訪問介護の倒産が急増!その理由は?
これまでもたびたび取り上げている、介護事業者の倒産に関するニュース。
今年上半期についてのニュースが昨日出ていました。
介護事業者の倒産、上半期で過去最多 ヘルパー不足で訪問介護が急増(Joint介護)
記事の概要
記事によると、今年上半期の介護事業の倒産件数が、過去最高の55件となったそうです。
過去どれくらいだったかというと、その前の3年間が44件、40件、45件、という形なので、確かにぐっと増えた印象です。
これまで下半期の倒産の方が多い傾向にあり、同じく過去3年間の倒産数が64件、71件、61件となっているため、下半期はさらに多くの倒産が見込まれます。
内訳としては、特に訪問介護の倒産数が、昨年上半期は18件だったところから32件へ急増しているため、介護事業者の倒産数が増えた理由はまさに、訪問介護の倒産数の増加、によるものと言えるようです。
倒産したところの9割近くが資本金1000万円未満、従業員の人数が10人未満のところが8割、と、おそらく1事業所のみを運営している零細の訪問介護会社がつぶれている、ということが分かります。
記事内で、淑徳大学の結城教授もおっしゃっているように、これは純粋なる倒産数であり、廃業したり身売りしたりしたケースはこの何倍にも及ぶと考えられます。
訪問介護の倒産は問題か?
さて、この記事をどのように捉えればよいでしょうか。記事内で同じく結城教授は、「処遇改善を図らないとさらに訪問介護が脆弱になってしまう」と懸念されていますが、本当にそうでしょうか?
正直なところ個人的には、むしろ零細訪問介護会社はどんどん淘汰されるべきだと考えています。
他の業種・業態に比べて、訪問介護の会社、というのは非常に設立が簡単で、運営も簡単です。なぜなら、元手は特に必要なく、また、パートばかりを雇っていれば固定費がかなり軽くなるため、簡単に赤字にはならないからです。今回のように倒産する会社はよっぽどな経営状況と言え、それよりはマシ、程度の会社が実は非常に多く存在しているのです。
結果として、かなり経営能力に疑問符のつく経営者が跋扈してしまっており、こうした訪問介護事業所ではあまり経営努力が行われず、給与なども非常に低く、働く環境としては恵まれていない、という状況が起きています。
正直な話をすると、うちの会社からも独立する、という人がちょこちょこいらっしゃいますが、うちで活躍していた人、というよりも、現場でもあまり評価がいまいちだった人が急に独立していくケースが多かったりします。
結城教授は、倒産が増えることで訪問介護の担い手が減っていってしまう、と懸念されていますが、そういった恵まれない環境で働き、そのままでは訪問介護を辞めてしまうはずだった人材が、会社が倒産した結果他の会社にうつり、環境が改善されたりするケースも多いのではないでしょうか。
経営者の器ではない人間の安易な独立を防ぐ方法をつくること、また経営状態が悪い会社がしっかり淘汰されるような環境を作ることで、実は業界全体の待遇改善にもつながるのでは?と思ってしまうのです。