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訪問介護事業所数が、初めて減少へ

訪問介護事業所数が、初めて減少へ

厚生労働省が公表した「介護給付費等実態調査」の結果によると、訪問介護の事業所数が前年度比ではじめて減少したそうです。

訪問介護の事業所数、初の減少 報酬改定など影響 小規模デイは大幅減

通所介護も減少していますが、こちらは2年連続の減少とのこと。

いずれに関しても、以前ご紹介したこちらの記事と関係のある内容かと思います。

相次ぐ介護事業者の倒産、介護業界の今後は?そして訪問介護はどうなる?

この記事にも書いた通り、14年は54件、15年は76件、16年は108件、そして今年は111件と、年々介護事業者の倒産数は増えており、そのうち訪問介護の倒産が44件、通所が44件と在宅系のサービスが多くを占めています。しかも、その中でも設立5年以内の新規事業者や、従業員数5人未満の小規模事業者が多い、と言われています。

今回の事業所数の減少も、こうした結果として起きたことなのでしょうか?

しかし、よく考えてみると疑問がいくつか湧いてきます。

事業所数減少の原因は??

そもそも、これまで介護保険が始まってから17年に渡り、訪問介護事業所は増え続けてきました。最近の状況を見てみても2012年度に30,272件、13年度に31,656件、14年度に32,636件、15年度に33,262件と着実に右肩上がりで増えてきていましたが、初めて異変が見られたのは2016年度。この年は334,45件とほぼ横ばい、そして今年初めて33,284件と前年を下回る数となったわけです。

ここで減少数をよく見てみると、事業所数の減少数は上で紹介した倒産数を大きく上回っていることがわかりますね。さらにおそらく新規の出店もあったと考えると、より既存の事業所は数を減らしていることが考えられます。

これをどう解釈するかと言うと、おそらくは倒産ではなく、黒字で経営しているものの事業を廃止したケースが多いということではないかと思っています。
お金は回っているのに廃業する、となると、おそらく理由としては、人手不足で拡大が見込めない、といったことが予想されます。

利用者はどこへ?

一方おもしろいのが、利用者数の推移です。

訪問介護の利用者の総数は100万7600人。前年同月より1万1400人増え、始めて100万人の大台を突破した、とのことです。まあ、高齢化が進んでいる以上は、当然の結果と言えるかもしれません。

事業所数は減っている(人手は足りない)、利用者数は増えている、ということは、1事業所あたりの訪問件数が増加していることが考えられますね。

つまりは少しずつですが、顧客の集約化が進んできているということです。

一つ一つの事業所の売上が拡大すれば、事務作業などは効率化されていくため、今よりもよい待遇を用意することもできる可能性が出てきます。このニュースはある意味では業界にとって、良いニュース、と言えるものかも知れませんね。

CURATOR
ケアリッツマガジン運営者 Yuri
普段の業務に加えて、いろいろと記事を書いて情報発信しています。プライベートでは女子力高めなことが好きです。