認定介護福祉士の未来

年度末ということで慌ただしくされている方も多いのではないでしょうか?

すっかりマガジンの記事の更新も遅れてしまっていましたが、久しぶりの記事として、今回はこんなニュースをピックアップしてみます。

介護福祉士の未来を自ら切り開く! 55人の「認定介護福祉士」が誕生 (Joint 介護)

認定介護福祉士、この言葉を介護に従事されている方であれば、どこかで耳にしたことはあるのではないでしょうか?

認定介護福祉士とは?

そもそも認定介護福祉士とは何かというと、介護福祉士の上に位置付けられた介護のキャリアパスにおける最上位資格、とされています。

とはいえ、国家資格ではなくいわゆる民間の資格で(ケアマネジャーも実は国家資格ではありません。意外とご存知ない方も多いようです)、一般社団法人 認定介護福祉士認証・認定機構が2015年末から始めた資格となっています。

今回のニュースによると、3/3にこの資格の誕生記念のイベントが開催され、これまで累計55名の方が認定介護士となったそうです。

55人・・・この数字を見てどう感じますか?
介護福祉士は世の中に160万人以上存在します。その中の55名、というのは、正直ほとんどいないに等しい超少数、ということになります。

資格を得るには、介護福祉士として5年以上働いた後、法令理解、組織運営、リーダーシップ、チームマネジメント、医療領域、リハビリ領域、福祉用具、住環境、認知症、心理・社会的支援、生活支援、地域での実践といった、600時間に及ぶ講習を受ける必要があります。(試験ではなく、講習のようです。)そのための費用として、30万円から40万円の受講費もかかるとか。これは大変そうですね・・・

しかし日本介護福祉士会の目標は、「いずれ介護福祉士の1割が認定介護福祉士となるようにしたい」、とのこと。

いやー、だいぶぶち上げましたね!!
つまりは、現在4年目で55名のところを、16万人まで増やす、という壮大な目標です。

認定介護福祉士を増やすことは可能?

認定介護福祉士になった人の感想としては、

「既存の介護福祉士のボーダーを超えてより高いレベルに到達できた」
「視野が広がって突破力がついた」
「根拠を示すことにこだわりを持つようになった」
「同じ志を持つ介護福祉士に出会えた」

確かに素晴らしい資格のようですね!

そして、日本介護福祉士会としては、行政の手厚いサポートを受け、まだ限られた所でしか受講できない養成研修をどこでも受けられるように、全国的な研修体制の整備に力を入れていく方針を打ち出しています。そして、各方面の理解を得ながら取り組みを広げ、着実に社会への浸透を図っていくことで、認定介護福祉士を全体の1割(少なくとも16万人以上)に増やす、とのこと。

果たして、この取り組みによって目標達成は可能なのでしょうか?

正直言うと、100%無理、と言わざるを得ません・・・
こんなに素晴らしい資格なのに、何が普及を妨げる一番の問題でしょうか。

認定介護福祉士の未来

全てのものにおいて、基本的には投資対効果が見合うかどうかが重要です。

例えば医者になるには、医学部に進学するための猛勉強をし、合格してから6年間大学で勉強をし、そのためにトータルで5000万円近くの学費を払う必要があります。さらに、卒業時には難しい国家試験を突破し、さらに2年の研修医生活を送る必要があるわけです。

しかし、なりたい人は大勢います。なぜか。
それは医者という仕事の魅力も去ることながら、一方でやはり給与水準も非常に高いという事実があります。非常に大きな投資ではありますが、そのリターンが大きいわけです。

薬剤師、歯科医、弁護士なども同様です。投資は大きくともその後のリターンも大きいため、皆が目指すわけです。

さて、認定介護福祉士の場合はどうでしょうか?

投資; 30-40万円の受講料と、600時間に及ぶ座学
リターン; 能力が上がった(気がする)、達成感、満足感

うーん、これで皆が目指したくなるものでしょうか・・・

ちなみに、資格の勉強時間の目安としては、宅建が400時間、行政書士が600時間、と言われています。これらの資格は、仕事や収入に直結しています。
同程度の時間をかけたとして、認定介護福祉士、魅力的でしょうか・・・

そう考えると、真っ先にやらなければならないことは、リターンの整備に他なりません。

即ち、認定介護福祉士を持っていることで給与が大幅にアップする、という状況を作る必要が、普及には必要というわけです。しかし、給与というのは、ただ「能力が高い」ということだけで上がるわけではありません。

給与が上がる方法は2つ、所属している組織に入るお金が増える(トップ営業マンなどを想像してみてください)、あるいはその人がいないと組織が回らない、かつ希少価値が高い(超優秀な経理の人など)、この場合のみです。

認定介護福祉士の希少価値は高いかもしれませんが、彼らがいないと組織が回せない、というのはちょっと無理がありますので、そうすると、認定介護福祉士を抱えていることで特別に大きな報酬・加算が事業所にもたらされる、という仕組みが必要、というわけです。

ですので、今介護福祉士協会が訴えているように「この人たちは優秀です!」と宣伝するだけでは不十分で、もっと踏み込んだ報酬改定などが普及には不可欠だ、と私は思っています。

今後どのようになっていくのか、見守りたいと思います。

CURATOR
ケアリッツマガジン運営者 Yuri
普段の業務に加えて、いろいろと記事を書いて情報発信しています。プライベートでは女子力高めなことが好きです。