ガイドヘルパーとは何をする仕事?資格の取得方法やメリットを解説

ガイドヘルパー(移動介護従事者)という資格があるのをご存じですか?
ガイドヘルパーは、屋外での移動が困難な方の介助を行う仕事です。
この記事では、ガイドヘルパーの仕事内容や必要な資格について解説します。
取得するメリットを紹介しているので、興味のある方は参考にしてください。
ガイドヘルパーの仕事内容
ガイドヘルパーとは、どのような職業なのでしょうか。
ガイドヘルパーの担当業務について解説します。
同行援護
視覚障がいにより移動が困難な方に対して、外出時の安全をサポートするのが同行援護です。
視覚障がい者が安心して外出できるように、信号や看板などの視覚的な情報を伝達したり、障害物を避けるために周囲の安全を確保したりします。
同行援護の業務は、移動の支援だけではありません。
利用者がトイレに行きたくなったときはトイレまで案内し、鍵やトイレットペーパー、水を流すボタンの位置などもガイドします。
スーパーに買い物に行く場合は、商品の場所案内や、値段や賞味期限を伝えることも必要です。
銀行や市役所へ同行したときは、代読や代筆を行うこともあります。
行動援護
知的障がいや精神障がいにより移動が困難な方に対して、移動時や外出時の危険を回避するためにサポートするのが行動援護です。
支援対象者は初めて訪れる場所の場合は興奮してしまったり、思いがけない行動をとったりする可能性があるので、その場で適切な対応をとる必要があります。
食事やトイレの介助が必要なケースでは、身体介護サービスの提供も必要です。
利用者によって個性や状態が異なるので、臨機応変な対応が求められます。
全身性障がい支援
脳性まひや脊椎損傷、筋ジストロフィーなど、四肢の機能障がいがある方に対して、外出のサポートをするのが全身性障がい支援です。
立位を保つのが困難になるので、基本的に車椅子での移動が必要になります。
全身性障がい支援では目的地までの移動をサポートするだけではなく、食事や排泄などの介助も必要です。
車椅子での移動ルートの確保や障がい者用トイレの確認など、事前に準備しておくことも仕事に含まれます。
電車で移動する場合は、駅員の介助の手配も必要です。
ガイドヘルパーとして働ける職場
ガイドヘルパーはどのような職場で活躍しているのでしょうか。
働ける職場を紹介します。
訪問介護・居宅介護事業所
自宅で生活している方に、介護サービスを提供するのが訪問介護・居宅介護事業所です。
ガイドヘルパーは、同行援護や行動援護の指定を受けている訪問介護や居宅介護事業所で働くことができます。
さまざまな障がいにより、一人での外出が困難な利用者の買い物や通院時の移動をサポートするのが主な業務です。
正社員はもちろん、パートやアルバイトなど、自分のライフスタイルに合った働き方が選択できます。
訪問介護や居宅介護サービスでは、移動支援のほかに介護業務を伴う事業所がほとんどです。
障がい者支援施設
日常的に介護が必要な方が入所しているのが、障がい者支援施設です。
障がい者支援施設で働くガイドヘルパーは、視覚や知的、精神や全身に障がいを持つ利用者に対し、安全に外出や社会参加ができるようにサポートします。
通院や買い物、映画や散歩などの同行業務が、主な業務です。
移動支援事業受託事業所
市区町村や都道府県が実施する移動支援事業を受託しているのが、移動支援事業受託事業所です。
ガイドヘルパーとして働く場合、職員として事業所に就職するパターンと、自治体の管理する登録名簿に登録するパターンがあります。
登録する場合はアルバイトやパートの感覚で好きな時間に働けますが、職員として就職する場合は外出支援だけでなく、介護業務も担当するのが一般的です。
公的機関
ガイドヘルパーとして働ける公的機関は、社会福祉協議会です。
行政や自治体は市区町村の生活支援事業として、社会福祉協議会のような公的機関が窓口となり、利用者の要望に応じて登録されたガイドヘルパーを派遣しています。
ガイドヘルパーの資格について
ガイドヘルパーとして働くためには、資格が必要です。
ガイドヘルパーの資格の種類や、養成講座の受講対象者、費用について詳しく解説します。
資格の種類
ガイドヘルパーになるためには、支援する障がい種別に応じて、次の3種類の資格の中から、いずれかを取得する必要があります。
- 同行援護従事者養成研修:視覚障がい
- 行動援護従事者養成研修:知的障がい、精神障がい
- 全身性障がい者移動支援従業者養成研修:四肢の機能障がい
ガイドヘルパーの正式名称は、移動介護従事者です。
どの資格にも修了試験がなく、都道府県や市区町村の指定する養成講座を受講し、修了することで資格が取得できます。
受講対象者
ガイドヘルパーによる外出介護は、市区町村などの自治体が、移動支援事業としてサービスを提供しています。
ガイドヘルパー養成講座の受講対象者は、市区町村ごとに定められているのが一般的です。
そのため、住んでいる場所によっては無資格で受講できる場合もありますが、介護初任者研修などの資格が必要な場合もあります。
保有している介護の資格によって、一部の科目が免除になるケースも少なくありません。
科目免除により、研修期間の短縮や受講費用を割引する制度もあります。
ガイドヘルパーの資格を取得するときは、受講資格を確認しましょう。
受講費用
ガイドヘルパー養成講座の受講費用は、資格の種類や受講する地域によって異なります。
資格の種類別の受講費用の目安は、次のとおりです。
- 同行援護従事者養成研修:2~5万円
- 行動援護従事者養成研修:2~5万円
- 全身性障がい者移動支援従業者養成研修:2~5万円
時期によっては、養成スクールが独自に実施している割引を受けられることもあるでしょう。
また、全身性障がい者移動支援従業者養成研修は、介護職員初任者研修以上の資格を持っている場合、一部の科目免除が適用され受講費用も安くなります。
全身性障がい支援の資格取得を考えている場合は、初任者研修を先に取得することを検討しましょう。
養成講座のカリキュラム
ガイドヘルパー養成講座のカリキュラムの内容は、地域ごとに異なります。
カリキュラムの一例を、資格の種類ごとにチェックしていきましょう。
| 資格の種類 | カリキュラムの一例 |
| 同行援護従事者養成研修 | ・外出保障 ・視覚障がい者の理解と疾病①② ・視覚障がい者(児)の心理 ・視覚障がい者(児)福祉の制度と サービス 一般課程 ・同行援護の制度 ・同行援護従業者の実際と職業 倫理 ・情報提供 ・代筆・代読①② ・誘導の基本技術①② ・誘導の応用技術(場面別・街歩き)①② ・交通機関の利用 応用課程 ・サービス提供責任者の業務 ・さまざまな利用者への対応 ・個別支援計画と他機関との連携 ・業務上のリスクマネジメント ・従業者研修の実施 ・同行援護の実務上の留意点 |
| 行動援護従事者養成研修 | ・強度行動障がいがある者の基礎的理解 ・強度行動障がいに関する制度および支援技術の基礎的な知識 ・強度行動障がいがある者へのチーム支援 ・強度行動障がいと生活の組立て ・基本的な情報収集と記録等の共有 ・行動障がいがある者の固有のコミュニケーションの理解 ・行動障がいの背景にある特性の理解 ・障がい特性の理解とアセスメント ・環境調整による強度行動障がいの支援 ・記録に基づく支援の評価 ・危機対応と虐待防止 |
| 全身性障がい者移動支援従業者養成研修 | ・ガイドヘルパーの制度とサービス ・障がいの理解 ・移動支援の方法 ・屋内の移動介助 ・屋外の移動支援 ・公共交通機関の演習 等 |
カリキュラムは地域により、科目や日数・時間数が異なります。
修了までの期間の目安は、次のとおりです。
- 同行援護従事者養成研修:合計28時間(全4日間)、合計6時間(全1日間)
- 行動援護従事者養成研修:合計24時間(3日間または4日間)
- 全身性障がい者移動支援従業者養成研修:全2~3日間
指定された全日程を履修すれば、全カリキュラム修了後に修了証明書を取得することができます。
養成講座の受講方法
ガイドヘルパー養成講座は、都道府県が指定している民間の養成機関で受講するか、福祉系の専門学校や大学に進学して受講することができます。
どちらも実技演習が豊富で、就職サポートも充実しているのが魅力です。
進学を選んだ場合は、ガイドヘルパー以外の資格取得も目指せます。
ガイドヘルパーになるメリット
ガイドヘルパーの資格を取得するメリットは、次のとおりです。
- 障がい者の支援ができる
- 働き方の選択肢が豊富
- 仕事の幅が広がる
- キャリアアップができる
メリットの内容について詳しく解説します。
障がい者の支援ができる
どれだけ障がい者の支援を希望しても、ガイドヘルパーの資格がない場合は移動支援の仕事に就けない自治体もあります。
資格さえ取得すれば、視覚や聴覚、精神や身体に障がいを持つ方の手助けが可能です。
一人では外出が困難な障がい者は、気軽に買い物や散歩を楽しむことができません。
ガイドヘルパーになれば外出したい障がい者の希望を叶えて、喜びを共有することができます。
働き方の選択肢が豊富
ガイドヘルパーは一定の需要がある職種ですので、求人の選択肢が豊富です。
原則夜勤がないので、家族のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方ができます。
事業所に正社員として就職したり、自治体にアルバイトやパートとして登録したり、多様な働き方が可能です。
正社員として働く場合も週休2日制が基本で、残業が少ないのもガイドヘルパーの魅力になります。
仕事の幅が広がる
ガイドヘルパーの資格を取得すれば、介護職員として担当できる仕事の幅を広げることができます。
介護の資格に加えてガイドヘルパーの資格を取得すると、事業所によっては資格手当が支給される可能性があるでしょう。
仕事の幅が増えることで活躍できる職場も増えるため、転職を検討している方は有利になります。
キャリアアップができる
ガイドヘルパーの資格を取得した後は、初任者研修の資格を取得して実務経験を積むと、上位資格である実務者研修や介護福祉士の資格を取得する要件を満たせます。
上位資格を取得すれば、サービス提供責任者やサービス管理責任者など、介護や福祉の業界で着実なキャリアアップが可能です。
もちろん同行援護や行動援護の専門性を高めることも可能で、経験とスキルを身につければ、いずれは管理職に就くことができるでしょう。
ガイドヘルパーに向いているのは
ガイドヘルパーとして働くのが向いている方の特徴は、次のとおりです。
- 臨機応変な対応ができる
- コミュニケーション能力が高い
- 方向感覚に優れている
- 行動力がある
ガイドヘルパーに向いている方の特徴について、詳しく解説します。
臨機応変な対応ができる
ガイドヘルパーとして利用者の移動を介助しているときは、予期せぬことが起こる可能性があります。
不測の事態が起こったときに、すぐ動ける方はガイドヘルパーの適任者です。
ハプニングが発生したときに放置されてしまうと、利用者は不安な気持ちになります。
ガイドヘルパーの仕事は、臨機応変な対応ができなければ務まりません。
慌てることなく柔軟に対応できる方であれば、利用者の信頼が得られるでしょう。
コミュニケーション能力が高い
ガイドヘルパーは常に利用者と行動を共にするため、初対面でも積極的にコミュニケーションが取れる性格の方が向いています。
利用者から信頼される方でないと、スムーズな移動介助は困難です。
相手に寄り添う姿勢を見せて、信頼関係を構築することがガイドヘルパーに欠かせない能力になります。
方向感覚に優れている
ガイドヘルパーは、利用者が行きたい方向を目指して移動を介助する仕事です。
身の回りの安全だけではなく、土地勘のない場所でも迷子にならずに目的地に案内できる、優れた方向感覚が必要になります。
地図を見ながら介助するのは危険ですので、道順を正確に覚えることができる記憶力も必要です。
行動力がある
移動介助は屋外での業務となるため、フットワークが軽くて行動力がある方が適性があります。
買い物の付き添いから映画鑑賞、スポーツ観戦からライブ鑑賞まで、外出先の行動範囲は広がります。
家の中でゆっくりするのが好きな方よりも、外に出てアクティブに活動できる方がこの仕事には向いています。
ガイドヘルパーに関するQ&A
最後に、ガイドヘルパーのよくある質問に回答します。
給料はどのくらいもらえる?
ガイドヘルパーの給料は、働く事業所や保有している資格によって異なります。
また、事業所で正社員として働く場合と、自治体に登録してアルバイトやパートとして働く場合でも、もらえる給料の差は大きくなります。
厚生労働省の調査結果によると、障害福祉サービスで働く福祉・介護職員の平均月給は、32万7720円であることが分かります。
参考:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果の概要」
この結果から、ガイドヘルパーの平均給料は、およそ25万円程度と推測できるでしょう。
向いていない方の特徴は?
ガイドヘルパーに向いていない方の特徴は、次のとおりです。
- 体力に不安がある
- 感情をコントロールするのが苦手
- 他人と長時間一緒にいるのが苦手
もちろん向いていなくても、ガイドヘルパーを目指すことはできます。
ただし、適性がない場合は、仕事を続けるのが難しいと感じやすくなるでしょう。
資格なしでも働ける?
無資格でも利用者の身体介助の補助や、外出送迎時の乗降介助は可能です。
体に直接触れる介助や移動介助は、資格を持っていないとできません。
ガイドヘルパーの資格は最短2日で取得できるので、資格を取得した方が働きやすいでしょう。
まとめ
今回は、ガイドヘルパー(移動介護従事者)の仕事内容や、資格の取得方法について解説しました。
ガイドヘルパーは、さまざまな理由で外出するのが困難な方の移動や、社会参加をサポートする専門職です。
移動介助の業務に携わるためには、利用者の障がい種別に対応した資格の取得が必要になります。
ガイドヘルパーは、常に一定の需要が期待できる職種です。
障がい者介助に興味のある方は、ガイドヘルパーの資格取得を検討しましょう。





