要介護3の状態とは?利用できるサービスを詳しく解説!

「要介護3はどのような状態なのか知りたい」
「どんなサービスを受けられるのか知りたい」
このように思われていませんか?
ご家族や自身が要介護3の認定を受けた場合、これからどうすればいいのか、不安になるかと思います。
そこで今回は、要介護3の状態や要介護2・4との違い、利用できる介護保険サービスをご紹介します。
本記事を読むことで、訪問サービス・通所サービス・入居サービスのカテゴリー別に、施設や各サービス内容、対象者、利用できる福祉補助用具や介護リフォームの補助金について詳しく知ることができます。
ぜひ参考にしてください。
要介護3の状態とは?ほかの介護度との違い
ここでは、要介護3と認定を受けた方の状態や、要介護2と4との違い、認定基準を解説します。
要介護3|広範囲で介助が必要な状態
自力で立つ・歩行するのが難しい点が大きな特徴です。
そのため、食事・着替え・排泄・入浴といった日常動作に介助を要します。
24時間にわたって見守る必要があり、要支援とは異なり介護者の負担も高まります。
2024年度に実施された調査によると、要介護3の状態になる原因と割合は以下のとおりです。
ランク | 1位 | 2位 | 3位 |
疾患 | 認知症 | 脳血管疾患(脳卒中) | 骨折・転倒 |
割合 | 25.3% | 19.6% | 12.8% |
もっとも多いのは認知症です。
認知症は進行性の脳の疾患で、徐々に認知機能が低下します。
そのため、現在要介護3と認定されていても、最終的には5まで上がることは珍しくありません。
【認定と見なされる基準】
必要な介護量と1日に必要な介護時間が「70分以上90分未満」であると判断されると、要介護3と見なされます。
なお、これに相当する状態と見なされた場合も同様です。
要介護認定は、AIによる判定と人による判定で決定します。
要介護認定のために調査員が自宅へ訪問し、要介護者本人の体調や認知症の有無などをヒアリングします。
ヒアリング結果などから、AIが介護が必要な量と時間を判定。
最終判定は、AI判定結果をもとにした5名程度の保健医療福祉の学識者が話し合い、決まります。
要介護2との違い|介助の範囲が3よりも少ない状態
要介護2と3の違いは、介助が必要な範囲や量、認知機能の低下です。
要介護2は、日常動作の一部で介助を要します。
例えば、サポートをしてもらえれば自分で立ち上がったり歩けたりする状態の方は、2のレベルに該当しやすいです。
常に見守る必要はありませんが、常に気にかけることは必要です。
自分でできない動作とできる動作を把握し、見守りや介助を適宜行う形でサポートしなくてはなりません。
認知機能の低下は少なく、軽度の物忘れがある程度です。
人によっては認知症の初期症状が見られ、治療を開始するタイミングに差しかかります。
要介護4との違い|介助がなければ生活が困難な状態
要介護4と3の違いは、自分で生活できるかどうかです。
要介護4は、日常動作全般で介助がなければ生活できません。
着替えのみが難しい、歩行のみ介助が必要、といったレベルではない点が、要介護3との大きな違いです。
このような状態から、家族は24時間の介助を覚悟しなくてはなりません。
認知機能の低下が著しい点も3との違いです。
認知症の症状が悪化し、徘徊したり物忘れの症状が強くなったりします。
人によっては、会話が成立しない、失語の症状があるなど意思疎通の困難が見受けられる場合もあります。
要介護3の方が利用できる在宅・訪問サービス
ここでは、要介護3の方が利用できる在宅・訪問サービスを解説します。
自宅や高齢者向け住宅に暮らしながら介護・医療サービスを受けたい方は、参考にしてください。
在宅・訪問サービスとは?
在宅サービスや訪問サービスとは、介護保険を適用して利用できるサービスです。
医療ケアを受けられるものについては、健康保険も適用可能です。
利用するには、要介護認定の申請とケアプラン作成を済ませる必要があります。
ケアプランはケアマネージャーが作成し、担当者会議でサービスを受ける時間と内容を確認しながら決定します。
なお、要介護3認定を受けた方は、以下を利用できるようになります。
- 訪問介護
- 訪問看護
- 訪問リハビリ
- 訪問入浴介護
今回は、ニーズが高い「訪問介護・看護・リハビリ」に絞り、特徴や詳しい利用対象者を解説します。
訪問介護(ホームヘルパー)
訪問介護の特徴やサービス、利用できる対象者について解説します。
介護サービスを検討している方はご覧ください。
【特徴・サービス】
訪問介護は、介護を要する方が一人でも暮らせるように、また家族の負担が少しでも軽くなるようにするために創設されました。
利用者は、身体介護全般、身の回りの世話、外出サポートを受けられます。
<身体介護>
- 入浴・清拭介助
- 食事介助
- 歩行介助
- 移乗介助
- 移動介助
- おむつ交換
- トイレの誘導
- 寝返りのサポート
- 着替えの介助
<身の回りの世話>
- 調理
- 食事の準備
- 洗い物
- 洗濯物
- 洗濯物干し
- 買い物の代行
- 掃除
<外出のサポート>
- 通院の移動サポート
- 選挙会場への移動サポート
- 銀行への移動サポート
- 薬の受け取り
- 衣類の整理
訪問介護で依頼できない内容は、ペットの世話や庭の手入れ、修理など、利用者本人とは無関係のことです。
加えて、同居している家族であっても、要介護認定を受けていなければサービスは受けられません。
<対象者>
利用できる方は、要介護1以上の方で自宅や住宅で暮らしている方です。
施設で暮らしている方や要支援認定の方は利用できません。
訪問看護・リハビリ
訪問看護や訪問リハビリの特徴やサービス、利用できる対象者について解説します。
医療サービスやリハビリテーションの利用を検討している方はご覧ください。
【特徴・サービス】
訪問看護は、医療的ケアを要する方が一人暮らしできるよう、また家族の介護負担を軽減できるように創設されました。
利用者は、一部の身体介助、医療的ケア、ターミナルケア、看取り、リハビリなどのサービスを利用できます。
<身体介助>
- 寝返りサポート
- 食事の介助
- 排泄の介助
- 入浴の介助
<医療ケア>
- バイタルチェック
- 病状の観察
- 服薬管理
- 床ずれの処理
- 看取りケア
- ターミナルケア
<リハビリ>
- 生活動作のリハビリ
- 歩行・着座・起立などの機能のリハビリ
- 摂食時等嚥下のリハビリ
- 言語回復のリハビリ
<そのほか>
- 患者さんや家族へのアドバイス
医療ケアが必要な場合は看護師が訪問し、リハビリが必要であれば基本的に理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が訪問します。
依頼できない内容は、生活の援助や外出サポートです。
これらは介護士が行う内容であるため、対象外となります。
<対象者>
利用できる方は、要介護1以上の方です。
介護保険を適用する場合は、65歳以上もしくは特定疾病を持つ40~64歳の方が対象です。
医療保険を適用する場合は、年齢問わず医師が必要と判断すれば利用できます。
要介護3の方が利用できる通所サービス
通所サービスの特徴やサービス、利用できる対象者について解説します。
施設に通いながら幅広いサービスを受けたい方はご覧ください。
通所サービスとは?
通所サービスとは、いつまでも元気に体を動かせる状態を維持するための訓練施設です。
日帰りで、体を動かすレクリエーションや頭脳を使うレクリエーションに参加したり、食事や入浴をしたりします。
施設によっては、医療ケアとしてバイタルチェックやリハビリ、医療措置を受けることも可能です。
医療・介護・福祉それぞれに特化したサービスや複合しているサービスがあり、個々に合った施設が見つかりやすいでしょう。
デイサービス
デイサービスの特徴やサービス、利用できる対象者について解説します。
日帰り型の介護・訓練サービスの利用を検討している方はご覧ください。
【特徴・サービス】
デイサービスは、介護の観点から健康な身体機能の維持や向上をサポートする通所サービス施設です。
日帰りでレクリエーションや食事、入浴、機能訓練を済ませ、4~9時間で帰宅します。
介護におけるレクリエーションとは、楽しいゲームや遊びを通じてトレーニングを行うものです。
<頭脳レクリエーションの例>
- 都道府県クイズ
- 計算クイズ
- 連想ゲーム
- しりとりゲーム
- 神経衰弱
- 花札 など
<身体レクリエーションの例>
- ペットボトルボーリング
- 棒で打つサッカー
- うちわで風を送る風船バレー
- 輪投げ など
機能訓練では、体操や散歩、ストレッチなどを行い、筋力低下と柔軟性の低下の予防を図ります。
入浴では、介助が必要な方にはサポートをしながら体を洗い、入浴してもらいます。
難しい方には、足浴など別の方法で対応可能です。
施設によっては、自己負担となりますが宿泊が可能なところもあります。
同居家族が一日外出するときにも安心です。
<対象者>
デイサービスは、要介護1以上の認定を受けた65歳以上の高齢者、もしくは特定疾病を持つ40~64歳の方が対象です。
自立を目指す施設であるため、重度の方が基本少なく、軽度~中度の方が多く利用しています。
デイケア
デイケアの特徴やサービス、利用できる対象者について解説します。
リハビリテーションが必要な方はご覧ください。
【特徴・サービス】
デイケアは「通所リハビリステーション」とも呼ばれ、リハビリを受けるための通所サービス施設です。
介護老人保健施設、病院、診療所などに併設されているリハビリ専門の施設に通います。
リハビリは、専門家である理学療法士などが担当し、医師の指示に沿って行われます。
<リハビリの例>
- 床ずれ予防のマッサージ
- 寝返りの訓練
- 歩く訓練
- 座り・立ち上がりの訓練
- 入浴の訓練
- 排泄の訓練
- 着替えの訓練
- 食事・嚥下の訓練
また、リハビリ以外にも入浴介助や身体回復のための栄養指導なども実施されます。
看護師も在籍しており、万が一体調が崩れた場合も適切な措置を受けることが可能です。
リハビリの提供環境は、個別と団体の2通りがあります。
個別リハビリで実施されるプランは、主にマシンを用いたリハビリや工作など手先を使ったリハビリです。
団体リハビリは、複数人で行う体操やレクリエーションによるリハビリです。
デイケアには、適応障害やうつ病、パニック障害などの精神疾患を持つ方のリハビリを行う「精神科デイケア」もあります。
個別に状態を見ながら、復帰や緩和、寛解を目指すプログラムが組まれます。
<対象者>
主治医による診断書や指示書を発行してもらい、なおかつ要支援1以上に認定された65歳以上の高齢者です。
特定疾病を持っている方は、40歳以上から利用できるようになります。
認知症対応型通所介護
認知症対応型通所介護の特徴やサービス、利用できる対象者について解説します。
認知症があると診断された方で、デイサービスの利用を検討している方はご覧ください。
【特徴・サービス】
認知症対応型通所介護は、認知症の方に限定して受け入れているデイサービスです。
通常のデイサービスのように、レクリエーションや食事介助、入浴介助などをしてもらい、時間になったら帰宅します。
12名以下で利用することが定められています。
認知症の方は、引きこもりがちになったり、人との交流を避けたりする傾向があります。
少人数制で多くの人との交流は必要ないため、落ち着いて穏やかに過ごしてもらいやすい環境になっています。
加えて、しっかりと向き合ってもらえる点も、少人数制のメリットです。
通常のデイサービスとは異なり、認知症に精通するスタッフが在籍している点も大きな特徴です。
認知症の方への接し方、症状への理解を深めたスタッフばかりのため、専門的なケアを受けられます。
事業所には種類があります。
- 単独型
- 併設型
- 共用型
単独型は、施設が単体で存在し独立しているタイプです。
併設型は、別のメインとなる福祉施設に設置されているタイプです。
共用型は、グループホームなどの施設の一部を使用して実施されるタイプとなっています。
<対象者>
地域密着型の施設であるため、施設が設置されている地域に住んでいる方が対象となります。
加えて、要介護認定と認知症の診断を受けていることも条件です。
療養通所介護
療養通所介護の特徴やサービス、利用できる対象者について解説します。
医療サービスやリハビリテーション、介護ケアの利用を検討している方はご覧ください。
【特徴・サービス】
療養通所介護は、地域密着型サービスの一つです。
要介護認定を受けているものの、通常のデイサービスの利用は難しいという方でも利用できる施設です。
例えば、末期がんの方や難病(パーキンソン病・神経難病など)、脳梗塞などの脳血管疾患、認知症などの方が利用しています。
介護スタッフに加えて医療ケアを担当する看護師も在籍しており、医療ケアをメインに介護ケアも受けられます。
人員配置を工夫し、手厚いケアを提供できるような仕組みになっている点も大きな魅力です。
<医療ケア>
- バイタルチェック
- リハビリ
- 摘便
- 浣腸
- 服薬管理・指導
- 胃ろう・腸ろう
- 喀痰吸引
- 床ずれの処置
- ケガの処置
<介護ケア>
- 入浴介助
- 清拭・陰部洗浄
- 排泄介助
- 口腔ケア
- 家族への介護の指導
- 付き添い・見守り
基本的には高齢者が利用していますが、施設によっては重度の障害を持つ子どもも受け入れているところがあります。
<対象者>
利用できる方は、医師に常時看護師による付き添いや見守り、医療ケアが必要だと判断された方です。
地域密着型サービスであることから、施設がある地域に住んでいることも条件です。
看護小規模多機能型小規模居宅介護
看護小規模多機能型小規模居宅介護の特徴やサービス、利用できる対象者について解説します。
医療・介護の複合サービスの利用を検討している方はご覧ください。
【特徴・サービス】
看護小規模多機能型居宅介護は、介護と看護ケアを提供する複数のサービスを併用して利用できるサービスです。
提供しているサービスは「訪問サービス」「短期型宿泊サービス」「通所サービス」があります。
<訪問サービス>
訪問看護と訪問介護を提供しています。
訪問看護では、看護師や理学療法士といった福祉職員が医療ケアやリハビリを実施します。
訪問介護では、生活の援助や身体介護、外出サポートを行います。
<短期型宿泊サービス>
ショートステイとも呼ばれています。
短期の宿泊訓練を実施し、自立した生活を実現するための訓練を行っています。
なお、介護者の介護ストレスを軽減するために宿泊を受け入れている点も大きなメリットです。
<通所サービス>
自立した生活を目指すための機能訓練を実施したり、入浴や食事をしたりするデイサービスを利用できます。
介護ストレスの軽減のために利用することも可能です。
<対象者>
要介護1以上の認定を受け、施設がある地域に住んでいる方が利用できます。
医療ケアも受けられますが、常時病院で医療を受けなければならない方は利用できません。
要介護3の方が利用できる入居サービス
ここでは、要介護3の方が利用できる入居サービスを解説します。
一人暮らしに不安を抱えており、施設への入居を考えている方は参考にしてください。
入居サービスとは?
入居サービスとは、自宅で一人暮らしをすることが難しく、また孤独を感じて不安な方が入居できる施設です。
医療ケアや看護ケアを受けながら暮らすことができます。
施設によっては看取りも行っており、生涯暮らせる自宅のように利用できます。
ただ、共同生活で多くの方と一緒に暮らすため、プライバシー保護が自宅と比べると難しい点がデメリットです。
その一方で、多くの方がそばにいるため、増加している高齢者の孤独死を防止でき、安心して暮らせるメリットもあります。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームの特徴やサービス、利用できる対象者について解説します。
入居サービスの利用を検討している方はご覧ください。
【特徴・サービス】
特別養護老人ホームは、常時介助が必要な高齢者が入居できる施設です。
自立した生活が困難な方を受け入れているため、身体介護をメインにサービスを提供しています。
最近では、看取りも行っている施設が多いです。
多くの施設では、身体機能や認知機能の維持・向上を目的としたレクリエーションや、ストレス発散を目的としたレクリエーションも行っています。
部屋のタイプは以下があります。
- 多床室
- 従来型個室
- ユニット型個室的多床室
- ユニット型個室
施設によって異なるため、見学してから入居を決めましょう。
<対象者>
入居できる方は、原則要介護3以上です。
しかし、要介護3未満の方であっても、以下の要件を満たせば入居可能です。
- 認知症の進行により日常生活で頻繁な支障や意思疎通の困難があり、自宅での生活が難しい方
- 知的障がいや精神障がいなどにより、頻繁に行動や意思疎通において支障があり、自宅での生活が難しい方
- 家族などによる深刻な虐待が疑われ、これ以上自宅で暮らすのは避けたほうがいい方
- 家族や親族からのサポートが難しく、また地域での介護サービスでは足らないために自宅での生活が難しい方
なお、上記すべてを満たす必要はありません。
いずれかに該当すれば入居できます。
老人保健施設(介護老人保健施設)
老人保健施設(介護老人保健施設)の特徴やサービス、利用できる対象者について解説します。
どのようなときに利用するのか知りたい方はご覧ください。
【特徴・サービス】
老人保健施設(介護老人保健施設)は、一時的に入居してリハビリを受けるサービスです。
利用タイミングとしては、ケガや病気などにより入院し、退院直後に自宅での生活が困難な場合が挙げられます。
例えば、一人暮らしをしている、同居家族は仕事で普段自宅にいないなどといった場合です。
このような理由から利用を必要としている方が、身体介護や医療ケア、身の回りの世話をしてもらいながら、少しずつリハビリして在宅での暮らしに復帰できるようにするのが役目です。
なお、入居可能期間は原則3~6カ月と決まっています。
<対象者>
利用するには、65歳以上かつ要介護度1以上と認められる必要があります。
加えて、退院してすぐに在宅生活に戻り、自立した生活を送ることが難しいと医師に判断された方が利用できます。
ただし、医療費の負担を施設が行うため、利用費用が高額になりそうな方は断られるケースもあります。
グループホーム
グループホームの特徴やサービス、利用できる対象者について解説します。
認知症を持っており、共同生活を送りながら暮らしたい方はご覧ください。
【特徴・サービス】
グループホームは、認知症を持っている方が協力しながら共同生活を送る施設です。
自立した生活を送れるように支援し、自尊心を保ちながら暮らせる点がメリットです。
介護を受けるだけではなく、自分にできることは全員で協力しながら行い、ともに生活をするのがグループホームならではです。
例えば、調理やお菓子作り、洗濯物を干したり畳んだりといった日常動作です。
これらを行うことで機能訓練も一緒に行えます。
施設のタイプには、民家型、アパート型、ミニ施設型などがあります。
<対象者>
利用できるのは、認知症と診断された方です。
加えて、要介護1以上と認定された高齢者であることも条件に含まれます。
認知症を患っている方であっても、重度の場合は自立支援のサポートができる段階ではないため、入居を断られることもあります。
要介護3と認定されたらできること
もし、要介護3と認定されたら、施設の入居や訪問サービスなどを利用できるだけでなく、福祉用具のレンタルや購入、介護リフォームのための補助金を申請することもできます。
以降で詳しく解説します。
福祉用具のレンタル・購入
ここでは、福祉用具の概要と種類を解説します。
【福祉用具とは?】
福祉用具とは、自宅で生活することを支援するアイテムです。
立ち上がりや歩行を支える手すりや、歩行困難な方の移動を可能にする車椅子などが該当します。
介護保険サービスの一つに福祉用具のレンタル・購入が含まれており、自己負担額1~3割で利用可能です。
利用したい場合は、ケアマネージャーへ相談しましょう。
ケアマネージャーが福祉用具貸与・販売事業所に連絡を取り、担当の福祉用具専門相談員が決まります。
ケアマネージャーと福祉用具専門相談員が連携して計画書を作成し、それに基づいた福祉用具をレンタル・購入させてもらえます。
【福祉用具の種類】
福祉用具には例えば以下の種類があります。
車椅子・車椅子付属品 | 車椅子(自走用・電動補助装置付きを含む) 車椅子(介助用) 車椅子(電動) 座面クッション ヘッドサポート アームサポート |
特殊寝台・特殊寝台付属品 | 特殊寝台 回転盤 マットレス サイドレール スライディングマット スライディングボード |
床ずれ防止装置 | 床ずれ防止用のマットレス |
体位変換器 | 体位変換クッション 体位変換機能があるマットレス 体位変換器(スライディングシート) |
手すり・スロープ | 手すり(据置型) スロープ |
歩行器・歩行補助用具 | シルバーカー 歩行器 歩行車 歩行補助杖 一本杖 など |
移動用リフト | 床走行式 固定式 据置式 階段昇降機 天井走行式リフト 着座補助機構付き座椅子 |
移動用リフトのつり具の部分 | 脚分離型 トイレ型 シート型 |
認知症老人徘徊感知器 | 認知症老人徘徊感知器 |
日常生活用具 | 情報・意思疎通支援用具 自立生活支援用具 |
生活補助用具 | 助聴器(集音器) 拡大鏡 緊急呼出機器 |
入浴補助用具 | シャワーチェア 浴槽用手すり 浴室内すのこ バスボード すべり止めマット |
排泄補助用具 | 尿器 自動排泄処理装置 自動排泄処理装置の交換可能部品 腰掛け便座 |
介護リフォームの補助金適用
ここでは、介護リフォームの概要と補助金適用の要件を解説します。
【介護リフォームとは?】
介護リフォームとは、その名のとおり介護のためのリフォームです。
自宅をきれいにしたり、新しく改築したりすることを目的とするものではありません。
例えば、階段の横にスロープを造ったり、廊下やトイレなどに手すりを取り付けたり、ドアを引き戸に変えたりといった内容が該当します。
補助金を受け取る方法は、介護保険と自治体の制度とで異なります。
<介護保険を利用する場合の申請方法>
- 要介護認定をもらう
- ケアマネージャーに相談する
- 施工会社を見つける
- ケアマネージャーを交えてリフォーム内容を決める
- 契約書を交わして申請書を提出する
- 工事が完了したら再び申請を出す
- 補助金を受け取る
なお、補助金は20万円(自己負担額を含む)までを限度としています。
<自治体の助成制度を利用する場合の申請方法>
- 各自治体によって細やかな要件を公式ホームページで確認する
- 申請期限を確認する
- 要件を満たす場合は、事前申請を行う
- 許可をもらえたら工事を始める
- 支払いの完了後、必ず領収書を受け取る
- 領収書を提出する
- 補助金を受け取る
介護保険の補助金の上限20万円を超えた金額は自己負担となりますが、自治体の助成制度を利用することで費用負担を軽減できます。
【補助金適用の要件】
補助金を用いた介護リフォームを行うには、以下の要件を満たす必要があります。
- 要介護認定もしくは要支援認定を受けていること
- リフォームする住宅に本人が住んでいること
- 本人が入院していないこと
- 初めて利用する方であること
なお、入院中に工事を検討している場合は、退院後に工事を開始したいことを自治体に伝えれば、対応してもらえる場合があります。
要介護3の方が受け取れる支給限度額
要介護3の方は、1カ月あたり270,480円が支給限度額です。
この範囲内であれば、自己負担1~3割でサービスを受けられます。
なお、この限度額を超えたサービス料金は、自己負担で支払うことになります。
まとめ
要介護3の方は、要支援認定の方とは異なり、多くの日常動作で介護士や家族の手を借りなければなりません。
一人暮らしは困難ですが、訪問サービスを利用するのであれば、一人暮らしも不可能ではありません。