介護職のキャリアパス制度の導入で働く意欲がアップする?メリットやポイントをご紹介

介護職は離職者なども多いため、自ら意欲を持って働きたいと感じる職場環境を作ることが重要です。
今回はそんな介護職員や事業所にとってもメリットがある介護職のキャリアパスについて紹介します。
「介護職でキャリアパスを導入するメリット」や「キャリアパス制度を導入するときのポイント」を紹介しているので、働きやすい職場環境を作りたい人は必見です。将来的にキャリアアップを目指す人も、キャリアパス制度を把握しておくとよいです。
離職者を増やしたくない雇用主や、仕事のモチベーションをアップさせたい職員の人はチェックしてください。
介護職のキャリアパスとは?
介護職のキャリアパスは、経験を積むことでどのような業務がおこなえるか、どのような職種を目指せるかがわかるものです。キャリアパスの作成をおこなうだけではなく、職員が自ら意欲的に業務に取り組めるように、わかりやすく運用していく必要があります。
介護職におけるキャリアパスや運用するためのポイントを紹介しています。
介護職のキャリアパスを紹介
介護職は未経験や無資格でも挑戦できる職種です。介護職が目指せる一般的なキャリアパスの流れは以下のとおりです。
- 無資格・未経験
- 1年目:介護職員初任者研修
- ~3年:実務者研修
- 3年~:介護福祉士
- 8年‐10年~:認定介護福祉士・ケアマネージャー
介護の仕事を始めたらまずは、“介護職員初任者研修”を受講します。介護職に必要な基礎的な内容から学べるため、未経験で介護職に挑戦する人も介護のいろはを学べます。
“実務者研修”は介護福祉士国家試験を受験する際に、必ず受講していなければならない研修です。実務者研修を修了し介護の実務経験が3年以上であれば、介護福祉士国家試験が受けられます。
次のステップの認定介護福祉士になるには、介護福祉士資格を取得してから実務経験が5年以上必要になるため現場でしっかりと経験を積むことが重要です。介護福祉士の資格を活かしてキャリアチェンジすることも可能で、ケアマネジャーなどを選択肢として選ぶ人も多いです。
そのほか、管理者や施設長を目指すという方法もあります。介護職として経験を積まないと要件を満たさない資格もあるので、日々の業務をこなしながら知識を得てスキルを磨いていくとよいです。
キャリアパスを運用するためのポイント
キャリアパスは介護の仕事を続けていくと、将来的にどのような道を目指せるか示すものなので働く意欲を保つためにも重要なものです。しかし、しっかりと運用されていないと意味がありません。
キャリアパスを作成し、全職員が把握できるように周知してフォローアップ体制を整えるとよいです。職員が見て理解できるように、わかりやすい内容であるかどうかも確認しましょう。
学ぶ機会を設けてキャリアアップできる環境を作るなど、施設全体として職員の士気を高める工夫をするのが望ましいです。それぞれに異なる価値観や個性があるため、必ずしもキャリアアップを目指したいという人ばかりではないかもしれません。
そのような可能性も考え本人の考えや希望を重視し、必要があればサポートするという形でもよいでしょう。
介護職でキャリアパスを導入するとメリットがある!
キャリアパスを導入することで、職員も雇用主にもそれぞれメリットがあります。キャリアパスを導入するとどのようなメリットがあるか具体例を紹介。
さらに、キャリアパスの導入で期待される効果も把握できて、役職者ごとに必要な能力や業務内容が明確だから、自主的に向上心がアップすることも期待できます。職員と雇用主それぞれのメリットをチェックしてください。
職員におけるメリット
キャリアパスを導入すると、職員が自ら頑張りたいという意識が生まれやすくなります。利用者や上司などからしても、職員がただ業務をこなしているときと、熱意を持って対応している状態では受け取り方も大きく変わってきます。
職員の士気が上がることは、利用者の満足度向上にも影響を与える重要なものです。それぞれのメリットを確認していきましょう。
また、介護職への転職を考えていてキャリアアップを目指したい人は、キャリアパス導入によるメリットを把握して、キャリアパスが導入されている施設を探すとよいです。
【離職者の減少】
キャリアパスがない状態だと将来的にどのような道があるかわからず不安で、ほかの職種への転職を考える人も多くなります。とくに、介護職は離職率も高いので長く働いてもらえるような対策が必要です。
もともと不足している介護職員ですが、離職者が増えるとさらに現場は忙しくなります。職員が働きやすい環境だと退職を考える人も減り、利用者にもより充実したサービスを提供できます。
職員が長く働くと利用者などにとっても、プラスの効果が期待できるということです。キャリアパスを提示し学べる環境が充実していると、働きやすい職場と職員も感じます。
退職原因には職場の人間関係なども多く挙がりますが、向上心が高い職員が多いとお互いをサポートしよい関係を築けます。コミュニケーションがしっかりとれてよい雰囲気だと退職したいと思う人も減る傾向です。
【仕事に対するモチベーションがアップする】
“仕事を頑張ろう、長く続けよう”と思うためには、本人の仕事に対するモチベーションは非常に重要です。仕事に対して意欲がなければその仕事に固執する必要がないと感じ、ほかの仕事を選んだり熱意をもって取り組めなかったりします。
資格を取ったり、経験を積んだりすることで給料がアップする、役職を目指せるなどのメリットがわかっていれば自らの意思で仕事に真剣に取り組んでもらえます。仕事のモチベーションが高い職員が多いと、利用者がより快適に過ごせるような行動をとれるので利用者たちからの評価アップなども期待できるのです。
【必要なスキルを把握できる】
キャリアパスがあり次のステップに進むために必要な経験年数や受講すべき研修などが把握できていると、より具体的に目指せる姿がわかります。そうすると、“経験を積むことが必要だから働き続けてスキルを磨こう”などポジティブに行動できます。
必要なスキルや、キャリアアップすることで変わる給料などが明確だとそれに向けた行動がとれるのでキャリアアップを目指したい人にとって近道となるでしょう。
雇用主におけるメリット
キャリアパスを導入すると、雇用主にとってもうれしい効果が期待できます。人材不足や離職者が多いことなどで悩んでいる施設にこそ導入してほしい制度といえます。
優秀な職員が集まると、施設全体の評価もアップも夢ではありません。
【職員ひとりひとりをしっかり評価できる】
職員の士気が下がる原因として、業務と給料がマッチしていない、頑張っていることを評価してもらえないことなどが挙げられます。しかし、キャリアパスを導入すると、ひとりひとりを正当に評価することが可能です。
それは、査定の基準がはっきりとしていることで同様の基準を用いて職員たちを評価できるからです。同じ基準で評価すると客観的に判断できるので不公平感がなく、職員がしっかりと見ていてくれると感じモチベーションも上がります。
【サービスの質の向上につながる】
やる気や熱意がある職員が増えると、サービスの質が向上。利用者やその家族の満足度も上がると安心して利用してもらえます。
より質の高い介護サービスが提供できると、利用者の身体的にも精神的にもよい影響を与えトラブルなどを減らすことにもつながります。職員も利用者も満足度が高い状況だと雰囲気もよく過ごしやすい施設、働きやすい職場と認識してもらえるというメリットも。
【優秀な職員を集められる】
いくら職員数が多くてもやる気がない人が集まると、利用者が不満を感じるなどよくない結果を招きます。
また、キャリアパスが導入されておらず、キャリアアップが目指せる環境でないと職員がほかの職場への転職を考えたり、意欲がない状態だったりとデメリットが生じる可能性があります。キャリアパスを作成するのは大変と感じるかもしれませんが、職員が退職することなどで生じる業務や負担を考えたら、早い段階で導入してよりよい施設づくりをおこなった方がよいです。
反対に熱意がある職員たちが集まると、施設全体としての雰囲気もアップ。
また、キャリアパス制度を導入していると、キャリアアップを目指したいと感じる熱意がある人を集めやすくなります。向上心が高い人たちであれば、日々の業務も丁寧にこなしてくれます。
優秀な職員が増えると職員間の雰囲気もよくなり、利用者の満足度も向上するなどさまざまなうれしいメリットが感じられるのも特徴です。
介護職でキャリアパス制度を導入するときのポイント
役職ごとの業務内容や必須な能力が定まっていると、それを目指して行動しやすくなります。研修や資格などが設定されていると、どのようなことを学ぶ必要があるかも理解できるのもうれしい特徴です。
介護職でキャリアパスを導入するときは、どのようなことを意識しておけばよいかポイントを紹介します。せっかくキャリアパスを導入してもわかりづらいと本来の機能を発揮できないので、ポイントに沿って施設の特徴にあったキャリアパスを作成しましょう。
役職ごとの業務内容や必要な能力をピックアップする
役職によって、業務内容や求められる能力は異なります。業務内容などもそれぞれで明確だと、負担が特定の人に偏ることなく不満を抱く職員も減ります。
また、必要な能力が明確だとその力を身につけるために、職員自ら積極的に行動するなど主体性をもった行動が可能です。役職者として必要な能力もわかるため、職員が役職者へチャレンジすることを後押しするきっかけにもなります。
段階ごとに必要な研修や取得すべき資格を設定
介護職は経験年数などによって、挑戦できる資格などに違いがあります。段階ごとに必要な研修や、取得できる資格が設定されているといつチャレンジできるかが明確です。
そのため、現時点でやるべきことがわかるのもうれしいポイントです。要件を満たしていたのに知らなかったことでチャンスを逃すという心配もいりません。
資格試験などについて知ることで、早い段階でそれに向けた対策などもできるため余裕をもった行動が可能です。また、介護職の経験や資格を活かしてケアマネジャーなどへキャリアチェンジする人も多いですが、ケアマネジャーの資格試験は難易度が高いです。
そのため、早くから対策しておくと最短で試験合格を目指せます。キャリアパスがあれば、そのような情報を得るきっかけにもなります。
また、身体的負担が大きくて悩んでいても身体介護を主とする介護士ではなく、ケアプラン作成をおこなうケアマネジャーなどの道があるとわかっていれば、介護職で働くことを諦めなくてよいです。
評価項目や給与水準を明確にする
キャリアパスを作成するときは、評価項目と給与水準を明確にしておきましょう。どのような評価に基づいて評価されるかがわかっていると、達成するために積極性が生まれます。
また、給料がアップすることも仕事のモチベーションを上げるために重要なことなので、キャリアアップできることでどの程度の給与が得られるかを知らせるとよいです。
施設や役職などによっても異なりますが、評価項目の一例は以下のとおりです。
訪問入浴サービス(上級)
- 利用者の基本情報の把握
- 入浴サービス実施のための事前準備
- サービス実施後の後片づけ、および情報の共有化
- 利用者に対する情報提供
- 介護に関する利用者からの相談に対する対応
介護サービス事業管理(事業所)
- コンプライアンス・マネジメントの推進
- 他部門との連携による職務の遂行
- サービス提供時におけるリスクの理解
- 利用者の安全確保、トラブルの未然防止のための対応
- ケアマネジャーとの連携
各施設の提供しているサービスに関わる業務内容がしっかり評価できるように、細かく評価項目が設定されていると日々の業務をどのようにこなせばよいかが見えてきます。
まとめ
介護職でキャリアパスが設定されていると、得られるメリットが大きいので意欲向上にもつながります。優秀な職員が増えると利用者にとっても、施設にとっても、職員たちにとってもプラスです。
目指すべき姿がわかっていると、職員自らが意欲を持って現状からの成長を目指せます。施設や職員どちらにもメリットがある、キャリアパス制度の導入を検討しましょう。