menu

高齢者の脱水症状のサインとは?予防や対処法についても解説!

高齢者の脱水症状のサインとは?予防や対処法についても解説!

高齢者にとって、脱水症状は見逃しがちな健康リスクの一つです。

体の水分バランスが崩れると、体調不良や深刻な疾患を引き起こす可能性があります。

本記事では、高齢者が脱水症状に陥る原因やその兆候、予防方法について詳しく解説します。

家族や介護者の方が日常的に注意すべきポイントを、理解しておきましょう。

高齢者が脱水症状になる原因

高齢者が脱水症状になるのは、加齢による体の変化や生活習慣の影響が大きく関係しています。

体内の水分量が減少しやすいことや、喉の渇きを感じにくくなることで、水分補給が不足しがちになります。

また、薬の副作用や認知機能の低下、運動能力の衰えなども原因の一つです。

ここでは、主な4つの原因について詳しく解説していきます。

体内の水分量減少

 

高齢者は加齢により、体内の水分量が若い人に比べて少なくなっています。

成人の体の約60%が水分で構成されていますが、高齢者になるとその割合が50%前後にまで下がることもあります。

そのため、わずかな水分の喪失でも体調に影響が出やすくなるため注意が必要です。

また、加齢により腎機能も低下し、体内の水分を効率よく保持できなくなるため、より脱水症状に陥りやすくなります。

気温や湿度が高くない日でも、こまめな水分補給が必要です。

服薬による利尿作用

 

服用している薬が原因で、知らないうちに脱水を引き起こしているかもしれません。

高血圧や心臓病、腎臓病といった慢性疾患を持つ高齢者の中には、利尿剤や降圧薬を継続的に服用している方が多く見られます。

これらの薬には、体内の余分な水分を排出する働きがあります。

しかし、薬の作用により必要な水分まで排出されてしまうと、本人が喉の渇きを感じないまま水分不足に陥るケースも少なくありません。

認知機能が低下

 

認知機能が低下すると、自分の喉の渇きに気づきにくくなったり、水分補給の必要性を理解できなくなったり、水やお茶の場所が分からなくなったり、飲み方が分からなくなったりするケースもあります。

さらに「トイレが面倒だから飲まない」「たくさん飲むと漏らしてしまう」といった考えになりがちで、知らず知らずのうちに脱水症状が進行することも少なくありません。

認知症の初期段階ではこうした変化が見過ごされやすいため、周囲が声かけをして水分摂取をサポートすることが重要です。

運動機能が低下

 

高齢になると筋力や関節の柔軟性が衰え、歩行や立ち上がりが困難になることがあります。

こうした運動機能の低下により、キッチンや冷蔵庫、トイレなどへ移動するのが億劫になり、水分補給の頻度も減ってしまいがちです。

また、ベッドでの生活時間が長くなると喉の渇きにも気づきにくくなり、さらに脱水が進行しやすくなります。

体の動きに制限がある方には手元に飲み物を置いたり、ストロー付きの容器を使ったりする工夫が必要です。

脱水症状の危険性について

高齢者が脱水症状になると、ただの水分不足にとどまらず、命に関わる重大な健康リスクに発展するおそれがあります。

日常生活の質を大きく損なう原因となるため、早めの対処と予防が重要です。

ここでは脱水症状の危険性について解説します。

筋力の低下

 

高齢者が脱水症状になると、体内の水分とともに電解質も不足し、筋肉の働きが低下してしまいます。

これにより、歩行が不安定になったり転倒しやすくなったりと、日常生活に支障をきたすリスクが高まるため気を付けましょう。

特に高齢者はもともと筋力が低下しやすいため、わずかな脱水でも筋肉への影響が大きく出ることがあります。

また、筋力が低下すると体力の消耗も早くなり疲れやすくなるため、活動量が減少してさらに筋力が落ちるという悪循環にもなりかねません。

熱中症

 

高齢者が脱水症状になると体温調節がうまくいかなくなり、熱中症のリスクが高まります。

脱水状態では汗をかきにくく、体温を下げることが難しくなるので、特に気温や湿度が高くなる夏場には、熱中症にかかる危険性が非常に高いです。

熱中症の初期症状には、頭痛やめまい、立ちくらみ、体がだるいといった体調不良が現れます。

進行すると吐き気や意識の混濁、さらには痙攣などの重篤な症状を引き起こし、命に関わる場合もあります。

脳梗塞・心筋梗塞

 

脱水症状が進行すると血液の濃度が高まるため、血流が悪化したり血管が詰まりやすくなったりします。

その結果、脳や心臓への血流が不足し、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まります。

高齢者は血管自体が老化しているため、血液の循環がさらに悪くなりやすく、脱水をきっかけにこれらの重篤な疾患を引き起こすかもしれません。

特に脱水によって血圧が低下すると、脳や心臓への血流がさらに減少し、酸素不足を招くおそれがあります。

重度の場合は後遺症が残るおそれがあるほか、命に関わる危険もあるため注意が必要です。

せん妄

 

脱水症状は、せん妄を引き起こす原因となることがあります。

特に高齢者は、体液の不足が脳に影響を与え、混乱や意識障害を引き起こすことがあります。

せん妄は短期間で意識がぼんやりとし、周囲の状況を理解できなくなる状態で、特に夜間に症状が悪化することが多いです。

脱水によって血圧が低下すると、脳への血流が減少し、せん妄の症状がさらに悪化します。

せん妄は認知症の症状と間違われることがありますが、脱水が原因である場合、適切な水分補給を行うことで回復することが多いとされています。

しかし、脱水が原因であることが発見されにくいこともあるため、注意が必要です。

高齢者の脱水症状のサイン

高齢者の脱水症状は、脱水が進行する前に体のサインを見逃さないことが重要です。

特に注意すべきは、体調の変化を家族や介護者が早期に察知することです。

ここでは、高齢者が脱水症状に陥った際に見られるサインについて、軽度から重度まで順を追って説明します。

軽度の場合

 

軽度の脱水症状では、喉の渇きや口の乾き、皮膚の乾燥といったサインがもっとも一般的に現れます。

高齢者は喉の渇きを感じにくくなる傾向があるため、自発的に水分をとることが難しくなりがちです。

この段階では、わずかな動作でも疲れやすくなったり、皮膚が乾燥して弾力が低下したりすることがあります。

例えば、皮膚を指でつまんで押すと、元に戻るまでに時間がかかることがあります。

さらに、傾眠傾向(うとうとしやすい状態)や、めまい・ふらつき、手足の冷えといった症状が見られることもあるため、注意が必要です。

中度の場合

 

中度の脱水症状に進行すると軽度の症状に加えて、尿量の減少、脱力感やふらつき、頭痛、下痢や嘔吐などの症状が現れることがあります。

特に、長時間座った後に立ち上がった際に、めまいや立ちくらみを感じやすくなるのが特徴です。

中でも注意すべきなのは、尿量の減少です。

水分が不足すると排尿の回数が減り、尿の色が濃くなったり、濃い黄色から茶褐色になったりすることがあります。

こうした変化が見られた場合は、脱水のサインとして見逃さないようにしましょう。

また、脱水によって一時的に認知機能が低下し、集中力が続かなくなったり、会話がスムーズにできなくなったりすることもあります。

重度の場合

 

重度の脱水症状が現れると、高齢者にとっては非常に危険な状態です。

この段階では声をかけても反応が鈍く、血圧の著しい低下や痙攣が見られるほか、意識の混濁や昏睡状態に陥ることもあり、命に関わります。

ほかにも尿の量が極端に減少して、場合によってはまったく出なくなることもあります。

皮膚はひどく乾燥し、つっぱり感や張りつめたような感触が現れるほか、目のまわりがくぼんで見えるといった外見上の変化も見られるので、覚えておきましょう。

高齢者の脱水症状が見られた場合の対処法

高齢者が脱水症状を示す場合、早期の対応が重要です。

重度の症状に至る前に適切な対処を行うことで、脱水による深刻な状態を防ぐこともできます。

ここでは脱水症状が見られた際に、どのように対処すればいいのかを、症状の進行具合に応じて解説します。

軽度の場合の対処法

 

軽度の脱水症状が見られる場合は、まず適切な水分補給を行うことが何よりも重要です。

症状に気づいたら、4時間以内には水分を摂取させるようにしましょう。

飲み物は水やスポーツドリンク、経口補水液などがおすすめで、一度に大量に飲ませるのではなく消化器官に負担をかけないよう、少量ずつゆっくりと飲ませることがポイントです。

併せて涼しく過ごせる環境を整えることや、体に負担のかかる運動を控えることも脱水の悪化を防ぐために大切です。

症状が改善しない場合や、さらに進行しているように見える場合は、ためらわずに医療機関へ相談しましょう。

早めの対応が、重症化を防ぐカギとなります。

中度の場合の対処法

 

中度の脱水症状が見られる場合は、水分補給に加え、体温の管理や安静を保つことも非常に重要です。

特に、スポーツドリンクや経口補水液などを活用し、体内の電解質バランスを整えることが効果的です。

また、下痢や嘔吐といった症状がある場合には、失われた分の水分と電解質をその都度補うようにしましょう。

この段階での脱水は放っておくと重症化するおそれがあるため、早めに医療機関に相談することを推奨します。

重度の場合の対処法

 

重度の脱水症状が見られる場合、速やかに医療機関に連絡し、専門的な治療を受けることが必要です。

重度の脱水症状は生命を脅かすことがあるため、できるだけ早く点滴や薬物療法を受けさせる必要があります。

自宅での水分補給では限界があり、専門的な処置が求められます。

意識が低下している場合や昏睡状態に陥った場合は、無理に水分を与えることは避け、すぐに救急車を呼んでください。

また、医療機関に到着するまでの間はリラックスできる環境をつくり、必要であれば安静にさせることが大切です。

高齢者の脱水症状を予防する方法

高齢者にとって、脱水症状を予防することは健康を守るために非常に重要です。

日常生活の中で意識的に水分補給を行うことで、脱水症状を未然に防げます。

ここでは、日常的に実践できる水分補給方法や食生活の改善点について解説します。

小まめな水分補給

 

高齢者にとって、小まめな水分補給が非常に重要です。

喉の渇きを感じにくくなるため、気づいたときにこまめに水分をとる習慣を付けることが必要です。

水分補給を促すために、食事の際に飲み物を提供するだけでなく、間食の時間にも水分を意識的にとってもらうようにしましょう。

また、高齢者は自分で水を飲むことを忘れてしまうことが多いため、家族や介護者が積極的にサポートすることが大切です。

水やお茶、果汁などを少量ずつ頻繁に与えることで、脱水のリスクを減らせます。

水分を多く含んだ食事を意識する

 

脱水症状を予防するためには、水分を多く含んだ食事を意識的に摂取することが有効です。

例えば、スープやみそ汁、果物、ゼリーなどは水分補給を助ける食品です。

また、野菜を使った料理も水分が豊富なため、食事の際に積極的に取り入れるとよいでしょう。

こうした食べ物は、体の水分補給を効果的にサポートします。

 

【脱水予防に適切な食べ物】

脱水症状を予防するためには、日頃の食事の中で水分を多く含む食品を選ぶことが大切です。

特に、スイカやグレープフルーツ、イチゴといった果物は、90%以上が水分で構成されており、手軽に水分補給ができる食品です。

これらの果物をおやつや食後のデザートとして積極的に取り入れると、自然と水分を補うことができます。

また、キュウリやトマト、レタスなどの野菜も水分が豊富で、サラダやスープ、煮物などに活用することで、食事を通じて効率的に水分と栄養を摂取することが可能です。

さらに、おかゆなどの水分量の多い主食も、脱水予防に役立ちます。

 

【脱水予防に適切な飲み物】

高齢者の水分補給の目安は、食事以外で1,000~1,500mlが望ましいとされています。

脱水を予防するには、こまめな水分補給だけでなく、適切な飲み物を選ぶことも大切です。

基本となるのは「水」ですが、高齢者の中には水だけでは飲みにくさを感じる人もいるため、麦茶やスポーツドリンク、経口補水液などもよいでしょう。

特に、スポーツドリンクや経口補水液は、汗や尿で失われた電解質(ナトリウムやカリウム)を補えるため、脱水症状の予防や回復に効果的です。

糖分の多い清涼飲料水や、カフェインを多く含む飲み物(コーヒー、緑茶、紅茶など)は、利尿作用によって水分が排出されやすくなり、かえって脱水を助長するおそれがあるので避けるようにしましょう。

前脱水に注意する

 

前脱水(前期脱水症状)とは、体内の水分がわずかに不足している状態であり、まだ明確な脱水症状が現れていない段階を指します。

この状態の厄介な点は、自覚症状がほとんどないために気づきにくいことです。

前脱水を放置してしまうと脱水が徐々に進行し、やがて頭痛・倦怠感・意識障害などの重篤な症状につながるリスクがあります。

特に高齢者は喉の渇きを感じにくく、水分をとる機会が減りがちなため、前脱水の状態に陥りやすい傾向があります。

こうしたリスクを避けるためにも、こまめな水分補給を習慣化することが何より大切です。

喉が渇いてから飲むのではなく、喉が渇く前に飲むことを心がけましょう。

高齢者施設で行っている脱水症対策

高齢者施設では、入居者一人ひとりの水分摂取量がしっかりと把握され、脱水を未然に防ぐための管理体制や工夫が日々実践されています。

食事や飲み物の提供方法の工夫に加えて、スタッフの意識向上や見守り体制の強化など、施設全体での予防対策が重要視されています。

ここでは、高齢者施設における具体的な脱水対策の取り組みを紹介するため、見ていきましょう。

水分摂取量の管理および記録

 

高齢者施設では、入居者一人ひとりの水分摂取量を適切に管理し、日々の健康状態を確認するために定期的な記録を行っています。

特に高齢者は脱水症状を自覚しにくく、症状が現れたときにはすでに進行している場合もあるため、日頃からの予防と観察が重要です。

水分摂取量を細かく把握することで、脱水のリスクを早期に察知し、迅速に対応することが可能になります。

こうした水分管理は、施設の介護計画の一部として明確に位置づけられており、定期的な見直しやカンファレンスを通して、入居者の状態に応じた対応が図られています。

環境の整備

 

高齢者施設においては、脱水症状を防ぐための環境整備も非常に重要な対策の一つとされています。

施設内の温度や湿度を常に快適に保つことで、入居者の体調を安定させるとともに、水分摂取を自然に促す環境づくりが可能になります。

特に、夏場や冬場は気温の変化が激しくなるため、空調設備の調整をはじめとした温度管理には細心の注意が必要です。

例えば、室温が高すぎる場合は汗をかいて体内の水分が急速に失われ、脱水のリスクが高まります。

一方で、室温が低すぎると体が冷えて代謝が落ち、食欲や水分摂取量が減ってしまうこともあります。

こうしたことから、適切な温度設定と定期的な空気の入れ替え、湿度の調整が重要です。

快適な室内環境を整えることで、高齢者の脱水症状を未然に防げるでしょう。

水分摂取の工夫

 

高齢者の脱水症状を防ぐためには、飲みやすさを工夫した水分摂取の支援が重要です。

高齢者施設では入居者が無理なく、かつ楽しく水分を摂取できるようさまざまな工夫を行っています。

例えば、味付きの飲み物(お茶やジュースなど)や冷たくした飲み物を提供することで、入居者が飲みやすいと感じる環境をつくっています。

さらに、スープやみそ汁、果物など水分を多く含む食品を積極的に取り入れ、食事からも水分を確保できるように工夫されているのが特徴です。

このような工夫に加え、スタッフが日々の観察を通じて適切に声かけを行うことで、高齢者が意識せずとも自然と水分を摂取できるよう支援されています。

冬の脱水症状について

脱水症状は通常、暑い季節に起こりやすいと思われていますが、冬でも脱水症状は発生します。

寒さによって水分摂取が減少し、体温調節が難しくなることが原因です。

また、冬の乾燥も脱水を引き起こす要因になります。

続いては、冬における脱水症状の特徴や原因、そして予防方法について詳しく解説します。

冬の脱水症状とは

 

冬の脱水症状は、夏に比べて気づきにくいことが多いですが、寒さや乾燥によって体内の水分が失われ、脱水状態になることがあります。

冬の脱水症状は夏と同様に、喉の渇きや口の乾き、疲れやすさ、めまい、手足の冷え、肌の乾燥などが現れることがあり、場合によっては足のむくみが出ることもあります。

特に乾燥した空気や暖房の使用が水分を奪い、喉の渇きに気づかずに水分補給が不十分になることが多いです。

さらに、体が冷えていると血液循環が悪くなり、体内の水分バランスが崩れやすくなります。

そのため、冬の脱水症状にも十分な注意が必要です。

冬に脱水症状が起きる原因

 

冬に脱水症状が起こる主な原因は、寒さと乾燥による水分摂取の減少です。

冬は夏に比べて喉の渇きを感じにくく、飲み物をとることが少なくなります。

そのため、水分補給が疎かになり、体内の水分が不足しやすくなるのが大きな要因です。

また、寒さによって血管が収縮し体内の血液循環が悪化するため、水分が体の隅々まで行き届きにくくなります。

さらに、冬は暖房を使用することが多いため室内が乾燥し、肌からも水分が失われやすくなります。

これらの要因が重なることで、冬でも脱水症状が発生するリスクが高まるのです。

冬の脱水症状の予防方法

 

冬の脱水症状を予防する方法を紹介します。

どれも取り入れやすいので、試してみましょう。

 

【意識的に水分補給する】

冬の脱水症状を防ぐためには、意識的な水分摂取が欠かせません。

寒さが厳しい冬場は汗をかきにくく、喉の渇きも感じにくいため、日常的に意識して水分を摂取する習慣を持つことが大切です。

温かいお茶やスープをこまめに取り入れると、体を内側から温めながら水分補給ができます。

中でも、甘酒は水分に加えてエネルギーや栄養も補えるため、体力が落ちやすい高齢者にとって特に効果的です。

このように、季節に合わせた飲み物を取り入れ、こまめな補給を心がけることで、冬の脱水症状を防げます。

 

【室温の調整】

冬の脱水症状を防ぐためには、室温の管理も重要です。

過度に暖かい部屋では発汗による水分の喪失が進み、逆に寒すぎる部屋では血液循環が悪化し、水分の代謝が滞りやすくなります。

適切な室温を保つことで、体温調節がしやすくなり、無理なく水分補給ができます。

また、暖房による乾燥にも注意が必要であり、加湿器を使用して室内の湿度を適切に保つことが冬の脱水症状予防に効果的です。

さらに、ぬれたタオルを室内に干す、またはコップに水を入れて置いておくのもよいでしょう。

 

【肌の保湿】

冬は空気の乾燥が原因で皮膚から水分が奪われやすく、知らないうちに体内の水分も失われ、脱水症状を引き起こす可能性があります。

また、高齢者は皮膚のバリア機能が低下していることが多く、乾燥による水分の喪失が体調に影響しやすいため、肌の保湿は見た目のケアだけでなく、健康維持にもつながる大切な対策です。

例えば、入浴後や洗顔後には時間を空けず保湿クリームを塗るようにすることで、水分の蒸発を最小限に抑え、肌表面からの水分喪失を防ぐことができます。

さらに、服装で露出を控えたり、室内に加湿器を設置したりと、環境面から肌の乾燥を防ぐ工夫を取り入れることも有効です。

こうした日常の積み重ねにより、冬の乾燥対策と併せて体内の水分バランスを守ることができ、脱水症状の予防になります。

まとめ

高齢者の脱水症状は、体内水分量の減少や薬の影響、認知機能の低下など複数の要因で引き起こされ、健康に深刻な影響を及ぼすおそれがあります。

脱水は倦怠感やふらつきなどの初期症状から始まり、放置すると意識障害や脳梗塞など重篤な状態へ進行することもあります。

そのため、軽度の段階から水分補給を徹底し、重度の場合は速やかに医療機関を受診することが重要です。

予防には、こまめな水分摂取や水分を多く含む食事、保湿や室内環境の管理が効果的です。

高齢者施設では日常的に摂取量の記録や個別対応が行われ、脱水にも配慮した支援が実施されています。

早期の気づきと日々の積み重ねが、高齢者の健康を守る第一歩となるでしょう。