menu

厚労省の行う、介護職のイメージアップ作戦

厚労省の行う、介護職のイメージアップ作戦

介護職のイメージ刷新へPRを強化 人材確保に向け新規の予算要求 (出典; 介護のニュースサイト Joint)

こんなニュースが紹介されていました。

記事によると、10億くらいの予算をとって、広告代理店と介護の仕事の魅力のPRなどを行っていくんだとか。

賃金水準などだけでなくネガティブなイメージが先行していることも、人手不足の一因である、という問題認識から、とにかくイメージアップさせよう!ということなのかもしれませんが・・・

以前から厚労省は、こういったイメージ戦略にすぐ手を出してしまう傾向にあるように思います。そしてそのアプローチは得てして、そういうのに登壇するのが好きそうな人たちを集めてのイベント開催。

介護男子スタディーズといった取り組みにも過去には関わっていますし、良く調べてみると、各地方行政もこぞって、数々のこういったキラキラ系イベントを行ってきています。
しかし、今のところそれによって大きな効果が出た、という話は耳にしません。

正直なところ、なんとなくこういったアプローチというのは、嘘くささ、宗教臭さが付きまとうように思います。言い方を変えると、押しつけがましい、とでも言うか・・・
あからさまに「こんなにxxは素晴らしいんですよ!」という内容だと、見る人たちはどんなジャンルのものであれ、何となく反発や違和感を覚えるのではないでしょうか?

弊社はどちらかというと安易なイメージアップ戦略には反対の立場で、イメージアップというより実質的な待遇改善を具体的な方法から考えていこう、正面から問題解決しよう、というスタンスではあります。
しかし、介護というもののブランディングも今後は少なからず必要ではあるとも感じています。

なので今回はあえて、純粋にイメージアップをするならどうすべきか、という観点に絞って考えてみたいと思います。

効果的なイメージアップ戦略とは?

意識の高い人や業界の有名人達が集い、感動の涙を呼ぶイベントを開催することは、本当に意味あるイメージアップにはならない気がしています。
むしろ、イベントのような目立つ仕掛けではなく、個人的にはステマ的でなものでないと本当の効果はないのでは?と思っています。

ドラマで○○が演じててかっこよかった、とか、ニュースの特集で感動的な話を見た、とか、そういった日々の刷り込みや積み重ねが、良いイメージを作っていくのではないでしょうか。

現在、とかくテレビや雑誌は、介護についてはネガティブな話題ばかりを取り上げがちです。それはなぜでしょう?
ネガティブな話題や脅かすような話題の方が一般的に耳目を集める、というのはもちろんなのですが、例えば自動車業界やら、医薬品・医療業界、外食業界などでここまでのネガティブな話題ばかりは見かけません。

理由は、その業界、そして業界のトッププレイヤーがマスコミにいくらお金を突っ込んでいるのか、ということに尽きるでしょう。

自動車、製薬、はたまた外食産業など、こうした業界には、闇の部分はあってもマスコミなどにつぎ込んでいるお金も大きいため、テレビ側は下手なニュースは流せません。もちろん何か悪いことが起これば、ニュースとして事実は伝えるでしょう。しかしそれに対するコメンテーターのコメントなどは高度にコントロールされており、最終的に悪印象を与えないような番組構成になっていたりします。

ところが介護業界は、業界トップテンをかき集めてもマーケットシェア10%にも満たない、異常にフラグメント化された業界です。そうなると、広告費にそこまでのお金をかけられる会社がありません。

厚労省の取りうるべき方策

ここまで考えてみると、ひとつの方法が見えてきます。

企業に余裕がないのであれば厚労省がマスコミにお金を出し、ドラマやニュース、CMといった多角的なアプローチでイメージアップを図っていくのです。

そして広告代理店は、本来であればこういったメディア戦略・ブランディングなどはお手の物。

今回も、民間の広告代理店などと組んで介護職の魅力を効果的にPRする、と言ってはいますが、おそらく大規模なイベントの開催といった手法を厚労省側で立案したうえでその運営を投げる、という方法になるような気がします。
そうではなく、広告会社にある意味丸投げしてしまうことで、彼らの持てるあらゆるノウハウを使い、多角的に「介護」というものをブランディングしていく。それこそが本当に意味のあるお金の使い道となるのではないでしょうか?

あとは、文科省などと組んで、小中学生にも介護を体験させる場を増やしていくことなども、有効な施策となりうるでしょう。ただ省庁を跨いでのコラボレーション、となると調整は大変なのでしょうが・・・

 

CURATOR
ケアリッツマガジン運営者 Yuri
普段の業務に加えて、いろいろと記事を書いて情報発信しています。プライベートでは女子力高めなことが好きです。