要介護3の状態とは?利用できるサービスを詳しく解説!

「要介護3はどのような状態なのか知りたい」「どんなサービスを受けられるのか知りたい」このように思われていませんか?
ご家族や自身が要介護3の認定を受けた場合、これからどうすればいいのか、不安になるかと思います。
そこで今回は、要介護3の状態や要介護2・4との違い、利用できる介護保険サービスをご紹介します。
本記事を読むことで、訪問サービス・通所サービス・入所サービスのカテゴリー別に、施設や各サービス内容、対象者、利用できる福祉補助用具や介護リフォームの補助金について詳しく知ることができます。ぜひ参考にしてください。
要介護度(介護レベル)に関する基礎知識
ご家族やご自身が要介護認定を受ける可能性に直面したとき、まず理解しておきたいのが「要介護度」という言葉です。
介護保険サービスを利用するためには、この要介護度の認定を受ける必要があります。
まずは、その基本的な意味や区分、どのように判定されるのかについて詳しく解説していきます。
要介護度の意味
要介護度とは、日常生活においてどの程度の介護(介助)を必要とするかを客観的に示す指標です。
正式には「要介護状態区分」と呼ばれ、介護の必要性の度合いに応じてカテゴリー分けされています。
この要介護度に基づいて、利用できる介護保険サービスの種類や量、そして月々の支給限度額が決定されます。
要介護度の区分
要介護度は、状態が比較的軽い「要支援」と、より介護の必要性が高い「要介護」の2つに大別されます。
さらに、それぞれの状態に応じて段階が設けられており、合計で7つの区分に分かれています。
要支援の区分は、基本的な日常生活は自身で行えるものの、将来的に要介護状態になることを防ぐための支援が必要な状態です。
- 要支援1:日常生活の一部に若干の支援が必要な状態
- 要支援2:要支援1よりも不安定さが見られ、より支援が必要な状態
要介護の区分は、日常生活の基本的な動作(食事、入浴、排泄など)において、なんらかの介護が必要な状態です。
以下のように、数字が大きくなるほど介護の必要性が高まります。
- 要介護1:日常生活の基本的な動作で、一部介助が必要な状態
- 要介護2:要介護1に加え、基本的な動作全般に介助が必要となる状態
- 要介護3:日常生活の多くの場面で介助が必要となり、自力での立ち上がりや歩行が困難な状態
- 要介護4:介助なしでは日常生活を送ることがほぼ不可能な状態
- 要介護5:もっとも介護の必要性が高く、寝たきりなど、ほぼすべての生活動作に全面的な介助が必要な状態
体に問題がなくても、認知機能の低下、問題行動の有無、意思疎通の困難さによって介護度が認定されるケースもあります。
※2025年9月時点
出典:厚生労働省「介護保険制度における要介護認定の仕組み」
評価項目と判定フロー
要介護の認定は、市区町村が主体となって行います。
認定のプロセスは2段階で構成されており、訪問調査と主治医の意見書、介護認定審査会の判定によって要介護度が決定される仕組みです。
一次判定(コンピューター)
一次判定では、最初に市区町村の認定調査員が訪問し、以下のような心身の状態に関する74項目において基本調査を行います。
- 第1群:身体機能・起居動作(13項目※麻痺は5項目、拘縮は4項目へと細分化)
- 第2群:生活機能(12項目)
- 第3群:認知機能(9項目)
- 第4群:精神・行動障害(15項目)
- 第5群:社会生活への適応(6項目)
- その他:特別な医療(12項目)
この調査結果と、主治医が作成した「主治医意見書」の情報をコンピューターに入力し、「要介護認定等基準時間(介護にかかる時間)」を推計します。
この基準時間は、実際の介護時間ではなく、統計データに基づいた介護の手間を時間に置き換えた指標です。
「要介護認定等基準時間(介護にかかる時間)」は公平性を保つため全国で同じ基準を使用しており、この評価が一次判定の結果とされます。
※2025年9月時点
出典:厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」
二次判定(介護認定審査会)
次に、保健・医療・福祉の専門家で構成される「介護認定審査会」が、一次判定の結果と主治医意見書、認定調査の特記事項について総合的に審査します。
コンピューターによる画一的な判断だけでなく、個々の状況(例:認知症の行動・心理症状など)も加味する必要があるからです。
より実態に即した判定を行う二次判定を経て、最終的な要介護度が決定します。
※2025年9月時点
出典:厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」
要介護3の状態とは?ほかの介護度との違い
ここでは、要介護3と認定を受けた方の状態や、要介護2と4との違い、認定基準を解説します。
要介護3|広範囲で介助が必要な状態
自力で立つ・歩行するのが難しい点が大きな特徴です。
そのため、食事・着替え・排泄・入浴といった日常動作に介助を要します。
24時間にわたって見守る必要があり、要支援とは異なり介護者の負担も高まります。
2024年度に実施された調査によると、要介護3の状態になる原因と割合は以下のとおりです。
| ランク | 1位 | 2位 | 3位 |
| 疾患 | 認知症 | 脳血管疾患(脳卒中) | 骨折・転倒 |
| 割合 | 25.3% | 19.6% | 12.8% |
もっとも多いのは認知症です。
認知症は進行性の脳の疾患で、徐々に認知機能が低下します。
そのため、現在要介護3と認定されていても、最終的には5まで上がることは珍しくありません。
要介護2との違い|介助の範囲が要介護3よりも少ない状態
要介護2と3の違いは、介助が必要な範囲や量、認知機能の低下です。
要介護2は、日常動作の一部で介助を要します。
例えば、サポートをしてもらえれば自分で立ち上がったり歩けたりする状態の方は、2のレベルに該当しやすいです。
常に見守る必要はありませんが、常に気にかけることは必要です。
自分でできない動作とできる動作を把握し、見守りや介助を適宜行う形でサポートしなくてはなりません。
認知機能の低下は少なく、軽度の物忘れがある程度です。
人によっては認知症の初期症状が見られ、治療を開始するタイミングに差しかかります。
要介護4との違い|介助がなければ生活が困難な状態
要介護4と3の違いは、自分で生活できるかどうかです。
要介護4は、日常動作全般で介助がなければ生活できません。
着替えのみが難しい、歩行のみ介助が必要、といったレベルではない点が、要介護3との大きな違いです。
このような状態から、家族は24時間の介助を覚悟しなくてはなりません。
認知機能の低下が著しい点も3との違いです。
認知症の症状が悪化し、徘徊したり物忘れの症状が強くなったりします。
人によっては、会話が成立しない、失語の症状があるなど意思疎通の困難が見受けられる場合もあります。
要介護3の方が利用できる在宅・訪問サービス
ここでは、要介護3の方が利用できる在宅・訪問サービスを解説します。
自宅や高齢者向け住宅に暮らしながら介護・医療サービスを受けたい方は、参考にしてください。
在宅・訪問サービスとは?
在宅サービスや訪問サービスとは、介護保険を適用して利用できるサービスです。
医療ケアを受けられるものについては、健康保険も適用可能です。
利用するには、要介護認定の申請とケアプランの作成を済ませる必要があります。
ケアプランはケアマネジャーが作成し、担当者会議でサービスを受ける時間と内容を確認しながら決定します。
なお、要介護3の認定を受けた方は、以下を利用できるようになります。
- 訪問介護
- 訪問看護
- 訪問リハビリ
- 訪問入浴介護
今回は、ニーズが高い「訪問介護・看護・リハビリ」に絞り、特徴や詳しい利用対象者を解説します。
訪問介護(ホームヘルパー)
訪問介護の特徴やサービス、利用できる対象者について解説します。
介護サービスを検討している方はご覧ください。
特徴・サービス
訪問介護は、介護を要する方が一人でも暮らせるように、また家族の負担が少しでも軽くなるようにするために創設されました。
利用者は、身体介護全般、身の回りの世話、外出サポートを受けられます。
<身体介護>
- 入浴・清拭介助
- 食事介助
- 歩行介助
- 移乗介助
- 移動介助
- おむつ交換
- トイレの誘導
- 寝返りのサポート
- 着替えの介助
<身の回りの世話>
- 調理
- 食事の準備
- 洗い物
- 洗濯物
- 洗濯物干し
- 買い物の代行
- 掃除
<外出のサポート>
- 通院の移動サポート
- 選挙会場への移動サポート
- 銀行への移動サポート
- 薬の受け取り
- 衣類の整理
訪問介護で依頼できない内容は、ペットの世話や庭の手入れ、修理など、利用者本人とは無関係のことです。
加えて、同居している家族であっても、要介護認定を受けていなければサービスは受けられません。
<対象者>
利用できる方は、要介護1以上の方で自宅や住宅で暮らしている方です。
施設で暮らしている方や要支援認定の方は利用できません。
訪問看護・リハビリ
訪問看護や訪問リハビリの特徴やサービス、利用できる対象者について解説します。
医療サービスやリハビリテーションの利用を検討している方はご覧ください。
特徴・サービス
訪問看護は、医療的ケアを要する方が一人暮らしできるよう、また家族の介護負担を軽減できるように創設されました。
利用者は、一部の身体介助、医療的ケア、ターミナルケア、看取り、リハビリなどのサービスを利用できます。
<身体介助>
- 寝返りサポート
- 食事の介助
- 排泄の介助
- 入浴の介助
<医療ケア>
- バイタルチェック
- 病状の観察
- 服薬管理
- 床ずれの処理
- 看取りケア
- ターミナルケア
<リハビリ>
- 生活動作のリハビリ
- 歩行・着座・起立などの機能のリハビリ
- 摂食時等嚥下のリハビリ
- 言語回復のリハビリ
<そのほか>
- 患者さんや家族へのアドバイス
医療ケアが必要な場合は看護師が訪問し、リハビリが必要であれば基本的に理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が訪問します。
依頼できない内容は、生活の援助や外出サポートです。
これらは介護士が行う内容であるため、対象外となります。
<対象者>
利用できる方は、要介護1以上の方です。
介護保険を適用する場合は、65歳以上もしくは特定疾病を持つ40~64歳の方が対象です。
医療保険を適用する場合は、年齢問わず医師が必要と判断すれば利用できます。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の特徴やサービス、利用できる対象者について解説します。
必要なタイミングで、介護と看護を受けられるサービスを検討している方はご覧ください。
特徴・サービス
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、日中の定期的な訪問に加え、急な体調変化や介助が必要になった際に、通報システムを通じて随時対応を依頼できる地域密着型サービスです。
「定期巡回」「随時対応」「随時訪問」「訪問看護」の4つのサービスが一体となっており、それぞれが以下の役割を担いながら利用者を支えます。
- 定期巡回サービス:ケアプランに基づき、1日複数回、定期的に自宅を訪問し、安否確認や排泄介助などの身体介護を行う
- 随時対応サービス: 利用者や家族からの通報(ケアコール)に24時間対応、オペレーターが相談に応じ、必要に応じて訪問の手配を行う
- 随時訪問サービス:通報を受けてヘルパーが緊急で自宅を訪問し、必要なケアを提供
- 訪問看護サービス:主治医の指示に基づき、看護師が必要なタイミングで訪問し、医療的ケアや健康管理を行う
上記のサービスが連携することで、介護と看護の両面から利用者を支えます。
日中・夜間を問わず見守りやケアが必要な要介護3の方にとっても、在宅生活を続ける上での安心感を高められるサービスです。
※2025年9月時点
出典:厚生労働省「定期巡回・随時対応型訪問介護看護の概要」
要介護3の方が利用できる通所サービス
通所サービスの特徴やサービス、利用できる対象者について解説します。
施設に通いながら幅広いサービスを受けたい方はご覧ください。
通所サービスとは?
通所サービスとは、いつまでも元気に体を動かせる状態を維持するための訓練施設です。
日帰りで、体を動かすレクリエーションや頭脳を使うレクリエーションに参加したり、食事や入浴をしたりします。
施設によっては、医療ケアとしてバイタルチェックやリハビリ、医療措置を受けることも可能です。
医療・介護・福祉それぞれに特化したサービスや複合しているサービスがあり、個々に合った施設が見つかりやすいでしょう。
デイサービス
デイサービスの特徴やサービス、利用できる対象者について解説します。
日帰り型の介護・訓練サービスの利用を検討している方はご覧ください。
特徴・サービス
デイサービスは、介護の観点から健康な身体機能の維持や向上をサポートする通所サービス施設です。
日帰りでレクリエーションや食事、入浴、機能訓練を済ませ、4~9時間で帰宅します。
介護におけるレクリエーションとは、楽しいゲームや遊びを通じてトレーニングを行うものです。
<頭脳レクリエーションの例>
- 都道府県クイズ
- 計算クイズ
- 連想ゲーム
- しりとりゲーム
- 神経衰弱
- 花札 など
<身体レクリエーションの例>
- ペットボトルボーリング
- 棒で打つサッカー
- うちわで風を送る風船バレー
- 輪投げ など
機能訓練では、体操や散歩、ストレッチなどを行い、筋力低下と柔軟性の低下の予防を図ります。
入浴では、介助が必要な方にはサポートをしながら体を洗い、入浴してもらいます。
難しい方には、足浴など別の方法で対応可能です。
施設によっては、自己負担となりますが宿泊が可能なところもあります。
同居家族が一日外出するときにも安心です。
<対象者>
デイサービスは、要介護1以上の認定を受けた65歳以上の高齢者、もしくは特定疾病を持つ40~64歳の方が対象です。
自立を目指す施設であるため、重度の方が基本少なく、軽度~中度の方が多く利用しています。
デイケア
デイケアの特徴やサービス、利用できる対象者について解説します。
リハビリテーションが必要な方はご覧ください。
特徴・サービス
デイケアは「通所リハビリステーション」とも呼ばれ、リハビリを受けるための通所サービス施設です。
介護老人保健施設、病院、診療所などに併設されているリハビリ専門の施設に通います。
リハビリは、専門家である理学療法士などが担当し、医師の指示に沿って行われます。
<リハビリの例>
- 床ずれ予防のマッサージ
- 寝返りの訓練
- 歩く訓練
- 座り・立ち上がりの訓練
- 入浴の訓練
- 排泄の訓練
- 着替えの訓練
- 食事・嚥下の訓練
また、リハビリ以外にも入浴介助や身体回復のための栄養指導なども実施されます。
看護師も在籍しており、万が一体調を崩した場合も適切な措置を受けることが可能です。
リハビリの提供環境は、個別と団体の2通りがあります。
個別リハビリで実施されるプランは、主にマシンを用いたリハビリや工作など手先を使ったリハビリです。
団体リハビリは、複数人で行う体操やレクリエーションによるリハビリです。
デイケアには、適応障害やうつ病、パニック障害などの精神疾患を持つ方のリハビリを行う「精神科デイケア」もあります。
個別に状態を見ながら、復帰や緩和、寛解を目指すプログラムが組まれます。
<対象者>
主治医による診断書や指示書を発行してもらい、なおかつ要支援1以上に認定された65歳以上の高齢者です。
特定疾病を持っている方は、40歳以上から利用できるようになります。
認知症対応型通所介護
認知症対応型通所介護の特徴やサービス、利用できる対象者について解説します。
認知症があると診断された方で、デイサービスの利用を検討している方はご覧ください。
特徴・サービス
認知症対応型通所介護は、認知症の方に限定して受け入れているデイサービスです。
通常のデイサービスのように、レクリエーションや食事介助、入浴介助などをしてもらい、時間になったら帰宅します。
12名以下で利用することが定められています。
認知症の方は、引きこもりがちになったり、人との交流を避けたりする傾向があります。
少人数制で多くの人との交流は必要ないため、落ち着いて穏やかに過ごしてもらいやすい環境になっています。
加えて、しっかりと向き合ってもらえる点も、少人数制のメリットです。
通常のデイサービスとは異なり、認知症に精通するスタッフが在籍している点も大きな特徴です。
認知症の方への接し方、症状への理解を深めたスタッフばかりのため、専門的なケアを受けられます。
事業所には種類があります。
- 単独型
- 併設型
- 共用型
単独型は、施設が単体で存在し独立しているタイプです。
併設型は、別のメインとなる福祉施設に設置されているタイプです。
共用型は、グループホームなどの施設の一部を使用して実施されるタイプとなっています。
<対象者>
地域密着型の施設であるため、施設が設置されている地域に住んでいる方が対象となります。
加えて、要介護認定と認知症の診断を受けていることも条件です。
療養通所介護
療養通所介護の特徴やサービス、利用できる対象者について解説します。
医療サービスやリハビリテーション、介護ケアの利用を検討している方はご覧ください。
特徴・サービス
療養通所介護は、地域密着型サービスの一つです。
要介護認定を受けているものの、通常のデイサービスの利用は難しいという方でも利用できる施設です。
例えば、末期がんの方や難病(パーキンソン病・神経難病など)、脳梗塞などの脳血管疾患、認知症などの方が利用しています。
介護スタッフに加えて医療ケアを担当する看護師も在籍しており、医療ケアをメインに介護ケアも受けられます。
人員配置を工夫し、手厚いケアを提供できるような仕組みになっている点も大きな魅力です。
<医療ケア>
- バイタルチェック
- リハビリ
- 摘便
- 浣腸
- 服薬管理・指導
- 胃ろう・腸ろう
- 喀痰吸引
- 床ずれの処置
- ケガの処置
<介護ケア>
- 入浴介助
- 清拭・陰部洗浄
- 排泄介助
- 口腔ケア
- 家族への介護の指導
- 付き添い・見守り
基本的には高齢者が利用していますが、施設によっては重度の障害を持つ子どもも受け入れているところがあります。
<対象者>
利用できる方は、医師に常時看護師による付き添いや見守り、医療ケアが必要だと判断された方です。
地域密着型サービスであることから、施設がある地域に住んでいることも条件です。
看護小規模多機能型居宅介護
看護小規模多機能型居宅介護の特徴やサービス、利用できる対象者について解説します。
医療・介護の複合サービスの利用を検討している方はご覧ください。
特徴・サービス
看護小規模多機能型居宅介護は、介護と看護ケアを提供する複数のサービスを併用して利用できるサービスです。
提供しているサービスは「訪問サービス」「短期型宿泊サービス」「通所サービス」があります。
<訪問サービス>
訪問看護と訪問介護を提供しています。
訪問看護では、看護師や理学療法士といった医療職員が医療ケアやリハビリを実施します。
訪問介護では、生活の援助や身体介護、外出サポートを行います。
<短期型宿泊サービス>
ショートステイとも呼ばれています。
短期の宿泊訓練を実施し、自立した生活を実現するための訓練を行っています。
なお、介護者の介護ストレスを軽減するために宿泊を受け入れている点も大きなメリットです。
<通所サービス>
自立した生活を目指すための機能訓練を実施したり、入浴や食事をしたりするデイサービスを利用できます。
介護ストレスの軽減のために利用することも可能です。
<対象者>
要介護1以上の認定を受け、施設がある地域に住んでいる方が利用できます。
医療ケアも受けられますが、常時病院で医療を受けなければならない方は利用できません。
要介護3の方が利用できる宿泊サービス
要介護3の方が利用できる宿泊サービスについて解説していきます。
ここで紹介する「ショートステイ」は、一般・医療系合わせて約83万人以上(令和5年度)の方が利用しているサービスです。
ご家族が病気や出張、あるいは介護疲れの解消(レスパイト)のために一時的に介護ができない場合などに参考にしてください。
※2025年9月時点
出典:厚生労働省「令和5年度 介護給付費等実態統計の概況」
短期入所生活介護
短期入所生活介護は、一般的に「ショートステイ」と呼ばれるサービスです。
将来的な施設入所を検討している場合の「お試し利用」としても活用できます。
特徴・サービス
特別養護老人ホームやショートステイ専門施設などに短期宿泊し、食事、入浴、排泄といった日常生活上の介護が受けられます。
機能訓練指導員がいる場合は、生活リハビリも受けることが可能です。
宿泊時に利用できる部屋のタイプは施設によって異なりますが、主に以下の種類があります。
- 従来型個室:1人用の個室ですが、食堂やリビングなどの共有スペースは、ほかの利用者と共同で使用
- 多床室:1部屋に2~4つのベッドが設置されている相部屋
- ユニット型個室:全室が個室で、10人程度の少人数グループ(ユニット)ごとに専用の共有リビング・ダイニングが設けられている
利用するにはケアマネジャーを通じた予約が必要ですが、週末や連休は希望が集中しやすいため、早めの相談が求められます。
なお、介護保険で連続利用できる日数は最大30日までと定められており、これを超えると超過分は全額自己負担となるため注意が必要です。
※2025年9月時点
出典:厚生労働省「どんなサービスがあるの? – 短期入所生活介護(ショートステイ)」
短期入所療養介護
「医療ショートステイ」とも呼ばれ、介護老人保健施設や介護医療院など、医療体制が整った施設に短期間入所できるサービスです。
「短期入所生活介護」との大きな違いは、医師の管理のもとで専門的な医療ケアやリハビリテーションが提供される点にあります。
特徴・サービス
医師や看護師、リハビリ専門職が配置されており、日常生活の介護に加えて、医学的な管理下で医療的ケアやリハビリテーションを提供するサービスです。
退院直後で病状がまだ安定せず、自宅での療養に不安がある場合や、在宅で痰の吸引や経管栄養といった医療的ケアが必要な場合に利用されます。
部屋のタイプは短期入所生活介護に近い形態で、個室、多床室、ユニット型個室などが用意されている傾向です。
要介護3の方の中でも、特に医療依存度が高い方にとって、在宅復帰をスムーズに進めるための重要な選択肢といえるでしょう。
※2025年9月時点
出典:厚生労働省「どんなサービスがあるの? – 短期入所療養介護」
要介護3の方が利用できる入所サービス
ここでは、要介護3の方が利用できる入所サービスを解説します。
一人暮らしに不安を抱えており、施設への入所を考えている方は参考にしてください。
入所サービスとは?
入所サービスとは、自宅で一人暮らしをすることが難しく、また孤独を感じて不安な方が入所できる施設です。
医療ケアや看護ケアを受けながら暮らすことができます。
施設によっては看取りも行っており、生涯暮らせる自宅のように利用できます。
ただ、共同生活で多くの方と一緒に暮らすため、プライバシー保護が自宅と比べると難しい点がデメリットです。
その一方で、多くの方がそばにいるため、増加している高齢者の孤独死を防止でき、安心して暮らせるメリットもあります。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームの特徴やサービス、利用できる対象者について解説します。
入所サービスの利用を検討している方はご覧ください。
特徴・サービス
特別養護老人ホームは、常時介助が必要な高齢者が入所できる施設です。
自立した生活が困難な方を受け入れているため、身体介護をメインにサービスを提供しています。
最近では、看取りも行っている施設が多いです。
多くの施設では、身体機能や認知機能の維持・向上を目的としたレクリエーションや、ストレス発散を目的としたレクリエーションも行っています。
部屋のタイプは以下があります。
- 多床室
- 従来型個室
- ユニット型個室的多床室
- ユニット型個室
施設によって異なるため、見学してから入所を決めましょう。
<対象者>
入所できる方は、原則要介護3以上です。
しかし、要介護3未満の方であっても、以下の要件を満たせば入所可能です。
- 認知症の進行により日常生活で頻繁に支障や意思疎通の困難があり、自宅での生活が難しい方
- 知的障がいや精神障がいなどにより、頻繁に行動や意思疎通において支障があり、自宅での生活が難しい方
- 家族などによる深刻な虐待が疑われ、これ以上自宅で暮らすのは避けたほうがいい方
- 家族や親族からのサポートが難しく、また地域での介護サービスでは足りないために自宅での生活が難しい方
なお、上記すべてを満たす必要はありません。
いずれかに該当すれば入所できます。
老人保健施設(介護老人保健施設)
老人保健施設(介護老人保健施設)の特徴やサービス、利用できる対象者について解説します。
どのようなときに利用するのか知りたい方はご覧ください。
特徴・サービス
老人保健施設(介護老人保健施設)は、一時的に入所してリハビリを受けるサービスです。
利用タイミングとしては、ケガや病気などにより入院し、退院直後に自宅での生活が困難な場合が挙げられます。
例えば、一人暮らしをしている、同居家族は仕事で普段自宅にいないなどといった場合です。
このような理由から利用を必要としている方が、身体介護や医療ケア、身の回りの世話をしてもらいながら、少しずつリハビリして在宅での暮らしに復帰できるようにするのが役目です。
なお、入所可能期間は原則3~6カ月と決まっています。
<対象者>
利用するには、65歳以上かつ要介護度1以上と認められる必要があります。
加えて、退院してすぐに在宅生活に戻り、自立した生活を送ることが難しいと医師に判断された方が利用できます。
ただし、医療費の負担を施設が行うため、利用費用が高額になりそうな方は断られるケースもあります。
グループホーム
グループホームの特徴やサービス、利用できる対象者について解説します。
認知症を持っており、共同生活を送りながら暮らしたい方はご覧ください。
特徴・サービス
グループホームは、認知症を持っている方が協力しながら共同生活を送る施設です。
自立した生活を送れるように支援し、自尊心を保ちながら暮らせる点がメリットです。
介護を受けるだけではなく、自分にできることは全員で協力しながら行い、ともに生活をするのがグループホームならではです。
例えば、調理やお菓子作り、洗濯物を干したり畳んだりといった日常動作です。
これらを行うことで機能訓練も一緒に行えます。
施設のタイプには、民家型、アパート型、ミニ施設型などがあります。
<対象者>
利用できるのは、認知症と診断された方です。
加えて、要介護1以上と認定された高齢者であることも条件に含まれます。
認知症を患っている方であっても、重度の場合は自立支援のサポートができる段階ではないため、入所を断られることもあります。
介護医療院・療養型医療施設
介護医療院は、長期的な医療と介護の両方を一体的に提供する施設です。
廃止された医療機関「介護療養型医療施設」の後継として創設された経緯があり、医療ニーズの高い高齢者が、生活の場として安心して暮らせることを目的としています。
喀痰吸引や経管栄養などの医療処置、リハビリ、看取りやターミナルケアまでを一体的に提供するサービスです。
特徴・サービス
介護医療院は、提供する医療のレベルに応じて「Ⅰ型」と「Ⅱ型」に分かれています。
| Ⅰ型介護医療院 | ・重篤な身体疾患を持つ方や、身体合併症のある認知症の方など、より医療依存度が高い方を対象とします。 ・Ⅱ型よりも手厚い医師・看護師の配置が義務付けられており、喀痰吸引や経管栄養などの医療処置に常時対応できる体制が整っています。 |
| Ⅱ型介護医療院 | ・Ⅰ型ほどではないものの、長期的な医療管理が必要な、比較的状態が安定している方を対象とします。 ・介護老人保健施設と同等以上の人員配置基準があり、長期療養を支えながら、状態に応じて看取りにも対応します。 |
同じ介護保険施設である、特別養護老人ホームや介護老人保健施設との違いは以下のとおりです。
| 特別養護老人ホーム との違い | ・特別養護老人ホームが「生活の場」としての役割が強いのに対し、介護医療院は医師や看護師の配置が手厚く、「医療提供の場」としての機能が強化されています。 ・特別養護老人ホームは要介護3以上の方が対象で、介護医療院は医療が必要な要介護1以上の方が対象です。 |
| 介護老人保健施設 との違い | ・介護老人保健施設が「在宅復帰」を目的としたリハビリ中心の施設であるのに対し、介護医療院は長期療養を前提とした「終末期ケア(ターミナルケア)や看取り」までを視野に入れています。 |
※2025年9月時点
出典:厚生労働省「介護医療院とは」
サービス付き高齢者向け住宅(介護型)
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、高齢者が安心して暮らせるように配慮されたバリアフリー構造の賃貸住宅です。
細かな入所条件は施設ごとに異なるので、事前に確認しておく必要があります。
特徴・サービス
サ高住は、提供される介護サービスの形態によって「一般型」と「介護型」に大別されます。
| 一般型 | ・自立度が高い方向けの住まいで、要介護度が上がると退居になるおそれがあります。 ・介護が必要になった場合は、入所者自身が外部の訪問介護やデイサービスといった事業者と個別に契約する必要があります。 |
| 介護型 | ・「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているサ高住です。 ・施設の介護スタッフが、ケアプランに基づき、食事や入浴、排泄の介助といった介護サービスを24時間体制で直接提供します。 ・有料老人ホームに近い形態で、介護度がさらに上がっても入所を継続できます。 |
要介護3の方が検討するのは主に「介護型」です。
介護型のサ高住は「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているため、24時間体制で包括的な介護サービスを受けられます。
また、すべてのサ高住(一般型を含む)には、法律により「安否確認サービス」と「生活相談サービス」の提供が義務付けられています。
| 安否確認サービス | スタッフによる定期的な居室への訪問や、食事提供時の確認、各部屋に設置された緊急通報ボタンによる24時間対応など、入所者の安全を常に見守るサービスです。 |
| 生活相談サービス | 介護や医療に関する相談、役所の手続きの代行、アクティビティの紹介など、入所者が抱えるさまざまな困りごとに対して助言やサポートを行います。 |
有料老人ホームに近い形態で、必要に応じた介護を受けられるのが、サービス付き高齢者向け住宅の特徴です。
※2025年9月時点
出典:厚生労働省「サービス付き高齢者向け住宅について」
サービスを利用するにはケアプランの作成が必要
ここまでさまざまな介護保険サービスを紹介してきましたが、これらを利用するためには「ケアプラン」という計画書が不可欠です。
介護サービス計画書(ケアプラン)とは
ケアプランとは、利用者本人や家族の希望を踏まえ、どのような介護サービスを、いつ、どのくらいの頻度で利用するかを具体的に定めた「介護サービスの利用計画書」です。
ケアプランは、介護の専門家であるケアマネジャー(介護支援専門員)が作成します。
ケアプランがあることで、利用者は計画的かつ効果的にサービスを受けられます。
要介護3のケアプラン作成方法
要介護認定を受けたら、以下の流れでケアプランを作成します。
- 居宅介護支援事業所の選定・契約:ケアプラン作成を依頼する「居宅介護支援事業所」を探し、所属するケアマネジャーと契約します。
- アセスメント(課題分析): ケアマネジャーが自宅を訪問し、利用者本人や家族と面談します。心身の状態、生活環境、どのような生活を送りたいかといった希望を詳しくヒアリングします。
- ケアプラン原案の作成:アセスメントの内容に基づき、ケアマネジャーがサービスの組み合わせを考え、ケアプランの原案を作成します。
- サービス担当者会議:利用者、家族、ケアマネジャー、そして実際にサービスを提供する各事業所の担当者が集まり、ケアプラン原案の内容について検討します。
- ケアプランの交付・同意:内容が確定したら、正式なケアプランが利用者に交付されます。それぞれのサービス業者と契約を結び、サービスの利用が開始されます。
「居宅介護支援事業所」については、地域包括支援センターに相談すれば、事業所のリストを提供してもらえます。
ケアプランは必要に応じて見直される
ケアプランは一度作成したら終わりではありません。
ケアマネジャーが定期的に利用状況を確認(モニタリング)し、以下のような状況が発生すれば、その都度プランの見直しを行います。
- ケアプランに組み込んだサービスに過不足があった場合
- 利用者の心身の状態に変化があった場合
- 家族の介護力が変化した場合
- 新たなニーズが生まれた場合
- 要介護度の認定区分が変更になった場合
各サービスの一時的な利用回数の増減や、実施日の曜日変更などは、ケアプランの見直し事項には含まれません。
ケアプランが必要に応じて見直されることで、利用者は常に最適なサービスを受け続けられます。
要介護3と認定されたらできること
もし、要介護3と認定されたら、施設の入所や訪問サービスなどを利用できるだけでなく、福祉用具のレンタルや購入、介護リフォームのための補助金を申請することもできます。
以降で詳しく解説します。
福祉用具のレンタル・購入
ここでは、福祉用具の概要と種類を解説します。
福祉用具とは?
福祉用具とは、自宅で生活することを支援するアイテムです。
立ち上がりや歩行を支える手すりや、歩行困難な方の移動を可能にする車椅子などが該当します。
介護保険サービスの一つに福祉用具のレンタル・購入が含まれており、自己負担額は1~3割で利用可能です。
利用したい場合は、ケアマネジャーへ相談しましょう。
ケアマネジャーが福祉用具貸与・販売事業所に連絡を取り、担当の福祉用具専門相談員が決まります。
ケアマネジャーと福祉用具専門相談員が連携して計画書を作成し、それに基づいた福祉用具をレンタル・購入させてもらえます。
福祉用具の種類
福祉用具には例えば以下の種類があります。
| 車椅子・車椅子付属品 | 車椅子(自走用・電動補助装置付きを含む) 車椅子(介助用) 車椅子(電動) 座面クッション ヘッドサポート アームサポート |
| 特殊寝台・特殊寝台付属品 | 特殊寝台 回転盤 マットレス サイドレール スライディングマット スライディングボード |
| 床ずれ防止装置 | 床ずれ防止用のマットレス |
| 体位変換器 | 体位変換クッション 体位変換機能があるマットレス 体位変換器(スライディングシート) |
| 手すり・スロープ | 手すり(据置型) スロープ |
| 歩行器・歩行補助用具 | シルバーカー 歩行器 歩行車 歩行補助杖 一本杖 など |
| 移動用リフト | 床走行式 固定式 据置式 階段昇降機 天井走行式リフト 着座補助機構付き座椅子 |
| 移動用リフトのつり具の部分 | 脚分離型 トイレ型 シート型 |
| 認知症老人徘徊感知器 | 認知症老人徘徊感知器 |
| 日常生活用具 | 情報・意思疎通支援用具 自立生活支援用具 |
| 生活補助用具 | 助聴器(集音器) 拡大鏡 緊急呼出機器 |
| 入浴補助用具 | シャワーチェア 浴槽用手すり 浴室内すのこ バスボード すべり止めマット |
| 排泄補助用具 | 尿器 自動排泄処理装置 自動排泄処理装置の交換可能部品 腰掛け便座 |
介護リフォームの補助金適用
ここでは、介護リフォームの概要と補助金適用の要件を解説します。
介護リフォームとは?
介護リフォームとは、その名のとおり介護のためのリフォームです。
自宅をきれいにしたり、新しく改築したりすることを目的とするものではありません。
例えば、階段の横にスロープを造ったり、廊下やトイレなどに手すりを取り付けたり、ドアを引き戸に変えたりといった内容が該当します。
補助金を受け取る方法は、介護保険と自治体の制度とで異なります。
<介護保険を利用する場合の申請方法>
- 要介護認定をもらう
- ケアマネジャーに相談する
- 施工会社を見つける
- ケアマネジャーを交えてリフォーム内容を決める
- 契約書を交わして申請書を提出する
- 工事が完了したら再び申請を出す
- 補助金を受け取る
なお、補助金は20万円(自己負担額を含む)までを限度としています。
<自治体の助成制度を利用する場合の申請方法>
- 各自治体によって細やかな要件を公式ホームページで確認する
- 申請期限を確認する
- 要件を満たす場合は、事前申請を行う
- 許可をもらえたら工事を始める
- 支払いの完了後、必ず領収書を受け取る
- 領収書を提出する
- 補助金を受け取る
介護保険の補助金の上限20万円を超えた金額は自己負担となりますが、自治体の助成制度を利用することで費用負担を軽減できます。
補助金適用の要件
補助金を用いた介護リフォームを行うには、以下の要件を満たす必要があります。
- 要介護認定もしくは要支援認定を受けていること
- リフォームする住宅に本人が住んでいること
- 本人が入院していないこと
- 初めて利用する方であること
なお、入院中に工事を検討している場合は、退院後に工事を開始したいことを自治体に伝えれば、対応してもらえる場合があります。
要介護3の方が受け取れる支給限度額と軽減制度
介護保険サービスは手厚いですが、費用負担も気になるところです。
ここからは、月々の利用上限額と、負担を軽減するための制度について解説します。
要介護3の月額支給限度額
介護保険で利用できるサービスには、要介護度ごとに1カ月あたりの上限額(支給限度額)が定められています。
要介護3の場合、支給限度額は27,048単位/月となり、1単位あたりの単価が10円であれば月額270,480円です。
この範囲内でサービスを利用した場合、自己負担は所得に応じて1~3割となります。
限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた分が全額自己負担となるため注意が必要です。
なお、1単位あたりの単価は地域によって多少異なるため、介護保険を利用する際は事前に確認しておきましょう。
※2025年9月時点
出典:厚生労働省「サービスにかかる利用料」
高額介護サービス費
高額介護サービス費は、1カ月に支払った介護保険サービスの自己負担額が、所得に応じて定められた上限額を超えた場合に、その超えた分が払い戻される制度です。
自己負担は所得に応じて1~3割と定められていますが、多数のサービスを利用することで介護費の負担が大きくなってしまうケースもあります。
高額介護サービス費の申請を行えば、上限額を超えた場合にも、利用者の負担を軽減することが可能です。
対象となるサービス
高額介護サービス費の対象となるのは介護保険が適用されるサービスの自己負担分で、「在宅・訪問サービス」「介護施設サービス」「地域密着型サービス」が含まれます。
ただし、福祉用具購入費や住宅改修費の自己負担分、施設での食費・居住費、日常生活費などは対象外です。
還付の対象者と負担限度額
還付の対象者と負担限度額は以下のとおりで、世帯の所得状況によって自己負担の上限額が異なります。
| 所得区分(対象者) | 負担の上限額(月額) |
| 課税所得690万円以上 (年収約1,160万円以上) | 140,100円(世帯) |
| 課税所得380万円以上690万円未満 (年収約770万円以上1,160万円未満) | 93,000円(世帯) |
| 市町村民税課税世帯~課税所得380万円未満 (年収約383万円以上770万円未満) | 44,400円(世帯) |
| 世帯の全員が市町村民税非課税 | 24,600円(世帯) |
| 世帯の全員が市町村民税非課税 かつ以下のいずれかに該当 ・合計所得金額+課税年金収入額が80万円以下 ・老齢福祉年金受給者 | 24,600円(世帯) 15,000円(個人) |
| 生活保護を受給している方 ・利用者負担を15,000円に減額することで生活保護の受給者とならない場合 | 15,000円(個人・世帯) |
※2025年9月時点
出典:厚生労働省「高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」
高額介護合算療養費制度
高額介護合算療養費制度は、1年間の「医療保険」と「介護保険」の両方の自己負担額を合算し、世帯の年間上限額を超えた場合に、その超えた分が払い戻される制度です。
医療保険から「高額介護合算療養費」、介護保険から「高額医療合算介護サービス費」として支給されます。
毎年8月1日から翌年7月31日までを計算期間とします。
還付の対象者
同一世帯内で、医療保険と介護保険の両方に自己負担額がある世帯が対象です。
負担限度額と還付例
年間の負担上限額は、年齢や所得によって異なります。
| 年齢・所得区分(70歳~74歳の場合) | 年間上限額 |
| 690万円以上 (年収約1,160万円以上) | 212万円 |
| 380万円以上690万円未満 (年収約770万~約1,160万円) | 141万円 |
| 145万円以上380万円未満 (年収約370万~約770万円) | 67万円 |
| 145万円未満 (~年収約370万円) | 56万円 |
| 住民税非課税世帯 | 31万円 |
| 住民税非課税(収入80万円以下等) | 19万円 |
【還付例】70歳以上(~年収約370万円)の夫婦世帯で、年間医療費の自己負担が40万円、年間介護費の自己負担が25万円だった場合は以下のとおりです。
世帯の自己負担を合算:400,000円+250,000円=650,000円
上限額との差額を計算:650,000円−560,000円(年間上限額)=90,000円
この場合、90,000円が医療保険と介護保険の比率に応じて、それぞれ払い戻されます。
※2025年9月時点
出典:厚生労働省「サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説」
まとめ
要介護3の方は、要支援認定の方とは異なり、多くの日常動作で介護士や家族の手を借りなければなりません。
一人暮らしは困難ですが、訪問サービスを利用するのであれば、一人暮らしも不可能ではありません。





