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サ責の給料は手取りでいくら?仕事内容や手当の相場を解説

サ責の給料は手取りでいくら?仕事内容や手当の相場を解説

サ責とは、訪問介護サービスを提供する事業所において、介護サービスの管理や調整を担う重要な役割を持つ職種です。

では、サ責として働く場合、どの程度の給与が見込めるのでしょうか。

本記事では、サ責の平均年収や手取りの目安といった給与相場について詳しく解説します。

さらに、給料をアップさせるための具体的な方法についてもご紹介していますので、サ責を目指す方はぜひ参考にしてください。

サ責に関する基礎知識

サ責になるためには、どのような資格が必要なのでしょうか。

資格要件や主な仕事内容など、サ責として働くために必要な基礎知識を解説します。

サ責とは

 

サ責とは、サービス提供責任者の略称で、訪問介護サービスを提供する事業所の責任者のことです。

ヘルパー(訪問介護員)とケアマネジャー(介護支援専門員)の取りまとめやサポートを行い、利用者に質の高いサービスを提供する役割を持っています。

訪問介護事業所では、常勤のサ責を1人以上配置しなければなりません。

事業所の人手が不足している場合は、ヘルパーとして介護サービスを提供するケースもあります。

サ責として実務経験を積んだ後は、事業者の管理者になったり、独立して事業所を立ち上げたりすることも可能です。

サ責になるには

 

そもそも、サービス提供責任者という資格は存在しません。

サ責は役職名です。

訪問介護事業所でサ責として働くためには、資格要件のいずれかを満たす必要があります。

 

【資格要件】

厚生労働省が定めている、サービス提供責任者の資格要件は、次のとおりです。

  • 介護福祉士
  • 実務者研修修了者
  • 旧介護職員基礎研修修了者
  • 旧ホームヘルパー1級課程修了者
  • 3年以上介護等の業務に従事した介護職員初任者研修課程修了者

 

サービス提供責任者として働くためには資格要件が設けられていますが、施設によっては受講が必要な研修があります。

たとえば同行援護のサービス提供責任者として働けるのは、同行援護従業者養成研修の一般課程修了者及び応用課程修了者です。

また、行動援護のサービス提供責任者として働けるのは、実務3年と行動援護従業者養成研修課程修了者になります。

参照:厚生労働省「訪問介護におけるサービス提供責任者について

参照:厚生労働省「 同行援護のサービス提供責任者の資格要件の改正について

サ責の仕事内容

 

サ責が担当する仕事は、次のとおりです。

  • ヘルパーのマネジメント
  • 訪問介護計画書の作成
  • 利用者や家族との面談
  • 訪問介護業務

 

仕事の内容を、詳しくチェックしていきましょう。

 

【ヘルパーのマネジメント】

サ責は介護の専門家として、ヘルパーに介護サービスの技術指導を行なったり、ヘルパーの能力を把握したりして、適切な人員を配置するマネジメントを行います。

ヘルパーの育成に加えて、シフト作成や調整に関わることも多いです。

 

【訪問介護計画書の作成】

ケアマネジャーが考えたケアプランを参考にしながら、訪問介護計画書を作成します。

訪問介護計画書の作成は、利用者に提供する介護サービスを確定する作業です。

作成後は、計画書に基づいてモニタリングを行います。

 

【利用者や家族との面談】

適切な訪問介護計画書を作成するために行うのが、利用者や家族との面談です。

サ責は自宅を訪問した際に生活環境の確認を行い、利用者を安全に介助するための方法も考案します。

 

【訪問介護業務】

ヘルパーが欠勤した場合や、訪問介護の事業所が人手不足の場合は、サ責が利用者の自宅を訪問して、介護サービスを提供します。

サ責の平均給料

サ責はどのくらい給料がもらえるのでしょうか。

平均年収や、手取りの目安、給与相場を紹介します。

全体の平均年収

 

サ責として働く方は全国におよそ53万人いますが、全体の平均年収は429万6000円です。

平均年収は、年齢によって大きく異なります。

サ責の年齢別の平均年収は、次のとおりです。

年齢平均年収
25〜29歳338万4100円
30〜34歳434万1200円
35〜39歳423万2500円
40〜44歳427万9300円
45〜49歳460万6600円
50〜54歳444万5300円
55〜59歳441万9800円
60歳以上398万5100円

 

サ責の年収は40代後半で、ピークの約460万円に達することがわかります。

50代以降も年収が400万円台をキープしているので、安定した収入を得ることができる職業であると言えるでしょう。

参照:厚生労働省「 職業情報提供サイト

手取りの目安

 

サ責の平均年収は約430万円のため、所得税や住民税、社会保険料などが差し引かれた手取りの目安は、約335万円になります。

月収の手取り額の目安は、約27万円です。

手取りの金額は、所得控除や扶養家族の有無によって変動します。

平均ボーナス

 

サ責の一時金の平均金額は6万3030円のため、 年間賞与額で換算すると、約75万円のボーナスを受け取っていることになります。

また、ボーナスは夏と冬の2回支給されるケースが多いので、ボーナス1回あたりの支給額は、約37万円です。

福祉・介護職員の年間賞与額は約67万円のため、サ責は多くのボーナスが支給される傾向にあると言えます。

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果

手当の種類と平均額

 

サ責の平均手当金額は、月9万1940円です。

そのうち、毎月決まって支給される手当の金額は6万7950円になります。

サ責が受け取れる可能性がある手当の種類は、次のとおりです。

  • 職務手当
  • 処遇改善手当
  • 通勤手当
  • 家族手当
  • 時間外手当(早朝、深夜、休日等)
  • 資格手当
  • 役職手当
  • 住宅手当

 

手当の種類は、事業所によって異なります。

手当が多ければ月給が多くもらえるので、どのような手当があるのかを事前に調べておきましょう。

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果

給料相場

 

サ責の給料相場は、雇用形態や経験年数によって異なります。

カテゴリー別に、給料相場を確認していきましょう。

 

【雇用形態別】

サ責の雇用形態別の給料相場は、次のとおりです。

雇用形態平均月給
全体25万1115円
有期雇用23万6575円
無期雇用25万3715円

 

派遣社員や契約社員などの有期雇用の場合は平均月給が約23万円なのに対し、正社員などの無期雇用は約25万円と、約2万円高いことがわかります。

また、パートやアルバイトとして働く場合の平均時給は、1248円です。

参照:介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査結果

 

【経験年数別】

サ責の経験年数別の給料相場は、次のとおりです。

経験年数平均月給
0年27万8600円
1〜4年26万7000円
5〜9年28万4500円
10〜14年28万400円
15年以上30万2900円

 

経験年齢は、長くなるほど給料が高くなる傾向にあります。

0年目と15年以上の月給の差は3万円です。

参照:厚生労働省「 職業情報提供サイト

サ責と他の障害福祉サービスの平均給与額を比較

 

サ責の給料は低いのでしょうか。

サ責と、他の障害福祉サービスの平均給与額を比較します。

職種平均給与額
サービス管理責任者31万8460円
福祉・介護職員25万3710円
看護職員30万5730円
理学療法士・作業療法士30万2910円
機能訓練担当職員28万5430円
心理指導担当職員31万7620円
管理栄養士・栄養士27万5470円
調理員22万8430円
事務員26万9800円

 

サ責の平均給与額は約31万円で、他の障害福祉サービスの職種と比較しても高いです。

福祉・介護職員、事務員、調理員は給与が低い傾向にあります。

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果

サ責とケアマネジャーの給料や仕事内容の違い

サ責とケアマネジャーは、業務でかかわることが多い仕事です。

給料や、仕事内容の違いについて解説します。

給料

 

サ責とケアマネジャーの給料には、以下のような違いがあります。

職種基本給手当一時金平均給与額
サービス管理責任者25万510円9万1940円6万3030円40万5480円
ケアマネジャー22万4280円9万5700円5万5430円37万5410円

 

サ責は基本給と一時金が、ケアマネジャーよりも高いです。

ケアマネジャーは手当がサ責を上回っていますが、平均給与額はサ責よりも約3万円ほど低くなっています。

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果

参照:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果

仕事内容・働く場所・配置基準

 

サ責はヘルパーやケアマネジャーのサポート業務が中心ですが、ケアマネジャーは要介護者や要支援者のケアプランを作成するのがメインの仕事です。

居宅サービス事業者との連絡調整や、入所が必要な場合に介護保険施設への紹介を行なっています。

サ責は主に訪問介護事業所で働きますが、ケアマネジャーが働く施設はさまざまです。

  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設、
  • 特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム)
  • 認知症対応型共同生活介護
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 複合型サービス

 

また、サ責の配置基準は、利用者40人につき1人になります。

ケアマネジャーの配置基準は、利用者44人に対し、常勤者が1人以上です。

参照:厚生労働省:「介護支援専門員(ケアマネジャー)

資格要件

 

サービス管理責任者という資格は存在しませんが、ケアマネジャーには、介護支援専門員という資格が存在します。

介護支援専門員を取得するための要件は、次のとおりです。

  • 保健医療福祉分野での実務経験が5年以上(医師、看護師、社会福祉士、介護福祉士等)
  • 介護支援専門員実務研修受講試験に合格する
  • 介護支援専門員実務研修の課程を修了

 

要件をすべて満たすことができれば、介護支援専門員証の交付が受けられます。

参照:厚生労働省:「介護支援専門員(ケアマネジャー)

サ責の給料をアップさせる方法

介護系の職種の中でも、サ責は給料が高いです。

ここでは、サ責の給料を、さらにアップさせる方法について解説します。

同じ事業所に長く勤める

 

同一の事業所に長期間勤めると、年々基本給や手当の金額が増えていきます。

勤続年数が長くなるほど、平均月給が高くなるのが一般的です。

同じ職場で働き続けるメリットは、給料がアップすることだけではありません。

長く働き続けることで、周囲の信頼を獲得できます。

サ責として実務経験を積むことで、管理者や独立開業などのステップアップも目指せるでしょう。

管理者かヘルパーを兼務する

 

指定訪問介護の提供に支障がない場合は、サ責として訪問介護事業所で働きながら、管理者かヘルパーとして働くこともできます。

兼務をすることで、職務手当や処遇改善手当の支給を受けられる可能性が高いです。

ただし、管理者とヘルパー、サ責の3つを兼務することはできません。

同一の施設内であっても、兼務できない仕事もあるので注意してください。

兼務は大変だと思われがちですが、キャリアアップやスキルアップにつなげることができます。

資格を取得する

 

保有資格があると、給料の面でも有利に働きます。

保有資格別の福祉・介護職員の平均給与額は、次のとおりです。

保有資格平均給与額
なし30万7980円
介護福祉士35万6460円
社会福祉士38万2370円
精神保健福祉士37万1260円
認定特定行為業務従事者37万9110円

 

資格なしの場合よりも、資格ありの方が給料が5〜8万円高いことがわかります。

資格を取得すれば、事業所によっては資格手当がもらえる可能性があるでしょう。

参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果

上司に相談する

 

給料を上げたい場合は、上司に直接相談したり、交渉したりするのも有効な手段の一つになります。

給料のことは相談しにくいと考える方も多いですが、モヤモヤを抱えたまま働き続けるのはナンセンスです。

信頼関係が構築できている上司に、具体的な金額を伝えてみましょう。

好条件の職場へ転職する

 

今勤めている職場より、基本給や手当、一時金(ボーナス)が多い職場に転職できれば、短期間で給料を増やすことができます。

努力が給料に反映されない場合や、仕事量が給料に見合っていない場合は、好条件で働ける職場への転職を検討しましょう。

サ責になるメリット

サービス管理責任者として働くメリットは、次のとおりです。

  • 正社員の求人が多い
  • キャリアアップになる
  • 身体的な負担が少ない
  • 理想の介護サービスを提供できる

 

給料が高いだけではない、サ責のメリットを解説します。

正社員の求人が多い

 

訪問介護事業所は厚生労働省により、サ責の配置基準を定められているため、常勤の正社員を募集している求人が多いです。

安定して働きたい方に向いています。

急速に高齢化が進む日本社会では、今後も訪問介護の需要が高まっていく可能性が高いです。

利用者が増えると、サ責の増員が必要になります。

今後も求人が増えることが予想されるので、自分に合う職場をじっくり選ぶことができるでしょう。

キャリアアップになる

 

サ責はケアマネジャーやヘルパーと意見や情報を交換する機会が多いので、介護の専門知識やスキルを身につけることができます。

さらに、マネジメント能力やコミュニケーション能力を向上させることも可能です。

人と人との触れ合いが非常に多いため、人間としての魅力を高めることができるでしょう。

サ責としての実務経験が長くなれば、施設の管理者や、事務所長に昇進できる可能性もあります。

自ら訪問介護事業所を開業させることも、夢ではないでしょう。

身体的な負担が少ない

 

ヘルパーが欠勤した場合や、人手不足の場合は訪問介護業務に携わることがありますが、一般的な介護職よりも身体的な負担は少ないです。

ある程度年齢を重ねても、無理なく仕事を続けていくことができます。

また、訪問介護事業所なので、昼間の業務がメインになります。

夜勤がないというのも、大きなメリットになるでしょう。

理想の介護サービスを提供できる

 

サ責は介護を必要とする利用者の、ニーズに合った介護サービスを提供できるやりがいのある仕事です。

利用者の生活を豊かにするために介護計画を作成したり、ヘルパーの人材育成に携わったりすることで、社会貢献と合わせて、自分自身の成長も促すことができるでしょう。

まとめ

今回は、サ責の平均年収や手取りの目安、給与相場を紹介しました。

サ責は福祉や介護系の職種の中でも、給料が高い傾向にあります。

どの年代でも給料の水準が高いので、比較的安定した収入を得ることができるでしょう。

サービス提供責任者という資格はありませんが、サ責として働くためには資格要件を満たすことが必要です。

給料の高さに目が行きがちですが、求人数が多くて好条件の職場を見つけやすいこと、社会貢献ができるなどのメリットもあります。

サ責としての実務経験を積んで、キャリアアップを目指しましょう。