要介護度が改善するとお祝い金がもらえる??業界初の保険登場

介護度改善応援保険とは?

SOMPOホールディングスが、今年の秋に興味深い保険商品の販売を開始すると発表しました。
その名も、「介護度改善応援保険」。

仕組みとしては、保険期間1年の間毎月保険料を支払う代わり、その間に自助努力によって要介護度が改善された場合に、お祝い金がもらえるという仕組みです。

本来の保険の仕組みというのは、起きる可能性は非常に低いが起きたら経済的に致命的!というリスクに対して、被保険者みんなで毎月掛け金を積み立てて備える、というもの。
起きるリスクが非常に低いため、全体でみると結果的には積立金の方が多くなり、保険会社が儲かる仕組みです。
今回のものはそれとは根本的に思想が違い、保険という商品の枠を超えた画期的な商品と言えます。

顧客については、自社の持っている介護事業子会社2社の入居者・利用者に販売を始め、その後グループ外の施設にも広げていくとのこと。
損害保険会社が自前で介護事業を経営する、というのはリスクを伴う大きな決断でもありある意味注目されていましたが、これも一つの活用方法なのですね。

ビジネス的な観点からの考察

さて、そうすると気になってくるのが保険会社が収益を上げる仕組みです。こちらをビジネス的な視点から考察してみました。

保険料は年数千円程度で、戻ってくる保険金は保険料の5倍程度を予定している、とのことですが、一方で2015年度に要介護度が改善した人の割合は1割だったというデータがあります。つまり、例えば年間4000円だったと仮定すると、20人加入すると収入は80000円。そのうち現状通りであれば1割にあたる2名に20000円が払い戻され、40000円が保険会社の収入になる、というのがざっくりとした考えです。

この保険の登場により加入者のモチベーションが上がって改善率が1割から15%に改善したとしても、3名に20000円が払い戻されるため20000円程度の収入にはなり、充分保険会社は採算が取れますね。
そしてもしこうなったとすると、これまでより5%も多く要介護度を改善させたことになりますので、社会保障費の削減インパクトも大きく社会的意義は非常に大きなものとなります。

こう考えると、企業が儲けながら社会的にもプラスになる、という非常に理想的なビジネスモデルであることがわかります。

企業にとってのリスクは2つで、ひとつは予想以上に要介護度が改善する人が増えてしまうこと。上記の仮定だと、2割以上の人が改善した場合には保険会社の逆ザヤです。
また、要介護度、というのが実は結構曖昧な指標で、完全に客観的な指標と言い切れないところも問題です。例えばですが、認定調査の時にはとにかく体調の悪いふりをしておいて要介護度を高く出させ(実際こういうご家族、いらっしゃいます・・・)、次の調査の際には元気にふるまう、ということで保険料を獲得することができてしまうのです。

こうしたリスクがどれくらいあるのかを見極めるためにも、まずは限定的な自社顧客のみで様子を見てこうした仮説がどうなのかを検証し、問題がなさそうであれば一気に広告などを打ち拡大する、という戦略なんですね。

介護予防、というものは、インセンティブの問題であまり積極的に取り組む事業者は多くありませんでしたが、保険からのアプローチ、というのは非常におもしろい事例になるのではないでしょうか。

CURATOR
ケアリッツマガジン運営者 Yuri
普段の業務に加えて、いろいろと記事を書いて情報発信しています。プライベートでは女子力高めなことが好きです。