をしている方の中には、1人で介助するのは負担が大きすぎると感じている方も少なくありません。
そこでおすすめなのが、介護負担が軽減できるアイテムを活用することです。
例えば、以下のアイテムが挙げられます。
- トイレに流せるお尻拭き
- 防水シーツ
- 水のいらないシャンプー
- 拭くだけ体拭き
- 電動爪切り など
上記のほかに、手すりやスロープといった介護用品の取りつけも介護負担を軽減してくれます。
介護サービスを依頼する
要介護認定を受けている方は、介護度に合わせた介護サービスを受けられます。
介護サービスには、以下が挙げられます。
- 訪問介護
- 訪問入浴介護
- デイサービス
- ショートステイ
介護者が負担に感じる場面を介護のプロに任せるだけでも、介護疲れを解消しやすくなるでしょう。
実費サービスを活用する
介護サービスには、「介護保険内で実施されるサービス」のほかに「介護保険外で行われるサービス」もあります。
介護保険外で行われるサービスは、すべて実費負担となりますが、目的に合わせて利用するのもおすすめです。
例えば、日常生活を補助してくれる「家事代行」や、民間事業者による「配食サービス」などが挙げられます。
近年、介護保険外で行われるサービスは増えつつありますので、必要であれば依頼するのもよいでしょう。
行政のサービスを確認する
自治体によっては、介護負担を軽減するための制度や助成金を行っているところもあります。
例えば、紙おむつ代の何割かを助成してくれる「紙おむつ助成」や、1年間に費やした医療費と介護保険の自己負担額が超えた場合に、超過分の払い戻しができる「高額医療・高額介護合算療養費制度」などが挙げられます。
また、仕事をしている方であれば「介護休業制度」や「介護休暇制度」などがありますので、積極的に活用していきましょう。
自身が介護スキルを身につけることもおすすめ
介護者自身が介護のスキルを身につけることも対策の一つです。
専門家のアドバイスを受けることで、対応方法のヒントや介助方法といった介護負担の軽減につながる可能性があります。
スキルを身につける方法としては、ケアマネジャーに相談したり、自治体が行っている介護教室に参加したりするとよいでしょう。
介護疲れを感じたときの相談先
介護疲れを感じたときは誰かに頼ることがもっとも重要ですが、その相談先に困る方もいるでしょう。
以下に主な相談先を記載していますので、ひとりで悩まず相談していきましょう。
- 担当のケアマネジャー
- 専門医
- 地域包括支援センター
- 社会福祉協議会
- 介護家族の会
- 医療機関の相談室
- 市区町村の窓口
- 民生委員
- シルバー110番(#0808)
- 若年性認知症コールセンター
どこに相談すればいいか悩む方は、まず「ケアマネジャー」や「専門医」、「地域包括支援センター」のいずれかに相談するとよいでしょう。
介護疲れにならないために意識したいこと
介護は思っている以上に心身の負担が大きく、気づかないうちに疲れがたまりやすいといえます。
少しでも負担を軽くし、無理なく続けていくためには、日頃から意識しておきたいポイントがあります。
ここでは、介護疲れを防ぐために大切な考え方や具体的な工夫を紹介します。
1人で頑張ることを避ける
介護を行う際は、1人で対応することも多くありますが、1人でできることは限られています。
しかし、複数人で対応できれば、場面ごとの対応が可能となるため、心身の負担軽減が期待できます。
そのため、1人で頑張ろうとすることはできるだけ避け、できないことは誰かに任せるようにしましょう。
自分の時間を確保する
介護を行うからといって、すべての時間を介護に費やす必要はありません。
介助者にも自分の人生がありますので、自分の時間を確保して好きなことをする時間も大切です。
オンオフを作り出せば、気持ちの余裕も生まれるので、要介護者と介護者の双方によい結果が生まれやすくなります。
相談できる相手を見つけておく
介護疲れにならないためには、相談できる相手を見つけておくことが欠かせません。
介護について詳しい方がいるなら、その方に相談するのがよいでしょう。
また、ケアマネジャーや地域包括支援センターなど、専門的な知識を有している方に相談すれば、現状を解決しやすくなります。
できることだけに集中する
介護者といっても1人の人間ですので、できることは限られます。
できないことをできるようにすることも大切ですが、それでは自分の負担が重くなります。
自分でできるところは集中して行い、できないところはサービスを利用するなど、介護のプロに任せるとよいでしょう。
いまだけのことだと捉える
ここまで紹介したポイントを意識しても、思うように介護疲れが軽くならないこともあります。
しかし、今の状況が永遠に続くわけではなく、いずれ改善に向かうことも少なくありません。
例えば、認知症の方に処方される薬を見直すことで問題行動が減ったり、リハビリを続けることでできることが増え、介護負担が軽くなったりするケースがあります。
そのため、つらい時期も「いつか変わる」と意識し、必要以上に自分を追い詰めないことが大切です。
介護疲れが続くようなら施設入所を検討する
介護疲れにならないためには対策を立てることが重要ですが、それでもすべてのケースで解消できるわけではありません。
その場合は、施設入所を検討するのも対策の一つです。
とはいえ、介護サービスにおける入所施設はいくつかあり、特徴を理解しておく必要があります。
ここでは、介護疲れが続くときにおすすめの入所施設を5つ紹介していきます。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは、原則要介護3以上の方が長期的に生活できる公的施設です。
日常生活の介助や機能訓練などが受けられ、看取りまで対応可能な施設が多い点が特徴です。
急変時の医療対応が必要な方は入所できない場合もありますが、保証人不要で、緊急度に応じて入所が決まる仕組みとなっています。
グループホーム
グループホームは、認知症の方が少人数で共同生活を送りながら支援を受ける施設です。
地域に根ざしており、住民票のある自治体で利用できます。
家庭的な雰囲気の中で、専門スタッフの見守りを受けつつ、自立性を保ちながら認知症の進行に合わせたケアが受けられます。
ケアハウス(軽費老人ホーム)
ケアハウスは、60歳以上で家族の支援を受けにくい方が安心して暮らせる公的施設です。
低価格で利用しやすく、食事提供や安否確認が受けられます。
一般型は外部サービスを利用し、介護型は施設スタッフが介助を行います。
自立度に合わせて選べる柔軟な環境が魅力です。
有料老人ホーム
有料老人ホームは「介護付き」と「住宅型」があり、いずれも身の回りの支援を受けながら生活できます。
介護付きは手厚い介護体制が整い、重度の方も利用可能です。
住宅型は比較的自立している方に向いており、夫婦で入所できるケースもあります。
費用やサービス内容が施設ごとに異なる点も特徴です。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サービス付き高齢者向け住宅は、60歳以上で一人暮らしに不安を感じる方に向けた住まいです。
一般住宅に近い自由度を保ちつつ、相談員による見守りや生活支援を受けられます。
介護度が上がった際に特定施設指定のサ高住であれば、介護付きホーム同様のケアが受けられる点も安心材料です。
まとめ
本記事では、介護疲れの原因やケースを解説し、疲れないための対策や意識したいことを紹介してきました。
介護は長期化しやすく、気づかないうちに心身の負担が積み重なります。
無理を続けてしまうと、ご自身だけでなく介護を受ける方にも悪影響が出てしまうため、違和感や疲れを覚えた段階で対策を取ることが大切です。
身近な人や公的機関を頼りながら、必要に応じて介護サービスや施設入所も検討し、少しでも負担の少ない環境を整えていきましょう。
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