シルバーカーとは?歩行器との違いや選び方、補助金が適用できるのかまで詳しく紹介

最近、高齢の家族が「歩くのが不安」と言って外出を控えるようになった…そんなお悩みはありませんか?
そこで役立つのが、歩行をサポートしながら荷物も運べるシルバーカーです。
しかし、歩行器との違いや種類の豊富さ、さらには費用面が気になり、なかなか購入に踏み切れない方も多いと思います。
本記事では、シルバーカーの特徴から歩行器との違い、選び方のポイントまでを分かりやすく解説します。
気になる費用面や介護保険の補助が適用できるかどうかも紹介するので、家族のために購入を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
シルバーカーとは?
シルバーカーとは、「足腰に不安が感じられてきた」「歩くとすぐ疲れてしまう」といった、歩くのに自信がなくなってきた高齢者のために活用される手押し車のことです。
タイヤが4つある本体にハンドルが備えられており、手で体を支えながら歩行できるため、安定した歩行ができるところが特徴です。
また、買い物する際に便利な収納ボックスがついているタイプや、座って休憩できる椅子付きタイプなど、豊富な機能を備えたものが発売されています。
ここでは、シルバーカーの特徴や使い方、必要な方について解説し、同じような福祉用具との違いについて紹介していきます。
シルバーカーの特徴や使い方
シルバーカーは、歩くのに自信がなくなってきた高齢者のために活用される福祉用具です。
歩行補助として使用できるので、外出が減ったり歩行する機会が少なくなったりした方に便利なアイテムです。
また、収納できるボックスや座って休憩できる椅子なども備えられているため、買い物をする際にも活躍できます。
利用者自身の安全だけでなく、ご家族にとっても転倒リスクが減るという安心感を得られる点も大きな特徴です。
どういった方にシルバーカーは必要?
シルバーカーは、以下に当てはまる方が対象者になります。
- 歩くとすぐ疲れてしまう方
- 足腰に不安がある方
- 歩行時にふらつきやつまずきがある方
- 荷物の運搬も同時に行いたい方
このように歩行補助ができるところが大きな特徴のため、歩行できない方や補助が必要な方には向いていません。
基本的にある程度自立歩行ができる方におすすめで、買い物やちょっとした外出を「一人で安心して行きたい」と考える方にも役立ちます。
シルバーカーと歩行器の違い
シルバーカーと歩行器との違いは、形状や安定性、機能性が異なります。
歩行器は、自立歩行が困難な方に使用される福祉用具です。
片麻痺や筋力低下により、支えがなければ歩行が困難な方の補助となるとともに、歩行訓練にも用いられます。
形状は、ハンドルがコの字型をしているのが一般的で、シルバーカーよりも安定しているところが特徴です。
また、キャスターが付いているタイプ、付いていないタイプがあります。
しかし、荷物を収納できるといった機能は付けられていません。
シルバーカーと歩行車の違い
シルバーカーと歩行車の違いは、形状や安定性、機能性です。
形状はほとんど同じですが、ブレーキが付いていたり、ハンドルがコの字型になっていたりするところが異なります。
安定性に優れているところが特徴で、自立歩行が難しい方や、片麻痺がある方が対象者です。
なお歩行車と歩行器の違いは、歩行器の形をしたもののうち車輪が付いているタイプを歩行車と呼んでおり、双方の違いに明確な定義はありません。
シルバーカーとシニアカーとの違い
シルバーカーとシニアカーの違いは、操作性や機能、対象者が異なります。
シニアカーは別名「電動シルバーカー」とも呼ばれ、電力を用いて走行するところが特徴です。
車のようなハンドルが備えられており、こちらを操作して動かします。
椅子に座る形で操作するので歩行する必要がなく、足元が不安定な方でも使用できるところがメリットです。
また、収納用のカゴが備えられており、充電が続く限り動かすことが可能ですので、長距離を移動される方に多く利用されています。
シルバーカーと電動車椅子との違い
シルバーカーと電動車椅子との違いは、操作性や機能、対象者が異なります。
電動車椅子は、その名のとおり電気を動力として動かすところが特徴です。
シニアカーと同様に椅子に座って移動しますが、操作は手元にあるスティックを上下左右に動かして行います。
小回りが利くため室内で使用されることも多く、簡単に折りたためるモデルも多くあります。
対象者は、歩行が困難である方や、身体機能に障害がある方などですが、スティック操作が必要なため指先がしっかり動かせる方でないと使用できません。
また、利用するためには「下肢機能障害2級以上、または体幹機能障害3級以上」が基準となるため、身体障害者手帳が必要になる場合があります。
シルバーカーの種類
特徴のところで紹介したように、シルバーカーは形や機能によっていくつかの種類に分けられます。
持ち運びやすさを重視したものから、荷物をたっぷり収納できるもの、デザイン性に優れたものまでさまざまです。
ここでは種類ごとの特徴を詳しく見ていきましょう。
コンパクトタイプ
コンパクトタイプは、軽くて扱いやすいところと、取り回しがしやすいところが特徴です。
シルバーカーの中でももっとも重量が軽く、力に自信がない方でも持ち上げられるので、電車やバスに乗る方にぴったりです。
シンプルで扱いやすいメリットがある反面、収納スペースが確保されていないタイプも多いため、買い物や荷物を運びたい方には向いていません。
しかし、ちょっとしたお出かけや散歩での使用にぴったりですので、初めて使用したい方にもおすすめです。
ミドルタイプ
ミドルタイプは、コンパクトタイプよりも一回り大きいサイズが特徴です。
重量はコンパクトタイプよりも重くなりますが、収納スペースは大きくなるため、買い物やお出かけしたい方にぴったりです。
また、タイプによっては座面付きで座れるタイプもあるので、休憩時に座りたい方に役立ちます。
ボックスタイプ
ボックスタイプは、ミドルタイプよりもさらに一回り大きいサイズで、安定性に優れているところが特徴です。
また、収納スペースが優れていることや、クッション性が高いところも特徴で、休憩時や荷物の多い場面でも活躍できます。
ただし、重量が重いため、荷物を入れすぎると動かしにくくなったり、持ち上げる機会が多かったりすることに注意が必要です。
ワゴンタイプ
ワゴンタイプは、大きなワゴンが備えられており、収納力が高く荷物の多い場面で活躍できるところが特徴です。
ワゴンの形状には、ワイヤータイプのカゴとインナーバッグ付きタイプがあります。
ワイヤータイプは、園芸や畑仕事など汚れが付きやすい場面でも、拭き取りやすいところが特徴です。
インナーバッグ付きは、買い物袋の代わりとしてそのまま使えるため日常の買い物に便利で、食品や衣類などを清潔に持ち運べるのが特徴です。
ショッピングカートタイプ
ショッピングカートタイプは、その名のとおり買い物する際に活躍できる設計で、前後左右に動かしやすいところが特徴です。
あらゆる方向に動かせるキャスターが備えられており、比較的歩行が安定している方におすすめです。
ハンドルの高さも調整できるので、使用する方の体の大きさに合わせやすく、さらに収納する際にも便利です。
ただし、歩行補助機能の面で劣る可能性があり、加えて休憩できる椅子としても使用できないため、使用する方によっては合わない場合があることに注意が必要です。
おしゃれなシルバーカーもある
シルバーカーには、おしゃれなタイプも発売されるようになってきています。
一昔前であれば、シンプルなデザインのものが主流でしたが、最近では花柄やチェック柄といったデザインのものが発売されています。
豊富なデザインから選択できるので、旅行やお出かけなどでおしゃれしたい方にも選択肢が増えているといえるでしょう。
シルバーカーの選び方
一つ前で紹介してきたように、シルバーカーは種類が多く、見た目だけではどれが最適か判断しにくいものです。
安全で快適に使うためには、ご本人の体格や生活スタイルに合ったポイントをしっかり確認することが大切です。
ここでは、購入前に特に注意したいチェック項目を紹介していきます。
ハンドルの高さをチェックする
シルバーカーはハンドルを持って操作するため、適切な高さでないとブレーキがかけにくく、転倒につながるおそれがあります。
また、歩行のしやすさや体への負担にもつながりますので、体に合ったものを選ぶことが重要です。
高さの目安は「身長÷2+5~15cm」が理想です。
高さ調整できるタイプもありますので、合わせやすいタイプを選ぶようにしましょう。
重量をチェックする
重量は、扱いやすさや持ち運びしやすさに関係してくるため、非常に重要なポイントです。
使用したいシーンや目的を想定して、自分が使いやすい重量のものを選択しましょう。
例えば、散歩やちょっとしたお出かけで使用したい場合は、コンパクトタイプがおすすめです。
反対に、荷物を収納したい場合は、ミドルサイズやボックスタイプがおすすめです。
ただし、荷物が多くなる際は重量も大きくなるため注意しましょう。
キャスターをチェックする
シルバーカーはキャスターの種類もいくつかあり、大きく分けて「種類」と「角度」から選択します。
種類には、以下の2つのタイプがあります。
| シングルキャスター | 軽量モデルに採用されることが多く、軽いが方向転換は少し持ち上げる必要がある |
| ダブルキャスター | シングルキャスターよりも安定性が高く、方向転換もしやすい |
角度には、以下の3つのタイプがあります。
| 直進固定 | 直進に優れており、砂利道でも安定した走行ができる |
| 左右回転固定 | キャスターを左右決まった角度に固定でき、方向転換に優れている |
| 360度フリー | キャスターが360度どこでも回転するため、小回りが利き、屋内などの狭い場所での使用に優れている |
ブレーキの操作方法をチェックする
ブレーキの操作方法は、安全に使用するために重要なポイントです。
ブレーキの種類には、レバーを握るタイプか、足元のペダルを踏むタイプの2種類があります。
どちらが合うかは、ご本人の体や操作のしやすさによって変わるため、購入前に一度試してみることをおすすめします。
収納力と安定性をチェックする
シルバーカーの収納スペースのサイズはいくつかあり、サイズによって安定性も異なってきます。
基本的に収納スペースが大きくなるほど重量も増えてくるため、安定性も上がってきます。
そのため、収納力と安定性の両方を求めるなら、ボックスやワゴンタイプを選ぶとよいでしょう。
ただし、持ち運びやすさは下がってしまうため、動きやすさも確認しながら選ぶことが重要です。
利用する方の状態や目的に合ったものを選ぶことが大切
ここまで、シルバーカーの選び方を紹介してきましたが、最終的な判断は利用する方の状態や目的に合ったものを選ぶことが大切です。
例えば、ボックスタイプは収納力や安定性に優れていますが、持ち運びには不向きです。
一方、コンパクトタイプは軽量で持ち運びや扱いやすさに優れていますが、収納力や安定性は低い特徴があります。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、一度使ってみて自分にぴったりなものを選ぶことが大切です。
シルバーカーの価格はどのくらい?
シルバーカーは種類が豊富にあるように、その価格も幅広いところが特徴です。
シンプルなサイズやデザインのものなら数千円から20,000円程度で購入でき、機能性や収納力が高いものなら30,000~50,000円程度となっています。
一概にこの価格帯のものがよいということではありませんが、ご本人の体格や利用目的に合っているかどうかが長く安心して使える一台を選ぶことにつながります。
シルバーカーの購入に介護保険や補助金は適用される?
シルバーカーの購入を検討している方は、介護保険や補助金が適用されるのか疑問に思われる方も多いと思います。
介護保険の適用に関しては、対象外になっています。
そのため、購入する際は自己負担となります。
しかし、補助金に関しては一部の地域で受けられる可能性があります。
例えば、東京都葛飾区では条件を満たした場合のみ、購入費の3分の2(限度額20,000円、1回限り)を受け取ることが可能です。
対象者や条件は自治体によって異なるため、お住まいの自治体のホームページや窓口などで確認してみることをおすすめします。
シルバーカーのレンタルはできる?
シルバーカーのレンタルは、介護保険が適用されないことと同様に、できないことになっています。
その理由は、買い物の補助が目的に加わるからです。
そのため、使用したい場合は購入するしかないことを覚えておきましょう。
シルバーカーは高齢者施設でも使用できる?
シルバーカーを検討している方の中には、自分が通所もしくは入所予定の高齢者施設で使用したい方も多いと思います。
結論から先にお伝えすると、施設によって異なりますが、基本的に高齢者施設でも使用するのは可能です。
しかし、タイプによっては使用不可とされているところもありますので、ここで確認していきましょう。
手押し式タイプは使用できる
シルバーカーの中でも手押しタイプは、使用しても問題ないとされています。
実際に、高齢者施設では手押しタイプを使いながら移動される方も数多くいます。
また、施設によってはシルバーカーを用意しているところもあり、場合によってはそちらを使用している方も多い傾向です。
ただし、施設の大きさによっては屋内での使用が許可されていないところもありますので、一度確認することをおすすめします。
電動タイプのシニアカーは使用禁止
シニアカーや電動車椅子といった電動タイプの福祉用具は、施設での使用が認められていません。
電動タイプはサイズが大きく、収納スペースに限りがあるため、使用不可となっているようです。
また、施設内で使用すると、ほかの利用者さんにぶつかってケガを負わせてしまう危険も伴います。
そのため、ほとんどの施設で使用はNGとされています。
シルバーカーを使用するメリット
シルバーカーは単に歩行を補助するだけでなく、日常生活を快適にしてくれる工夫がたくさん詰まっています。
足腰の負担を和らげることはもちろん、外出の楽しみや安心感を広げる役割も果たしてくれます。
ここでは、利用することで得られる主なメリットを確認していきましょう。
足腰の負担を軽減できる
シルバーカーは歩行補助ができるところが特徴であるため、足腰の負担を軽減できるところが大きなメリットです。
加齢による筋力の低下や歩行時の不安定さがある方は、使用することで安定して歩けるようになり、日常生活における移動が楽にできるでしょう。
行動範囲が広げられる
高齢者は「少し歩くだけで疲れる」「転倒してケガの心配がある」といった理由で、行動範囲が狭くなることも少なくありません。
シルバーカーの使用は、こういった行動範囲が狭くなった方に対して、行動を促せるメリットがあります。
実際に使い始めてから「外出が増えた」と答えた人は90%にのぼり、多くの方が行動範囲を広げられたという結果が出ています。
荷物が収納できる
シルバーカーはタイプによって収納スペースが備えられているため、荷物を運べるメリットもあります。
買い物やお出かけする際に荷物を収納できるので、重い荷物を持ち歩く負担が減り、安心して外出を楽しめます。
椅子としても利用できる
椅子として利用できるところもシルバーカーのメリットです。
椅子が備えられていることから、歩行時に疲れたときでも好きなタイミングで座って休憩できます。
また、友人同士で会話するときも座って会話できるので、足の負担を大きく減らせるでしょう。
おしゃれなデザインのものも選べる
シルバーカーには、シンプルなものから花柄やチェック柄といった、豊富なデザインが存在します。
歩行器やシニアカーといった別の福祉用具の場合は、基本的にシンプルなデザインのものしかないため、選べるデザインに限りがあります。
しかし、シルバーカーは豊富なデザインがあるので、おしゃれしたい方にも取り入れやすいでしょう。
シルバーカーを使用するデメリット
シルバーカーは豊富なメリットがある反面、いくつかのデメリットも存在します。
デメリットを把握しておけば、使用する際の不安を減らし、安全で適切に活用できますので、ここで確認していきましょう。
介護保険や補助金が適用されない
先述しましたが、シルバーカーを購入する際は介護保険や補助金は基本的に適用されません。
そのため、選ぶ商品によっては高額だと感じる場合があります。
しかし、一台購入すれば自由に使用できるところは、大きなメリットとなるでしょう。
安定性は歩行器・歩行車のほうが高い
高齢者が使用する福祉用具はいくつか種類がありますが、安定性だけで見ると、歩行器や歩行車のほうが優れています。
歩行器や歩行車は、ハンドル部分が利用者を囲むようなコの字型になっていたり、支える機能が優れていたりすることから、比較的歩行が困難な方向けです。
一方、シルバーカーは基本的に自立した歩行が可能な方が対象のため、安定性を求める方には向かないといえるでしょう。
商品によっては重く感じる
シルバーカーは商品によって重く感じる場合があります。
軽いものなら3キロ以下で扱いやすく感じられますが、重いものなら10kg程度となるため、力に自信のない高齢者では扱いが難しくなるでしょう。
そのため、購入する際は自分の使用したいシーンや目的に合わせて選ぶことをおすすめします。
収納するスペースが必要
シルバーカーは、比較的コンパクトに使用できるタイプもありますが、折りたたみができるといった小さくまとめる機能は備えられていません。
そのため、収納スペースを確保する必要があります。
一般的には玄関先を置き場にする方が多いと思いますが、来客時や掃除の際の妨げになる場合がありますので、事前に置き場所を決めておくことが大切です。
シルバーカーが向いている人
最後に、シルバーカーが向いている人を紹介していきます。
以下に当てはまる場合は、向いているといえるでしょう。
- 自立歩行はできるが、長い距離を歩くのが心配な方
- 荷物を持って歩くのが大変と感じる方
- 休憩ができる福祉用具を探している方
- 行動範囲を広げたい方
このように使用することで、これらの問題が軽減できます。
まとめ
本記事では、シルバーカーとは何かを詳しく解説し、そのほか福祉用具との違いや選び方、使用するメリット・デメリットを紹介してきました。
シルバーカーは、ご本人の歩行を支えるだけでなく、外出の楽しみや安心感を取り戻す重要なアイテムです。
選ぶ際は体格や生活スタイルに合うかどうかを確認し、長く安心して使える一台を見つけることが大切です。
本記事が、ご家族やご自身に合った最適な一台を見つけるための参考になれば幸いです。
ケアリッツでは正社員として訪問介護のスタッフを募集しております。
業界未経験の方や資格をお持ちでない方でも、充実した研修制度と先輩スタッフのサポートがあるため、安心してスタートできます。安定した環境のもとで、一緒に地域の方々の暮らしを支えてみませんか?





