介護職なら知っておくべき!?新型コロナ・インフルなど感染症予防の基礎知識

巷では、国内でも新型コロナウイルスが徐々に広がりつつあり、連日ニュースもこの話題で持ちきりですね。
そのせいでマスクが手に入りにくくて苦労している、という方も多いのではないでしょうか?

ただ、一般的に冬は新型コロナウイルスに限らず、通常のコロナウイルスやインフルエンザ、ノロなどのウイルス性の感染症が多い季節です。

介護職に就いていると、実際にウイルス性疾患に罹患した利用者様の対応にあたったりすることも出てくると思いますが、皆さん感染症予防についてどのくらいの知識がありますか?

今回は、介護を始めとした医療福祉専門職が最低限知っておくべき、感染症予防の知識をご紹介します。

ウイルスと細菌の違い

そもそも、ウイルスと細菌、について、明確な違いがあるということをご存知でしょうか?

いずれも人間の体内に入るとさまざまな症状を引き起こすものですが、最も簡単に言えば、ウイルスは生物とは厳密には呼べず、細菌は生物である、というのが根本的な違いです。

細菌とは

細菌とは、細胞を持ち、栄養を摂ってエネルギーを生み出し、増殖・分裂を行っています。そういった意味で、「生物」と考えられています。
ただ、動物などの真核生物とは違い、細胞核やミトコンドリアなどを持たず、細胞内にDNAがその他の物質とともにごちゃまぜの状態で存在する「原核生物」に分類されます。

大きさも、真核生物の細胞よりは小さく、直径1㎛程度となっています。

細菌性の感染症としては、コレラ、結核、梅毒、ジフテリア、百日咳、赤痢といった感染症があげられます。より身近なものとしては、マイコプラズマ肺炎、溶連菌、O157といったあたりが良く目にするものかと思います。

ウイルスとは

ウイルスは、細菌に比べて非常に小さく、自力ではエネルギーも生まず増殖もできず、動くこともできません。ただ、DNA・RNAがタンパク質の殻、及びエンベロープと言われる外殻(ないウイルスもあります)に包まれた「物質」です。

動物の体内に入ると細胞内に入り込み、そこで細胞に間借りする形で細胞の機能を利用し、増殖していきます。

ウイルス性の感染症としては、おたふくかぜ、麻疹・風疹、水疱瘡、肝炎、デング熱、エボラ出血熱、エイズといった感染症が挙げられます。身近なものとしては、ノロウイルス、インフルエンザウイルス、その他風邪の原因ウイルス(アデノ・ライノ・コロナ)などがあります。

重要なこと

一番知っておくべき重要なこととしては、細菌には抗生物質が効くが、ウイルスには効かない!という点です。
風邪で病院に行くと抗生物質を処方されることも多いですが、実は風邪の多くはウイルス性である可能性が高いため、効かない可能性が高いのです。

なぜ、効かないと知りながら抗生物質を処方するのかと言えば、患者に何か薬を与えないとなぜ治療しないんだ、と文句を言われる、というのが主な理由だったりします・・・ それに、処方すれば売上も上がりますからね。
本来なら、ウイルス性の風邪であればただ寝ておくのが一番の治療法なのです。

一応細菌による二次感染を防ぐため、といった理由を挙げる医師もいますが、近年では抗生物質をやたらと出す医師に対しては、世間の目も徐々に厳しくなってきています。

感染経路の違い

まず、感染症の感染経路として主なものは、3つあります。

空気感染

多くの人が、感染症というとこの空気感染を思い浮かべるかもしれません。
菌やウイルスが小さな粒子となって空中を舞い、それを吸い込んだ人が感染する、といったものです。

なので、空気感染する場合には同じ空間にいる場合はもちろん危険ですし、空気の流れによってはかなり感染者から遠方であっても感染する可能性があります。
ウイルスならば、普通のマスクくらいであれば通り抜けてしまいますし、予防するのは極めて困難といえます。
医療機関では、減圧した部屋に入院させ、治療にあたる人間はN95と言われる医療用のマスクをして感染を防ぎます。

しかし、実はこの空気感染を起こすとされている感染症は結核・はしか・水疱瘡くらいに限られる、と言われています。皆さんが空気感染するのでは?と思っている多くの感染症は、実は次の、飛沫感染によって感染します。

飛沫感染

細菌やウイルスが、咳やくしゃみ、会話をすることによって唾液の飛沫が飛び、それが体内に入ってしまうことで感染する、というものです。

インフルエンザウイルスに感染している人が1回くしゃみをすると200万個、咳をすると10万個のウイルスが周囲に飛散するといわれています。飛沫は5㎛以上のものを指しますが、つまりは目に見える唾液だけでなく、目に見えないくらい小さなものも存在します。

これだけの量のウイルスが飛び散ると、飛沫の飛距離は1-2mと言われているため、その範囲いる人は、飛び散ったウイルスが鼻や口から侵入し、感染する可能性があります。
逆に言えば、それ以上離れた距離であれば、基本的には感染しない、というわけです。

飛沫はマスクで防ぐことができるため、飛沫感染の予防としては有効です。

しかし、飛沫感染の中でも、特殊な条件下では、飛沫の水分が蒸発してしまった状態で空気中を舞う、あたかも空気感染のような状況である飛沫核感染が起きることがあるため、注意が必要です。

インフルエンザウイルスなどが空気感染しない理由は、空気中では長く生きていけないからです。しかし、インフルエンザウイルスは乾燥した低温の環境、閉め切った小さな部屋といった条件を好むため、そういった環境下では感染力は長い時間保たれてしまいます。

そうなると、通常は空気感染を起こさないウイルスであっても、飛沫核感染を起こす可能性があるのです。(だから、夏はあまり流行しないのですね。)

逆に言えば、加湿器を使い、換気をこまめに行うだけでも、予防効果が見込めるというわけです。

接触感染

皮膚や粘膜に対する直接的な接触に加え、手すりやタオルなど患者が触れた物体にウイルスや細菌が付着し、それが手・指に付着し、口などに入って感染する、といった経路が接触感染です。
ノロウイルスなどに加え、インフルエンザウイルス、今回のコロナウイルスなどもこうした感染経路が確認されています。

例えばインフルエンザウイルスは、物に付着した場合24時間程度は感染力を保つと言われています。つまり、くしゃみや咳を覆った手などでドアノブやPCのキーボードなどに触れると、他の人がそこに触れた場合その人の手指にウイルスが移り、その手指で物を食べたり目や鼻の粘膜に触れると感染する、というわけです。

なので重要なことは、こまめに手洗い・消毒を行うこと、及び顔になるべく手を持っていかない、ということです。マスクも、口付近に手を持って行くことが少なくなるという意味では効果があります。

また、接触感染の一種ではありますが、目からの感染といったものもあります。新型コロナウイルスもその可能性が示唆されていますが、有名なのは夏のアデノウイルスによるもの、いわゆる「流行り目」です。
ウイルスのついた指で目を激しくこすったりすると、目から感染を起こすケースがあるわけです。

また、糞口感染というものもあります。こちらは、ノロウイルスが有名です。
トイレで用を足すと、目に見えない飛沫が便器の周りに飛び散ったりしますが、そこから接触感染するというわけです。他にも嘔吐物が乾燥し、ホコリとなって宙を舞い、あたかも空気感染するといったケースもあり、衛生管理が重要です。

各種予防の有効性

上記のような感染経路を理解すると、自ずと予防の仕方も見えてくるはずです。
巷で良く耳にする各種予防の有効性について、考えてみたいと思います。

マスクについて

まず、マスクについて。よく、マスクは感染症予防の観点で言えばあまり有効性はない、という意見も耳にします。これは本当でしょうか?

結論から言えば、日本の満員電車のような状況を想定した場合においてのみ有効であり、屋外でマスクをしていても大して意味はない、ということになります。

空気感染するウイルスは限られており、かつ空気感染する状況ではマスクを通り抜けてしまうため、マスクをしている意味はありません。なので、屋外でマスクをしっかりつけていたとしても、特にインフルエンザやコロナウイルスに感染するリスクに影響はないでしょう。

また、狭い換気の悪い室内に患者と一緒にいる場合には、ほぼ空気感染に近い飛沫核感染が起きてしまうため、こちらもマスクをしていても感染リスクがあります。
これを防ぐには、加湿と換気を十分に行うことが最重要となります。

一方で、海外ではあまり見られない、満員電車のような状況ではどうでしょう?
目の前に人の顔があり、時には吐息がかかったり・・・ こんな状況であれば、マスクは当然有効です。他にも、患者と目の前で長時間会話したり、といった状況においては、マスクは十分有効と言えます。

ただし、マスクも何度も着脱したり、あるいは手でマスクの外側を着脱時に触ってしまったりすると、そこから接触感染を起こす可能性もあるため注意が必要です。

うがい・手洗いについて

風邪の予防、という話になると必ず浮かぶ、うがい。
うがいについては、常にイソジンなどのうがい薬を使うのが良い!と思っている方も多いようですが、実は違うということがわかってきています。
イソジンは、すでに喉の痛みがあり、感染してしまっている状況であれば殺菌効果があるため有効ですが、予防という観点ではむしろ常在菌を殺してしまい、抵抗力を下げてしまうためむしろ感染しやすくなる、と考えられています。

なので、うがいについては、体調が良い状態の時については水、生理食塩水などで行うのが良いでしょう。

また、実はこまめに水を飲む、というのも予防効果が高いと言われ、医師でも実践している人が多いようです。
喉に付着した細菌やウイルスが、喉が乾燥したことによりその場で増殖してしまうことが、喉が炎症を起こす仕組みと考えられるため、喉に付着した少量の細菌やウイルスをこまめに胃に流し込み、胃酸で不活化してしまう、という原理のようです。
確かに医学的に明確なデータが存在しているわけではありませんが、原理的にはうがいと同じような効果があるとは考えられそうです。
また、カテキンには殺菌作用・抗ウイルス作用があるという報告もありますので、お茶をこまめに飲む、というのも良さそうです。

また、手洗いやアルコール消毒については、接触感染を予防してくれるため、非常に重要だと言えるでしょう。できるだけこまめに行うこと、また手や指を顔に持って行かないように意識することで、かなりの感染症は防げるはずです。

アルコール消毒について

ちなみに、一時期ウイルスにはアルコール消毒は無効、という説が流れましたが、これは本当でしょうか?

アルコールへの抵抗性は、エンベロープ、という膜を持つウイルスか持たないウイルスかによって変わってきます。エンベロープとは、脂肪・タンパク質・糖タンパク質からできている膜で、ウイルスが増殖して細胞から飛び出してくるときに細胞の成分をまとって出てきたものです。

ヘルペス、HIV、インフルエンザ、コロナ、など多くのウイルスがエンベロープを持っていますが、アルコールはこのエンベロープを破壊し、結果としてウイルスにダメージを与えます。

一方、エンベロープを持たないのはノロウイルス、ロタウイルス、A型肝炎、アデノウイルスなどこのであり、これらにはアルコールが効きにくいのです。

つまり、話題のコロナやインフルエンザにはアルコール消毒は有効だが、ノロに対しては効果が不十分で、次亜塩素酸などが配合された消毒液が望ましい、というのが結論となります。

消毒液の種類について

(3/5追記)
ちなみに・・・

実は世の中のポピュラーな消毒液は、すべてアルコール消毒だと思われがちですが、実は違います。
特に大容量の業務用のスプレー(よく商業施設の入り口などにおいてある奴です)や、他にも薬局で目にするメジャーな商品の一部は、よく成分を見ると、

有効成分; ベンザルコニウム塩化物、
添加物; エタノール、その他、

となっていたりします。

この、ベンザルコニウム塩化物、というものは実は低水準消毒薬と言われ、エタノールに比べると一般的にウイルスへの効果は薄いと言われているのです。
インフルエンザウイルスには有効、というエビデンスはあるようですが、コロナに対しては未知数、というわけです。

ちなみに、ベンザルコニウム塩化物の利点としては、細菌や真菌にはエタノール同様効果を示しつつ、エタノールと違い除菌効果が長持ちする(エタノールは揮発してしまったらその時点で殺菌力はなくなります。なので、何かに触るごとに私用する必要があります)、と言われています。

というわけで、消毒薬のものによってはウイルスへの効果は、ないわけではないが弱め、ということがあり得ます。理想的には、しっかり手洗いを行ったうえで、補助的にこういったものを使用していきたいですね。

免疫力の向上

体内に仮に細菌やウイルスが侵入してしまったとしても、自身の免疫システムで退治できれば、発病に至ることはありません。

免疫力を向上させるには、良く寝ること、しっかり栄養(特にタンパク質)を採ること、乳酸菌などを採ること、などが有効と言われています。

R-1やプラズマ乳酸菌などいくつかの乳酸菌では、免疫力が向上するという医学的なエビデンスも取れているのですが、おそらくは他の乳酸菌も、論文になるような実験を行っていないだけでおそらくはそれなりの効果があるのでは?と予想されます。

まとめ

長くなってしまいましたが、まとめると、

  • コロナやインフルエンザは、飛沫感染と接触感染が主な感染源であり、満員電車や患者と近距離で会話する機会がある場合にはマスクが有効。一方、屋外でマスクをする意味はあまりない
  • 換気の悪い、寒くて乾燥した部屋では、空気感染に近いことが起きうるので、加湿をし、換気をすることを心掛けること
  • コロナやインフルエンザにはアルコール消毒は有効なので、手洗いやアルコール消毒はこまめに行うこと
  • こまめにお茶を飲み、喉を乾燥させないこと
  • 良く寝て良く食べ、乳酸菌を摂ることで、免疫力を高めること

といったところでしょうか。

過度に感染症を恐れるのではなく、正しい知識を持って、利用者さんの介護にあたっていけるとよいですね。

WRITER
ケアリッツマガジン運営者 Yuri
普段の業務に加えて、いろいろと記事を書いて情報発信しています。プライベートでは女子力高めなことが好きです。
ペーパー薬剤師。