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【介護コラム】 明日に向かって - 第3回- 迷走②

【介護コラム】 明日に向かって - 第3回- 迷走②

「さて何をしよう?」「何がしたい?」「何が出来る?」を自問自答する日々がしばらく続いたある日、絵本製作の延長で取り組んだドキュメンタリー調のⅮⅤⅮ発売の報告のため中学時代の担任の先生に連絡を取った際に、「何かしゃべることをやりたいけど、どうしたらいいのか分からない」と相談をしました。
すると先生同士のネットワークをとおして、小学校2年生を対象にした道徳講師の依頼が舞い込んできました。

依頼を受けておきながら当日は全くのノープランで臨んだのですが、子供ならではの無邪気さから山ほど質問が飛んできて、無事に講演として成立することが出来ました。

このことがきっかけで様々な世代、様々な規模での講演依頼が増え始め、登壇を繰り返すことで着々と語り手としての腕を磨いていくことになるのですが、まだ「仕事としての講師業」という気持ちにはなれずにいました。

当時の僕は一社のヘルパーさんにある意味では依存したような形で暮らしていました。制度自体に対しての知識が全くなかったので、提案されるがままに出かけたり何かを決定したりしていました。ただ漠然と「やること」が欲しかっただけの当時の僕に、具体的な「やること」を提案してくれるという関係性でした。

今振り返ってみると、未来に対しての選択肢について、とても狭い視野でしか見ることが出来ていなかった時代だと思います。20代はそんな風に過ぎていき、時には「何で言いなりになっているのだろう」と苦悩したりもしました。そして30歳を過ぎたあたりから「このままではダメだ」とようやく思い始めるようになりました。

推奨BGM

「Fly High」中ノ森BAND(2006年)

コラム原案/安部隼人
障害者の目線から、社内での研修講師をしたり、啓蒙活動のためのレポート作成等を担当しています。
晩酌のお供はカニカマ派です。
Illustrator/エム・コウノ