【Roots】ゴールからのリスタート。「ボランティア精神は忘れない。でもボランティア活動ではない」と、改めてプロとしてのあり方を考える日々。

【ROOTS】は、当社で働いている社員の方を紹介するコーナーです。
ケアリッツには毎月大勢の方が入社されています。どのような方がどのように活躍しているのか、インタビュー形式で紹介します。これから介護職へ転職を考えている方や、経験は無いものの介護に興味がある方々は、是非参考にしてください!
今回紹介するのは 鶴見事業所 平井 愛(ヒライ アイ)さん
2020年2月から登録ヘルパーとして稼働を始め、同年4月に正社員入社。一度は、「もうやり切った」と第一線から退いていた介護業界に舞い戻ってきた平井さんが、改めて思うプロとしての在り方についてなど、色々なお話を伺ってきました。
ターニングポイント
-なぜ介護に興味を持つようになったのですか?-
人と接することが好きで、新卒で就職したのはホテル業界でした。接客業務をとおして、「ありがとう」と感謝されることが嬉しくて、毎日楽しく働いていました。そんな中でふと、何の資格も持たないままキャリアを積んでいっていることに対して不安を覚え、社会人になってからでも取得しやすく、サービス業で活かせて、いざとなれば自分の家族に還元することもできる、介護の専門職への道が魅力的に映りました。それまでは全く介護のことなんて考えたこともなかったので、とても新鮮な感覚でした。
専門職としてのこれまで
-実際に介護の世界に飛び込んでみてどうでしたか?-
山形に田舎があって、そこで暮らす祖父母のことが昔からずっと大好きだったので、福祉業界に踏み出すタイミングで東京から山形に引っ越して就職をしました。生活環境も仕事もいっぺんにがらりと変わりましたが、就職先が施設だったので、同じフロア内にいる先輩方に色々と助けてもらったり相談したりしながら働くことができ、大きな不安なく介護職としてのキャリアをスタートすることができました。それでも、一人では対応しきれないくらい大勢のご利用者から同時に呼ばれる状況や、認知症の方とのコミュニケーションの難しさについてストレスを感じていたことは、今でもはっきりと覚えています。勤めていた3年の間で、同じ法人内で老健(介護老人福祉施設)、特養(特別養護老人ホーム)、デイ(通所介護)と、コンスタントに環境を変えながら働いていたんですが、当時どの環境下でも同じように感じていたのは、スケジュールに追われながらの支援に対しての歯痒さでした。集団生活の場なので、どうしても一日の時間割を決めざるを得ないんですが、食事にしても、お風呂やトイレにしても、拒否のある方が一定数いらっしゃって、「どうしたらスムーズに一日が流れていくんだろう」という思考になりがちでした。本音ではお一人お一人と親身に関わりたいと思っていたので、気持ちに折り合いを付けながら働くことが大変でしたね。3年勤めて介護福祉士を取得したタイミングで、結婚もあったので、退職をして東京に戻ってきたんですが、国家資格を取得したことと、何かあっても家族に還元できる程度に介護技術を身に着けたという達成感があったので、介護の仕事は「もうやり切った」と、ゴールした感覚がありました。実際それからは、10年近く家事や子育てに専念して、介護の仕事から離れた生活をしていました。
子育てが段々と落ち着いてきた頃、時間があるときに知人の会社で梱包作業などをするお手伝いを始めたんですが、久しぶりの社会復帰だったこともあって、もう少し働きたいなと思うようになっていきました。そこでふと、まだ在宅介護を経験したことが無いなと思い、ケアリッツとは別の訪問介護事業所で週に2日くらい、それも1日2時間くらいからヘルパーを始めてみたんです。介護の仕事は10年近くブランクがあったので、最初はハードルの低い生活援助(日常的な家事の支援)から慣らしていきました。毎週決まった曜日、決まった時間に同じお宅に伺うということを繰り返して、純粋に「楽しいな」って感じました。施設での介護とは違って、お一人お一人と親身に向き合えるというのが私には合っていたんでしょうね。身体的な介護についても、管理者さんと相談しながら少しずつ入らせてもらうようになって、生活援助も身体介護も問題なくできるという自信が徐々に湧いていきました。
ケアリッツへの転職
-ケアリッツに転職してみていかがですか-
2つのパートをかけ持つうちに、収入の壁にぶつかり、扶養の範囲内で働くかどうかを考えなければならなくなったんですが、子育てがひと段落していたので、「今ならもう少し働ける」と思いました。最初は当時勤めていた訪問介護事業所でそのまま正社員になるつもりで進めていたのですが、当時の管理者さんから、「大きくない事業所だから、まだ仕事に見合うだけの給与を保証できない」という話があったので、いくつかの事業所を比較してみて、ケアリッツに転職することにしました。
実際に働いてみて感じるのは、今まで以上にプロとしての意識を強く持てるようになったということです。パート時代は私しか訪問しないお宅が一定数あって、それはそれでしっかりと寄り添うことができるので良いことだと思っていました。ただ、時間が経つにつれて段々と要求がエスカレートしていくという悩みが常について回るようになり、働き辛さを感じるようになりました。介護保険制度の範囲内であればまだ許容のしようもあったんですが、制度上できないことについては、何て言って断ればいいのか、どこまで自分で判断していいのか、他のヘルパーさんに確認することができなかったので、どうしていいのか分からずに複雑な気持ちになることもありました。今は契約の時から複数名のスタッフで関わらせていただくことを了承してもらっているので、誰か一人が頼られすぎてしまうということが無い状態でサービス提供することができ、とても働きやすいです。「誰が来るかは当日までのお楽しみ」くらいの方が、何をどこまでお願いして良いのかをご利用者側に把握してもらうのにも良いんだと思います。一方で固定のお宅ではなく、色々なお宅に訪問するというスタイルなので、日々の情報整理をきちんとしておかないと、久しぶりに訪問するお宅であたふたしてしまうなんていうこともあるので、やはりしっかりとプロ意識を切らさないようにすることが大切ですね。パート時代との比較にはなってしまいますが、前職までは、どこかで、「介護はボランティアの延長で、それでお金がもらえるのはありがたい」という空気がまだまだ色濃い印象で、その結果として制度上やってはいけないことまで対応してしまうと、「誰々さんはやってくれたよ」といった反応がご利用者から返ってきてしまって、チームとしての足並みが揃わなくなってしまうことがよくありました。今は、人のためになりたいというボランティア精神は持ちつつも、「私が行っていることはボランティア活動ではなくて、れっきとしたサービス業なんだ」と、日々働きながら再認識することができているので、プロとしての意識を高く持ちながら働くことができているという実感がすごくあります。もう一度介護の世界に戻ってきて、そして思い切って転職をしてみて、本当に良かったと思います。
これから
-今後の目標を聞かせてください-
今年の受験をするかどうかはまだ迷っているところですが、ケアマネ(介護支援専門員)の資格を取ることが直近の目標です。どうしてもケアマネになりたいとか、そういった強い思いがあるというよりは、経験できることは何でも試しておきたいという好奇心から来ている目標ですね。ケアマネになれたとしても、また介護の現場に戻りたくなってしまうことも十分あると思っていますが、その時には、ケアマネとして学んだことや経験を生かすことで、より専門性の高い介護のプロになれると思っています。
上品で穏やかな口調の中にも、終始高い熱量が込められている印象の平井さん。今いる地点に留まるのではなく、今だからこそ出来ることに対して主体的に進んでいく行動力は、周りのスタッフにとって、とても良いお手本になっていることでしょう。貴重なお話をありがとうございました!