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【介護コラム】 明日に向かって - 第4回- 迷走③

【介護コラム】 明日に向かって - 第4回- 迷走③

30歳を迎え、いよいよヘルパー事業所の変更に踏み切りました。
もっと早くにそうすれば良かったのですが、27歳の時に参加した父母会で訪問介護を利用している家庭があまりにも少ないことを目の当たりにし、「対応してくれる事業所はない」という固定観念が出来上がってしまっていたので、なかなか一歩を踏み出せずにいました。
とても勇気がいる決断でしたが、排泄のこともあって夕方の枠を増やす必要があったため、思い切って一社別の事業所にお願いすることにしました。

事業所を増やして最初に感じたことは「同じ目線に立ってもらえる」ということです。
それまではいつでも上からの目線ばかりを感じていたので、「こんなにも僕自身のことを中心に考えてもらえるんだ」ということに感動を覚えたくらいです。

この経験が呼び水になり、10年来お世話になっていた事業所には撤退してもらい、複数社でケアチームを組み直すため、本格的に動き始めました。
母が「一年だけ協力する」と背中を押してくれたこともあり、母子二人三脚で制度の勉強をしたり、ケア方法の検討をしたり、ヘルパーさんが帰るたびにミーティングを繰り返しました。

事業所探しに関しては僕自身の役目でしたが、そんなに簡単には見つかりませんでした。

この時につくづく感じたことは「口がある(=しゃべることが出来る)」ということがいかに有難いことかということです。母はあくまでもサポート役なので、事業所との交渉はノータッチ。
希望や意向を自分の言葉で説明することが出来なければ、今のケアチームは誕生していなかったと思います。

推奨BGM

「日々」吉田山田(2013年)

コラム原案/安部隼人
障害者の目線から、社内での研修講師をしたり、啓蒙活動のためのレポート作成等を担当しています。
晩酌のお供はカニカマ派です。
Illustrator/エム・コウノ