【介護コラム】ALS(コイツ)と戦うー第6話ー

——————————— 
介護ヘルパーとALSを発症した医師との実話
———————————

Sさんのケアに与えられている時間は90分。
その中で全ての工程を滞りなく行えるようになるまで、およそ1ヶ月を要した。手順の把握・コミュニケーション・身体介助の技術一つ一つを乗り越えるたびに自分の伸び代に気付かされ、成長を実感することができた。
心身ともにゆとりを持ってケアができるようになって1年が経過した頃、新規事業所の立ち上げに参画することになった。

新しい土地でこれまで培ってきたものがどの程度通用するのか試せるチャンスだと前向きに思う一方、彼のケアを引き継げるだろうかという不安が頭をもたげた。

この難しいケアを引き継いでくれたのは同僚のN。人柄も技術も、そして何よりもケアが好きという情熱が、私の不安を和らげてくれた。しかし、Sさんのケアは手強い。手引き歩行や身体介助など、今までの介護経験でしみついた癖がケアをさらに難しくさせる。互いの空き時間を利用して繰り返しケアのシミュレーションを行い、丸1ヶ月の同行を経て引き継ぎは行われた。

つづく

CURATOR
コラム著者/佐近健之 (介護支援専門員・介護福祉士・社会福祉士)
東京都出身。介護現場経験を経て、現在は介護人材の教育を担当しています。
音楽好きのビール党です。
Illustrator/エム・コウノ
千葉在住。デイサービススタッフとして勤務しています。
休日はイラスト、マンガ描いてます。似顔絵などイラストのご相談承ります!