財務省の考える社会保障費の削減案とは・・・

増え続ける社会保障費が、大きな日本の問題になっています。
財務省の試算によると、2015年時点で116兆円だった社会保障費は、2025年には150兆近く、2041年には190兆になるとも言われています。

そんな中、こんなニュースが報道されていました。

軽いかぜは患者の自己負担上乗せ 医療費など抑制へ提案  (出典; NHKニュース)

こちらの記事、よく見ていくと、医療費の抑制に加えて介護についてもとんでもないプランが語られています。

医療費の削減について

記事によれば、医療費削減のアイデアとして財務省が提案したものは大きく二つ。

一つは、風邪など軽い病気による受診の場合、自己負担率を引き上げる、というもの。
もう一つは、上記案に加えてよく患者のことを熟知しているかかりつけ医以外に受診した場合に、さらに上乗せ額を引き上げる、というもの。

このアイデアについては、正直なところ個人的には賛成です。
というのも、財務省も指摘していますが、特に自己負担の軽い高齢者については、用もないのに病院に行く人の数が他国に比べて非常に多いことがわかっています。
私も整形外科などに行くと、朝から高齢者が大行列を作っていて辟易した経験が何度もあります・・・

また日本では、念のため病院に行く、という行為が当たり前のように行われていますが、自費診療が前提となる海外では基本的にそういったことはしません。
念のため病院に行くという行為によって、どれだけ深刻な怪我や病気・疾患がどれだけ見つかっているのかはわからないため、無駄、とまでは言い切れませんが、やはり医療費が切迫している中では容認できる行為ではないかもしれません。

他に、地域別に診療費を変える、なんて提案も盛り込まれているようです。

介護費の削減について

自分たちが介護業者だから、というわけではありませんが、こちらは結構問題のある提案となっています。

基本的には今行われている生活援助サービスについて、自治体の判断で地域の住民やボランティアを活用して安い費用でサービスを提供できるようにするべき、というものです。

はっきり言って、地域の善意に期待して丸投げ、というのは、策と呼べるのでしょうか?はっきり言えば、ただの軽介護者の切り捨てのようにしか思えません。

そもそも、介護というものはそうやって、家族や地域で行ってきたものでした。しかし、それでは介護離職なども相次ぎ、もう成り立たないというところから、介護保険制度というものが生まれました。
政府は今も、介護離職ゼロ、を掲げていますが、完全に逆行する動きのように思えます。

厚労省の思惑は?

厚労省は現在、生活援助に回数制限を求めることを提案しています。(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-11-23/2017112301_03_1.html)

こちらを見て、身体と生活の複合型の場合はどうなるのかを問い合わせたところ、今のところ、生活単体の場合のみを回数制限の対象と考えている、ということでした。

そうなると、現在生活援助単体で1日に2回やっているサービスについては、どちらかに何か身体介護を追加すること(単純に身体を追加するだけでなく、行っている家事を一部共に行う家事に切り替えて身体にする、などもありでしょう。)で、今回の制限には引っ掛からないということにもなります。

なぜこうした逃げ道をあえて厚労省は残しているのでしょうか?

それには各省庁のスタンスを考えてみる必要があります。介護に関わる人は皆、介護報酬が下がると国=厚労省が悪い、と考えがちですが、国、と言っても実は省庁ごとに考えは全く違います。

財務省は、すべての省庁の予算を削ることがミッションですし、厚労省はむしろ、介護報酬や医療報酬を上げてお金を確保したい、というのが本当のところなのです。
ただ、もちろんそこは交渉なので、とにかく報酬を上げろ、という話をしても、財務省にはむしろ論破されてしまいます。

今回の件は、生活援助をすべて廃止させてしまいたい財務省に対して、生活援助を少しでも残していきたい厚労省が、妥協案として回数制限の案をいったん飲み、その代わり身体介護と生活援助を同時に提供する場合にはOKという逃げ道を作っておいた、と考えると納得がいく気がします。

とはいえ、生活援助に関して言えば、身体介護に比べれば専門性の低いサービスであるのも確かではあります(もちろん、利用者の様子などをしっかり観察し異変があればケアマネに通知するなど、ただの家事代行では務まらないサービスであるのも確かですが。。。比較の問題です)。
そう考えると、今後、生活援助の分野はどんどん縮小されていくのは避けられない流れなのかもしれません。

CURATOR
ケアリッツマガジン運営者 Yuri
普段の業務に加えて、いろいろと記事を書いて情報発信しています。プライベートでは女子力高めなことが好きです。