【介護コラム】 目と目を合わせて - 第8回- よく見かける人

移動支援を活用して、毎週のように出かけるようになって4年ほど経ちます。
初めのうちは、とにかく色々な場所に行こう、路線を覚えよう、とたくさんの駅を巡りました。

制限時間内にどこまで行けるか。ヘルパーさんからは「ミステリーツアー」なんて呼ばれ、気づけば1都3県を網羅していました。

この2年ほどは遠くへ行くより、地元を巡ることが多くなりました。
バリアフリーという言葉をよく耳にしますが、バリアがあるかないかは、人とその心次第だと、改めて感じました。

僕が入れない店には二通りあって、一つは物理的に入れない(スペースの問題やエレベーター無しの2階以上の店舗など)場合と、もう一つは、助けの手がない場合です。
段差がない店でも、迷惑そうな顔で接客されれば、次からは見えないバリアが邪魔をして入り辛くなります。逆に段差があっても、スっと手伝いの手が伸びてくるような店は、入れる確率が上がります。

一軒、すっかり行きつけになっている焼肉屋さんがあります。

初めて店に入ったとき、店主の第一声は「何飲みます?」でした。
その瞬間、僕は普通のお客さんになることが出来ました。
店主の目には、「障害者」ではなく、ただ「車いすに乗っている人」と映っていたようです。

たくさん親切にしてもらえるお店は、もちろん、ありがたい限りですが、意外とこれくらい淡白なリアクションで迎えてくれるお店の方が、長いお付き合いになりやすいような気がします。

これからも僕は、色々なところへ足を運ぼうと思います。沢山の人に見かけてもらって、「よく外にいる人」という印象を持ってもらいたいです。世の中色んな人がいて、それが当たり前なんだよという意識が芽生える。

僕の外出がそのきっかけになればいいな。

コラム原案/安部隼人
障害者の目線から、社内での研修講師をしたり、啓蒙活動のためのレポート作成等を担当しています。
晩酌のお供はカニカマ派です。
Illustrator/エム・コウノ