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ケアマネ試験の合格者が激減・・・ その意図とは?

ケアマネ試験の合格者が激減・・・ その意図とは?

あけましておめでとうございます。
年末年始を挟み、私が記事を書くのも久しぶりとなってしまいました・・・

気を取り直して、また今年も週1-2本はニュース記事など取り上げていければと思っていますので、引き続きよろしくお願いします!

さて、今回は昨年末のニュースで気になっていた話です。

ケアマネ試験、合格率は過去最低の10.1% 合格者数は超大幅減 (Joint介護)

巷を騒がせている、勤続10年の介護福祉士に8万円、という話題の中で、「そんなことをしたらケアマネよりも給料が上がってしまい、ケアマネになる人が居なくなってしまう!」といった意見なども聞かれます。

今回の試験結果が、それに対する国の一つの回答なのではないでしょうか?

今年のケアマネ試験で起きたこと

今回、合格率が普段は15%前後だったケアマネ試験の合格率が、10.1%と過去最低となった、とのこと。
ちなみに過去最低は2016年度の13.1%だというので、実に3%以上合格率が下がったことになります。

合格率が5割を超えているような試験であれば、これくらいの上下は普通にあるかもしれませんが、13%から10%となると実に合格者数が3割変わってくるわけで、非常に大きな変化だと言えます。

また今回さらに衝撃的だったのは、受験者数です。

受験者数が4万9333人にとどまり、13万1560人だった前年度から一気に6割以上も減っているのです。理由としては受験資格が厳しくなったことが挙げられます。

これまでは、ヘルパー2級や初任者研修から5年の現場経験を経て、というルートがあったのですが、それが30年度から「社会福祉士や介護福祉士を取ってから実務経験5年」となりました。
養成施設ルートでない場合には、介護福祉士を取るのに「現場経験3年+実務者研修修了」が必要、ということを考えると、現場ルートでは実質8年もの現場経験が必要になった、というわけです。
介護福祉士を持っていないベテランのヘルパーにとっては、29年まではケアマネ試験を受けれたのにも関わらず、今後はまず介護福祉士を取って、それから5年実務経験が必要、ということで受験できるのは最低でも6年以上先になってしまったわけです。

8万人以上受験者が減ったことからも、現場5年経験→ケアマネ、というルートが、受験資格の過半数を占めていたことが分かります。

最初この受験者数の激減が判明した段階で、合格率がどうなるのか?というのが注目されていました。普通であれば、合格者数をある程度確保するために合格率が20-30%となるような予想もあったようです。

しかし、ふたを開けてみればこの結果!

合格率も減少したことで、合格者数はなんと8割減となってしまったのです。
2万8233人のケアマネが誕生した昨年から比べ、今年は4990人、と5000人を割り込む結果となっています。

国の意図とは?

ここから、明確な国の意図が感じ取れます。

それは、「ケアマネの数を減らしたい」ということ。少なくとも、今後高齢者が増えていく中で、ケアマネを増やすつもりは現状ない、ということです。

ケアマネに関しては、特に在宅においては一人当たり担当できるキャパシティが決められています。
ケアマネが必ず担当につかなければならないという介護保険のルール、及びケアマネは増えないのに高齢者は増える、という今後の状況を合わせて考えると、今後AIなどによって業務が減った分、一人当たりの担当できる人数をあげていく、という絵を描いている可能性もあります。(現状で、まだキャパが余っているケアマネも多い、という可能性もありますが、ちょっとデータが見つかりませんでした・・・)

正直なところ、地域包括ケアのハブとしての役割が期待されているケアマネの業務負担というのは、現状では増加していると言われています。
私も正直、AIによって単純なプラン作成の業務が楽になった分、よりリソースをそういった活動に充てていく形になるのかと思っていました。

しかし、今回の結果が、国が考えている将来のビジョンを浮彫にした格好です。

この流れにもし介護業界として対抗していくのであれば、ケアマネジャーの重要性をもっと広く世に問うていくべきでしょう。また現在現場で働いているケアマネジャー自身も、もっと声をあげ、自身の存在価値を世の中に発信する、そんなことが必要なのかもしれません。

CURATOR
ケアリッツマガジン運営者 Yuri
普段の業務に加えて、いろいろと記事を書いて情報発信しています。プライベートでは女子力高めなことが好きです。