介護職のボーナスはいくら?年齢・勤続年数別の平均相場やアップさせるコツも!

「介護職のボーナスは少ない」という話を聞いたことはありませんか?
介護職のボーナスは勤続年数や施設、保有資格など、さまざまな要素に左右される傾向があります。
本記事では、介護職のボーナスの平均相場を項目別に紹介していきます。
介護職のボーナスをアップさせる方法についても解説していくため、ぜひ参考にしてください。
介護職のボーナスの平均相場
介護職のボーナスの平均相場を年齢や勤続年数、職種などの条件別に紹介していきます。
介護職全体・男女別
介護職員全体(医療・福祉施設等)の平均賞与額は、55万600円でした。
ボーナスは1年間で2回に分けて支給されることが一般的なため、1回あたり約27万5,000円受け取っている計算です。
なお、男性の介護職員は62万1,400円ですが、女性の介護職員は50万9,100円と10万円以上差があることが分かります。
参照:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
年齢別
介護職員(医療・福祉施設等)の年齢別の平均賞与額は、次のとおりです。
年齢 | 平均賞与額 |
~19歳 | 13万4,100円 |
20~24歳 | 36万4,000円 |
25~29歳 | 51万5,000円 |
30~34歳 | 57万5,900円 |
35~39歳 | 60万7,500円 |
40~44歳 | 67万6,100円 |
45~49歳 | 63万9,300円 |
50~54歳 | 56万6,900円 |
55~59歳 | 54万7,200円 |
60~64歳 | 47万円 |
65~69歳 | 28万2,800円 |
70歳~ | 24万6,100円 |
年齢別平均賞与額は年齢とともに増加して40~44歳でピークに達し、その後は徐々に減少する傾向があります。
65歳以降は定年後の再雇用となるケースが多く、ピーク時よりも金額が少なくなりやすいです。
参照:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
勤続年数別
介護職員(医療・福祉施設等)の勤続年数別の平均賞与は、次のとおりです。
~1年 | 7万7,600円 |
1~4年 | 42万7,200円 |
5~9年 | 53万4,600円 |
10~14年 | 60万4,100円 |
15年~ | 74万1,900円 |
勤続年数が長くなるほど、ボーナス額が増加していることが明らかです。
特に、5年以上の勤続で大きな増加が見られます。
これは勤続年数が上がると基本給も上がるため、基本給をもとに算定されるボーナスの金額も上がると考えられるでしょう。
参照:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
施設形態別
介護施設の形態別の賞与額の平均は、次のとおりです。
訪問系 | 54万8,220円 |
施設系(入所型) | 74万6,924円 |
施設系(通所型) | 50万7,978円 |
居住系 | 49万7,211円 |
居宅介護支援 | 57万5,260円 |
施設系では通所型よりも入所型のほうが、ボーナスが高めです。
24時間体制でのケアが必要であることが要因でしょう。
参照:公益財団法人 介護労働安定センター「① 事業所調査「事業所における介護労働実態調査 結果報告書」」資料編-126
保有資格別
保有資格別の賞与額の平均は、次のとおりです。
介護福祉士 | 62万9,134円 |
介護職員初任者研修 | 47万3,650円 |
実務者研修 | 48万6,322円 |
社会福祉士 | 74万2,254円 |
そのほかの資格 | 66万5,825円 |
無資格 | 41万9,200円 |
無資格と有資格を比較すると、資格の有無によってボーナスの金額が変動することが分かります。
ボーナスの金額は社会福祉士がもっとも高く、そのほかの資格に次いで介護福祉士が高いです。
国家資格である社会福祉士や介護福祉士は、ボーナスが高い傾向があります。
参照:公益財団法人 介護労働安定センター「① 事業所調査「事業所における介護労働実態調査 結果報告書」」資料編-127
職種別
介護職員の職種別の賞与額の平均は、次のとおりです。
訪問介護員 | 47万7,657円 |
介護職員 | 58万5,209円 |
サービス提供責任者 | 63万4,355円 |
生活相談員 | 68万4,261円 |
看護職員 | 71万2,298円 |
介護支援専門員 | 68万552円 |
職種別で見ると、訪問看護員や介護職員のボーナスはほかの職種と比べてやや低めです。
看護職員や介護支援専門員は高めなので、資格や専門的な知識が必要な職種は、ボーナスが高い傾向があります。
参照:公益財団法人 介護労働安定センター「① 事業所調査「事業所における介護労働実態調査 結果報告書」」資料編-128
介護職のボーナスの算定基準
介護職のボーナスは、業務内容を数値で評価することが難しいため、勤怠状況や役職などを基準に算定されることが一般的です。
特に、ボーナスの金額は基本給をもとに算出されるケースが多く、勤続年数が長くなり基本給が上がると、ボーナスも増加する傾向があります。
また、管理職などの役職に就いている場合は役職手当が加算されるため、ボーナスの金額は一般職員よりも高くなることも珍しくありません。
そのため、基本給が低く設定されている場合、ボーナスも低めになってしまう可能性があります。
さらに、欠勤が多かったり勤務態度に問題があったりする場合、ボーナスの算定にマイナスの影響を及ぼすでしょう。
職場のルールを守り良好な勤怠状況を維持することで、適切な評価とボーナスが期待できます。
介護職でボーナスが支給されない場合もある?
介護職で職員にボーナスが一切支給されないことはあるのでしょうか。
ボーナスなしの割合について解説していきます。
介護職でボーナスなしの場合もある
介護職では、ボーナスが支給されない場合もあります。
就業形態別の賞与の有無の割合は、次のとおりです。
区分 | 賞与あり | 賞与なし | 無回答 |
介護職全体 | 72.9% | 9.0% | 18.2% |
無期雇用職員 | 74.5% | 8.6% | 16.9% |
有期雇用職員 | 61.3% | 13.8% | 25.0% |
介護職全体では70%以上の職員がボーナスありと回答していますが、9%の職員はなしと回答しています。
およそ介護職員の10人に1人が、ボーナスがない計算です。
また、パートやアルバイトなどの職員には、ボーナスを支給していない施設や事業所が多いといえます。
参照:公益財団法人 介護労働安定センター「令和4年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書」資料編P127
ボーナスなし・カットされる理由
ボーナスが支給されない、またはカットされる理由として考えられるのは、個人の評価の低下か事業者の業績悪化です。
そもそもボーナスは法律上の支払い義務はなく、通常の給与とは異なり、支給するかどうかは事業者の判断に委ねられています。
そのため、正社員であっても、賞与なしとしている事業者もあるため注意が必要です。
また、これまでボーナスを支給していた事業者でも、経営状況が悪化すればボーナスなしになる可能性が高くなります。
業績不振により賞与額を削減したり、一時的に支給を停止したりするケースもあるでしょう。
職場を選ぶ際はボーナスの有無だけでなく、事業者の経営状況や過去の賞与実績を確認することも大切です。
業績が安定しているかどうかを見極め、長期的に安定した収入を得られる環境を選びましょう。
利益が黒字の場合はカットできない
厚生労働省は2015年度の介護報酬改定で、介護職員の待遇改善を目的に人件費加算を導入しました。
しかし、黒字経営の事業者の中には加算額を給与に反映せず、ボーナスを削減するケースが見受けられたため、黒字の事業者に対してはボーナスカットを禁止する方針を打ち出しました。
一方で、経営が赤字の事業者については、引き続き削減が認められています。
そのため、ボーナスの支給を期待する場合は、利益が出ている施設を選ぶことが重要です。
施設の経営状況を確認することで、収入アップを目指せる可能性が高まります。
また、ボーナスカットを行う事業者には、経営状況や賃金改善の見込みを自治体へ報告する義務が課されています。
ボーナスだけではなく年収で考えることもポイント
ボーナスが支給されないからといって、必ずしも待遇が悪いとは限りません。
基本給が高かったり、各種手当が充実していたりする場合は、ボーナスのある事業者よりも年収が高くなることがあります。
また、昇給制度がしっかりしている職場であれば、長期的に見て安定した収入が期待できます。
職場を選ぶ際はボーナスの有無だけで判断するのではなく、基本給や手当、昇給制度や福利厚生など、総合的に確認することが大切です。
自身の働き方やライフプランに合った条件の職場を選びましょう。
介護職のボーナスをアップさせるコツ
ボーナスが高い方の特徴を理解すれば、ボーナスが上がる可能性があります。
介護職のボーナスをアップさせるコツをチェックしていきましょう。
ボーナスの高い施設に転職する
ボーナスを上げるには、現在の職場よりもボーナスが高く設定されている施設へ転職するのも一つの方法です。
介護職の給与体系は事業所ごとに異なり、同じ業務内容でもボーナスの支給額に大きな差があることがあります。
そのため、より高い賞与を得るためには、転職先の選び方が重要です。
ここでは、ボーナスが高い施設へ転職するためのポイントを解説していきます。
【求人票で探す】
介護職の求人票には基本給のほか、賞与の実績が記載されていることがあります。
例えば、「賞与年2回・計4カ月分」などと明記されている場合、その施設では比較的高いボーナスが期待できるでしょう。
ボーナスが高い施設を見つけられれば、現在よりも大幅な収入アップが可能です。
ただし、好条件の求人は応募者が多く、競争率が高くなる傾向があります。
そのため、待遇のよい施設に転職するためには、介護のスキルや実務経験を積み、ほかの応募者と差別化を図ることが重要です。
また、賞与額だけでなく支給条件もしっかり確認しましょう。
「勤続1年以上が対象」などの条件がある場合、入職後すぐにはボーナスを受け取れない可能性があるため、転職を決める前に支給の詳細を確認することが大切です。
【規模の大きい事業所を検討する】
職員数が多く施設規模が大きい事業所は、経営が安定しているためボーナスが高い傾向があります。
特に大手の法人が運営する介護施設は安定した収益基盤を持っているため、賞与の支給実績も安定しているでしょう。
求人情報に賞与額が明記されていない場合は、法人の規模や経営状況を確認し、大手の介護施設への転職を検討するのもよい方法です。
自治体や医療法人が運営する施設も比較的ボーナスの支給が安定しているため、候補に入れるとよいでしょう。
また、福利厚生や各種手当が充実している大手施設も多くあります。
住宅手当や家族手当、退職金制度などが整っている場合は、ボーナス以外の面でも待遇が向上する可能性があります。
介護職に関わる資格を取得する
介護系の資格を取得すると毎月の資格手当が支給される可能性があり、ボーナスも増える可能性があります。
資格を持っていることで業務の幅が広がり、評価が上がることもメリットです。
介護職のキャリアアップにつながる代表的な資格には、以下のようなものがあります。
- 認知症介護基礎研修
- 介護職員初任者研修
- 介護福祉士実務者研修
- 介護福祉士
- 認定介護福祉士
- 介護支援専門員
上記の資格のうち、認知症介護基礎研修・介護職員初任者研修・介護福祉士実務者研修は、実務経験がなくても取得可能です。
介護業界に未経験で入る場合でも、事前に資格を取得することで、よりよい待遇で就職できるかもしれません。
また、介護福祉士や介護支援専門員の資格は、取得することで給与が上がるだけでなく、ボーナスの増額にもつながります。
資格を持つことで事業所からの評価が高まり、昇進のチャンスも広がるため積極的に取得を目指しましょう。
役職を目指す
介護職員をまとめる役職に就くと、役職手当が支給されるため月給が上がり、それに伴いボーナスの増額も期待できます。
施設の運営やスタッフの指導など責任のある立場にはなりますが、その分給与や待遇が向上する点がメリットです。
介護職には、以下のような役職があります。
- 施設長・管理者
- 介護主任(介護リーダー)
- サービス提供責任者
- ユニットリーダー・フロアリーダー
これらの役職に就くためには、実務経験を積むことが不可欠です。
人をまとめる立場は大変なこともありますが、やりがいも大きくキャリアアップのチャンスが広がります。
役職を目指してスキルアップし、ボーナスアップを目指しましょう。
上司に相談する
ボーナスが上がらず困っている場合、施設長や管理者に相談するのも一つの手段です。
現場の職員から賞与制度の導入や改善を求める声が上がれば、介護現場の処遇改善につながる可能性があります。
また、相談時に転職を検討していることを伝えると、離職を防ぐためにボーナスの増額や支給の見直しを検討してもらえる場合もあります。
ただし「この施設で長く働きたい」という意思を示しつつ、現状の待遇への悩みを伝えることが大切です。
現在の職場で働き続けたいと考えている方は、一度相談してみるとよいでしょう。
長期間勤める
転職や資格取得が難しい場合、同じ施設に長く勤めることもボーナスアップの方法の一つです。
業績が安定しており、年に2回ボーナスを支給すると就業規則で定めている施設であれば、昇給やボーナス増額が期待できます。
ただし、勤続年数によって月給やボーナスが上がるかどうかは、施設によって異なります。
何年勤めても給与が上がらない場合もあるため、昇給制度を確認することが重要です。
また、ボーナス以外にも、長く勤めることで得られるメリットがあるかを見極めましょう。
職場環境や働きやすさ、福利厚生なども考慮しながら、総合的に判断することが大切です。
介護職のボーナスに関するよくある質問
最後に、介護職のボーナスに関するよくある質問を解説していきます。
ボーナスの支給日は?
介護職も他業種と同様に、7月と12月のタイミングで支給されることが多いでしょう。
ただし、施設によっては支給時期が多少前後する場合があります。
正確な支給日を知りたい場合は、職場の担当者に確認するとよいでしょう。
パートの介護職はボーナスがもらえない?
パートやアルバイトでも、施設によってはボーナスが支給される場合があります。
ただし、正社員と比べると月給が低いため、ボーナスの金額も少なくなるのが一般的です。
また、施設の業績が悪化した場合はパート職員のボーナスが削減されたり、支給されなくなったりすることもあります。
特に、正社員を優先して賞与を支給する施設では、パート職員にはボーナスが出ないケースも少なくありません。
ボーナスを希望する場合は、求人情報でパート職にも賞与が支給されるかを事前に確認しましょう。
また、雇用契約書や就業規則にもボーナスの支給条件が記載されているため、入職後に確認することも重要です。
介護職は1年目からボーナスがもらえる?
勤続年数別の平均賞与額を確認すると、1年未満の職員でも平均7万7,600円のボーナスが支給されています。
施設によって異なりますが、1年目からでもボーナスがもらえる可能性はあるでしょう。
ただし、1年目以降の金額と比較するとかなりの差があります。
1年目は月給も低く実績も少ないため、いきなり最初から高額なボーナスを受け取ることは期待できないでしょう。
参照:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
休職するとボーナスがもらえない?
休職中のボーナス支給は、施設の就業規則によって異なります。
就業規則に「休業期間は賞与の算定対象期間にならない」と記載されている場合は、その期間分のボーナスは支給されないでしょう。
例えば、半年間休職した場合はその期間が賞与の対象外となり、通常より減額される可能性があります。
また、ボーナス支給月に退職した場合でも、支給日に在籍していれば賞与を受け取れる可能性があります。
ただし、退職者へのボーナス支給を制限している施設もあるため、事前に確認が必要です。
休職や退職を検討している場合は事前に施設の就業規則を確認し、支給条件を把握しておきましょう。
まとめ
本記事では介護職のボーナスの平均金額や、ボーナスを多く受け取るためのコツについて解説しました。
介護職のボーナス額は年齢や勤続年数、職種などの条件によって異なります。
ただし、個人の評価や業績によってボーナスがカットされたり、支給されなかったりするケースもあります。
ボーナスの金額を上げるためには、個人の評価を高めてスキルアップしたり役職の取得を目指したりすることが効果的です。
今回紹介した方法を活用し、よりよい待遇を得られるよう取り組んでいきましょう。