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ナースエイド(看護助手)の給料は?キャリアアップの方法も詳しく解説

ナースエイド(看護助手)の給料は?キャリアアップの方法も詳しく解説

ナースエイド(看護助手)とは、病院内で看護師の補助や介助業務を専門に行う人を指します。

患者の身の回りのお世話から医療器具の準備など、多岐にわたる業務をこなすナースエイドの給料はいくらぐらいでしょうか。

本記事では、ナースエイドの平均給料や給料アップの方法、やりがいや向いている人の特徴などを解説します。

ナースエイドの基本的な給料相場

ナースエイドの給料の相場がいくらぐらいか、ほかの職種とどれくらい差があるのか気になる方もいるでしょう。

まずは、ナースエイドとして働く方の平均給与を解説します。

ただし、職場や勤務形態によって異なるため、目安の一つとしてお考えください。

給料の平均

 

厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、ナースエイドの平均月給は23.5万円、賞与が46.3万円となっており、年収は328.3万円でした。

パートタイマーの場合は平均時給が約1,258円、賞与が約6.2万円です。

ただしこの調査では、夜勤や残業といった月ごとに変動する手当は含んでおらず、毎月決まって支給される金額のみとなっています。

そのため、手当を含めると実際にはもう少し多くなるかもしれません。

参照:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」

多職種の給料との差

 

国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、全産業の平均年収は460万円となっており、ナースエイドとは100万円以上の差があることが分かります。

なお、同じ病院内で勤務している看護師は「令和6年賃金構造基本統計調査」では月給の平均が36.3万円、賞与の平均が83.5万円となっており、年収が519.7万円でした。

看護師は国家資格ですので、全産業の平均年収よりも多くなっていることが分かります。

ナースエイドは無資格でも始められる職業であるため、看護師や全産業の平均と比べても低く設定されているようです。

参照:国税庁「令和5年分民間給与実態統計調査」

参照:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」

ナースエイドの業務内容

ナースエイドの仕事は幅が広く、患者の身の回りの介助や看護業務の補助などが主な業務ですが、勤務場所や配属先によっても業務内容は異なります。

例えば、病棟ではシーツ交換や病室の清掃などもナースエイドの仕事です。

続いては、ナースエイドの業務内容について詳しく解説します。

看護業務の補助や準備

 

看護師や准看護師の指示を受けて、使用する物品の準備や消毒などの補助業務です。

また、重度な患者の対応に人手として呼ばれたり、看護師と二人介助での入浴の手伝いも行ったりします。

看護師資格を持たないため医療行為はできませんが、スムーズな看護処置のためにナースエイドの補助は重要です。

特に医療器具には高価なものや、衛生面の取り扱いに注意が必要なものもあり、繊細な配慮が求められます。

ただ、看護師の指示によって動くため、緊急時に自分で判断する部分は少ないといえるでしょう。

介助業務

 

患者の食事介助、排泄介助、更衣介助、入浴介助、体位変換といった身体介助や、ベッドメイキング、病室の清掃、食事の配膳などを専門に行います。

病院内では、患者を検査室やリハビリ室などに案内するのもナースエイドの業務です。

医師や看護師と比べると患者における生活面のサポートが中心となるため、患者との距離が近い職種といえます。

また、普段の介助から気づいた患者の変化や、心身における不調の訴えを看護師に伝えることも大切な役割です。

ナースエイドの給料に影響する要因とは

ナースエイドの給料はさまざまな条件によって変動します。

夜勤のないクリニックでは金額が下がりますし、職場によっては賞与の額も異なります。

地域差や経験年数も、給料に違いが出る要因の一つです。

それぞれの条件による違いを解説します。

地域差

 

厚生労働省によると、主要都市のナースエイドの平均給料の違いについては以下の通りです。

都道府県平均月給平均賞与平均年収
全国23.5万円46.3万円328.3万円
北海道22.3万円50.7万円318.3万円
宮城23.5万円53.9万円335.9万円
東京27.4万円49.0万円377.8万円
神奈川25.5万円33.5万円339.5万円
愛知22.3万円33.2万円300.8万円
大阪24.9万円43.5万円342.3万円
沖縄19.8万円34.3万円271.9万円

 

※年収は、毎月決まって支給される現金給与額✕12か月分+年間賞与その他特別給与額で算出しています。

大阪、神奈川の月給は全国平均より高いものの、賞与の額は全国平均と比べてあまり高いとはいえません。

反対に、北海道や宮城は月給は低いもしくは同等程度ですが、賞与の割合が多くなっています。

平均年収が300万円を超える都道府県がある一方で、沖縄では300万円を下回っており、東京と比べると100万円以上の差があることが分かります。

参照:厚生労働省「都道府県、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(全国〜埼玉) (千葉〜愛知) (三重〜山口) (徳島〜沖縄)

雇用形態や勤務形態による差

 

雇用形態や勤務形態によっても、給料に差が生じます。

パートタイマーの多くは扶養範囲内での勤務となるため、年収は100万円弱が一般的です。

夜勤をしているナースエイドには夜勤手当が支給されるため収入も高くなりますが、夜勤手当は1回5,000〜1万円が相場です。

月に4回の場合でも2万〜4万円多くもらえることになり、かつ昼間は自由な時間も増えるため、ダブルワークもしやすくなります。

ただし、生活のリズムが乱れることから、体調を崩してしまう恐れがあるため注意が必要です。

生活リズムを重視する場合は、夜勤のない外来専門のクリニックなどに勤務するのも良いでしょう。

経験年数の差

 

資格を必要としないナースエイドですが、ベテランの職員と新人職員では年収が異なります。

厚生労働省によると、経験年数による収入の違いは以下の通りです。

経験年数平均月給平均賞与平均年収
0年19.3万円10.8万円242.4万円
1〜4年20.6万円34.5万円281.7万円
5〜9年21.7万円45.8万円306.2万円
10〜14年22.8万円52.4万円326.0万円
15年以上23.2万円57.5万円335.9万円

 

初年度は賞与も少ないですが、1〜4年の経験で年収が40万円近く上がっています。

その後も、年数を重ねることで給料は増加しています。

参照:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査

職場による違い

 

職場によって給与体系や賞与、夜勤手当、勤続年数による昇給の額が異なるため、求職の際は雇用条件をよく確認しましょう。

特に私立病院は正社員、派遣社員、パートなど複数の雇用形態があり、給料も各病院が独自に設定しているため、資格手当や休日手当など基本給以外の手当が多いこともあります。

募集は多くないですが夜勤専従の求人もあり、勤務スタイルに合わせられることも利点の一つです。

また、公立病院では「会計年度任用職員」のナースエイドとしての募集が多くなります。

任期が1年の非常勤職員となり、毎年契約更新が必要です。

しかし、有給や勤務年数による昇給もあり、私立病院のナースエイドと比べてそれほど変わりはないといえるでしょう。

全体の傾向としては、夜勤のない外来専門のクリニックに比べると、大学病院や総合病院は比較的給料が高いケースが多くみられます。

クリニックでも美容整形外科や美容皮膚科は給料が高い場合が多く見られますが、求人自体も少ないため、狙うのは難しいかもしれません。

ナースエイドの給料を上げるには

ナースエイドとして働き、給料を上げていくためにはどのような手段があるでしょうか。

やはり一番に求められるのは高いスキルです。

経験に裏付けられた技術や、スキルを証明できる資格の取得によって、給料は変わってきます。

もしナースエイドを志すのであれば、視野に入れておくと良いでしょう。

資格の取得

 

ナースエイドの業務に役立つ資格はいくつかあります。

  • メディカルケアワーカー
  • 看護助手認定実務者試験
  • 介護職員初任者研修

 

これらの資格は、職場によっては給与ランクを決める条件であったり、資格手当を用意していたりする場合があるため、昇給にも期待ができます。

 

【メディカルケアワーカー】

メディカルケアワーカーは、医療福祉情報実務能力協会が実施している民間資格です。

看護助手の基本的な役割や消毒学、薬科学だけでなく、心理学や介助技術、敬語などの看護マナーといった内容が習得できます。

基礎的な内容が主な2級と、専門的な内容や実技知識も問われる1級があり、2級の受験資格は通年2年以上の実務経験、または協会指定教育機関における講座の受講終了が必要です。

 

【看護助手認定実務者試験】

看護助手認定実務者試験は、2020年度より「看護助手実務能力認定試験」から名称変更された民間資格です。

看護助手の役割や医療制度、患者をサポートする技術などが出題されます。

公式のテキストや問題集があるため、効率よく勉強を進められるでしょう。

受験資格はなく、誰でもすぐに受けられます。

 

【介護職員初任者研修】

介護職員初任者研修は、介護士が介護の基礎を学ぶものですが、看護助手の業務とも重なる部分が多いため、職場によっては資格手当の対象になります。

高齢者介護をベースとしており、内容は介護の考え方や高齢者特有の疾患、コミュニケーション技術、実践的な介助の技術などです。

病院だけでなく介護施設での就職も可能になり、さらに上位資格の介護職員実務者研修を受ければ、ゆくゆくは介護福祉士の資格取得にもつなげられます。

ほかの2つの資格とは異なり、修了試験を受けるには130時間の研修受講が必要です。

経験年数の蓄積

 

前述の通り、実務の経験によっても収入は上がります。

もちろん職場や資格の有無などによって異なりますが、初年度の新人職員と15年以上のベテラン職員では年収に100万円近くの差があるため、継続することが大切です。

経験を重ねることでリーダーや新人教育などを任されやすく、キャリアアップも可能でしょう。

職場や勤務形態の変更

 

パートタイマーより正社員の方が、社会保険や所得税などの支払いは増えるものの、通常は手取りが増えることになります。

子どもが小さいうちはパートタイマーで働き、ある程度大きくなったら正社員や夜勤業務に変更するのも良いでしょう。

夜勤のある病院や、手当の多い職場に転職するのも選択肢の一つです。

一般的には経験年数が転職の際の給料を決める指標となるため、これまでの実績が無駄になることはありません。

ナースエイドの仕事の魅力

ナースエイドの給料は、全産業の平均と比べて高いとは言えないものの、ほかの職種とは違う特別なやりがいを感じられます。

医療の現場で働いた経験は、その後のキャリアアップにも大きなメリットがあることでしょう。

ナースエイドの仕事の魅力について解説します。

感謝される

 

日々の小さな関わりのなかで感謝の言葉を直接いただけることが多く、それが仕事へのやりがいにつながります。

長期入院されている方や身体が不自由な方にとっては、誰かと少し言葉を交わすだけでも心が安らぎます。

物を取ったり、やさしい声をかけたりなどの些細な行動でも、相手にとっては大きな支えです。

「ありがとう」「助かったよ」と笑顔で言っていただけるたびに、自分の仕事が人の役に立っていることを実感できるでしょう。

患者が元気になっていくのを感じられる

 

多くの患者は、最終的には元気になって退院していきます。

入院当初は調子が悪かったりケガを負っていたりしても、少しずつ良くなっていき表情も明るくなっていく過程は、ナースエイドにとっても希望を感じられる経験です。

患者が退院していかれることは少し寂しいかもしれませんが、このような別れと新たな出会いを繰り返すこともナースエイドの魅力の一つだといえます。

医療の現場を知ることができる

 

医療関係の職業を目指している方にとって、ナースエイドはおすすめの職業です。

看護師のそばで看護業務を間近で見たり、実際の医療現場を肌で感じたりできます。

特に医療業界が未経験の人にとっては、ナースエイドは無資格で就業できるため、入口として適しているでしょう。

看護学校に通いながら、ナースエイドとして働いている方も珍しくありません。

ナースエイドに向いている人の特徴

ナースエイドは無資格でも就業が可能ですが、多くの命を預かる業界であるため、誰でも良いというわけではありません。

ナースエイドに向いている人の特徴を紹介します。

人と関わるのが好きな人

 

病院内にはさまざまな年代の患者が入院されているため、どのような相手とでもコミュニケーションを取れることは必要な資質です。

自分ばかりが話すタイプよりも、聞き手に回れるタイプが向いているでしょう。

患者のなかには、自身の病状やつらい気持ちを誰かに分かってもらいたいと思っている方も多くいらっしゃいます。

相手の話をしっかりと傾聴でき、優しい言葉をかけられる人はナースエイドに向いているといえるでしょう。

協調性のある人

 

ナースエイドは一人で行う業務も多いですが、ときには看護師と一緒に業務を行うこともあります。

その場合、チームワークによる連携が重要です。

連携が取れなければ緊急を要する場面で意思の疎通がうまくいかず、患者を危険にさらしてしまうことになりかねません。

あまり自分の考えを主張しすぎる人よりは、相手に合わせて行動できる人が適しています。

責任感の強い人

 

患者の命を預かる仕事のため、強い責任感が求められます。

医療の現場では、時としてちょっとしたミスが重大な事故に発展することもあります。

基本的には看護師の指示やマニュアルに沿って業務を行うため、自分で判断する場面はあまりありませんが、しっかりと指示通りに行動できることは求められます。

ナースエイドから他職種への転職

ナースエイドとしての経験を積むことで、医療現場での経験を活かした転職が可能です。

主な転職先は以下の3つが考えられるでしょう。

  • 看護師
  • 介護士
  • 医療ソーシャルワーカー(MSW)

これらの職種はナースエイドよりも比較的給料が高く設定されているため、選択肢の一つです。

看護師

 

看護学校に通いながら、ナースエイドとして働くケースは多く見られます。

収入を得ながら看護師が働いているところを観察でき、医療の知識も身に付くため一石二鳥です。

ナースエイドをしながら看護師を目指しているのであれば、先輩看護師も業務中にいろいろと教えてくれたり、看護学校の課題について質問したりすることもできるでしょう。

介護士

 

患者への身体介助やコミュニケーションのスキルは、介護の仕事にも応用できます。

病院では急患などで迅速な対応が必要になる場面も多いため、緊張の張り詰めた状態が続くこともあり、精神的な負担を感じることもあるかもしれません。

介護の現場では病院に比べると状態が安定している利用者が多く、緊急を要する場面も比較的少ないといえるでしょう。

介護職員の需要はまだまだ大きく職場の数も多いため、選択肢の幅が広いことも特徴です。

医療ソーシャルワーカー(MSW)

 

医療ソーシャルワーカーとは、病院内で入院患者や通院患者に対し、退院後の生活や金銭面などの相談業務を行う職種です。

通常のソーシャルワーカーよりも、医療に関する専門的な知識が求められるため、ナースエイドで培った医療知識を活用できるでしょう。

また、ナースエイドとして多くの患者に接した経験やコミュニケーションのスキルは、患者の理解にも役立ちます。

まとめ

ナースエイドは無資格で始められ、医療現場での知識や経験を積みたい方には最適です。

給料は全産業の平均と比べると決して高くありませんが、その分やりがいや楽しみを実感でき、年数を重ねたり資格を取得したりすることで昇給も目指せるでしょう。

また、夜勤の有無や正社員、パートタイマーなど、自身の生活スタイルに合った働き方を選択でき、看護師や介護士などへの転職にも有効です。

多くの患者の命を預かる仕事であるため、コミュニケーション能力やほかの職員とのチームワーク、責任感が求められます。

しかし、指示やマニュアルに沿って業務を行うため、看護師などに比べれば自分で判断する部分は少なく、医療の現場が未経験の方でも入りやすいでしょう。