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ケアマネジャーとは?相談できることや役割など徹底解説

ケアマネジャーとは?相談できることや役割など徹底解説

親や家族の介護が必要になったとき、「どこに相談すればいいのか」「どんなサポートが受けられるのか」など、さまざまな不安や疑問が生まれます。

そんなときに頼れる存在が、介護の専門家である「ケアマネジャー」です。

本記事では、ケアマネジャーに依頼する方法や具体的な役割、相談できる内容について解説します。

また、よりよい関係を築くためのポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

ケアマネジャーとは

ケアマネジャーは「介護支援専門員」が正式な名称で、介護保険で受けられるサービスのプランを立てるなど、介護職のスペシャリストです。

ケアマネジャーにはどのような役割があり、混同しがちな介護福祉士やソーシャルワーカーとの違いについても解説します。

ケアマネジャーの役割

 

ケアマネジャーは介護保険を利用したサービスを必要とする人に対して、ケアプランを立てたり、介護サービス事業者や介護施設などと連絡・調整をしたりすることが主な役割です。

利用する人がどのようなサービスを必要としているのかを聞き取り、適切なサービスを受けられるよう調整します。

ただ介護サービスを受けるだけでなく、介護を必要としている人が自立した生活ができることも考えながらプランを立てることが大切です。

介護サービスを利用する人の生活の質を向上させる役割も、担っているといえるでしょう。

介護福祉士との違い

 

ケアマネジャーは介護福祉士などの国家資格を取得後、実務経験を積んで取得できる資格です。

そのため、介護福祉士として働く人の中には、将来的にケアマネジャーを目指している人が少なくありません。

介護福祉士とケアマネジャーの役割には、以下のような違いがあります。

 

ケアマネジャー介護のプランを立てて事業所との調整を行う
介護福祉士介護事業所で実際に介護を行う

 

ケアマネジャーが立てた介護プランをもとに、介護の現場では介護福祉士が利用者に対して介護サービスを行います。

役割はそれぞれ異なりますが、よりよいサービスを提供するために欠かせない存在といえるでしょう。

ソーシャルワーカーとの違い

 

ソーシャルワーカーとケアマネジャーは、対応できる範囲に違いが見られます。

ケアマネジャーが対応するのは介護の分野に限定されていますが、介護を含めた福祉全般について対応するのがソーシャルワーカーです。

介護以外の福祉分野には、ひとり親家庭や生活に困窮している家庭などがあり、生活に困っている人の環境を整えることを目的としています。

ケアマネジャーとは対応する対象者に違いがありますが、自立した生活ができるように環境を整えるという目的は同じです。

ケアマネジャーの仕事内容

ケアマネジャーの主な仕事は、介護サービスを受けるためのプラン作成や調整ですが、全体の業務は多岐にわたっています。

日常的にどのような仕事をしているのか、ケアマネジャーの仕事内容をご紹介しましょう。

ケアプランの作成

 

要介護または要支援が必要であると認定されると、介護保険を利用した介護サービスを受けられますが、その場合にはケアマネジャーが作成したケアプランが必要です。

ケアプランとは、一人ひとりの状況や希望に合わせて、どのような介護サービスがどのような頻度や期間に必要なのかをまとめた計画書をいいます。

ケアマネジャーは、介護サービスの利用を希望する本人や家族と話し合い、生活課題を明確にし、解決が必要な課題やそのためのケアプランを作成します。

また、作成すれば完了というわけではなく、定期的に見直しが行われ、状況に合わせたケアが受けられるよう調整することが重要です。

利用者とサービス事業者との調整

 

作成したケアプランに基づいた介護サービスを提供できるよう、複数の介護サービス事業者と連携します。

介護サービスの利用者や家族が希望する介護が受けられるよう、事業者との間に入って調整を行うのも、ケアマネジャーの大切な仕事です。

給付管理業務

 

ケアマネジャーは介護サービスのプラン作成や、実際に利用者が適切なサービスを受けられるよう事業者と調整するほか、利用したサービスの給付管理も行います。

介護サービスの利用実績を月ごとにチェックし、介護保険の給付を受けるための書類作成や提出といった事務手続きもケアマネジャーの仕事です。

要介護認定に関する業務

 

要介護認定は各自治体の認定調査員が行うのが一般的ですが、自治体から委託された指定居宅介護支援事業所や、介護保険施設所属のケアマネジャーに委託されることもあります。

委託されたケアマネジャーは、要介護者の自宅で聞き取り調査などを行います。また、要介護認定の申請や更新の手続きが必要な場合は、書類の作成や申請の代行もしてくれます。

ケアマネジャーはどこにいる?

ケアマネジャーは以下の場所に在籍しています。

  • 居宅介護支援事業所
  • 介護施設
  • 地域包括支援センター

ケアマネジャーは、介護サービスを利用する人と介護事業所との間に入り、どちらかの立場に偏ることなく、中立な立場でいることが求められます。

場所によってケアマネジャーの役割に違いがあるため、順番に見ていきましょう。

居宅介護支援事業所

 

居宅介護支援事業所におけるケアマネジャーの仕事は、自宅での介護を希望する方が、住み慣れた環境で安心して生活できるよう支援することです。

例を挙げると、段差があり生活が大変な場合は手すりをレンタルするための手配や、一人暮らしの人にはヘルパーを提案するなど、利用者の安全な生活を支援します。

居宅介護支援事業所の利用者44件あたり、1名のケアマネジャーが在籍していなければなりません。

まだ介護認定を受けていない人が、介護認定を受けるための手続きもケアマネジャーの重要な仕事です。

介護施設

 

特別養護老人ホームや介護医療院などの介護施設で働くケアマネジャーは、入所者一人ひとりに合わせたケアプランを作成します。

ケアプランの作成に加えて、ケアマネジャーも介護業務を担当するケースがあることが、居宅介護支援と介護施設とで大きく異なる点です。

ケアマネジャーが担当できる利用者数は、100名までとされています。

利用者が少ない施設ではケアマネジャーの業務に余裕が出るため、介護業務の兼務が多く見られがちです。

地域包括支援センター

 

地域包括支援センターでは要介護状態になる可能性がある高齢者に対し、介護が必要な状態になることを防ぐケアを提案して、介護の予防を行います。

総合的な相談ができる窓口として、介護に関することはもちろんですが、医療や福祉など多方面へのサポートが、地域包括支援センターの特徴です。

介護保険を申請する際の窓口でもあり、地域の高齢者が安心して住み慣れた土地で生活できるためのサポートをしています。

ケアマネジャーに相談できること

これからケアマネジャーへ相談したいと考えている人は、どのようなことが相談できるのかが気になるところでしょう。

ケアマネジャーに相談できるのは、大きく分けると次の3つです。

  • 介護保険利用に関すること
  • 医療や健康管理に関すること
  • 生活の質を上げるための支援に関すること

それぞれどのような相談が可能なのか、一つずつ解説します。

介護保険利用に関すること

 

ケアマネジャーは介護保険制度に関するスペシャリストです。

介護保険を利用して受けられる介護サービスなど、介護保険のことはケアマネジャーに相談してみましょう。

介護保険制度に関する相談では、制度の仕組みや申請について、利用できるサービスやどのようにサービスを選べばよいかなど、分からないことは気軽に相談できます。

また、福祉用具や住宅のリフォームに関しての相談も可能です。

どのような福祉用具を選べばよいか、どのようにリフォームすれば生活しやすくなるかなどのアドバイスを受けられます。

医療・健康管理に関すること

 

医療や健康管理に関することでケアマネジャーに相談できるのは、医療機関の紹介や、訪問看護やリハビリなど受けたい医療系サービスについてです。

適切なケアが不可欠な認知症についても、どのようにケアをすればいいのか、どのようなサービスを受けられるのかなど、ケアマネジャーに相談ができます。

そのほかにも、在宅での看取りを希望する場合は、看取りケアについてケアマネジャーに相談してみてください。

緊急事態となった時の対応についても、事前に相談しておくとよいでしょう。

生活の質を上げるための支援に関すること

 

ケアマネジャーには、介護を受ける本人だけでなく、家族に関する相談も行うことができます。

例えば、「介護と仕事をどう両立すればいいか」「日常生活の中で介護負担を軽減するにはどうすればいいか」といった悩みに対しても、的確なアドバイスを得られます。

また、ケアマネジャーは介護保険制度によるサービスだけでなく、地域のボランティア活動や支援制度にも詳しいため、困りごとがあれば気軽に相談してみましょう。

さらに、介護にかかる経済的な不安についても相談可能です。

助成金や給付金の申請条件や方法など、具体的な手続きについても教えてもらえるため、家計への負担を減らす方法が見つかるかもしれません。

ケアマネジャーが相談されてもやってはいけないこと

さまざまな要望に応えてくれるケアマネジャーですが、すべてのことに対応できるわけではありません。

相談された内容によっては、ケアマネジャーの職務や権限の範囲外となり、対応できない場合もあります。

たとえ手助けしたい気持ちがあっても、法的・制度的な制約のため、対応が難しいケースもあるのです。

すべてを細かく理解する必要はありませんが、「ケアマネジャーにはやってはいけないことがある」という前提を知っておくことが大切です。

その上で、必要に応じてほかの専門機関やサービスと連携を取ることが、適切な支援につながります。

医療に関する専門的なこと

 

困っている症状や治療方法、必要な薬など医療に関する専門的なことは、ケアマネジャーでは対応できないので、かかりつけの医師や医療機関に相談してください。

医療機関を紹介したり、利用できる制度についての相談をしたりできるため、つい流れで相談してしまうかもしれません。

かかりつけの医師に相談しにくい場合などにも、ついケアマネジャーに相談してしまうことがありますが、対応できないことを知っておくことが大切です。

法律や財産に関すること

 

遺言や相続、財産管理といった法律や金銭に関する内容は、ケアマネジャーの職務範囲外となります。

そのため、これらの相談には対応できません。

こうした問題については、弁護士や司法書士、税理士、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談する必要があります。

ケアマネジャーは、必要に応じて適切な専門機関への橋渡しや紹介を行うこともあるため、まずは相談の窓口として利用するのも一つの方法です。

精神的な問題について

 

ケアマネジャーは、家族間のトラブルや精神疾患など、精神的な問題に対する直接的な対応はできません。

これらはケアマネジャーの専門分野外であり、対応には適切な専門機関のサポートが必要です。

例えば、家族間のトラブルについては、行政の相談窓口や地域包括支援センターなどが対応しています。

また、うつ病や認知症などの精神疾患に関しては、医療機関での受診や、臨床心理士・カウンセラーなどの専門家への相談が適切です。

ケアマネジャーに相談する際は、必要に応じてこれらの窓口を紹介してもらえる場合もあるので、悩みを抱え込まず、まずは相談してみることが大切です。

ケアマネジャーの依頼方法

介護や支援が必要になった時や、ケアマネジャーに相談したいことがある場合、どのように依頼すればいいか、知っている人は少ないかもしれません。

依頼する先がいくつかあり、依頼先や依頼方法について解説します。

直接連絡する

 

地域のケアマネジャーに、直接連絡をして依頼することが可能です。

要介護認定を受けると、地域を担当しているケアマネジャーが在籍している居宅介護支援事業所の一覧表をもらえますので、直接連絡して依頼できます。

まだ要介護認定を受けていないけれど、緊急で相談したい場合などは、自治体の介護保険課で一覧表をもらい、ケアマネジャーに介護認定の手続きを代行してもらいましょう。

地域包括支援センターに相談する

 

地域包括支援センターは、介護に関する相談に対応している公的機関です。

居住しているエリアを担当する地域包括支援センターに相談すると、ケアマネジャーが在籍している居宅介護支援事業所を教えてもらえます。

複数の事業所を紹介してもらえた場合は、それぞれの違いについて、特徴などを聞いておくとよいでしょう。

かかりつけ医などに相談する

 

かかりつけの医師に相談するのも一つの方法で、信頼できるケアマネジャーを紹介してもらえる可能性があります。

日頃からお世話になっている医師だと、状況を把握してもらいやすいため、安心して依頼できそうです。

また、デイサービスを利用している場合には、事業所の職員に相談する方法もあります。

すでに介護を受けている人に紹介してもらう

 

周囲に介護サービスを受けている人がいれば、その人に紹介してもらうのも一つの方法です。

紹介してもらわない場合でも、身近に同じような状況の人がいると、ケアマネジャーをどのように選んだのかなど、アドバイスや経験談が聞けることもあります。

ケアマネジャーを選ぶポイント

ケアマネジャーに依頼するときは、相性がよく相談しやすい人を選びたいものです。

どうすれば自分に合うケアマネジャーに依頼できるのか、選ぶときのポイントを紹介します。

ケアマネジャーの得意分野で選ぶ

 

ケアマネジャーは「介護」「医療」「福祉」の専門分野で経験を積んできていますが、どの分野なのかは人それぞれ異なります。

医療面での相談や支援を多く必要とする人の場合は、看護師経験があるケアマネジャーが安心できるでしょう。

日常生活の介護が必要な人であれば、介護福祉士の経験がある人がよいかもしれません。

親身になってもらえるか

 

適切なケアプランの提案には、家族へのヒアリングが欠かせません。

満足度の高いケアプランを作成してもらうためには、親身になって丁寧に話を聞いてもらえるかどうかが重要です。

話を聞いてもらえなかったり、相談してもきちんと対応してもらえなかったり、当たり障りのない回答しかもらえなかったりと、親身になってもらえないとケアに影響します。

親身になってもらえて、相談しやすいケアマネジャーを選びましょう。

保有資格

 

ケアマネジャーになるには、介護福祉士や看護師などの国家資格を保有し、介護や医療、福祉の分野で5年以上の実務経験を積んでいる人に限られています。

どのような資格を保有しているかを確認して、資格で選ぶのも一つの選び方です。

デイサービスの利用を検討している場合、デイサービスの現場で経験を積んでいる介護福祉士の資格保有者だと、詳しく話を聞けるでしょう。

対応可能な曜日や時間

 

土日や夜間に対応してもらえるかどうかが重要な人の場合、対応可能な曜日や時間で選ぶ必要があります。

24時間・365日いつでも対応してもらえる事業所だと安心です。

デイサービスや日々のケアの利用で、健康面や精神面に問題がない人の場合は、24時間体制が整っているかどうかよりも、対応時間が短くても相性がよく相談しやすい人のほうがよいでしょう。

距離的に支障がないか

 

地域密着型の事業所など、自宅から近い事業所だと、緊急時など何か起きた場合に迅速に対応してもらえる可能性が高く、安心して依頼できます。

何か困ったことが起きたときに、距離的な問題でサービスが受けられないような事態にならないためにも、距離的な支障についても確認しておきましょう。

ケアマネジャーと信頼関係を築く方法

よりよい介護サービスを受けるには、ケアマネジャーとの信頼関係が重要です。

ケアマネジャーとコミュニケーションを取り、少しずつ信頼関係を築いていきます。

では、具体的にどのようにすればよいのか、4つのポイントを見ていきましょう。

要望は詳しく伝える

 

要望があれば、できる限り詳しく伝えることが大切です。

遠慮してきちんと伝えられないこともありますが、結果的に誰も満足できない結果になるなら遠慮の意味がなくなります。

また、察してもらえるであろうという思いから、きちんと伝えない人もいます。

価値観や感じること、思うことは人それぞれ違うため、逆の意味に捉えられてしまうこともあり得るのです。

信頼関係を築くには、詳しく伝えてスムーズなコミュニケーションを取るようにしましょう。

質問する

 

分からないことや不安な事は、ケアマネジャーに質問して解決することが大切です。

質問をしなければ理解しているものとして話が進み、思っていたことと違って困ってしまうという事態になりかねません。

質問をすることは、ケアマネジャーにとって面倒なことではなく、むしろ遠慮して質問しないほうが面倒をかけてしまいます。

信頼関係を築くためにも、分からないことは遠慮なくケアマネジャーに質問しましょう。

こまめに情報共有する

 

状態や状況の変化など、ケアマネジャーに情報を共有することが信頼関係の構築につながります。

情報共有ができていれば、ケアマネジャーは介護のためのケアプランを修正することが可能で、いち早く現状に合わせた介護サービスが受けられる可能性が高いです。

感謝の気持ちを伝える

 

感謝の気持ちを言葉で伝えることは、とても大切です。

特に、緊急で対応が必要だった場合や、何らかのトラブルを解決してもらったときなどは、感謝の気持ちを伝えましょう。

どのような資格や試験を受ければ、ケアマネジャーになれるのでしょうか。

ケアマネジャーになる方法を解説します。

介護支援専門員実務研修受講試験の受験資格を得る

 

まずは、介護支援専門員実務研修受講試験の受験資格を満たす必要があります。

受験資格は、指定の法定資格に基づく業務または相談援助業務に、通算5年以上かつ900日以上の実務経験があることです。

 

受験資格の要件については、以下の表をご確認ください。

 

業務
指定の法定資格・医師

・歯科医師

・薬剤師

・保健師

・助産師

・看護師

・准看護師

・理学療法士

・作業療法士

・社会福祉士

・介護福祉士

・視能訓練士

・義肢装具士

・歯科衛生士

・言語聴覚士

・あん摩マッサージ指圧師

・はり師

・きゅう師

・柔道整復師

・栄養士

・管理栄養士

・精神保健福祉士

相談援助業務・生活相談員

・支援相談員

・相談支援専門員

・主任相談支援員

 

無資格からケアマネジャーを目指す場合は、最低でも8年以上かかります。

受験資格は全国一律です。

介護支援専門員実務研修受講試験に合格する

 

受験資格を満たせたら、介護支援専門員実務研修受講試験を受けます。

場所は勤務先のある都道府県です。

受験資格に該当する職業に就いていない場合は、現住所のある都道府県で実施されます。

 

試験日は10月中旬ごろ、合格発表は12月上旬ごろと全国共通ですが、試験の申込期間は都道府県によって異なるため注意してください。

試験は介護支援分野と保健医療福祉サービス分野から60問で出題され、合格基準点は毎年70%前後になります。

介護支援専門員実務研修の受講と修了

 

介護支援専門員実務研修受講試験に合格したあとは、介護支援専門員実務研修を受講しなければなりません。

実務研修の内容は、87時間以上の講義と演習、3日間の実習です。

 

研修の内容は都道府県共通ですが、実施される期間は異なります。

介護支援専門員資格登録簿に登録する

 

介護支援専門員実務研修を修了すると、研修修了証明書が発行されます。

その後3ヶ月以内に、各都道府県の窓口で介護支援専門員の登録申請が必要です。

 

都道府県によって申請先や書類の様式が異なるため、事前に確認しておくとスムーズに申請できます。

介護支援専門員証の交付を受ける

 

介護支援専門員の登録申請と一緒に、介護支援専門員の交付申請も行います。

交付を受けるのは、申請の約1ヶ月後です。

介護支援専門員証が交付されれば、ケアマネジャーの仕事に従事できます。

ケアマネジャー試験の難易度

ケアマネジャーになるのは難しいのでしょうか。

試験の難易度について解説します。

合格率は20%前後と低め

 

介護支援専門員実務研修受講試験の合格率は、20%前後です。

試験は1年に1度しか実施されないため、合格の難易度は高いと言えるでしょう。

 

合格難易度が高い理由として、出題範囲が広いことが挙げられます。

出題形式がマークシートで選択肢が5つあることも、難易度が高くなる理由の一つになるでしょう。

<合格率の推移>

介護支援専門員実務研修受講試験の合格率の推移は、次のとおりです。

 

年度合格率受験者数合格者数
2020年17.7%4万6415人8200人
2021年23.3%5万4290人1万2662人
2022年19.0%5万4406人1万328人
2023年21.0%5万6494人1万1844人
2024年32.1%5万3699人1万7228人

出典:厚生労働省「 第27回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について

 

2024年は30%台の合格率を記録していますが、基本的には10〜20%台を推移しています。

合格するためには各分野で70%の正答率が必要

 

介護支援専門員実務研修受講試験で合格するためには、介護支援分野25問と保健医療福祉サービス分野35問、合わせて60問のうち、70%前後の正答率が必要になります。

出題範囲は広範囲のため、両方の分野の内容をバランスよく理解しておくことが必要です。

 

なお、合格ラインは試験の難易度によって補正されます。

必要な勉強時間の目安は100〜200時間

 

介護支援専門員実務研修受講試験に、勉強しないで合格することは難しいでしょう。

保有資格によって持っている知識は異なりますが、基本的には100〜200時間の勉強時間が必要になります。

 

1日1時間勉強する場合は、半年前から始めれば180時間勉強できる計算です。

働きながら資格を取得したい場合は、毎日の勉強時間の積み重ねが大事になるでしょう。

ケアマネジャーに向いている人の特徴

ケアマネジャーは、どのような人に適性があるのでしょうか。

向いている人の特徴を解説します。

コミュニケーション能力が高い

 

ケアマネジャーは利用者やその家族、介護士、医療関係者など、さまざまな人と関わる機会が多いため、誰とでも積極的に意思疎通ができる性格だと仕事が進めやすいでしょう。

単なる会話をするのではなく、相手の話を丁寧に聞いたり、相手の気持ちを思いやったりできる人が向いています。

 

利用者と家族の考えが違う場合でも、それぞれの気持ちに寄り添いながら信頼関係を築けることが重要です。

また、複雑な制度や介護サービスの内容について、利用者や家族に分かりやすく説明できる力も求められます。

事務処理が得意

 

ケアマネジャーはケアプランの作成や、介護報酬請求などの事務処理も行うため、基本的なPCスキルや書類作成能力があると、仕事がスムーズに処理できます。

 

介護報酬請求などの事務処理は、事業所によっては事務員が担当しますが、人手が不足している場合はケアマネジャーが行うケースも少なくはありません。

請求ミスがあると事業所への報酬支払いに影響が生じるため、正確な処理能力が求められます。

行動力がある

 

ケアマネジャーはデスクワークが中心ですが、必要に応じて利用者の自宅を訪問することもあります。

利用者と実際に会ってコミュニケーションをとらないと、現状を把握することはできません。

医療機関や役場などの関係各所と連携するために一日中歩き回ることもあるため、行動力がある方に適性があると言えるでしょう。

 

また、利用者に異変があった場合は緊急対応が必要です。

緊急時にマニュアルに従うのではなく、状況に応じて対応を切り替えられる、臨機応変な対応力も求められます。

問題解決能力が高い

 

利用者の抱える問題を解決することが、ケアマネジャーの仕事です。

課題を適切に把握し、さまざまな視点から利用者にとっての最適な解決策を考える力が大切になります。

利用者の望む生活を実現することが、ケアマネジャーに求められる役割です。

 

問題は一つではないため、重要度の高いものから優先的に解決する必要があります。

そのようなときにしっかりと情報収集や分析を行い、優先順位を決めて仕事に取り組める方こそ、ケアマネジャーにふさわしいと言えるでしょう。

精神力が強い

 

ケアマネジャーはさまざまな人と関わりを持つ仕事のため、時には人間関係のトラブルに巻き込まれることもあります。

利用者からクレームがあったり、利用を拒否されたりすることは日常茶飯事ですので、精神的に強くないと仕事を続けることができません。

 

毎日のように謝罪したり、利用者と家族の意見が衝突し、ケアマネジャーが板挟みになったりすることもあります。

揉め事を経験しても落ち込まず、モチベーションを維持し続けられる方は、ケアマネジャーの仕事が向いていると言えるでしょう。

ケアマネジャーの給与

ケアマネジャーはどのくらいの給与をもらっているのでしょうか。

平均給与や、他の介護職との比較を紹介します。

平均給与

 

厚生労働省の公開している「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、ケアマネジャー(介護支援専門員)の平均給与は、次のようになっています。

 

勤務形態平均給与額平均基本給額平均手当額平均一時金額平均年収(平均給与12ヶ月分)
常勤37万5410円22万4280円9万5700円5万5430円450万4920円
非常勤23万3490円15万7480円4万4830円3万1170円281万1880円

出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査

 

常勤で働くケアマネジャーの平均給与額は37万5410円です。

年収で計算すると、約450万4920円になります。

 

ケアマネジャーの平均給与は雇用形態や勤続年数、性別、手当の金額など、さまざまな要素によって変動するため、あくまでも参考としてご覧ください。

他の介護職との比較

 

ケアマネジャーと同じ職場で働く他の介護職とは、給与にどのくらいの差があるのでしょうか。

ケアマネジャーと他の介護職の給与を比較します。

 

職種平均給与額平均年収(平均給与12ヶ月分)
ケアマネジャー(介護支援専門員)37万5410円450万4920円

 

介護職員33万8200円405万8400円
生活相談員・支援相談員35万3950円424万7400円
事務職員31万7620円381万1440円
調理員27万2240円326万6880円
管理栄養士32万3810円388万5720円

出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査

 

他の介護職と比較すると、ケアマネジャーが最も高い水準です。

ケアマネジャーの次に生活相談員や支援相談員、介護職員と続きます。

ケアマネジャーの給料が高い理由

 

ケアマネジャーの給料が他の介護職よりも高い水準にある理由は、試験の合格難易度が高く、介護士よりも人数が少ないからです。

利用者のケアプランの作成などケアマネジャーだけが対応できる仕事の専門性も高く、資格手当が支給されることも理由として挙げられます。

 

また、ケアマネジャーは役職に就くことも少なくありません。

専門的な知識とスキルを持っているため、リーダーや管理者に抜擢されることもあります。

役職に就けば役職手当が支給されるため、他の介護職よりも給与が高くなりやすいと言えるでしょう。

居宅と施設の給与の違い

 

同じケアマネジャーでも、居宅と施設では給与が異なります。

介護施設や入居型の施設で働く施設ケアマネジャーが介護業務を兼務する場合は、処遇改善手当や夜勤手当が支給されるため、給与が高くなりやすいとされています。

 

一方居宅介護支援事業所で働く居宅ケアマネジャーは、ケアプランの作成や介護サービスの利用手続きなどを行います。

支給される手当の種類が少ないため、給与が施設ケアマネジャーよりも少なくなるのが特徴です。

 

居宅と施設のどちらにもメリットとデメリットがあります。

給与の高さだけで選ぶのではなく、自分が働きやすいと思える方を選びましょう。

ケアマネジャーとして働くメリット

ケアマネジャーとして働くメリットを解説します。

できる業務が増える

 

介護職員がケアマネジャーになると、担当できる業務が増えます。

 

  • 要介護者や要支援者のケアプラン作成
  • 利用者や家族への対応
  • サービス事業者との連携
  • 要介護認定の申請代行
  • 入退院や施設入所の支援
  • 介護サービス費用の管理
  • 利用者のモニタリング

 

介護職員よりも専門性が高く幅広い業務を担当できるようになることが、ケアマネジャーの魅力です。

これから介護業界で長く働き続けたい方や、スキルアップしたい方にとっては大きなメリットになります。

給料がアップする

 

ケアマネジャーは難易度が高い資格のため、取得できれば資格手当や特別手当が支給されます。

担当できる業務の幅が広がることにより基本給も上がるため、毎月の給料がアップすることは間違いないでしょう。

 

介護職員とケアマネジャーの平均年収は、約45万円もの違いがあります。

給料を上げたいと感じている場合は、ケアマネジャーを目指しましょう。

夜勤がない

 

ケアマネジャーは利用者や家族の対応が業務のため、日勤の時間帯に働くのが基本です。

施設で介護業務を兼任していない場合は夜勤のシフトがないため、家族と同じ生活リズムで働くことができます。

 

退勤後は育児や家事、趣味に時間を使うことができるでしょう。

プライベートな時間も大切にしたい方におすすめの仕事です。

転職しやすい

 

ケアマネジャーの資格は専門性が高いため、条件のよい求人が多く、転職の際に有利です。

介護に関する高度な知識とスキルを持っていることや、実務経験が豊富であることがアピールになります。

 

転職の理由を明確にし、自分の希望に合った転職先を見つけましょう。

ケアマネジャーとして働くデメリット

ケアマネジャーとして働くデメリットを解説します。

資格は更新が必要

 

介護支援専門員証は、5年ごとの更新が必要になります。

更新を忘れてしまうと、ケアマネジャーとして働けなくなってしまうため注意が必要です。

 

更新するためには、初回は88時間、2回目以降は最低32時間の法定研修を受講しなければなりません。

仕事を休まなければならないこと、更新料として3万円前後の費用がかかることがネックです。

 

精神的な負担がある

 

ケアマネジャーは業務で人と接する機会が多いため、精神的なストレスが溜まりやすい仕事です。

対応が難しい利用者や家族の問題に直面したときは、心理的な負担が大きくのしかかります。

 

打ち合わせで歩き回ったり、関係各所に赴いたりすることもあるため、身体的な負担もゼロではありません。

心身への負担が懸念されるため、ストレスを溜め込み過ぎないように工夫する必要があります。

緊急対応を求められる場面もある

 

利用者に万が一のことが起こった場合は、担当のケアマネジャーが緊急対応を実施します。

体調不良やけが、事故など、連絡があれば、深夜でも対応しなければなりません。

 

そこまで頻繁に発生しませんが、緊急対応は精神的にプレッシャーの大きい業務になります。

常に気を張っていなければならない状況は、ケアマネジャーにとって精神的なストレスになるでしょう。

業務量が多い

 

担当できる業務の幅が広がるということは、業務量が多くなるということです。

職場によっては、介護業務の兼務を任されることもあります。

 

人手不足の場合は、ケアマネジャーの業務をこなしながら、夜勤のシフトを任されることもあるでしょう。

職場を選ぶ際は、業務内容や業務量について事前に確認しておくことが大切です。

ケアマネジャーに関するQ&A

最後に、ケアマネジャーに関するよくある質問に回答します。

将来性はある?

 

ケアマネジャーは近年ますます需要が高まっていて、資格を取得した後は、さまざまなキャリアパスが広がります。

専門性が高く、要介護者や要支援者にとっては生活に欠かせない存在です。

高齢化に伴い、今後も仕事がなくなることはありません。

将来的にも、安定した需要が見込まれるでしょう。

仕事の流れは?

 

ケアマネジャーの仕事である、ケアマネジメントの流れを紹介します。

 

  1. 利用者との最初の面談
  2. 生活課題の調査・分析
  3. 分析結果をもとにケアプラン作成
  4. ケアプランに沿ったサービスの提供開始
  5. 生活課題が解消されたかのモニタリング
  6. 必要に応じてケアプランの見直し

 

ケアマネジメントは、利用者の状況や状態に応じて柔軟に変更していくのが基本です。

計画立案から実行・見直しまで行うのが、ケアマネジメントの流れになります。

キャリアアップは?

 

ケアマネジャーの資格取得後のキャリアアップとして、主任ケアマネジャーを目指せます。

他のケアマネジャーに対してアドバイスをしたり、地域づくりに参加したりすることが可能です。

 

地域包括支援センターにも、主任ケアマネジャーを配置することがあります。

ケアマネジャーよりも給与が高く、求人数も多いのが特徴です。

特定の要件を満たした上で定められた研修を終えていれば、主任ケアマネジャーの資格が与えられます。

やりがいはある?

 

ケアマネジャーになると現場で働く機会が減少し、デスクワークが多くなります。

しかし利用者や家族の相談相手になれるため、信頼を寄せられる喜びを感じることができるでしょう。

 

ケアプランを作ることだけが仕事ではなく、利用者を支える中心的な役割を担う仕事です。

大きなやりがいを得られるとともに、事業所や施設の中でも一目置かれる存在になれます。

介護業界で長く働きたいなら、ケアマネジャーを目指すのは魅力的な選択肢と言えるでしょう。

まとめ

ケアマネジャーとはどのような役割を持つ専門職なのか、その仕事の範囲や内容について解説しました。

親や家族に介護が必要になった際、頼れる存在としてケアマネジャーは重要なサポート役となります。

しかし、ケアマネジャーが対応できることとできないことがあることも理解しておく必要があります。

適切な役割を知ることで、よりよい相談や支援を受けることが可能です。

ケアマネジャーについてしっかり理解し、実際にお世話になる際には、信頼関係を築くことが介護を円滑に進めるために大切であることを忘れないようにしましょう。