初任者研修とは?受講の流れや注意点についても分かりやすく解説!

初任者研修とは、介護職としての必要な知識や技術を学ぶための研修であり、介護職の資格の一つでもあります。
しかし「具体的にどのような内容なのか」と思う方も多いのではないでしょうか。
本記事では、初任者研修の研修内容や費用について、分かりやすく紹介していきます。
初任者研修の受講を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
初任者研修の受講内容とは
まず初任者研修の概要について解説していきます。
初任者研修とは?
初任者研修は正式には「介護職員初任者研修」で、介護の基礎知識や技術を学ぶための資格です。
介護の仕事を始める際の最初のステップとなる研修で、訪問介護や施設介護の現場で役立つスキルを身に付けることができます。
また、将来的に実務者研修や介護福祉士の資格を取得する際の基礎としても重要です。
初任者研修のカリキュラムについて
研修でのカリキュラムは、以下のように構成されています。
- 職務の理解:6時間
- 介護における尊厳の保持・自立支援:9時間
- 介護の基本:6時間
- 介護福祉サービスの理解と医療の連携:9時間
- 介護におけるコミュニケーションの技術:6時間
- 老化の理解:6時間
- 認知症の理解:6時間
- 障害の理解:3時間
- こころとからだのしくみと生活支援技術:75時間
- 振り返り:4時間
研修時間は合計130時間で、座学と実技の両方を学ぶカリキュラムです。
介護に関する幅広い知識を習得できるのが特徴です。
初任者研修の受講資格
初任者研修の受講資格に年齢・学歴・経験の制限はなく、誰でも受講可能です。
介護の仕事に興味がある人や家族の介護に役立てたい人、今後介護業界でキャリアを積みたいと考えている人に向いています。
また、未経験から介護の仕事に就く場合でも、初任者研修を修了していることで採用時に有利になることが多いです。
すでに介護の現場で働いている人も、基礎知識をしっかりと学びたい場合は受講を検討するとよいでしょう。
初任者研修を受講する方法
初任者研修は全国のスクールや通信講座、ハローワークの職業訓練などで受講できます。
スクールを受講する際のスタイルは異なり、主に以下の2つの方法があります。
- 通学コース:スクールに通いながら実技を含めた研修を受ける
- 通信+通学:自宅学習(オンラインやテキスト学習)+実技演習の組み合わせ
プライベートや仕事の都合を考慮し、自分に合った方法を選ぶとよいでしょう。
初任者研修を受講するためにかかる費用
受講費用はスクールや地域によって異なりますが、一般的に5万~10万円程度です。
費用には講座料やテキスト代、実技演習費などが含まれる場合が多いですが、スクールによって別途料金が発生することもあるため、事前に確認しておくと安心です。
また、教育訓練給付制度を活用すれば低価格で受講できるケースもあるため、事前に調べておくとよいでしょう。
受講費用を抑えながら、無理なく資格を取得できる方法を検討することが大切です。
初任者研修の期間や試験の難易度とは
続いては初任者研修の期間や難易度についてまとめたので、確認していきましょう。
研修期間
介護職員初任者研修の受講期間は約1~4カ月が一般的です。
研修は合計130時間のカリキュラムが定められており、学習の進め方や受講スケジュールによって修了までの期間が異なります。
短期コースは週3~4回以上の通学がメインの受講で、1カ月程度で資格取得が可能です。
短期集中型のため、時間を確保できる方に向いています。
標準コースは週1~2回の通学+自宅学習の受講で、仕事や育児と両立しながら資格取得が可能です。
学習期間は2~4カ月程度ですが、働きながら学びたい方におすすめです。
受講期間はスクールや講座によって異なるため、自分のライフスタイルやスケジュールに合わせて選びましょう。
筆記試験の難易度
初任者研修の最後には、修了試験(筆記試験)が行われます。
- 試験範囲:カリキュラム9科目の中から出題(振り返りは除く)
- 出題形式:「選択式のみ」または「選択式+記述式」(スクールによって異なる)
- 合格基準:100点中70点以上
修了試験は 研修をしっかり受けていれば合格できるレベルです。
スクールによっては、試験前に復習講座や模擬テストを実施してくれるところもあります。
また、不合格になった場合でも再試験が可能なため、安心して受験できるでしょう。(スクールによっては有料です。)
なお、試験に落ちた後に再試験を受けなかった場合は、修了証がもらえなくなってしまうので注意しましょう。
修了証が交付される時期に関してはスクールによって時期が異なりますが、1~3週間ほどで交付されるのが一般的です。
初任者研修を受講するメリットとは
初任者研修を受講することで、さまざまなメリットがあります。
ここではメリットを4つ解説していきます。
介護の知識や技術が身に付く
初任者研修を受講することで介護の基礎知識や実践的な技術が身に付き、一人で身体介護が行えるようになります。
具体的には、以下のようなスキルを習得できます。
- 介護の基本(利用者への声掛け、介護の心構えなど)
- 食事・入浴(清拭)・更衣・排泄の介助方法
- 体位交換・車椅子やベッドへの移乗介助
- 車椅子、歩行器などの福祉用具の操作および移動介助
- 認知症の理解と対応の仕方
- 介護現場でのコミュニケーション技術
未経験でもしっかり学べる内容のため、介護の仕事を始める前の準備としておすすめです。
給与が上がる可能性がある
初任者研修の資格を取得すると、無資格よりも給与アップが期待できます。
令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、月収では3万円の差があることが分かります。
- 無資格の介護職:平均月収26万8,680円
- 初任者研修修了者:平均月収30万240円
施設によっては3,000~5,000円ほどの資格手当が支給されることもあり、月給ベースで考えても年収がアップする可能性があります。
また、資格を持っていることで昇給やキャリアアップのチャンスが広がり、将来的に介護福祉士やケアマネジャーなどの上位資格を目指しやすくなります。
経験を積みながらさらなるスキルアップを図ることで、よりよい待遇を得られるでしょう。
参照:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果 p157」
キャリアアップにつながる
介護業界でステップアップを目指す場合、初任者研修はキャリアの第一歩です。
初任者研修の後は下記のような資格を取得することで、さらにスキルアップできます。
- 介護職員実務者研修:介護福祉士試験を受験するために必要な研修
- 介護福祉士:社会福祉業務に携わる国家資格
- ケアマネジャー(介護支援専門員):ケアプランを作成できる公用資格
このように、初任者研修は長く介護業界で働きたい人にとって、重要なステップとなります。
転職で有利になる
初任者研修の資格を取得していると、介護業界への転職がスムーズになります。
無資格でも働ける求人はありますが、資格を保持していることでより多くの選択肢から仕事を選ぶことが可能です。
特に訪問介護員(ホームヘルパー)として働く場合は、初任者研修をはじめとする介護関連の資格が必須です。
新型コロナウイルスの影響で一時的に無資格者の訪問介護が認められるケースもありましたが、基本的には資格を取得しなければ訪問介護の仕事には就けません。
また、資格を持っていると施設介護だけでなく、デイサービスやグループホームなど、さまざまな介護現場で活躍できるチャンスが広がります。
介護業界は人手不足が深刻なため、資格保持者は即戦力として採用されやすいのもメリットです。
初任者研修を受講する際の注意点
初任者研修を受講する際は、注意するべきポイントがいくつかあります。
持ち物や服装について解説していくため、一つずつ確認していきましょう。
持ち物
初任者研修の受講時は筆記用具やテキスト以外に、以下の持ち物が必要な場合があります。
- エプロン(シンプルなもの)
- 実技用のタオル(介護実習で使うことがある)
- 実技用の衣類(前開きのシャツ、ズボン、靴下など)
- 洗髪用の物品(ビニール袋、洗濯バサミ、ドライヤーなど)
- 上履き(指定がある場合も)
- 水分補給用の飲み物(長時間の講義対策)
特に実技演習の際は、エプロンや筆記用具を忘れないようにしましょう。
スクールによって必要な持ち物が違う場合もあるため、事前に確認しておくのがポイントです。
服装
初任者研修では実技演習があるため、以下のような動きやすい服装を選びましょう。
- Tシャツやポロシャツ(袖が短めで動きやすいもの)
- ジャージやストレッチの効いたパンツ(スカートはNG)
- 運動靴やスニーカー(転倒防止のため、サンダルやヒールは避ける)
スクールによってはエプロンや制服の着用を指定される場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。
身だしなみ
介護の現場では、清潔感のある身だしなみが重要です。
- 爪は短く切る(利用者の肌を傷つけないように)
- 長い髪はまとめる(実技の際に邪魔にならないように)
- 化粧・香水・整髪料は控えめに(利用者が不快に感じることがある)
- 派手なアクセサリーは外す(ピアス・指輪・ネックレスは避ける)
研修では実際の介護現場を想定して行われるため、身だしなみを整えることが大切です。
初任者研修でよくある質問
最後に、初任者研修でよくある質問を紹介していきます。
支援制度はある?
初任者研修の受講には、自治体や企業の支援制度を活用できる場合があります。
国が行う「教育訓練給付」のうち、初任者研修は「特定教育一般訓練」と「一般訓練」が対象です。
特定一般教育訓練は受講費用の40%(上限20万円)が、一般教育訓練は受講費用の20%(上限10万円)がキャッシュバックされます。
また、介護施設によっては、初任者研修の受講費用を負担してくれる場合があります。
特に「未経験歓迎」の求人では、入職後に資格取得をサポートしてくれるケースもあるので、転職を考えている人は要チェックです。
初任者研修と実務者研修の違いは?
初任者研修と実務者研修は、学ぶ内容や目的が異なります。
初任者研修は介護職への第一歩として「介護の基礎を学ぶ」ことが目的です。
基本的な介護技術や知識を習得し、介護現場での実践的なスキルを身に付けることができます。
一方で実務者研修は、さらなるスキルアップやキャリア形成を目的とし、「介護福祉士として必要な知識やスキルの習得」が求められます。
実務者研修は初任者研修の上位資格と捉えられることもありますが、初任者研修を修了していなくても受講可能です。
ただし、初任者研修を修了していると共通する9科目・130時間分の受講が免除されるため、時間や負担を軽減できます。
どちらも介護未経験から受講できるため、自身のキャリアプランに応じて選択するとよいでしょう。
初任者研修は働きながらでも受講できる?
初任者研修は働きながらでも受講しやすくなっています。
平日や昼間だけでなく夜間や土日コースもあるため、フルタイムで働いている人でも勉強しやすいでしょう。
最近はオンライン学習と組み合わせた研修も増えているため、自分に合った受講方法を選びましょう。
介護職員初任者研修は働きながらでも取得しやすい理由はこちら
初任者研修は履歴書に書ける?
初任者研修は履歴書に書くことができます。
資格・免許の欄には「〇年〇月 介護職員初任者研修 修了」と記載するとよいでしょう。
受講中の場合は「修了見込み」と記入すれば、「介護職員初任者研修修了必須」の求人にも応募できるケースがあります。
アピールポイントとしては「介護の基礎知識と技術を習得したこと」や「訪問介護・施設介護の実務に生かせる資格であること」を伝えるのが効果的です。
初任者研修を取得していることで、未経験でも介護業界での採用が有利になることが多いため、積極的にアピールしましょう。
まとめ
初任者研修は介護の仕事を始めるための第一歩であり、大きなステップです。
働きながらでも受講できる柔軟なスタイルが選択可能で、自分のライフスタイルに合わせて学びやすい環境が整っています。
特に通信講座や夜間・土日コースなどを活用すれば、仕事や家庭と両立しながらでも資格を取得しやすいでしょう。
また、資格を取得することで介護業界での就職や転職が有利になり、未経験からでも安心して働き始めることができます。
介護の基礎知識と技術を身に付けることで、より質の高い介護を提供できるようになるため、スキルアップを目指す人にもおすすめです。
介護業界へ踏み出す際には、取得して損はない資格でしょう。