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介護で歯磨きをおこなう人必見!要介護の状態別サポートや正しい歯磨き方法を紹介

介護で歯磨きをおこなう人必見!要介護の状態別サポートや正しい歯磨き方法を紹介

健康維持のためには歯磨きは欠かせませんが、正しい歯磨きの方法を知っていますか?歯磨きをおこなうのは寝たきりの人や入れ歯の人など状態がさまざまなので、ひとりひとりに合ったサポートが必要です。

今回は、「要介護の状態に合わせたサポート」や「介助者が把握しておくべきこと」、「正しい歯磨きの手順」を紹介します。正しい方法を把握して安全に歯磨きをおこないましょう。

歯磨きは要介護の状態に合わせたサポートをおこなおう!

歯磨きは健康維持に欠かせない重要なものですが、すべての人が同じケアでおこなうわけではなくひとりひとりに合った方法で実践する必要があります。ここでは、要介護のレベルごとに必要なサポートを紹介しています。

介助者は、サポートする人の状態に合った歯磨きをマスターしておきましょう。

要介護者自身で歯磨きをおこなうメリット

 

要介護者の状態によっては、必ずしも介助者に歯磨きしてもらう必要はありません。これは、自分で歯磨きをおこなうことでメリットがあるからです。

具体的なメリットは以下のとおり。

  • リハビリになる
  • やる気につながる

 

体を思うように動かせない人も多いですが、リハビリをおこなうことで状態を維持したりよい状態を目指したりすることも可能です。歯磨きをするとリハビリにもなるので、可能な範囲で自身で歯磨きしてもらうとよいです。

また、できることまですべて介助してもらうと自分で取り組もうという意欲低下につながります。それを防ぐ意味でも、歯磨きを自分でおこなうとできることがあると感じられ、できることは自分で取り組むなど意欲が向上することも。

QOLを高めるためにも、歯磨きを自身でしてもらうことは重要な意味を持つといえます。ただし、あくまでも“できる範囲で取り組んでもらう”ことが重要です。

歯磨きは、誤嚥したり事故につながったりと危険性もあります。そのため、介助を必要とする人にすべて任せきりにするのは危険です。

自身で歯磨きしてもらう場合でもしっかり見守ったり、サポートをしたりして正しく安全に歯磨きができる環境を整えるようにしましょう。自身で歯磨きをするメリットがあるからといって、介護が必要なすべての人に対応させるのは危険です。

あくまでも自身で歯磨きができる状態の人にのみ、自身で歯磨きに取り組んでもらうようにしましょう。

要介護軽度の人に必要なサポート

 

要介護軽度の人は、介護が必要な人のなかでも介護を必要とするレベルが低い状態です。そのため、先ほど紹介した自身で歯磨きに取り組める人に該当します。

自分で歯ブラシを持てて歯磨きができる状態なので、できる範囲で自身で歯磨きしてもらうとよいです。介助者に求められるのは、細かい部分の清掃をおこない磨き残しなどに対応することです。

歯磨きは介護を必要としない成人であっても、多くの人に磨き残しがある状態と言われています。つまり、しっかり磨けていると思っていても磨き残しがある状態なのでそのまま放置すると虫歯や歯周病などのトラブルが発生することもあります。

自分で磨いているから介助者によるサポートは必要ないと言われた場合は、これらを説明すると納得してもらえるはずです。磨き残しを防ぐために介助者がおこなう具体的なこととして、歯間ブラシやフロスなどを用いた清掃が挙げられます。

磨けているつもりでも汚れが残っていることが多い細かい部分を清掃して、歯磨きをサポートしましょう。

要介護中等度の人に必要なサポート

 

要介護中等度の人は、軽度の人同様歯ブラシは自分で持てる人です。しかし、麻痺などで体が思うように動かせないなど、正確に歯磨きすることが難しい状態です。

力が上手く入らなかったり、細かい動きができなかったりすると汚れが落ちづらいこともあるため、仕上げ磨きをおこないサポートしましょう。不自由なく体が動かせる人でも磨き残しているということを念頭に置いて、丁寧に磨きあげます。

力が入りづらそうなところや、磨きづらそうと感じる部分があれば、よりしっかりとチェックしながら歯周病などのリスク発生を防ぐよう意識します。

要介護高度の人に必要なサポート

 

要介護高度の人は介護が必要な軽度や中等度の人と比べると、必要なサポートの範囲も広いです。意識障害、機能障害などで体が思うように動かせないため、歯ブラシを自分で持つことが難しいです。

また、体力がない人にとっては歯磨きという動作も負担になります。普段何気なくしている歯磨きも体調不良時などは、ひとつひとつの動作が大変に感じた経験がある人も多いはずです。

このように、介護を必要な状態の人に寄り添って考えると、いかにサポートすることが重要かがわかると思います。したくてもできない人がいると理解して、代わりに歯磨きをおこない口内がすっきりとした状態を保てるようにサポートしましょう。

介助者が歯磨きをすべておこなう状態の人のときは、歯磨きを始める前に口内の状態確認から始めます。自身で歯磨きがおこなえないことでほかの状態の人と比べると口内環境がよくないことも珍しくありません。

そのため、どのようなケアが必要かを把握してから、それぞれの状態に合った歯磨きやケアを実践しましょう。

介護で歯磨きをおこなう際に事前に把握しておくべきこと

介護で歯磨きをおこなうときは、通常自分でしている歯磨きとは異なるものと捉えるとよいです。体力がなかったり、怪我をする危険性があったりと正しい方法でおこなわなければリスクがあるものです。

そのような危険を回避しながら、口内環境を守る重要な役割を介助者が担っていると理解しておきましょう。ここでは、要介護者に歯磨きサポートする前に把握しておくべきことを紹介します。

口腔ケアをするときに必要なものを準備

 

口腔状態や入れ歯や寝たきりの人などそれぞれの状況に合わせて、おこなう歯磨きの方法や口腔ケアは異なります。詳細は歯磨きの手順のパートで後述しますが、一般的に必要なものは以下のとおり。

  • 歯ブラシ
  • 歯磨き粉
  • スポンジブラシ
  • フロス
  • 歯間ブラシ
  • コップ
  • デンタルリンスやマウスウォッシュ
  • 入れ歯専用ブラシ
  • 入れ歯洗浄剤
  • 入れ歯専用容器
  • タオル
  • マスク
  • 手袋
  • ウェットティッシュ
  • ガーゼ

 

歯磨きは歯だけではなく、粘膜など口腔内全体をケアすることが重要です。そのため、歯を磨くグッズと粘膜などを清掃するグッズが必要です。

歯ブラシはやわからめや硬めなど硬さにも違いがありますが、やわらかめや普通のものを選びましょう。とくに、歯周病などの口腔トラブルが見られる場合は硬めの歯ブラシだと歯茎などが弱っている状態なので、出血することもあります。

また、年を重ねるごとにエナメル質がすり減っていく傾向で、高齢になるにつれ歯が傷つきやすくなることが多いです。そのため、汚れを落としたいからといって強い力で磨いたり、硬いタイプの歯ブラシの使用は控えるようにしましょう。

歯茎や粘膜などの清掃にはスポンジブラシが役立ちます。ブラシの先端がスポンジ状になっているため、細かい汚れなども優しく取り除けるのが特徴です。

通常の歯ブラシでは傷つけてしまう場合もありますが、スポンジブラシだとやさしくケアがおこなえます。

介助をおこなう人は、マスクや手袋を着用し感染予防に努めることも忘れてはいけません。口腔内の細菌から感染する可能性もあるため、短時間であっても感染予防は徹底しておこないましょう。

歯磨きをおこなうときの正しい姿勢や状態

 

座った状態で歯磨きをおこなうときは椅子や車いす、ベッドなどへの座り方も確認することが重要です。正しい姿勢で座っていないと水や唾液が誤って器官に入り誤嚥する危険性もあります。

安定した姿勢を無理なく保てるように、床に両足がついている必要があります。このときに足でバランスが取れていない状態だと、歯磨きをおこなっているときに体勢が崩れて怪我をする危険性も。

また、あごを引いたもらうことも忘れてはいけません。あごをしっかり引いた状態がキープできれば誤嚥などのリスクを減らせます。

体勢がきつくないように椅子の背もたれとの間に枕やタオルをはさむなど、歯磨きが苦にならないよう気配りすることも重要です。

口腔内をチェックして異常がないか確認する

 

繰り返しになりますが、歯茎などの状態がよくないときに強い力を加えるなどするとかえってよくない状態になる可能性もあります。必要なケア用品なども見極めるために、まずは口腔内チェックが欠かせません。

チェックする具体的な内容は以下のとおり。

  • 汚れている部分
  • 食べかすの有無
  • 口臭の有無
  • 口内炎の有無
  • 歯茎の腫れや出血

 

歯磨きや仕上げ磨きなどをおこなうにあたって、どの部分を重点的に清掃すればよいか確認することがマストです。また、口内の状態を把握することで気を付けなければならないことや病気などの可能性を把握できます。

歯や口内の状態によっては、介助者の歯磨きでは対応しきれず歯科医などの専門家への相談が必要になる場合もあるため、最初や日々のチェックが非常に重要です。

また、歯磨きを通してどれくらい口が開けられるかやうがいができるか、入れ歯などがマッチしているかなどを確認できます。現在できることを把握することは今後介助をしていくうえでも欠かせないチェックポイントなので、現段階の状況をしっかり把握しましょう。

安全性に配慮して声かけなどをおこなう

 

歯磨き介助をするうえで重要なことは、意思疎通を図ることです。介助者が歯磨きやケアをおこなう場合であっても、口を開けてもらったり歯を見せてもらったりと、要介護者の協力も不可欠です。

歯磨き介助をするときは口腔内を清潔にすることも重要ですが、安全性に配慮することも忘れてはなりません。コミュニケーションを図るには、介助者の声かけが欠かせません。

次にどのような動作をおこなうかを理解できれば、それに合わせた動きをしてもらうなどしてスムーズに安全に歯磨きがおこなえます。また、体調にも気を配ることも必要で、定期的な声かけができれば要介護者の負担にならずに済みます。

歯磨きが怖い、嫌なものだと感じてしまうと歯磨き自体に抵抗が生まれ歯磨きサポートを断られる可能性も。それを防ぐためにも安全第一で、声かけをしながら歯磨き介助をおこないましょう。

正しい歯磨きの手順を把握しよう

長時間の歯磨きは身体に負担をかけてしまうため、スムーズに歯磨き介助ができるよう正しい手順や方法を把握しておくとよいです。無駄なくしっかりと効果が感じられる歯磨きをおこなうためにも、正しい情報を理解しましょう。

歯磨きの方法に加え、入れ歯や寝たきりの人などそれぞれの状態に合わせた方法を紹介しているので、要介護者の状況に合わせたケアをおこないましょう。

歯磨きをおこなう手順

 

歯磨きをおこなうときは、以下の3ステップを意識して進めてください。

  1. 歯ブラシは鉛筆を持つように
  2. 歯ブラシの毛先を歯と歯茎にあてる
  3. 細かく動かしながら磨く

 

鉛筆を持つように歯ブラシを持って歯や歯茎に毛先をあてて磨きます。入れ歯をしている人は入れ歯を外してから磨きましょう。

歯ブラシの毛先は歯や歯茎に対して45度から90度の角度になるようにすると、磨きやすいです。歯は歯ブラシを細かく動かしながら磨くことで汚れが落ちやすくなります。

1本1本丁寧に磨きしっかりと汚れが取れるように意識しましょう。歯を磨くときは力を入れず、あくまでも優しく磨くことが重要です。

奥歯や歯の間など磨きづらかったり、汚れが溜まりやすかったりする部分はより丁寧にブラッシングするとよいです。

うがいの方法

 

うがいをすると口腔内に付着している細菌や口臭の原因となる汚れを取り除くなど、期待できるうれしい効果があります。そのため、うがいが可能な人にはできる範囲でおこなってもらうのが望ましいです。

うがいは、口に水を含み上下左右の頬をそれぞれ膨らませながらブクブクと交互におこないます。その後、口のなか全体を膨らませてブクブクと動かし仕上げです。

うがいは水やデンタルリンス、マウスウォッシュなどを用いておこなうとよいです。水を誤嚥しないように、うがい用の水は1度に大量に含まないように気をつけましょう。

入れ歯の磨き方

 

入れ歯の人は入れ歯を外してから磨き、入れ歯は専用の洗浄剤を用いて洗浄しましょう。部分入れ歯の人は金属のワイヤーを上に持ち上げ外し、総入れ歯の人は前歯を持って上に持ち上げ外します。いずれも下の入れ歯から外しましょう。

上の入れ歯を外すときも同様に前歯を持ち、奥歯を浮かせるイメージで下ろしながら外します。入れ歯を外したら水で汚れやぬめりを落としてから、入れ歯用のブラシで磨いていきます。

入れ歯用の専用容器もしくはコップに“水+入れ歯洗浄剤”と入れ歯を入れつけ置き。洗浄剤に記載されている時間に合わせてつけ置きしたら、入れ歯を取り出し再度入れ歯ブラシで磨きます。

洗浄剤やぬめりが落ちたと感じるタイミングまで、しっかり磨きましょう。

寝たきりの人に対して口腔ケアをおこなう方法

 

口に水を含めない人や寝たきりの人には、ウェットティッシュやガーゼなどを用いたケアがおすすめです。指やブラシにガーゼなどを巻き、奥から手前に向かって拭きとります。

上の歯と頬、顎、下の歯と頬いずれも奥から手前に動かしますが、指やブラシはあまり奥まで入れると痛みなどを感じることもあるので注意が必要です。

まとめ

介護対象者をサポートする人は、それぞれの状態に合った歯磨きサポートをおこなうことが重要です。安全に歯磨きをおこなうためにも紹介した事前に把握しておくべきポイントや、正しい歯磨き手順を押さえておきましょう。

介助者は、要介護者それぞれの口腔内の状態や介護を必要とするレベルなど、ひとりひとりに合ったケアで口腔内の健康を守る手助けをおこないましょう。