介護における働き方改革 – 6割の事業者は危機感を持っている?
エス・エム・エスの展開する請求ソフト「カイポケ」にて、「介護現場における働き方改革に関する実態調査」を実施した結果が発表されていました。
介護の働き方改革、アクションを起こしている介護事業者は約6割 (カイポケ調べ)
アンケート結果の概要
こちらの結果によると、何もしていない、というのは全体の1/3。約40%強の企業が実施済みか取り組み中で、残りの20%強の企業においても検討中ではあるとのこと。対象は居宅系に絞った結果のようです。
業種別にみると、居宅系の中でも訪問看護が一番取り組みに積極的とのこと。やはり、一番採用の厳しい訪問看護だからこそ、働き方を積極的に改善していこうという意識が強いのでしょう。
取り組みの内容としては、短時間労働をはじめとする柔軟な働き方への対応、といったものが多くみられました。短時間労働以外にも、テレワークや副業といった、働き方を自身で決められるような制度の導入、というのがどうやら主流のようです。
次が業務内容の見直し、特に業務プロセスの見直し・簡略化(いらない書類や会議の廃止・短縮、など)、そしてそれに伴う就業時間の短縮(残業の上限見直しや帰宅促進)といったものが続いています。
一方で賃金の引上げ、といった話は、これら3つの取り組みよりも少ない数にとどまっています。
今回の結果をどう見る?
上記の結果を見て、どのような意味合いが見いだせるでしょうか?
案外取り組んでいる企業が多い、と見るか、少ないとみるか。
取り組みの内容を見ると、実現がなかなか難しい賃金アップなどではなく、書類を減らしたり短時間労働を許可したりといった、取り組みやすい課題から手を付けていることがわかります。
そしてアクションの結果として、7割以上が効果があったと答えていることから、取り組みさえすれば何かしらの成果は出せていることがわかります。
また、9割以上の方が、何らかの働き方改革が必要だ、と感じてもいるそうです。
そう考えると、何らかのアクションを取っているのが6割、というのは逆に少々寂しいようにも感じます。
介護、特に居宅系の介護に関しては、あくまで労働集約であり、現場のヘルパーが何時間サービスを行ったかで純粋に売り上げが上がる仕組みです。しかも、1時間あたりの単価は国に握られています。
こうした、価格は動かせず労働の量で売り上げが決まるビジネスモデル、というのは、論理的に考えて給与と労働時間の両方が劇的に改善することは不可能です。
ただその中でできうることは、サービス時間以外の部分で業務の効率化を行い、また給与のためにガンガン働くか、給与は下がっても労働時間を短くしたいか、といった選択肢をしっかり示して選ばせる、ということくらいしかありません。
考えるよりまず行動を起こす、ということがこの業界の経営者には求められています。
CURATOR
ケアリッツマガジン運営者 Yuri
普段の業務に加えて、いろいろと記事を書いて情報発信しています。プライベートでは女子力高めなことが好きです。