総合事業(要支援向けサービス)の未来はあるのか?

総合事業とはどういうもの?

介護業界関係者の方は周知のとおりですが、昨年の4月から、これまで介護予防サービスとして介護保険でカバーされてきた要支援1・2の利用者について、介護予防・日常生活支援総合事業、という名前で市区町村に権限を移管されました。

国は以下のようなメリットを主張しています。

  • 既存の介護事業所だけでなく、NPO・ボランティア団体・民間企業・協同組合・地域住民などによるサービス提供も可能。ご高齢者の生活を地域全体で支援する取り組みが進むことにより、地域活力の向上につながる
  • 各自治体が主体となることで自由度が高くなり、地域の実情に応じたサービスを創意工夫によって提供できるほか、サービスの基準や価格も自治体の自由にできる
  • 何らかの支援が必要な65歳以上のすべての方が対象なので、「要支援」と「非該当」を行き来するような場合も切れ目のないサービス提供が可能
  • 虚弱や引きこもりなど介護保険の利用に結びつかない方にも円滑にサービスを提供できる
  • 自立や社会参加意欲が高いご高齢者には、ボランティアとして活動する場の提供も可能

いかがでしょうか?

おそらく、これを字面通りに捉えてポジティブに考える人は、そう相違ないのではと思います。

もちろん国の本当の狙いとしては、もちろん介護保険予算の削減です。
よく読んでみると国の本音は、要支援にはもうお金を出す余裕はないので後は地域で勝手にやってくれ、担い手はボランティアなどにやらせればよい、と言っているようにも思えるのです。

総合事業に関する最近の動き

こんなニュースが最近ありました。

軽介護、運営難100自治体 人手不足、大手撤退相次ぎ

記事によれば、特に大手の会社で総合事業の許認可を取らず撤退する動きが相次ぎ、元々の人不足も加わり、要支援の利用者がサービスを受けられなくなっている、という実態が明らかになってきたようです。

最大手のニチイでは1400のうち340事業所で撤退、セントケアも一部撤退を検討、と報じられています。

その理由について、自治体の財政不足によって従前よりも単価が安くなってしまったから、とニュースでは語られていますが、果たしてこれは本当なのでしょうか?
ニュースでは、報酬の安さを補うため、国からの支援を受けて移行前と同じ水準にするサービスも設けたが、効果は乏しい、とも書かれています。

総合事業を大手が忌避する本当の理由

実は私たちケアリッツも、総合事業の許認可については悩んだ末「やらない」という苦渋の決断をしています。確かに報酬面での問題も一つの理由ではあるのですが、やらないと決めた本当の理由は別にあります。

それは、多店舗展開を行っている事業者にとって、すべての市区町村が強いてくるバラバラの基準や申請のフォーマットによって生じる、信じられない量の事務作業の増加にとても耐えられないから、なのです。

基本的に多店舗展開を行っている会社は、申請業務などについては本社で一本化を図り、業務の効率化を進めています。これが、各事業所ごとに違った許認可申請が必要、となってしまうと、非常に対応が難しいと言わざるを得ません。

正直、なぜこうした事態を国が想定していなかったのか、不思議でなりません。基本的に訪問介護の会社は一事業所のみの会社が9割以上を占めているため、特に大手の動向は気にしなかったのかもしれませんが・・・

そう考えると、国が取れる対応としては、全自治体に権限は移譲するものの、最低限の共通ルールやフォーマットを定めたり、許認可を一本化するなどといった対策なのかな、と思っています。
報酬さえ上げればOK、という認識だと、この問題は解決しないでしょう。。。

CURATOR
ケアリッツマガジン運営者 Yuri
普段の業務に加えて、いろいろと記事を書いて情報発信しています。プライベートでは女子力高めなことが好きです。