生活援助ヘルパーの養成制度とは?

生活援助ヘルパーとは?

生活援助ヘルパー、というものが誕生しようとしていることを、ご存知でしょうか?

2018年度から、訪問介護サービスのうち料理や洗濯などの家事しかできない、介護職員初任者研修よりも取得が容易な資格が新設されます。この資格を取得した人が「生活援助ヘルパー」となります。
また、それとともに身体介護の報酬が上がり、生活援助の報酬が微減、という少しメリハリのある報酬体系に移行することになっています。

(参考; 訪問介護の単位)

身体0 165単位 ⇒ 165単位
身体1 245単位 ⇒ 248単位
身体2 388単位 ⇒ 394単位
身体3 564単位 ⇒ 573単位
以降30分ごとに80単位 ⇒ 83単位

生活2 183単位 ⇒ 181単位
生活3 225単位 ⇒ 223単位

イメージ的には、身体2と生活3が概ね60分で1単位が10円強、ということで、身体が60円ほど時給が上がって生活が20円ほどさがり、80円くらい差が開く、といったイメージです。月に100時間どちらかをやるとすると8000円差ができるわけで、意外に大きな差です。

生活援助ヘルパーになるには?

最近、生活援助ヘルパーになるための研修内容が発表されていました。

生活援助ヘルパーの養成 「通常」研修時間の半分以下に(出典; 朝日新聞)

こちらの記事によると、初任者研修が130時間かかるところを、生活支援技術(24時間)、認知症に関する理解(9時間)、介護の倫理など(4時間)、緊急時の対応(2時間)、などを含む合計59時間、という半分以下の時間で、生活援助ヘルパーになることができる、とのことでした。

政府の狙いと、今後予測される懸念

政府の狙いとしては、今回の制度改正によって退職者や子育てを終えた人などが業界に入ってくる際のハードルを下げ、より簡単に取れる資格でも生活援助サービスを可能にすることで、人手不足を解消する、というものです。

一方で、初任者、介護福祉士のみが身体介護をできるようにし、単価も上げることで彼らの優位性を担保するとともに、彼らがより専門性の要求される身体介護に集中するように仕向ける狙いもあるでしょう。

狙い通りにいけば、確かに介護に関わる人口は今よりも増え、また、専門性の高いスタッフは難易度の高い身体介護に集中できる、という環境になり、結果専門性の高いスタッフは今よりも給与が上がる、という結果になるでしょう。

しかし、このためには前提として、

  • 現状、介護に携わりたいと思っているが、130時間の研修がネックで泣く泣く諦めている
  • 簡単に取れる「生活援助ヘルパー」として働くなら、今のヘルパーよりも安い時給で当然

という2点に当てはまる人が多い、ということが必要です。

しかし、果たしてそうでしょうか?
そもそも、研修の時間が長いのがネックで介護をあきらめた、という話はあまり耳にしません。介護業界に来ない人は、資格がネックというよりも、そもそも「介護をやりたくない人」の方が多いのではないでしょうか。
また、そもそも給与が低いことが問題となっている中で、さらに低い給与でも構わないからぜひ介護の仕事がしたい!という意識の人が本当に多くいるのでしょうか?

そうなると、介護人口自体は増えず、生活援助は単価が安くて人手も足りないということで担い手が減り、結果高齢者は生活援助を受けられなくなっていく、という、いわば切り捨てのような結果になるような気がしてなりません。
今でも、生活援助の割合が低い事業所には行政指導的なものが入ることがありますが、明確に割合を定めずに担当者の裁量で経済原理に反するような指導を行っているようでは、経営が大変な会社も多いこの業界において、極めて不健全と言わざるを得ません。

総合事業のように、今後の見通しは不透明な制度と言えるでしょう。

ケアリッツでは少なくとも、生活援助専門でパートを採用するつもりはまったくなく、正社員・パートともに身体介護・生活援助どちらも対応できるヘルパーで、質の高いサービスを提供していくつもりでおります。

CURATOR
ケアリッツマガジン運営者 Yuri
普段の業務に加えて、いろいろと記事を書いて情報発信しています。プライベートでは女子力高めなことが好きです。