訪問介護におけるセクハラ被害をどう防ぐ?

訪問介護、という仕事は、お客様の家に1名で行き、家の中で介護サービスを提供する仕事です。
どうしても周りの目がない中でサービス提供をすることになるため、介護度の軽いお客様や比較的年齢の若い70代のお客様などに入る際には、セクハラといった問題がどうしても付きまといます。

ちょっと前になりますが、そんな訪問介護におけるセクハラ被害の実態に関する記事がありました。。。

現場の職員を守る…訪問介護でセクハラ被害

セクハラ被害にはどんなものがある?

労働組合「日本介護クラフトユニオン」が4月に公表した調査結果によると、介護職の73.5%が、高齢者やその家族からハラスメントを受けた経験があると回答した、とのこと。

ハラスメントの中で一番多いものは、家族やお客様からの暴言や暴力で、44.7%、次に多かったのがセクハラで28.8%となっています。

そして、やはりと言っては何ですが、職種別では、自宅を訪問する介護(定期巡回や訪問介護)が被害に遭っているケースが多いようです。

セクハラの中では、一番多く半数近くを占めるものが、「不必要に体に触る」というもの。後は、「性的な冗談を繰り返す」「胸や腰をじっと見る」が続きます。

おそらくこのデータを見て、納得される方も多いのではないでしょうか?実際介護をされている方は、こういった行為について心当たりがある、という方もいらっしゃるでしょう。

セクハラ被害を防ぐには?

では、具体的にどのようにセクハラを防ぐことができるのでしょうか?

記事で取り上げられていたのは、兵庫県の例で、問題のある利用者宅に職員が2人1組で訪問できるようにしてその費用を助成する、というもの。
ただ、人手不足が激しく財源も足りないという現状ではなかなか適用が難しいのが現実でしょう。

我々も実際にこれまでこの問題についてはいろいろと頭を悩ませてきましたが、具体的にいくつかの対策を取っています。

具体策①

会社として対応できるひとつの策は、同性介助を基本とすること。

どうしても通常の訪問介護事業所では、女性の比率が8割程度と非常に高いため、男性の介助に女性が入らざるを得ない場面が多く発生します。
しかし、ケアリッツでは男性比率が4割と高いため、特に体に触れる機会の多い身体介護においては、ほぼ同性介助を基本としてサービス提供ができています。

確かに、生活援助などでは男性が不得意なケースも多く女性が担当することもありますが、それでもセクハラの中で一番多かった「不必要に体に触る」については、かなり減らすことができると考えています。

具体策②

もう一つは、会社としてのお客様に対するスタンスをはっきりさせること、です。
セクハラをするお客様がいた場合、スタッフに対して

「それくらい我慢しなさいよ、相手はおじいちゃんでしょ?」
「お客様に文句は言いづらいから、まあ何とか現場でごまかしながらやってくれない?」

といった言葉をかけ、こうしたセクハラの問題に取り合わない、積極的に介入しない、というスタンスを取る上司・会社が多い、といった話をよく耳にします。

実際、福祉業界では特に、「お客様第一主義」が美徳とされ、何よりもまずはお客様を優先すべき!という考えが主流となっているように感じます。
例えばお客様に心無い暴言を吐かれたとしても、まずは「お客様にそういったことを言われるのは、自分にも原因があるはず、なぜお客様がそういうことを言ったのかよく考えなければ!」という考え方をする人も多いのではないでしょうか?

もちろん、自分に非がある可能性もあるでしょうし、当然お客様がそういった暴言を吐くに至った理由を考える必要はあるでしょう。ただ、一方で純粋に、お客様の方に非があるというケースもありえます。
そういった可能性を考えず、とにかく「お客様が何よりも大事!」という考えをすることが、今回のセクハラの対応の話だけでなく、サービス残業の発生や違法な介護保険外サービスの提供など、セクハラ以外の問題にもつながっているのでは、と個人的には考えています。

また、訪問介護では利用者や家族にとってサービス提供場所が日常空間なので、そもそも介護職員に対し上から目線にもなりがちといった背景もあります。

ケアリッツではお客様に対しては、客が上で我々が下、という関係性ではなく、

「こちらが全力でサービスを提供し、それに対して対価をいただく、対等な信頼関係のもとサービスを行うべき」

と考えています。いわばお客様は、良いサービスを実現するための「パートナー」というわけです。

なので、例えばセクハラが発生した場合にも、一方の言い分だけを聞くのではなく、双方に等しく上司が話を聞き真実を明らかにした上で、明らかにお客様がおかしい場合には注意をする、お客様が望まずともヘルパーを変える、改善の意志が見られないようであればサービスを終了する、といった対応を毅然と行うようにしています。

実際契約書の文言にも、サービス終了の条件としてこうした背信行為を挙げ、契約上もサービスを打ち切れるようにしてあります。

また、上記のような「お客様のために尽くさなきゃ」という思いからお客様を優先してしまう事業所だけでなく、「利益重視」の結果として、お客様を断ることによって売上を失いたくない、という考え方の事業所もあります。

しかしこの国において、お客様は増える一方ですが、働く人はどんどん不足しています。本当に利益を考えるのであれば、お客様を失ってでも働く人一人を守り切った方がよいはずなのです。

もちろん、お客様を軽視するわけではもちろんありません。ただ、お客様側に大きな問題がある場合にはそれを見過ごすことなくしっかりと対処する、というわけです。

その他の策

こうした一企業のできる対策以外にも、業界全体、そして行政側から取ることのできる施策もあるはずです。
記事内で城西国際大の篠崎良勝准教授が語っている、

「事業所同士で悪質な利用者のブラックリストを共有する、業界全体で相談窓口を設けるなどの対策」

というのは非常におもしろい施策だと思います。

個人情報保護などの問題があるため、事業所同士で共有するのは不可能だと思いますが、例えば役所に対して、こうした悪質利用者の情報を提供する仕組みを作り、役所側でこういった情報を管理する、というのは可能かもしれません。そして、ある一定以上の報告が集まった利用者に対しては、市から注意喚起、それでも改善が見られない悪質なケースでは介護保険の一定期間提供停止、といった対応もできるでしょう。

どうしても仕事の性質上セクハラが起きやすい業務であることは確かですが、一企業、そして業界全体で、セクハラ撲滅のためにやれることはまだまだあるように思います。

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ケアリッツマガジン運営者 Yuri
普段の業務に加えて、いろいろと記事を書いて情報発信しています。プライベートでは女子力高めなことが好きです。