介護福祉における通所とは?サービスの種類や費用を詳しく紹介

介護福祉で使われる通所とは、施設に「入る」のではなく「通う」形で支援を受けることです。
初めて「通所」と聞く方の中には、「どんな支援を受けられるのか」「サービスの種類は?」など、分からないことが多いのではないでしょうか。
この記事では、通所の意味や種類、費用の目安までを分かりやすく解説します。
通所の意味を知りたい方やサービスの利用を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
介護福祉における通所とは?
介護福祉における通所とは、必要なサービスを受けるために自宅から施設に通うことを指します。
自宅での生活を続けながら、介護やリハビリ、日常生活の支援を受けられる点が大きな特徴です。
まずは、介護福祉における通所の概要を詳しく見ていきましょう。
必要な支援やサービスを受けられる施設に通うこと
通所とは、自宅を生活の拠点にしながら、介護や支援を受けるために日帰りで施設へ通うことです。
QOL(生活の質)の向上を目的としており、療養、介護、リハビリなどが行われるのが特徴です。
基本的に宿泊を伴うサービスではなく、週に数回など決まったタイミングで施設を利用し、利用後は自宅に戻ります。
普段は「通う」と言うことも多いですが、公的なサービスや書類では「通所」という表現が用いられます。
通所は4つの分野に分けられる
通所は、大きく以下の4つの分野に分けられます。
- 介護サービス(通所介護・通所リハビリ)
- 障害福祉サービス(生活介護・就労支援)
- 子どもの支援(児童発達支援・放課後等デイサービス)
- 医療やリハビリ分野
いずれも共通しているのは、生活の拠点は自宅のまま、日中だけ施設を利用するという点です。
通所の対象となる人
通所の対象となる人はサービスの種類によって異なりますが、主な対象は以下のとおりとなっています。
- 高齢者で介護や見守りが必要な方
- 障がいを持つ方で日中の活動や支援が必要な方
- 発達に課題のある子どもや学齢期の子ども
共通点は、「自宅での生活は可能だが、日中に支援があると安心・安全に過ごせる方」であることです。
例えば、高齢者であれば介護度や疾患によって、一人で長時間過ごすことに不安がある場合や、日常生活の中で見守りや介助が必要な場合に通所サービスが利用されます。
通所で行われる主なサービス内容
通所サービスの内容は分野によって異なりますが、一般的には次のような支援が行われます。
- 食事や入浴などの生活支援
- 機能訓練やリハビリ
- レクリエーションや集団活動
- 学習支援や就労に向けた訓練
- 他者との交流や社会参加の機会提供
- 送迎 など
多くの通所サービスでは送迎が用意されており、外出に不安がある方でも利用しやすい仕組みになっています。
また、医師や看護師が勤務している事業所であれば、医療的ケアを受けられるところもあります。
通所サービスで働くスタッフ
通所サービスでは、豊富な職種のスタッフが働いています。
- 管理者
- 生活相談員
- 生活支援員
- 介護職員
- 看護師
- 介護スタッフ
- 機能訓練指導員(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)
- 調理員
- 事務員 など
上記に挙げたすべての方が現場で働いているわけではなく、事業所や目的などによって働くスタッフは異なります。
通所サービスの1日の流れ
通所サービスの1日の流れは、施設によって異なりますが、ほとんどの事業所が以下の流れとなっています。
| 時間 | 内容 |
| 8:15 | 出勤・朝礼・送迎 |
| 9:30 | バイタルチェック・利用者に向けての朝礼 |
| 10:00 | レクリエーション・リハビリ・体操 など |
| 11:30 | お茶休憩 |
| 12:00 | 昼食・服薬介助・歯磨き・口腔ケア |
| 12:30~13:00 | 順番にスタッフ休憩 |
| 13:30 | レクリエーション・リハビリ・体操・入浴 など |
| 15:00 | おやつ・お茶休憩 |
| 16:00 | 送迎・片付け・掃除 |
| 17:00 | 翌日の申し送り |
| 17:15 | 退勤 |
一般的な流れはこちらのとおりですが、そのほかにも季節のイベントや外出サービスを行っている事業所もあります。
宿泊を伴う通所サービスもある
通所サービスは基本的に日中のみですが、何らかの事情により見守りが必要になった方は、宿泊を伴うサービスを受けられます。
宿泊を伴う通所サービスは、入所待ちやショートステイ(短期入所)のニーズが増加傾向にあることから、近年利用される方が増えてきています。
ただし、すべての事業所が行っているわけではなく、対応可能と判断された施設しか宿泊サービスを受けられません。
また、基本的に緊急時や短期利用向けとなっているため、上限を設けている自治体もあります。
宿泊を伴う場合は介護保険適用外となりますので、すべて実費となることに注意が必要です。
通所と入所の違い
通所と入所の違いは、「施設に通うか、施設で生活するか」だけではありません。
受けられるサービスの内容や、スタッフの働き方にも違いがあります。
| 通所施設 | 入所施設 | |
| 利用者の介護度 | 比較的低い | 比較的高い |
| 主なサービス内容 | l 身体介護 l レクリエーション l リハビリテーション l 送迎 | l 身体介護 l 生活のサポート l レクリエーション l リハビリテーション l 起床介助・就寝介助 l 夜間の見守り |
| 介護職の働き方
| l 日勤のみが一般的 l 土日が休み | l 2交代制や3交代制といったシフト勤務が一般的 l 曜日に関係ない働き方 |
このように、通所と入所では利用者の介護度や支援の範囲が大きく異なります。
通所は日中の支援を中心としており、入所は24時間体制での介護や見守りが必要な方を対象としています。
【一覧】通所サービスの種類
通所と一言でいっても、さまざまなサービスがあります。
- 通所介護(デイサービス)
- 通所リハビリテーション(デイケア)
- 生活介護
- 就労移行支援・就労継続支援
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
対象者や目的に応じて内容が大きく異なるため、具体的なサービス名まで確認することが大切です。
高齢者向けと障がい者向けに分け、それぞれのサービスの特徴を紹介していきます。
高齢者に関する通所サービス
高齢者向けの通所サービスには、日常生活の支援からリハビリまで、目的に応じたさまざまな種類があります。
通所介護(デイサービス)
デイサービスは、高齢者が自宅に住み続けながら、日中のみ介護を受けられる通所型のサービスです。施設では入浴や食事の支援をはじめ、体操や趣味活動などが行われ、無理のない範囲で体を動かす機会が用意されています。定期的に通うことで閉じこもりを防ぎ、他者との関わりが生まれる点もメリットです。家族にとっては介護負担の軽減につながり、在宅生活を続けるための大切な支えとなります。
通所リハビリテーション(デイケア)
通所リハビリテーションは、医療機関や介護老人保健施設などに通い、専門職によるリハビリを受けるサービスです。理学療法士や作業療法士が中心となり、歩行訓練や日常動作の改善を目指した支援が行われます。日常生活の介助が主な目的のデイサービスとは異なり、身体機能の維持・回復に重点が置かれている点が特徴です。医師の管理のもとで実施されるため、リハビリを継続したい方に向いています。
地域密着型通所介護
地域密着型通所介護は、定員18人以下の小規模な通所サービスで、家庭的な雰囲気の中で支援を受けられる点が特徴です。食事や入浴の介助に加え、機能訓練や交流の場が提供されます。利用対象は要介護1以上の方で、住んでいる市町村内の事業所しか利用できません。少人数制のため、一人ひとりに目が行き届きやすく、落ち着いた環境を求める方に向いています。
認知症対応型通所介護(認知症対応型デイサービス)
認知症対応型通所介護は、認知症の診断を受けた高齢者を対象にした専門的な通所サービスです。認知症ケアに精通した職員が配置され、安心して過ごせる環境が整えられています。日常生活の支援に加え、認知機能の維持を意識した活動が行われる点が特徴です。送迎もあるため、家族の負担を抑えながら利用できます。
介護老人保健施設における通所サービス
介護老人保健施設が提供する通所サービスは、在宅復帰を目指す高齢者を支えるためのリハビリ中心の支援が特徴です。
医師や看護師、リハビリ専門職が連携し、身体機能の維持・向上を目指します。
施設入所が基本となっていますが、施設によっては通所サービスを行っているところもあります。
日常生活の介助も受けられるため、退院後の生活を整える段階で利用されることが多いサービスです。
療養通所介護
療養通所介護は、医療的ケアが必要な高齢者を対象とした通所型サービスです。
地域密着型サービスに該当し、住み慣れた地域の方々が利用することが多いのが特徴です。
看護師が常駐しており、医療処置が必要な方でも安心して利用できます。
高齢者を中心としたサービスですが、地域によっては訪問看護ステーションや障がい者支援施設などに併設されているところもあり、障がいを持った方も利用します。
障がいを持つ方に関する通所サービス
障がいを持つ方に関する通所サービスは、高齢者の通所サービスと同様に、さまざまな目的に応じた種類があります。
生活介護
生活介護は、日常生活に支援が必要な障がいのある方を対象とした通所サービスです。
食事や入浴、排せつなどの身体的なサポートに加え、掃除や洗濯といった生活面の支援も行われます。
事業所では、創作活動や軽作業、体を動かすプログラムなどが用意されており、無理のないペースで日中を過ごせる環境が整えられています。
日常にメリハリをつけながら、安心して地域生活を続けるための支えとなるサービスです。
就労移行支援
就労移行支援は、一般企業への就職を目指す障がいのある方を対象とした通所サービスです。
事業所では、働くために必要なスキルの習得や職場体験、就職活動のサポートが行われます。
履歴書の作成や面接練習だけでなく、働く上での不安や課題にも丁寧に向き合いながら支援が進められます。
就職後も職場に定着できるよう、継続的なフォローが受けられる点が特徴です。
就労継続支援
就労継続支援は、一般企業で働くことが難しい方に、働く機会を提供する通所サービスです。
A型とB型に分かれており、A型は雇用契約を結んで働く形、B型は自分のペースで作業に取り組む形となっています。
体調や能力に応じて働きながら、社会参加を続けられる点が特徴です。
将来的に一般就労を目指すことも可能です。
児童デイサービス
児童デイサービスは、障がいのある子どもを対象とした通所支援の総称として使われてきた言葉です。
現在は、児童発達支援や放課後等デイサービスなどに整理されています。
年齢や障がいの特性に応じて、日常動作の練習や集団生活への適応支援が行われます。
子ども一人ひとりの成長段階に合わせた支援が特徴です。
通所サービスにかかる費用
通所サービスの利用頻度は、週1回から数回が一般的で、状態や希望に応じて調整されます。
費用は制度や利用時間などによって異なり、加えて対象者によっても違ってきます。
ここでは、高齢者と障がいを持つ方それぞれの、通所サービスにかかる費用を見ていきましょう。
介護サービスにかかる費用
高齢者の通所サービスの費用は、通常1~3割程度の自己負担があります。
具体的には、以下のとおりです。
| 要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
| デイサービス | 345~669円 | 395~791円 | 446~915円 | 495~1,041円 | 549~1,168円 |
| 通所リハビリテーション | 470~762円 | 547~903円 | 623~1,046円 | 719~1,215円 | 816~1,374円 |
| 地域密着型通所介護 | 418~783円 | 478~925円 | 540~1,072円 | 600~1,220円 | 663~1,365円 |
| 認知症対応型通所介護 | 543~1,026円 | 597~1,137円 | 653~1,248円 | 708~1,362円 | 762~1,472円 |
※すべて1回の金額
通所サービスの費用に関しては、要介護度、利用時間、事業所の規模によって変わってくるのが特徴です。
通所サービスの利用時間は3時間以上から9時間未満に分けられ、時間数によって負担額が異なります。
また、デイサービスと通所リハビリテーションに関しては、事業所の規模によっても金額が異なります。
障がい者サービスにかかる費用
障がい者向けの通所サービスにかかる費用は、障害程度区分やサービス内容、地域によって異なるため、決まった金額はありません。
基本的な計算方法は【「算定する単位数 × 地域ごとの1単位の単価」=サービス費用】です。
ただし、療養介護の事業所に関しては、地域にかかわらず「単位数×10円」の一律となっています。
利用者が実際に支払う金額は、原則としてサービス費用の1割です。
負担額は、ご本人や世帯の収入状況をもとに決められ、1カ月あたりの負担には利用上限額が設定されているため、過度な負担が生じにくい仕組みになっています。
なお、サービス費とは別に、食事代や光熱水費、交通費などの実費がかかることがあります。
具体的な上限額については、以下の表をご確認ください。
| 所得区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
| 生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
| 低所得 | 市町村税非課税世帯※1 | 0円 |
| 一般1 | 市町村税課税世帯※2 | 9,300円 |
| 一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
※1障害基礎年金1級を受給している世帯で、3人家族かつ世帯年収がおおよそ300万円以下の場合
※2おおよその年収が670万円以下とされる世帯(20歳以上で施設入所やグループホームを利用している方は「一般2」に分類)
※【世帯の考え方】障害者(18歳以上):本人+配偶者 障害児:保護者の世帯
利用する事業所によっては医療費や食費が軽減されたり、補助が出たりする場合もあります。
通所のメリットとデメリット
通所サービスは、自宅での生活を続けながら必要な支援を受けられる点が大きな特徴です。
一方で、利用するにあたっては注意しておきたい点もあります。
ここでは、通所サービスを検討する上で知っておきたいメリットとデメリットを、それぞれ詳しく見ていきましょう。
通所サービスのメリット
通所サービスのメリットには、以下が挙げられます。
- 生活にメリハリがつく
- 健康維持につながる
- 生活のサポートをしてもらえる
- コミュニケーションの機会が得られる
- 家族の介護負担を減らせる
通所サービスのデメリット
デメリットには、以下が挙げられます。
- 費用負担がある
- 環境が合わない可能性がある
通所サービスがおすすめな人
最後に、通所サービスがおすすめな人を紹介していきます。
通所を検討されている方は、参考にしてみてください。
- 人とコミュニケーションをとるのが好きな人
- 体や精神の機能維持を目的としている人
- 生活のメリハリをつけたい人
- 家族の介護負担を減らしたい人
- 軽度の認知症を患っている人
- 日常生活の一部に介助が必要な人
これらに当てはまる方は、通所サービスを利用することで、日中をより安心して過ごせるようになります。
迷った場合は、相談窓口に相談しながら、無理のない形で利用を検討してみてください。
まとめ
本記事では、介護福祉における通所とは何かをはじめ、サービスの種類や対象となる人、費用の目安、メリット・デメリットまでを幅広く解説しました。
通所サービスは、自宅での生活を続けながら必要な支援を受けられる点が大きな特徴で、高齢者や障がいを持つ方、子どもまで幅広い世代に利用されています。
通所を上手に活用することで、本人の生活の質向上だけでなく、家族の負担軽減にもつながります。
少しでも気になる場合は、ケアマネジャーや相談窓口に相談し、自分や家族に合ったサービスを検討してみてください。





