居宅管理者に主任ケアマネ必須で、居宅事業所やケアマネは今後どうなる?

ご存知の方も多いかと思いますが、居宅介護支援の管理者が主任ケアマネのみに限定される、というニュースが11月ごろ話題になりました。
タイミングとしては2021年度からということで、経過期間として3年の猶予が残される状態となります。
主任ケアマネとは?
そもそも主任ケアマネ、というのは2006年に定められた資格で、実は10年以上の歴史があります。
その条件としては、ケアマネとしての実務経験5年に加え、10日程度で70時間の研修を受ける必要があります。そしてその資格を維持するためには、5年ごとに46時間の更新研修を受講する必要がある、というなかなかハードルの高い資格となっています。
本来の目的としては、
- 介護保険サービスや他の保健、医療、福祉サービスを提供する方との連携調整の知識および技術の修得
- 他の介護支援専門員に対する助言・指導など、ケアマネジメントが適切かつ円滑に提供されるために必要な、業務に関する知識および技術の修得
- 地域包括ケアシステムの構築に向けた、地域づくりを実践できる主任介護支援専門員の養成
を図るという目的で設置されたものです。
簡単に言えば、他業種との連携や後輩指導といったスキル、さらには人事管理のノウハウなどを学ぶ内容となっており、簡単に言えば、ケアマネを統括し地域連携を引っ張る、地域包括ケアのリーダー的な役割を求められていると言えるでしょう。
ただ、これまでは、主任ケアマネがいると事業所加算が取れたり、地域包括支援センターなどでは資格者が求められたり、といった形で、実際のところあまり重視されてこなかった資格でもありました。
今後、居宅介護支援事業所やケアマネはどうなる?
今後、主任ケアマネのみが管理者として認められるとすると、主任ケアマネが用意できず閉鎖される事業所も増えるのではないか、という声が上がっています。
「閉鎖に追い込まれる事業所も出る」 居宅管理者の主マネ限定に懸念の声 (出典; Joint介護)
ただ、厚生省としては、今は確かに足りないがここ数年の受講者の増え方から計算すると、2020年には足りるという試算を立てているようです。
具体的には、2016年時点では28463人の主任ケアマネが勤務しているが、2015年の研修によって4400人増えているためそのペースで増え続ければ、4年で17000人ほど増えて46000人弱となり、必要数(こちらは現在が39866人のところ、43855人に増えると試算)を上回る、という試算のようです。
ただ、マクロでみれば人数は足りるのかもしれませんが、基本的にこうした人員配置は日本中で適正配置されるわけではないため、マクロで見た時におそらく1.3-1.5倍くらいの余剰人員がないと厳しいのではないでしょうか?
ちなみに、これだけ取得・維持が面倒な資格にもかかわらず、実働28463人に対して、59193人の人が研修を修了しているといいます。つまり半数以上の主任ケアマネ取得者は今はケアマネとして働いていないのです。
ただ、中にはまったく介護業界自体で働いていない方もいらっしゃるでしょうが、人によっては訪問介護やデイサービスの管理者や施設長といったマネジメント系の他職種についていたり、本社で事務方・経営陣などに回っていたりもするでしょう。
この制度の狙いとは?
こうしたことを考えてみると、大手に関してはまあ何とか対応が可能でしょう。
一番被害を被るのは、個人で経営されているケアマネかもしれません。業界的には個人で事業所をやっているケアマネの方も多いですが、今から資格を取るために10日休業して研修、といったことが果たして経営上耐えられるのでしょうか?
ただ、日々業務でお話しすると感じることなのですが、個人経営のケアマネの中には、現在とは違って合格率なども高かった(そうしないと、世の中にケアマネが増えませんので仕方がないことではありますが)介護保険黎明期のうちに資格を取ってしまい、その後の法改正などの知識が欠けているような方も多くいらっしゃるように感じています。引退、という仕組みもないため、パソコンなども一切触れない70代、80代のケアマネにも出会ったことがあります。
こう考えていくとこの制度の本当の狙いは、こうした古い個人経営のケアマネを一掃し、ある程度規模のある大手に集約させること、なのかもしれません。
ちなみに、ケアリッツではケアマネは基本的に社内で育成する方針を取っています。というのも、施設経験しかないケアマネや、あまりサービス提供責任者の業務をこなせない場合には、適切なケアマネ業務を行うことは難しい、と考えているからです。
なので、社内でしっかり訪問介護におけるサービス提供責任者を務めてもらった後にステップアップ、という形にしています。
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