【ROOTS】私って人の上に立つような人間ではなくて、温かく見守っていくことが好きなんです

【ROOTS】は、当社で働いている社員の方を紹介するコーナーです。
ケアリッツには毎月大勢の方が入社されています。どのような方がどのように活躍しているのか、インタビュー形式で紹介します。これから介護職へ転職を考えている方や、経験は無いものの介護に興味がある方々は、是非参考にしてください!
今回紹介するのは 木場事業所 佐藤 麻紀(サトウ マキ)さん
2014年12月に正社員入社された佐藤さん。経験ゼロで飛び込んだ介護の世界で、気づけば11年以上のキャリアを重ねてこられた、その背景や今後の展望等について伺ってきました。
ターニングポイント
-なぜ介護に興味を持つようになったのですか?-
実家が写真館を営んでいて、小さい頃から父の働く姿を見てきたので、高校卒業後は写真の専門学校に入り、卒業後は師匠について撮影関係の仕事を9年くらいしていました。その途中で結婚をしたんですが、築地魚河岸の若旦那の元に嫁いだので、仕事を終えて終電くらいで帰宅した後、まともに休む暇もなく午前2時くらいに夫を送り出して、どうにかこうにか2、3時間睡眠をとったらまた撮影のロケに向かう、といった生活が続き、さすがに体がもたなくなってきたので、結婚翌年の春には仕事を辞めて専業主婦として家を支えていました。ま、それから色々あって、「離婚しよう」ってことになり、これから自分1人で何をして食べていこうかって考えたんです。写真の仕事に戻るには、もうコネも何もなくなっていたので初めから選択肢にはありませんでしたね。で、改めて自分と向き合ってみて、以前義理のお母さんが入院した時に、色々と身の回りのお世話をしてすごく感謝されたこと、それがすごく嬉しかったことを思い出して、介護なんていいかも?って思いついたんです。ちっちゃい頃から世話好きな、なんならおせっかいくらいの性格ですし、家事は得意だし、体力には自信があったので、「これだ!」と思い、どうやったら介護の仕事に就けるのか大急ぎで調べました。専門学校に入って何年も勉強してっていうのはちょっと厳しいなと思ったんですけど、初任者研修だったらいけるなと思って、すぐに講座に申し込んで一月半くらいで資格を取りました。並行して家探し、仕事探しもして、離婚に向けての準備も進めて、「仕事も家も決めました!離婚してください!」って感じで、新生活がスタートしていった形です。
専門職としてのこれまで
-実際に介護の世界に飛び込んでみてどうでしたか?-
最初両親に介護の仕事をするって伝えた時は、「そんな底辺の人間がするような仕事につくことなんかない!誰にでも出来るような仕事を、わざわざお前がやる必要はない!」って、すごく否定されました。昔の人なんかからすると、まだまだそういう、いわゆる3Kのようなイメージが色濃い世界なんでしょうね・・・・・・。じゃあ、働いてみて実際にそうだったかって言うと、全然そんなことなくて、想像していた以上にやりがいがあって、「この仕事好きだな」って最初から感じました。それに、すごく頭を使う仕事なんだなっていうことも分かったので、決して誰にでも出来るような簡単な仕事ではないですね。
3年勤めて介護福祉士の資格を取ってからは、目の前で起きている事象についての理解が一気に深まったような気がします。受験勉強で病気のこととかを掘り下げて学んだので、例えば認知症の方と向き合うときなんかに、「あ、この方はこのタイプの認知症だからこういう反応が返ってくるんだな」って分析が出来るようになったので、益々この仕事の奥深さに気がつけるようになりました。また、長く勤めていると、ご逝去に立ち会うこともあります。今でもよく覚えているんですが、点滴とかも全て拒否して、「私の最期は自然のままに任せるの」っていう生き方をされていた方がいたんです。日を追うごとに食べることができなくなり、飲めなくなり、言葉を交わすことさえ難しくなっていって、目配せで、「ありがとう」っぽいサインを返してくるのがせいぜいという感じの中で毎日訪問していたんですけど、ある日の帰り際に、「ありがとう」って言葉で返してくれたんですね。あまりのことにちょっとびっくりしたんですけど、「こちらこそありがとうございます。また明日来ますね」って言って退室したんですが、その日の午後2時くらいに姪御さんが訪ねた時には息を引き取られていたそうです。その時にすごく感じたんですが、私たちって、その方の人生の最期に見た景色というか、最期に会った人物になり得るんですよね。人生の最期に見た私の顔はちゃんと笑顔だったのか?って、すごく真剣に考えました。一人の人間の人生の締めくくりが台無しになるか、満足のいくものになるかは、私たちの関わり方次第で全然変わってしまうんじゃないかって。ご利用者は今日も明日も何があるかわからない、ましてや一週間後なんてなんの約束もできないようなお年頃だったりするわけですよ。なので、その日以来、どんなに元気そうに見える人とだって、帰り際の挨拶は明るく笑顔で、「また来ますね!」って言うように決めたんです。誰かが亡くなることは何度経験しても毎回悲しいです。それでも、仕事を通して学べることが何年たっても尽きないほど沢山あるので、この仕事が嫌で辞めたいなんて思ったことは一度もないですね。むしろ天職!本当に好きで好きで仕方がないです。そんな私の姿を見て、今ではすっかり両親も応援してくれるようになりました。
ケアリッツへの転職
-ケアリッツに転職してみていかがですか-
資格を取って、家を木場付近に決めたときに、ケアリッツ以外にもう2社ほど訪問介護の会社の面接を受けました。資格取り立ての未経験者がいきなり正社員として雇用してもらうのはなかなか厳しくて、どの会社も、「介護福祉士を取るまではパート社員」、「サービス提供責任者になったら正社員」といった具合でした。それに、離婚をする際に、飼っていた2匹の犬も一緒に連れてきたんですが、「犬が病気になったとかっていう理由では休めないからね」的なことまで言われる有様だったんです。そんな中でケアリッツでの面接は全然違っていて、「入社初日から正社員ですよ」、「経験がなくてもしっかり教えるので大丈夫です」、「犬だって家族なんだから、何かあったらちゃんとシフト調整します」って言ってもらえたんです。ああ、ここしかないなって思いました。そのあと、当時は二次面接を社長がご自身で行っていたんですが、履歴書に書いていた趣味のダーツ(小さいけれどチームにも所属してるんですよ)の話に花が咲いて、11年以上たった今でも、毎年開催されるクリスマスパーティなんかでお会いすると、「最近ダーツどう?」って声をかけてくれるんです。すごい記憶力ですよね。
無事に入社させてもらって、いよいよ満を持して介護デビューを果たしたわけですが、私が、「もう大丈夫です」って言うまで何回も同行について介護の仕方を徹底的に教えてもらえたので、今では、「佐藤さん上手ね」って皆さんから言ってもらえるくらいに成長することができました。また、すっかり歳を取ってしまった愛犬のうちの1匹が、いよいよ長くないかな?っていう状況になった時も、「空き時間で様子見に行ってきてあげていいよ」って配慮してもらえたので、最期まできちんと看取ってあげることも出来ました。本当に感謝、感謝です。11年以上同じ事業所で勤めていると、色々なスタッフさんが入ってくるので、一人だけどうにも私のことが気に入らなくて仕方がないっていう、後輩でしたがお局さんのような方と一緒に働いていた期間もありました。異動の相談をしようかとも思ったんですが、「ここで私が外れたらシフトが回らなくなって、ご利用者にもほかのスタッフにも迷惑がかかる」と思い、一年ほど耐えました。訪問介護って、同僚にどんな人がいても、介護現場ではご利用者と一対一でいれるし、自転車で移動しているうちに気分転換もできちゃうっていうのがいいですよね。施設とかでそういった人間関係のもと働いていたら、続けられなかったかもしれません。結局その方はご自身から退職していかれて、それ以降は本当に人に恵まれ続けています。自身をもって社内で一番環境がいい事業所だって言えますね。スタッフ全員仲が良くて協力的ですし、それでいて過干渉にはならない丁度良い距離感を保っていて、本当に居心地がいい事業所だと思います。
これから
-今後の目標を聞かせてください-
私って人の上に立つような人間ではなくて、温かく見守っていくことが好きなんです。なので、サービス提供責任者は性格的に向いていないという自覚があったので、サービス提供責任者と現場のヘルパーさんたちの橋渡しをするような、「主任ケアスタッフ」という社内独自の職位に就かせてもらってます。サービス提供責任者のフォローをしたり、新人の育成をしたり、世話焼き気質の私にはぴったりのポジションなので、すごくやりがいを感じています。なので、定年までしっかりとこの立ち位置で木場事業所のお役に立てればと思っています。ただ、80歳を過ぎた両親のことも心配で、先日母が転んで背骨を折ってしまったんですね。休みごとに見舞いには行ってますが、神奈川に住んでいるので往復でなかなかの時間がかかってしまうので、そんなにしょっちゅうは顔を出せません。「リハビリをして徐々に歩けるようになってきているから大丈夫よ」とは言ってくれてますが、いずれは近くに越して面倒を見て行きたいなって思っています。そうなれば大好きな木場事業所から離れるしかないですが、ケアリッツは事業所が沢山あって、退職や転職をしなくても異動という選択肢が取れるので、仕事と家族のことをちゃんと両立しやすいのがありがたい限りです。でもやっぱり本音は定年まで木場にいたいんですけどね。
仕事も事業所のことも本当に大好きで仕方がないという思いが、全身からあふれて止まらないといった様子の佐藤さん。上に立つのではなく、寄り添うことでしか伝えられないことをとても大切にされていて、常に相手の目線まで膝を折って合わせていこうとしている姿勢は、ご利用者だけではなく、そのご家族や同僚スタッフにとっても頼もしい存在として映っていることでしょう。貴重なお話、ありがとうございました!