「産業ケアマネ」は介護離職の切り札となるか?
安部首相が介護離職ゼロを掲げてからかなりが経ちますが、いまだに介護離職をする人は後を絶たない状況です。
ところで、介護離職は何が問題なのでしょうか?
日本において、介護離職が大きな問題になるのは、再就職の難しさ、にあります。
実際うちの会社の応募者の中にも、長年大手企業に勤めていて介護離職をしたものの、その後仕事が見つからず、という方が結構いらっしゃいます。
ほとんどの方は、離職しても介護が落ち着いたらまた仕事を探せばよい、と思って離職するようですが、日本の場合、新卒から定年まで勤めあげるという文化が特に大手にはいまだに根強いため、なかなか元の会社と同じような待遇の場所には再就職ができないのです。
そんな中、政府の規制改革推進会議は、面白いアイデアを出してきました。
それは、「産業医」ならぬ「産業ケアマネ」の設置です。
「産業医」ならぬ「産業ケアマネ」の育成を 規制改革会議、介護離職ゼロへ提言(joint 介護)
産業ケアマネの実現性と効果は?
産業医は現在、50人以上の事業場には設置が義務付けられていますが、同じような感覚で、ある一定規模の事業場に産業ケアマネの設置を義務付けていくような方向性になると考えられます。
もし親が介護状態などになったときには、面談を申し出てアドバイスをもらい、もし退職などを検討しているようであれば、より良い手段などを一緒に考えてくれる、というわけです。
実際介護離職した人の話を聞いたりすると、介護に詳しい人さえいれば退職しないでも済んだのに・・・というケースがやはり見られます。こうした人が早まって離職してしまうことは、一定数減らせるのではないでしょうか。
さらに言えば介護従事者にとっては新しいキャリアパスができることになります。
多くの企業をクライアントに持つようになれば、収入もそれなりに増えるでしょうし、それを目指す現場の介護職も増えるかもしれません。
ただ、介護離職の原因、というところから考えていくと、実はいわゆる介護の知識が足りずに離職、というだけではない部分もあります。
介護離職したケースで良く目にするのが、大手で新卒から勤め上げてきた独身男性が、早期退職制度などに乗っかって退職するケースです。
だいたいこうした方の思考としては、大手で働いていたんだし再就職はできるだろう、ある程度貯金はあるし早期退職金がもらえるから良い機会だ、と考えていたり、何より最後は人の手ではなく自分の手で介護をしてあげるのが親孝行だ、といった考えがあり、結果離職してしまうのです。
彼らについては、いかに、退職しないでもヘルパーを使ったり施設に入居すれば対応が可能、と伝えたところで響きません。そうなると産業ケアマネに必要なのは、適切な介護のアドバイスに加え、こういった心理状態を理解しつつも翻意させるような、カウンセリング的な能力も必要となってくるのでしょう。
いずれにせよ、個人的にはなかなか面白いアイデアだと思いました。
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ケアリッツマガジン運営者 Yuri
普段の業務に加えて、いろいろと記事を書いて情報発信しています。プライベートでは女子力高めなことが好きです。