【介護コラム】ALS(コイツ)と戦うー第7話ー

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介護ヘルパーとALSを発症した医師との実話
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介護は、自分ひとりが頑張ればいいものではない。Sさんの場合、本人、奥さん、そしてヘルパーの仲間の協力がなければ成り立たない。彼が自分以外のヘルパーのケアを安心して受けている姿を見て、安堵と同時に悔しさにも寂しさにも似た感情がこみ上げていた。
「主人の難しい介護にこんなにも早く慣れてくれたのはあなたが初めてだった。さみしくなるけど、これからもがんばってね」と自分がやってきたケアは間違っていなかったと奥さんに背中を押され異動の日をむかえた。
異動後も、時々Nからは、奥さんが体調を崩しケアが増回したこと、ADLが落ちてきていることなど、彼の近況について連絡がありケアに入っていた時のことを思い出していた。
1年以上が経ち、新しい事業所も肌になじんできたころNが怪我でSさんのケアに入れないため、応援に来てほしいと連絡入った。あの難しいケアに1年以上のブランク、低下しているADL、不安と再会の嬉しさで混乱した。
Nから現在の状況を確認し、動けないNに代わってぶっつけ本番で私がケアを行うことになった。
つづく