介護に関わる事務作業を政府が削減、ペーパーワーク半減へ?

実は今、うちの社内でも事務作業のさらなる電子化を目指していろいろと検討を進めているのですが、それに関連してこんなニュースを目にしました。

介護のペーパーワーク半減、第1弾固まる 10月施行 指定申請の書類が対象 (出典; joint介護)

以前から、介護業務に関わる書類の数が膨大過ぎる、といった意見は厚労省の耳にも届いていたようで、2020年代初頭までに介護の帳票などの文書量を半減させる、というのが目標とのことです。

今回発表されたものは、そろそろ正式に発表され10月から施行となるようですが、削減となる対象は、指定申請に関わる書類のようです。

削減対象となった書類は?

具体的には、指定申請の際の書類のうち、

  • 申請者、または開設者の定款、寄附行為
  • 事業所の管理者の経歴
  • 事業所のサービス提供責任者の経歴
  • 事業に係る資産の状況
  • 事業に係る各介護サービス事業費の請求に関する事項
  • 役員の氏名、生年月日、住所
  • 介護支援専門員の氏名、登録番号

がいらなくなる、というのが第一弾施策のようです。
現状パブリックコメントを集めている段階とのことなので、ほぼこの内容で決定、と考えられます。

削減した効果は?

そもそも、書類作業を削減しようという根底にある目的は、事務作業にかかる時間と労力を少なくし、介護職員の負担の軽減やモチベーションのアップ、人手不足の解消につなげる、というのが、書類削減の狙い、とされています。

簡単に言えば、書類作業が少なくなることで労働時間を削減し、また書類作業が苦手という人も働けるようにすることで人手不足を解消しよう、というのが厚労省の考えていることです。

その観点から考えると、今回の第一弾施策については個人的にかなりの違和感を覚えます。

まず一つに、目的から考えると日常の書類作業をいかに減らすか、ということが重要であるとわかります。しかし、今回の施策は、事業所の指定申請というワンショットの作業量を減らすという施策です。

現在、訪問介護の会社数は現在都内に2000社程度あるわけですが、2事業所以上を運営している会社が何社あるかご存知でしょうか??

なんと、200社程度しかありません!9割の事業所は、会社を立ち上げる時以外に、事業所の指定申請という作業は行っていないわけです。

では、10以上の事業所を持つ会社は何社でしょう?なんと、50社以下しかないのです。
つまりは、頻繁に事業所の指定申請をしている会社というのは、うちの会社を含めある程度規模の大きな一部の会社しかない、ということなのです。

しかし、そういった会社にとっては、ある程度マニュアル化された手続きであり、専門の部署を置いていることもあるため、介護現場のスタッフが事業所の指定申請を行うことは通常ないはずです。

こう考えてみると、介護スタッフの日常の事務作業を減らし、業務を楽にする、という観点からは完全に的外れな施策と言わざるを得ないのです。

もう一つの問題点

もう一つ気になったのは、今回の削減できる項目を、自治体へのアンケートを元に決めた、とのことです。
つまりは、こういった項目はこれまでも、指定申請を許可するかどうかの基準にはしていなかったということです。

まず本来であれば、事業所側にとって、1か月で何の事務作業が一番時間を使っているのか、担当者が密着して洗い出すことが重要なはずです(コンサルなどでは常套手段で、タッチタイム分析、などと言われます)。
今回の施策はそうではなく、必要のない項目を上げる、という発想から始まっているので、そもそも本来の狙いである業務削減に結びつかないのは当たり前のことに思えます。

そして、実際に項目を見ると、会社の資産状況や経歴、スタッフの素性など、いわば事業所関係者の信頼性に関わる項目が多いように思います。
そもそもこれまでこういった項目を一切気にせずに認可していた、ということ自体にも、かなり問題があるように思いませんか?

事業所申請については、10年以上前ですがコムスンの際に不正が話題になったこともあり、ある程度信頼性が担保されるべきもの、と思うのですが・・・

それに、事業所申請の事務作業が楽になり、会社や関係者の審査も甘くなる、ということであれば、今よりもさらに安易に事業所の立ち上げができるようになる、ということで、常々感じているこの業界の大きな問題である、零細企業の乱立がさらに進むことになるのでは?という懸念もあります。

まあ、一応、今後は削減対象を拡大していき、監査や請求の書類にも広げていく、ということなので、本来の目的に沿った書類作業の削減に進んでいってくれることを祈っています。

CURATOR
ケアリッツマガジン運営者 Yuri
普段の業務に加えて、いろいろと記事を書いて情報発信しています。プライベートでは女子力高めなことが好きです。