ケアマネ資格の取得方法や流れ、難易度を解説!廃止の噂は本当?

ケアマネ(ケアマネージャー)の資格を取りたいものの、どうやって取得するのか分からずに悩んでいる方も多いでしょう。
本記事では、ケアマネ資格の取得方法や具体的な流れを、詳しく解説していきます。
資格が廃止される噂についても紹介するため、資格取得を目指す方はぜひ参考にしてください。
ケアマネ(ケアマネージャー)とは
ケアマネージャーとは、正しくは「介護支援専門員」と呼ばれる職種で、介護支援を必要とする方と施設を繋ぐ役割があります。
ケアマネの主な業務内容は、下記のとおりです。
- ケアプランの作成
- モニタリングの実施
- 介護事業所との連絡や調整
- 要介護認定の申請代行
- 各関係機関との連携
- 各種書類の作成
ケアマネの職場は地域包括センターや居宅介護支援事業所、特別養護老人ホームなどの施設です。
ケアマネ資格の試験概要
ここでは、ケアマネの受験資格・要件、試験内容や試験日程を紹介していきます。
どのような試験が実施されるか知らない方は、しっかり目を通しておきましょう。
受験資格・要件
ケアマネ試験の受験資格は以下の2つがあり、いずれかに該当すれば受験できます。
- 特定の国家資格を保有している方
- 一定期間、相談援助業務に就いている方
1つ目の特定の国家資格を保有している方の資格には医療系、介護系、福祉系、栄養系などが挙げられます。
医療系 | ・医師 ・歯科医師 ・准看護師 ・看護師 ・助産師 ・保健師 ・薬剤師 |
介護・福祉系 | ・介護福祉士 ・理学療法士 ・視能訓練士 ・言語聴覚士 ・作業療法士 ・社会福祉士 |
その他 | ・栄養士・管理栄養士免許 ・あん摩マッサージ指圧師 ・はり師 ・きゅう師 ・柔道整復師 |
上記のいずれかを保有しており実務経験が5年以上、かつ900日以上の従事日数の条件を満たす必要があります。
2つ目の一定期間、相談援助業務の実務経験に関する要件は下記のとおりです。
- 生活相談員
- 相談支援専門員
- 支援相談員
- 主任相談支援員
上記いずれかの職務に5年以上従事し、なおかつ従事日数が900日以上を満たせば受験が可能です。
試験内容
ケアマネの試験はマークシート形式で、5つの中から複数の回答を選びます。
試験範囲は下記のとおりです。
- 介護支援分野:25問
- 保健医療福祉サービス分野:35問
合わせて60問が出題され、試験時間は120分です。
試験日程
ケアマネ試験は年に1回実施されています。
実施日は毎年異なりますが、例年10月の中旬〜下旬に開催されている傾向です。
受験の申し込み期間は一般的に6月上旬からの1か月程度ですが、都道府県によって異なります。
よって、お住まいの各都道府県のサイトから、情報をチェックしておきましょう。
なお、都道府県によって手数料の金額が異なるため、あわせて確認しておくと安心です。
難易度
ケアマネ資格試験の合格率は例年10%〜20%で推移しているため、難易度は高いといえるでしょう。
合格率が難しい理由として、解答方式の難しさや問題数の多さ、また試験時間が足りなくなることが挙げられます。
知識を深めるための勉強に加えて、テンポよく解答するスピーディーさを身につける練習をしておく必要があるでしょう。
合格率
過去5年間の受験者数・合格者数・合格率を表にまとめたので、ご覧ください。
実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2020年度 【第23回】 | 46,415人 | 8,200人 | 17.7% |
2021年度 【第24回】 | 54,290人 | 12,662人 | 23.3% |
2022年度 【第25回】 | 54,406人 | 10,328人 | 19.0% |
2023年度 【第26回】 | 56,494人 | 11,844人 | 21.0% |
2024年度 【第27回】 | 53,699人 | 17,228人 | 32.1% |
出典:厚生労働省「第27回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」
上記の表のとおり、難易度が高いことに変わりはありません。
しかし、直近の第27回は合格率が30%を超えていることが分かります。
過去問をひたすら解いたり模擬試験を受けたりするなどして、しっかりと対策しましょう。
廃止の噂について
「ケアマネの資格が廃止される」と噂されたことがありますが、公式から廃止されるとの発表は未だありません。
廃止の噂が広まった理由は、受験者数が減ったことが主な原因だと考えられています。
2014年までは保有している国家資格に応じて、一部の試験科目が免除される項目がありましたが、2015年からはその制度が廃止されています。
それにより難易度がさらに高くなり、受験者数が減っている傾向です。
また、2018年に受験資格が変更されたことに伴い、受験者数が大幅に減少しました。
2017年までは12万人以上いた受験者数が、2018年から2024年では4万〜5万人にまで減少しています。
そのほかにも要因はありますが、このような背景があり「ケアマネの資格が廃止されるのでは」との噂が広がりました。
しかし、介護業界の職種は超高齢化が進む日本において重要であり、ニーズが高まり続けると予測されます。
したがって、ケアマネは廃止されることはないでしょう。
ケアマネ資格を取るメリット・魅力
ここでは、ケアマネの資格を取るメリットと魅力について触れていきます。
取得するか悩んでいる方はぜひ参考にして、後悔のない選択をしましょう。
転職で有利になる
ケアマネの資格を取得することは、専門知識やスキルを身につけている証になるため、転職で有利になるでしょう。
介護資格にはさまざまなものがありますが、ケアマネは上位の資格に該当します。
介護業界で長く働きたいと考えている方は、取得して損はないでしょう。
キャリアアップに繋がる
ケアマネの資格を取得すると、ケアプランの作成や要介護認定の相談など、携われる業務の幅が広がります。
業務の幅が広がり利用者や施設のスタッフからの信頼が厚くなれば、キャリアアップに繋がるでしょう。
また、利用者の状況や気持ちが想像できるようになるのもメリットです。
さまざまな観点から、利用者に寄り添った介護サービスを提供できるスキルを身につけられます。
給与アップも目指せる
ケアマネは上位資格に該当するため、基本給のアップや資格手当が付与されることによる給与アップも期待できます。
2022年に発表された「介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職員の平均月給は31万7,540円、ケアマネは36万1,770円です。(常勤の者)
つまり、ケアマネのほうが高い給与額であると伺えます。
ただし、資格手当については事業所によって適用されないケースもあるため、職場を選ぶ際に手当の有無を確認しておくと良いでしょう。
参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果 p128」
ライフスタイルに合わせて働きやすい
ケアマネは基本的に夜勤がないため、ライフスタイルに合わせた働きやすい環境を目指せる点もメリットです。
ただし、介護士の業務と兼任する場合は、介護士として夜勤を行うケースもあります。
よって、プライベートの時間や育児の時間を確保したい方は、ケアマネとして働くと良いでしょう。
【状況別】ケアマネージャーになれるまでの最短期間
資格の保有状況に応じて、ケアマネージャーになれるまでの期間が異なります。
ここでは、以下の3パターンを紹介していきます。
- 無資格からのスタート
- 介護職員初任者研修を保有した状態からのスタート
- 介護福祉士を保有した状態からのスタート
1つずつ解説していくため、ぜひ参考にしてください。
無資格からスタートする場合
無資格からケアマネージャー資格を取得する場合、最短でも8年程度かかります。
ケアマネージャー試験を受験するには介護福祉士などの国家資格が必須であるため、まずは介護職員初任者研修を修了することが一般的です。
その後、3年間の実務経験(540日以上の従事日数)と介護福祉士実務者研修を修了し、介護福祉士資格の取得を目指しましょう。
実務者研修は初任者研修を修了していない場合でも受講は可能ですが、初任者研修を経てから受講すると基本的な知識や技術を習得済みであるため、一部の科目が免除されます。
そのため、介護業務が未経験の方は初任者研修から始めるのがおすすめです。
介護福祉士資格を取得したあと、さらに5年間(900日以上の従事日数)の実務経験を積むことで、ケアマネージャー試験への挑戦ができます。
このプロセスを経ることで、ケアマネージャーとしての資格取得が可能となります。
介護職員初任者研修を保有している場合
介護職員初任者研修を保有している場合でも、最短5~8年程度はかかります。
無資格の状態と同様に、まずは介護福祉士などの国家資格の取得を目指す必要があるからです。
3年の実務経験と、ケアマネ試験の受験資格である実務経験5年を合わせると、最短8年の計算です。
介護福祉士を保有している場合
介護福祉士の資格を保有している場合は、最短5年でケアマネを目指せます。
受験資格である実務経験5年以上を満たせば、受験できるためです。
なお、病気や育児などで休業している期間は従事期間に入りません。
したがって休業した期間がある方は、しっかりと5年以上を満たせているか計算しておく必要があります。
ケアマネの受験資格となる実務経験の数え方
ここでは、実務経験の期間や日数、算定方法の注意点を解説していきます。
ケアマネの試験を受けるためには欠かせない要件となるため、数え方を押さえておきましょう。
実務経験期間の数え方
国家資格や国家免許を取得している方は、取得の登録日から実務経験期間を数えます。
したがって、資格や免許の取得後に未登録のまま実務経験がある方は、その期間を実務期間として数えられません。
生活相談員などの相談業務の要件から要件を満たしたいと考えている方は、相談業務をスタートさせた日から数えられます。
ただし、実務経験を証明できなければならず、事業所の廃業などで証明が難しい場合は実務経験としてカウントされません。
実務経験期間日数の数え方
実務経験期間日数はいわゆる勤務日数を指し、実際に働いた日数を数えます。
実務経験が5年以上の中で、900日の勤務日数があるか計算しましょう。
ただし有給休暇、出張や研修は勤務日数に入りません。
もちろん休職日数や特別休暇、休日も勤務日数として数えられないため要注意です。
算定方法に関する注意点
算定方法に関する注意点があります。
まず1つ目は、受験を申し込むタイミングで実務経験の期間や、勤務日数が足りない場合の注意点です。
このようなケースでは、試験の前日までなら実務期間と勤務日数に含められます。
ただし、受験申込書とともに「実務経験見込証明書」を期限内に提出することが条件です。
2つ目は、実務経験期間を証明するために「実務経験証明書」の提出が必要である点です。
通算で5年以上の実務期間があることを証明する「実務経験証明書」を職場から発行してもらう必要があります。
運営会社の責任者や担当者に連絡し、発行を依頼しましょう。
ケアマネ資格試験の申し込みから結果発表までの流れ
ケアマネ試験の受験申し込みから、結果発表までの流れは以下のとおりです。
- 書類の受け取り
- 申し込み
- 受験票の受け取り
- 受験
- 合格発表
1つずつ解説していきます。
1.書類の受け取り
例年4~5月ごろに各都道府県庁や市町村役所、地域包括支援センターなどで書類を受け取りましょう。
一部の地域では、郵送で願書を含めた書類を受け取れるところもあります。
各地域で対応が異なるため、各都道府県のケアマネージャー試験実施団体に問い合わせてみましょう。
2.申し込み
願書を記入して、必要書類を揃えたら申し込みます。
なお、受験会場は自由に選択できないため、しっかりと把握しておく必要があります。
申し込みのタイミングで国家資格を取得して実際に勤務している方は、勤務中の事業所がある都道府県が受験地です。
同タイミングで受験資格の対象となる業務に勤務していない方は、住所がある都道府県が受験地となります。
受験地を間違えると受け取ってもらえず受験できないため、注意しましょう。
3.受験票の受け取り
受験票は試験の約1か月前に自宅に届きます。
万一届かない場合は、各都道府県のケアマネージャー試験実施団体に届かない旨を伝え、状況を確認してください。
なお受験資格に満たなかった場合は、条件に不適合である旨の通知が自宅に届きます。
4.受験
例年10月ごろに試験が開催されます。
受験票に受験時の注意点や受験地が記載されているため、必ず前日までに確認を済ませておきましょう。
また、試験会場までの距離や所要時間、ルートも前日までに確認しておいてください。
遅刻に対する特別な処遇はないため、余裕を持って試験会場に到着できるよう計画を立てましょう。
5.合格発表
例年11月下旬~12月上旬ごろに合格発表があります。
合格した方には、実務研修の案内に関する通知が届きます。
なお、合格通知をもらって終わりではなく、資格を確実に取得するための手続きが必要です。
次項で合格後の流れをお伝えします。
ケアマネ資格試験合格後の流れ
試験合格後の流れは以下のとおりです。
- 研修を受講
- 登録申請
- 交付申請
では、1つずつ解説していきます。
1.研修を受講
試験に合格したあとは、まず研修を受講しましょう。
研修内容は、87時間の講習と原則3日間の居宅介護支援事業所での実習です。
この研修は年に数回、各都道府県で実施されています。
なお、研修は有料となっており、都道府県によって金額は異なります。
日時や場所、受講料を間違えないよう、合格通知に記載されている研修の説明によく目を通しましょう。
2.登録申請
研修を無事に修了できた方は、3か月以内に登録申請を行う必要があります。
1日でも過ぎれば登録はできなくなり、再度受験を受けて合格しなければなりません。
忘れてしまう前に、修了したらすぐに申請しましょう。
なお、申請に必要な書類や申請先は都道府県によって異なるため、サイトなどで確認してください。
3.交付申請
ケアマネとして働きたい方は、交付申請も行う必要があります。
登録する際に合わせて申請できるため、手数料を用意して一緒に申請しておきましょう。
なお、交付申請には顔写真も必要となるため、証明写真機などで撮影したものを用意する必要があります。
ケアマネの資格は有効期限があり、交付日から5年と決まっています。
5年ごとに研修を受ければ更新できますが期間が長く空くため、研修の受講を忘れないようにしましょう。
まとめ
ケアマネ資格を取得すれば、キャリアアップの道が拓けたり、ライフスタイルにあった働き方が見つけられたりと、メリットは多岐にわたります。
しかし、ケアマネ資格の合格率は10%〜20%と難易度が高く、資格要件も満たす必要があります。
ケアマネ資格の合格を目指して、必要なステップを踏みましょう。