高齢者向け施設にはどんな種類があるの? – 有料老人ホームと特養の違いって?

こんにちは、ケアリッツマガジン記者のtakahashiです。

老人ホームなどの高齢者向け介護施設には、運営主体・目的や入居条件などによって、実は様々な種類があります。しかし、どの施設も似ていて違いや特徴がよくわからない、という人も多いのではないでしょうか?

そこでこのページでは、介護施設の種類について解説し、それぞれの違いについてご紹介したいと思います。

目次

要介護の方対象の施設

自立の方対象の施設

施設は大きく分けると二種類


高齢者向けの施設は、まずざっくりと「要介護の方を対象とした施設」と「自立の方を対象とした施設」の二種類に分けられます。
そして、運営主体としては、社会福祉法人や自治体が運営する「公共型の施設」と、企業が運営している「民間型の施設」があり、さらにその中で役割に応じて細かく種類が分かれています。

有料老人ホームとは…


ちなみによく耳にする、有料老人ホーム、とはどのようなものを指すのでしょうか?

有料老人ホームというと、民間の施設であって、高齢者の心身の健康を保ち生活を安定させるために必要な、食事・介護・家事・健康管理のうち、いずれかのサービスを提供している住まいのことを指します。入居者の状況やニーズに応じ、「介護付」と「住宅型」、「健康型」の3種類があります。

「健康型」は介護サービスを受けることを想定していない上、認知症や要介護の状態になった場合は退去を迫られることになり、現在のニーズにマッチしているとは言い難く、特に公共の「健康型」の施設に関してはその数が急激に減少しています。
そのため現状では有料老人ホームとは「介護付」と「住宅型」の2種類と捉えてよいでしょう。

民間の施設

介護付有料老人ホーム


【特徴・入居条件】
専門の介護スタッフによるサービスが受けられる。
原則65歳以上が入居可能ですが、施設によっては要介護度が条件となる場合もあります。

【費用】
施設や都道府県によって大きくことなります。
月22.3万円(平均値:2019年6月時点)
※初期費用として入居金や保証金が必要な場合があります。

定められた基準をクリアし、「特定施設入居者生活介護」と呼ばれる認可を受けて初めて「介護付き有料老人ホーム」として運営することができます。住宅型有料老人ホームとの違いは、上記の指定を受けているかどうかであり、介護サービスの体制が違います。

介護付有料老人ホームは、専門の介護士が24時間常駐しているので、ADL(日常生活動作)が衰え、一人暮らしが難しくなった高齢者も安心して生活を送ることができます。
サービスは、食事サービス、清掃・洗濯などの生活支援サービス、入浴・排せつ介助などの介護サービス、リハビリ・機能訓練、レクリエーション・イベント等のアクティビティなどが入居者の状態に合わせて提供されています。

基本的に要介護度が高くても入居できる施設がほとんどですが、長期入院の必要があるなど高度な医療が必要となった場合や、ほかの入居者への暴言、乱暴行為が目立つ場合は、入居時に断られるばかりか入居した後でも途中退去を迫られることもあります。

住宅型有料老人ホーム


【特徴・入居条件】
外部の介護サービスを利用する60歳以上なら基本的に誰でも入居することが可能です。

【費用】
月13.8万円(平均値:2019年6月時点)プラス 月々の介護にかかる費用
※初期費用として入居金や保証金が必要な場合があります。

住宅型有料老人ホームは、有料老人ホームのなかでは最も多くの施設数がありますので、入居者は要介護度に合わせてさまざまな施設から選ぶことができます。
「介護付」との大きな違いは、外部の介護サービス(訪問介護など)を利用することが前提となっているため、各入居者の健康状態に応じた柔軟な介護が提供される点です。月々の基本利用料は、「介護付」よりは低く抑えることができます。
そのほかの安否確認、食事・清掃の提供、緊急時の対応、買い物などの生活援助、レクリエーションの提供などは施設のスタッフが提供するため、「介護付」と同等の安心感や充実度を満たしていると言えます。

住宅型有料老人ホームは、自立・要支援・要介護の方が入居でき、食事サービス、清掃・洗濯などの生活支援サービス、医療機関提携・緊急時対応などの健康管理サービス、レクリエーション・イベント等のアクティビティなどが受けられる施設です。

ちなみに後ほど自立向けの民間施設としてご紹介する「サービス付高齢者向け住宅」というものがありますが、これは、一応便宜的に「健康型」の方に分類はしましたが、実態としては基本的にこの住宅型有料老人ホームとほとんど似た形態となっています。
こちらは厚労省ではなく国交省が管轄しており、イメージ的には有料老人ホームが分譲に近いタイプなのに対し、賃貸に近いスタイルのものとなっています。

ただ、最近は有料老人ホームも入居金がいらずに月額費用のみ、というものもあったり、サ高住であっても特定施設の指定を受けて介護付き有料のようなスタイルで運営しているものもあるため、その線引きは実のところ結構あいまいです。

グループホーム


【特徴・入居条件】
要支援2以上で原則65歳以上の認知症高齢者で、施設がある自治体に住民票を持つ方が入居できる施設です。
そのため、寝たきり状態や、看取りが必要な状況になると、グループホームでは対応できません。

【費用】
月額12万円(平均値:2019年6月時点)
※初期費用として入居金や保証金が必要な場合があります。

地域密着型サービスの一つで、認知症高齢者を対象に少人数で共同生活をする施設です。
5~9人を1ユニットとする少人数で、専門スタッフから介護サービス、機能訓練等を受けながら、料理や掃除などの家事を分担し共同生活を送ります。そのため、認知症ケアのできる介護職員やリハビリテーション、レクリエーションを行う職員が配置されています

家庭的な環境で自立支援と精神的安定を図り、症状の進行を遅らせることを目指しています。
ただし、重介護や医療ケアが必要になった場合は退去しなければならないケースがあります。

有料老人ホームよりもこじんまりとしたアットホームな雰囲気であり、また自分たちでも料理や掃除などをしたりする場面も多いため、人によっては合う、合わないがある施設ではあります。部屋で一人になりたい、というような方にはあまり向かず、むしろ認知症ではあっても他人と積極的に交流したいタイプの方に向いているでしょう。

公共の施設

特別養護老人ホーム(特養)


【特徴・入居条件】
要介護3以上で65歳以上の高齢者。地域によっては入居待機者が大勢いることもあり希望している施設に入れない場合があります。

【費用】
月8~13万円(平均値:2019年6月時点)

特別養護老人ホーム(特養)とは、在宅での生活が困難になった要介護の高齢者が入居できる公的な介護保険施設です。
社会福祉法人や地方公共団体が運営している特養は、「介護老人保健施設(老健)」「介護療養型医療施設」と並んで「介護保険3施設」と呼ばれています。入居費用が介護保険でまかなえるので費用が安く、非常に人気が高い施設です。

財源の問題もあって入居要件が2015年から厳しくなり、待機者数は減少していますが、まだまだ入居待ちの人数が多く、施設によっては数年待機すること場合もあります。原則「要介護度3」以上が入居条件となっているため、比較的重度の要介護状態か認知症を患っている人が優先的に入居を認められます。

また、2002年からはユニット型が制度化され、すべて個室で10人程度を1つのユニットとして少人数の介護を推奨していますが、2人以上で一つの部屋を使用する在来型(多床室)の施設もまだ多くあります。
有料老人ホームと同様にレクリエーションの提供などもありますが、寝たきりの人も多く入居していることから、どうしてもサービスの比重としては身の回りの世話が多い傾向が見られます。

看護師に関しては日中はおりますが、夜間に関しては配置義務はないため、医療ケアを常時必要とする方の対応は施設によっては難しく、入居不可となる場合もあります。

介護老人保健施設(老健)


【特徴・入居条件】
「機能回復」のための「短期入所」施設になります。入居の基準は要介護1以上の方で、要支援の方は入居することはできません。

【費用】
月7~14万円(平均値:2019年6月時点)
※特別養護老人ホームと同様に低額で入居ができますが、リハビリに対する費用が別にかかります。

介護保険法第8条第28項により定められた、厚生労働省が管轄するサービスです。主に医療ケアやリハビリを必要とする要介護状態の高齢者(65歳以上)を受け入れています。

交通事故にあった高齢者や長期入院明けの高齢者が普段の生活に戻るための機能訓練をおこなう福祉施設です。
医師による医学的管理の下、看護・介護を提供する施設で、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)などの専門職によるリハビリを受けられることが一番の特徴です。

しかし、あくまで自宅に戻ることを想定とした訓練とそれに伴う介護サービスの提供になるため、原則3カ月の短期入所になり、3カ月ごとに退所判定がおこなわれます。長期での入居が難しいため、老人ホームの転居が必要で次の施設がなかなか見つからない場合などに、老健に一時的に入居して空きを待つ、という事も考えられます。

介護医療院(介護療養型医療施設)


【特徴・入居条件】
高度な医療管理下にある「介護付きの病院」になります。長期滞在は原則認められていません。
要介護1以上の高齢者であることが入居の条件になります。

【費用】
特別養護老人ホームと同様に低額で入居が可能ですが、医療費が大幅にかかるケースも想定されます。

介護と同時に、在宅では難しい日常的な医療を必要とする高齢者向けの介護保険施設が介護療養型医療施設(療養病床)になります。医療ケアが非常に充実しており、要介護度が高い方でも安心して入所できます。病院の機能を持つ施設のため、老健と同じく元気になったら退院するという原則の短期入居を想定しています。

しかし、長期入居の高齢者が病床の大半を占める上、介護保険費用もひっ迫していることから、2017年度末に廃止される予定となっていました。しかし、実態としては利用は減らず、2017年6月に公布された法改正により6年間廃止が延長され、2023年度末に廃止されることになりました。現在では「介護医療院」へ転換が決まっています。
介護医療院は、これまでに療養病床が提供してきた医療+介護に加え、住居スペースの確保や生活支援、そしてターミナルケア(看取り)までを包括したケアシステムを目指しています。医師、看護師、介護士などスタッフの配置や居住スペースの面積、設備などのガイドラインを設定し、現在ある療養病床がこれら基準をクリアした上で介護医療院へ移行していくと見られています。

ここまでは、介護の必要な方を対象とした施設を紹介しましたが、介護が必要でない自立の方を対象とした施設もご紹介します。

民間の施設

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)


【特徴・入居条件】
介護サービスを受けながら暮らしていけるための環境が整備された集合住宅です。
入居へのハードルは低いですが、要介護度が高くなると退去しなければならない場合もあります。

【費用】
月額料金は15~25万円。一般のマンションやアパートに比べてやや高めの施設になります。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、高齢者が安心して生活できるために介護・医療と連携し、高齢者の安心を支えるサービスを提供するバリアフリー構造の住宅です。

サ高住は、要介護・要支援に該当しない元気な高齢者でも入れる介護サービス付きの集合住宅として人気を集めています。建物には日中は管理者が常駐し、安否確認と生活相談をおこなってくれますが、食事や清掃、買い物などは自分で行います。

要介護の方でも入居することは可能ですが、必要なケアは外部の介護サービスを利用することになります。ただ、最近では同じ運営元もしくは提携する訪問介護事業者が、同じ建物内に入居するか隣接する形で事業所を設けるケースも多くなりました。

また、先ほどご紹介した通り「特定施設」の指定を受けている「介護型」は、介護付き有料老人ホームと同様に、その施設のスタッフからサービスを受けることができます。

シニア向け分譲マンション


【特徴・入居条件】
資産としても残り、一般のマンションと変わらない住居です。
自立した生活が可能な高齢者が対象であり、施設から介護のサービスはありません。
年齢についての条件は施設ごとに異なります。

【費用】
月額料金は10~30万円。

シニア向け分譲マンションとは民間事業者によって販売・運営されているバリアフリー分譲住宅のことです。ほとんどの家事を施設スタッフに依頼ができ、シニアライフを楽しむための設備が充実しています。

建物の設備や設計は高齢者向けに配慮されたものとなっており、段差の少ない構造や車いすが通れる幅の通路の確保、手すりや点字ブロックの設置などがあります。

介護サービスについてはサ高住と同様に、外部の介護サービスを利用します。
マンションによっては専属シェフがいるレストラン、カラオケルームや温泉、園芸ができる中庭などが付いた高級物件もあります。

公共の施設

軽費老人ホーム/ケアハウス


【特徴・入居条件】
自立した生活に不安があり、身寄りのない高齢者が、自治体の助成により低価格で入居できる施設です。

【費用】
月々6~15万円+入居一時金数十万円

地方自治体または社会福祉法人によって運営される集合住宅で、費用面で有料老人ホームより低額に抑えられるのが特徴です。

管理人が常駐していて安否確認や生活相談をおこなってくれますが、「一般型」は介護が必要な場合は外部の訪問介護サービスを利用することになります。

「介護型」は要介護1以上の方が対象となり、その施設のスタッフから介護サービスを受けることができます。
「介護型」の中には食事の提供がある(A型)と提供がない(B型)、ケアハウスの三種類があります。

身寄りのいない高齢者の受け皿として機能してきましたが、家庭の事情や経済面で問題を抱える高齢者向け施設であるため、もともとは介護サービスの提供を想定していませんでした。一般のアパートや一軒家を改修して住まいとして提供しているケースも多く、十分なバリアフリーが難しい状況もあります。

そのため現在では、身体機能が低下した人でも入居可能で、外部の介護サービスを利用できる「ケアハウス」が台頭してきました。

従来の軽費老人ホーム同様食事の提供もあり、入居にあたり所得制限もありません。
現在は、施設数がやや減少傾向にありますが、老人ホームの多様化と増加によって、入居の難易度は高くない様です。

まとめ

いかがだったでしょうか。
特にサービス付き高齢者向け住宅など、他との区分けがあいまいで分類が難しいものもありますが、概ね違いはご理解いただけたのではないでしょうか?

家族の介護を検討している、あるいは自身が働いてみたい、という場合にはぜひ今回の記事を参考にしていただければと思っています。

Writer
ケアリッツマガジン記者 takahashi
デザイナー。知らない場所を散策することが好きです。