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介護難民とはどのような人?増えている原因や解決方法を詳しく紹介

介護難民とはどのような人?増えている原因や解決方法を詳しく紹介

高齢化の進行に伴い、必要な支援を受けられない「介護難民」が増えていますが、こうした背景には人手不足や少子高齢化の影響があり、今後さらに深刻化すると考えられています。

そのため「施設に入れない」「在宅介護が限界」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、介護難民とはどういった人なのかを整理し、現状や原因、具体的な対処法まで解説します。

介護を受けたいのに受けられない方が身近にいる場合や、将来に不安がある方はぜひ最後までご覧ください。

介護難民とはどのような人?

介護難民とは、深刻な人手不足や施設不足により、自宅・施設を問わず必要な介護サービスを受けられない高齢者や障害者を指します。

ここでは、実際の介護難民の人数や現状を見ていきましょう。

実際の介護難民の割合

介護難民の実態を把握する際に参考になる指標の一つとして、特別養護老人ホームの入所申請者数を紹介します。

厚生労働省の調査によると、特別養護老人ホームの入所申請者数は、令和4年で27.5万人、令和7年で22.5万人以上いると分かっています。

令和4年から令和7年にかけて申込者数が減少しているように見えますが、これはあくまで特別養護老人ホームのみの数字です。

実際には、ほかの介護施設を希望する方や申し込みができていない方など、統計に現れない多くの人々が、今も適切なサービスを受けられていない可能性があります。

出典:厚生労働省
特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和4年度)に関する調査結果を公表します

出典:厚生労働省
特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和7年度)に関する調査結果を公表します

特に都市部では深刻化している

介護難民の問題は、特に人口が密集する都市部で深刻化しているといわれています。

内閣府の調査によると、令和5年の65歳以上の人口は東京都で約320万人、大阪府で約242万人に達しており、高齢者の数そのものが地方に比べて多いのが現状です。

都市部では高齢者が急増する一方で、支え手となる若い世代の不足が課題となっています。

さらに、都市部では土地を確保するのが難しく、新しい介護施設を建設することも簡単ではありません。

高齢者の絶対数が多い都市部ほど需要に対して供給が追いつかず、介護難民が発生するリスクが高い状況にあるといえます。

出典:内閣府「第1章 高齢化の状況(第1節 4)

重度訪問介護も介護難民化している

介護難民は高齢者だけではなく障がいのある方にも関係しますが、障がい分野で特に介護が足りていないといわれているのが、重度訪問介護です。

重度訪問介護とは、重度の身体障がいや精神・知的障がいのある方が対象の障がい福祉サービスです。

日常生活全般にわたる介助に加え、外出時の支援や見守りなども含まれるため、支援の負担が大きく、人材の確保が課題となっています。

その結果、必要なサービス量を確保できないケースも見られ、障がいのある方においても支援が十分に行き届かない、いわゆる介護難民の問題が生じています。

介護難民は今後さらに深刻化する見込み

近年増加が懸念されている介護難民は、今後さらに深刻化する可能性が示唆されています。

厚生労働省が行った日本の人口調査によると、2030年には日本の総人口が1億1,662万人に対し、65歳以上の方が3,685万人に達すると予想されています。

2060年になると総人口が8,674万人まで減少する一方で、65歳以上の方が3,464万人と、およそ40%の方が高齢者になると予想されているのです。

少子高齢化が進む日本では、今後多くの方が介護難民になると考えられており、何らかの対策が必要となってくるでしょう。

出典:厚生労働省「我が国の人口について

介護難民が増えている原因

介護難民が増えている原因は、少子高齢化だけでなく、人材不足や経済的な問題など、さまざまな要因が考えられています。

ここでは、介護難民が増えている原因をそれぞれ詳しく解説します。

介護認定を受ける高齢者が増えているから

要介護・要支援の認定を受ける高齢者は、令和2年3月末の時点で約682万人に達しているとの結果が出ています。

これは、介護保険制度が普及したことも関係しているでしょう。

介護保険制度が始まった2000年当初は「介護は家族が担うべきで、他人の手を借りるのは恥ずかしい」と抵抗のある人もいましたが、高齢化が進み介護問題が身近なものになるにつれ、公的サービスの必要性は広く認識されるようになりました。

現在では、介護を社会全体で支える考え方が定着し、適切な支援を受けるために介護保険制度を利用するのが一般的です。

こうした環境の変化が、認定を受ける高齢者の増加につながっていると考えられます。

出典:厚生労働省「介護分野の最近の動向について

介護スタッフと受け入れ施設が不足しているから

介護を必要とする人が増えるほど、それに対応する介護スタッフや受け入れ施設の確保が求められます。

しかし実際には、人材の確保や新たな事業所の整備が需要に追いついておらず、供給不足が続いています。

厚生労働省の調査によると、令和5年時点の介護職員数は約212.6万人にとどまっています。

一方で、要介護・要支援の認定を受けた高齢者は約705万人にのぼり、大きな開きがあることが分かります。

認定を受けたすべての人が同じ水準の介助を必要とするわけではありませんが、この差は介護サービスの供給体制に余裕がない状況を示しているでしょう。

施設の受け入れ枠にも限りがあるため、必要なタイミングでサービスを利用できないケースが生じやすく、介護難民の発生につながっています。

出典:厚生労働省「介護人材確保の現状について

介護職の給与が低い傾向にあるから

介護難民が増えている背景には、介護職の給与水準が低い傾向にあることも関係しています。

厚生労働省の調査によると、介護職員の平均給与額は常勤で338,200円となっていますが、そのうち基本給は192,660円にとどまり、残りは手当や賞与などの変動的な収入で構成されています。

夜勤手当や資格手当などの変動的な収入に依存する割合が高く、シフトによって収入が左右されやすいのが特徴です。

身体的・精神的な負担が大きい仕事であるにもかかわらず、安定した収入を得にくいと感じる人も多いのが実情です。

そのため、仕事の負担と給与のバランスに課題を感じて離職を選ぶケースや、就職先として敬遠される要因にもなっています。

結果として人材の確保が難しくなり、現場の人手不足が解消されにくい状況が続いているのでしょう。

出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要

経済的問題で選べる施設が限られるから

介護が必要な状態であっても、経済的な制約によって利用できるサービスや施設が限られる場合があるでしょう。

例えば、退職後に年金のみで生活をしている方は、生活費とのバランスを考慮すると、本来必要な回数や内容を十分に確保できないケースも少なくありません。

費用を抑えられる公的施設は選択肢として有力ですが、入所待機者が多く、希望してもすぐに利用できない状況が続いています。

一方で、空きのある施設は費用が高額になりやすく、経済的に利用が難しいケースもあるでしょう。

結果として必要な支援を受けられない人が増え、介護難民の発生につながっています。

少子高齢化が進んでいるから

介護難民が増えている背景には、少子高齢化の進行によって支える側の人口が減少していることも関係しています。

高齢者の割合が増える一方で、生産年齢人口は減少しており、介護を担う人材の確保は難しくなっています。

需要が拡大する一方で供給が追いつかない状況が続くことで、必要な支援を受けられない人が増え、介護難民の発生につながっています。

核家族化が進んでいるから

核家族化の進行により、家族だけで介護を担うことが難しくなっているのも要因の一つです。

かつては三世代同居が一般的であり、家族内で役割分担しながら介護する環境がありましたが、現在は高齢者のみの世帯や単身世帯が増加しています。

その結果、日常的に支援できる家族が身近にいないケースも多く、介護サービスへの依存度が高まっています。

介護難民が増加することで起こる問題

介護難民が増加すると、本人や家族だけでなく、社会全体にもさまざまな影響が及びます。

介護を受けられないことによる生活の質の低下や、周囲の負担増加など、深刻な問題へと発展するケースもあります。

ここでは、介護難民の増加によって引き起こされる主な問題を解説します。

介護老人保健施設にかかる負担増加

介護老人保健施設は、自宅復帰を目的とした自立支援に特化した介護サービスであり、身体機能の回復を目指してリハビリを受けたい方が利用する施設です。

栄養管理や食事介助など、日常生活を支える支援も提供されています。

本来は一時的な利用を前提とした施設ですが、退居後の受け入れ先が見つからないことから、やむを得ず長期間入所するケースが増えています。

こうした状態では、自立支援やリハビリに十分なリソースを割きにくくなり、施設本来の機能が弱まりやすくなります。

結果として、必要な支援を受けられない人が増える要因となっているのです。

医療現場の負担増加

介護難民が増えることで、医療現場の負担増加も懸念されています。

通常、ケガや手術などの理由で入院される方は、体調が回復すれば自宅に戻りますが、帰宅後の生活に不安がある場合は施設への入所を希望し、病院内にあるリハビリ病棟や地域包括ケア病棟で待機する方もいます。

このような状況が続くと、容体が安定している患者が長期間入院するだけでなく、本来受け入れるべき急性期患者の受け入れが難しくなり、負担がかかる要因となっています。

老老介護・認認介護・孤独死の増加

介護難民が増加すると、高齢者の老老介護や認認介護、孤独死も増えるといわれています。

老老介護とは、65歳以上の高齢者が高齢者を介護する状態で、体力的・精神的な限界から共倒れになるリスクがあります。

認認介護は、介護する側とされる側の双方が認知症を患っている状態のことですが、判断力が低下した者同士で生活するため、服薬管理や火の不始末といった命に関わる事故が起きやすく、危険な状況です。

また、65歳以上の高齢者がいる単独世帯や夫婦のみの世帯が介護難民になり、家庭内での介護が限界に達すると、最悪の場合には孤独死や心中につながるおそれがあります。

うつや体調不良といった共倒れが起こる

高齢者の介護を家族がしている場合、うつや体調不良といった共倒れが起こる可能性もあります。

在宅介護は自分の時間を確保することが難しく、体力も消耗するため家族の負担が大きくなりがちです。

また、医療費やおむつ代など費用面の不安を抱えたり、日々の疲労から家庭内の人間関係が悪化してしまったりすることもあるでしょう。

介護者が体調を崩すと介護をすること自体が困難になり、共倒れになるおそれがあります。

ヤングケアラーの増加

ヤングケアラーとは、本来大人が担う介護や家事などを日常的に行っている、18歳未満の子ども・若者のことです。

経済的な理由などで両親が仕事に出ている家庭の場合、孫世代や若者世代が介護を引き受けるケースも増えており、学業や友人関係に支障が出るなど、子どもの成長に必要な時間が制限されてしまうことがあります。

介護難民の増加は、こうしたヤングケアラーを生み出す要因の一つとなっているのです。

所得による介護環境の差が拡大

介護難民の増加により、経済状況による介護環境の差が広がっています。

介護施設には公的施設と民間施設があり、公的施設は比較的低価格で利用できる一方、民間施設は入所時の費用や月額料金が高額になる傾向です。

資金に余裕がある場合は選択肢が広がりますが、経済的に余裕がない場合は入所先が限られてしまいます。

結果として、希望するサービスを利用できないケースや、必要な支援を十分に受けられない状況が生じており、介護を取り巻く環境の格差が拡大しています。

介護難民を解決する方法

介護難民の問題は深刻化していますが、事前の対策や工夫によってリスクを抑えることは可能です。

状況に応じて利用できる手段は複数あり、工夫次第で選択肢を広げられます。

ここからは、具体的な解決策を見ていきましょう。

家族からサポートを受ける

施設に空きがなく介護サービスを受けられない場合は、まず親族間でどの程度のサポートが可能かを相談してみましょう。

家族で役割を分担しながら支援を行うことで、一時的に介護体制を維持しやすくなります。

しかし、特定の人に負担が集中すると介護の継続が難しくなるおそれがあるので、在宅サービスを主軸としながら家族の支援は補助的な位置づけとするなど、無理のない体制を整えることが大切です。

介護が長期化すると、支える側の体調や生活にも影響が出やすくなるため、外部サービスを活用しつつ、生活とのバランスを保つことも欠かせません。

現実的な役割分担と支援体制を整えることが、安定した介護の継続につながります。

同じ系列の施設や病院を利用する

介護の事業所の中には、複数の施設を同時に運営しているところもあります。

特に特別養護老人ホームは、同系列の施設や病院を運営していることも多く、介護を受けたい人の情報が共有しやすくなっています。

規模の大きい事業所の場合は希望した施設を利用できなくても、現状を伝えておけば配慮してもらえ、早めにサービスが受けられるケースもあるようです。

代行サービスを活用する

介護難民を支援する方法は、介護サービスだけではありません。

例えば、家事や外出支援を行ってくれる代行サービスであれば、日常生活で困っていることを解決する手助けとなるでしょう。

代行サービスにはさまざまな種類があり、生活状況に応じて柔軟に対応できる点が特徴です。

しかし、これらのサービスは介護保険の対象外であり、費用は全額自己負担となります。

利用する際は必要な支援内容と費用のバランスを考慮しながら、無理のない範囲で取り入れることがポイントです。

新規オープンの介護施設に応募する

介護サービスをなかなか利用できない場合は、新規オープンする施設に応募するのも一つの方法です。

新しくオープンする施設であれば入所者が募集されている可能性が高く、入所につながるかもしれません。

建物や設備も新しく、きれいな環境で介護を受けられるのもメリットです。

ただし、新規オープンされる施設は希望者が多いこともあるので、情報をこまめにチェックしながら早めに申請しましょう。

介護予防に取り組む

自身が介護難民にならないためには、介護サービスに頼らずに済むよう、介護予防に取り組むことも大切です。

近年、以下のような住民主体の健康寿命を伸ばすことを目的とした、介護予防のための活動も行われています。

  • 趣味や地域イベント、ボランティアなどを通じた外出機会の確保
  • 日常生活動作を保つための継続的な身体活動
  • 食事会などを活用したバランスのよい食生活の支援
  • 食べる・話す力を維持するための口の運動
  • 継続的な学びの機会を設けることでの認知機能の低下予防

このような活動を通じて、健康を維持していくことが大切です。

国からの支援を活用する

介護難民の増加を受けて、国は地域包括ケアシステムの構築に取り組んでいます。

地域包括ケアシステムとは、介護や援助が必要になった高齢者も、住み慣れた地域で自立した生活が送れるように、地域全体で医療・介護サービスを支援する仕組みです。

単に施設を増やすのではなく、医療、介護、介護予防、そして住まいや日常生活の支援が、一体となって提供される体制を目指しています。

このシステムは、高齢者の医療ケアや社会参加の促進、家族の介護負担の軽減などのメリットがあり、高齢の方が安心して暮らしていくために欠かせないものとなっています。

地方移住を検討する

前述のとおり、地方よりも都市部のほうが介護難民が多い傾向があるので、地方であれば必要な介護サービスを受けられるかもしれません。

ただし、地方のほうが介護施設の数が少なかったり、希望するサービスがなかったりするケースもあるので、移住を検討する際は事前に情報を集めてから判断することが大切です。

介護にかかる費用をためておく

介護サービスを受けるためには、あらかじめ資金計画を立てておくことが重要です。

サービス内容や事業所によって費用は異なりますが、資金に余裕があるほど選択できる支援の幅は広がります。

また、施設の利用には月額費用だけでなく、入所時に初期費用が必要となる場合もあるので、忘れずに備えておきましょう。

介護が必要になる前から情報を集めておく

介護難民を防ぐためには、介護が必要になる前から情報を集めておくことも大切です。

介護サービスは種類が多く制度や費用も複雑なため、事前に全体像を把握しておくことで、いざというときの対応がスムーズになります。

必要になってから情報収集を始めると判断に時間がかかりやすく、適切なサービスを選びにくくなる可能性があります。

制度改正も定期的に行われているため、日頃から最新の情報を確認し、利用できる支援や手続きの流れを把握しておきましょう。

相談先を見つけておく

介護難民を防ぐためには事前に相談先を見つけておくことも大切で、相談窓口としては以下のような機関があります。

  • 地域包括支援センター
  • 市区町村(市役所や区役所など)
  • 居宅支援事業所
  • 医療機関(医療ソーシャルワーカー)
  • 高齢者安心電話・見守りホットライン など

どこに相談すればよいのか迷った場合、まずは地域包括支援センターがおすすめです。

高齢者の健康や生活全般に関する相談を受けつけている窓口であり、実際に介護が必要か判断が難しい場合も、相談してみるとよいでしょう。

民間施設を検討するのもおすすめ

最近では、公的施設と大きく変わらない費用で利用できる民間施設も増えています。

ここでは、4つの民間施設を紹介するので、1つずつチェックしていきましょう。

グループホーム

グループホームは、少人数で共同生活を送る介護サービスです。

「認知症対応型共同生活介護」とも呼ばれ、要支援2以上の認定を受けていることに加え、認知症と診断された方が対象となります。

入所には施設が所在する地域に住民票があることが条件となるため、原則として地域密着型のサービスとして提供されています。

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅は、一人暮らしに不安がある方や、将来に備えて安心できる住まいを確保したい方に向けた高齢者向け住宅です。

一般型と介護型の2種類があり、一般型は比較的自立度が高い方を対象に生活支援サービスを提供し、介護型は要介護度が高い方に対して介護サービスを含めた支援を行います。

一般型では要介護度が高くなると住み続けることが難しくなる場合がありますが、事業所によっては介護型へ移行できるケースもあります。

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームは、要介護認定を受けた高齢者が入所し、食事や入浴などの日常生活の支援や介護サービスを受けられる施設です。

医療機関と連携した体制が整っている施設も多く、健康管理や緊急時の対応に加え、看取りまで対応しているケースもあります。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、食事や洗濯などの生活支援や見守り、緊急時の対応サービスがついた老人ホームです。

身体の状態に合わせたサービスを利用できるのが特徴で、生活援助や外部の介護サービスを自由に組み合わせることが可能です。

基本的には、60歳以上の自立した方や軽度の要介護度の方が対象となっていますが、60歳以下でも入所できる場合もあります。

国が実施する介護難民への対策

介護難民の問題に対しては、個人や家族だけでなく、国全体での取り組みも進められています。

人材不足や施設不足などの課題を解消するため、さまざまな制度や支援策が実施されています。

ここでは、国が進めている主な対策を見ていきましょう。

介護スタッフや受け入れ施設の増加支援

少子高齢化が進む中、国からは介護の担い手や受け入れ施設を増やすための支援を行っています。

例えば、介護職員の処遇改善のために給料を上げたり、さまざまな加算を行ったりして、給与面の不安を解消しようと取り組んでいます。

介護未経験者に向けた就職支援も行っており、介護現場の人材確保にも努めています。

介護ロボットや外国人人材の活用

入浴介助や排泄支援、移動支援などに対応できる介護ロボットの導入も進められています。

こうした技術の活用により、介護職員の身体的負担の軽減や業務効率の向上が期待されており、人手不足の緩和にもつながるでしょう。

外国人労働者の受け入れ拡大も進められており、こうした取り組みによって、介護現場の負担軽減や人手不足の改善が期待されています。

介護保険料や公費負担の改正

介護サービスを安定して提供し続けるために、介護保険料や公費負担の見直しも進められています。

2022年の制度改正では、一定以上の収入がある高齢者は医療費負担が1割から2割に引き上げられました。

2024年には介護保険料が全国的に増額され、年間所得が高い高齢者に対し、より多くの介護保険料の負担を求める仕組みが強化されました。

制度を維持するために、年齢ではなく所得に応じた負担を求め、高齢者世代の中でも支え合う仕組みへ変化しています。

都市部から地方への移住サポート

現在、介護難民は都市部よりも地方のほうが少ない傾向があります。

こうした地域格差を減らすため、新たな施設を建設するなど、高齢者の積極的な受け入れを行っている自治体も増えています。

移住をサポートすることで、都市部の介護難民数を減らせるとともに、地方にとっては雇用創出や人口減少の抑制などの地域振興にもつながるでしょう。

地域包括ケアシステムによる在宅ケアのサポート

介護難民を防ぐため、国は在宅ケアを充実させる取り組みを推進しています。

地域包括ケアシステムとは、医療機関や介護事業所が連携し、訪問サービスなどを通じて自宅での生活を包括的に支援することを目的としています。

地域全体で高齢者を支える環境を整えることによって、介護者の負担軽減にもつながり、要介護者本人も安心して地域で暮らし続けられるでしょう。

介護施設の入所と退居

介護施設には入所する方がいる一方で退居する方もおり、施設の利用状況は日々変動しています。

実際のところ退居の理由はさまざまで、早期に退居となるケースもあります。

ここでは、介護施設の入所・退居の現状や退居の理由を紹介します。

40%の人が5年未満で退居している

全国有料老人ホーム協会の調査によると、介護付き有料老人ホームの入所から退居までの期間は、3~5年未満が全体の35.3%ともっとも多く、次いで1~3年未満が29.2%という結果が出ています。

つまり、入所された64.5%の方が5年未満で退居されているのです。

10年、20年と長期間にわたって同じ施設に留まり続けるよりも、数年単位で利用環境に変化が生じるのが一般的な傾向といえるでしょう。

出典:全国有料老人ホーム協会
平成25年度有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究事業報告書

出典:厚生労働省
高齢者向け住まい及び住まい事業者の運営実態に関する調査研究 報告書

介護だけでは対応できず退居となるケースが多い

施設を退居される理由はさまざまですが、医療ケアが必要になったことを機に退居されるケースが多く見られます。

特に有料老人ホームは、介護付き・住宅型ともに50%以上の方が医療的ケアのニーズが高まったことにより退居となっています。

このように、入所後に状態が変化した場合、やむを得ず医療対応が可能な施設や病院へ移らなければならないことがあります。

自分の状態に合った施設を選ぶことが大切

施設を退居するのは、医療ケアが必要になることだけが理由ではありません。

入所後の要介護度の変化や経済的な理由など、同じ施設での生活が続けられなくなる理由はさまざまです。

そのため、体の具合や経済状況が変わっても長期間過ごせる施設を検討したり、退居後に移る施設を事前に調べたりするなど、長期的に考えることが重要です。

介護難民以外の介護業界の問題

現在の介護業界は、介護難民の問題に加えて、さまざまな課題を抱えています。

現場の人手不足や制度面の問題など、複数の要因が重なり合っているのが現状です。

ここでは、代表的な課題を解説します。

高齢者虐待

近年は介護難民の問題に加え、高齢者虐待の増加も指摘されています。

厚生労働省の調査によると、令和6年に実際に虐待判断された件数は、養介護施設従事者等で1,220件、養護者で17,133件に及びます。

また、相談・通報件数に関しては、養介護施設従事者等で3,633件、養護者で41,814件となっています。

平成18年4月に高齢者虐待防止法が施行されましたが、この数は少しずつ増加しており、介護業界の大きな問題となっています。

出典:厚生労働省「令和6年度『高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果

介護の人材不足・離職者の増加

介護の人材不足や離職者の増加も、介護業界における問題となっています。

厚生労働省の調査では、2022年度の介護職員数は約215万人であり、それを基準とすると2026年度にはさらに約25万人、2040年度には累計で約57万人の介護職員が追加で必要になると予測されており、人材不足はさらに加速する見込みです。

離職者は令和元年以降およそ13~15%を推移しており、低下傾向ではあるものの、まだまだ介護職員が増えているとはいえないでしょう。

出典:厚生労働省「介護人材確保の現状について

少子高齢化問題

前述のとおり、介護の仕事現場では人手不足が続いていますが、少子高齢化も要因の一つです。

少ない人数で多くの高齢者を支えなければならないため、働く人一人ひとりの仕事量が増え、心身ともに負担が大きくなっています。

また、この問題は家の中での介護にも大きく影響しています。

若い世代が減少すると介護者の高齢化も進み、老々介護や認認介護を行う世帯の増加につながるでしょう。

社会保障財源の課題

社会保障制度を支える財源にも、大きな課題があります。

現在は医療や介護にかかる費用が増え続けており、その一部は税金や国債によって補われています。

しかし、今後は高齢者の増加により社会保障費がさらに膨らむ一方で、支える現役世代は減少していく見込みです。

このままでは制度の維持が難しくなる可能性もあり、介護費用や医療費の国民負担が大きくなることが懸念されています。

まとめ

介護難民は今後さらに増加すると予想されており、誰もが直面する可能性のある問題です。

だからこそ現状や原因、解決策を理解し、自分や家族に合った対策を考えておくことが重要です。

日頃から自治体の支援体制や民間のサービスの情報収集を行い、安心して介護を受けられる環境づくりを進めていきましょう。