介護施設探しの「KURASERU」が5000万円を調達!

介護関係のベンチャーで明るい話題が飛び込んできました。
介護施設探しを時短&最適化、介護・福祉の専門家が作った「KURASERU」運営が5000万円を資金調達
MSWとは?
MSW(メディカルソーシャルワーカー)という仕事をご存知でしょうか?
概ね病院などに所属し、社会福祉士の資格を持った人などが行う仕事なのですが、
「疾病を有する患者等が、地域や家庭において自立した生活を送ることができるよう、社会福祉の立場から、患者や家族の抱える心理的・社会的な問題の解決・調整を援助し、社会復帰の促進を図る専門職」
とwikipediaでは説明されています。
具体的には、厚労省より業務指針が示されており、
- 療養中の心理的・社会的問題の解決調整援助
- 退院援助
- 社会復帰援助
- 受診・受療援助
- 経済的問題の解決調整援助
- 地域活動
という6つの業務を行う仕事、とされています。
簡単に言えば、治療中の患者について精神的なサポートを行ったり、治療費等の相談に乗ったり、退院後問題なく暮らしていけるようにサポートする仕事、というのがわかりやすいでしょうか。
この中で、2番目にある退院援助、というものがありますが、これは、退院後に自宅で暮らし続けるのが困難と思われるような方などに、老人ホームやリハ施設などを探す業務となります。
実際私も、大腿骨を骨折してしまって入院し、無事手術や治療は行われたものの歩けなくなって要介護状態になってしまった方などを介護現場などでもよく目にします。
ただ、現状では、施設を探すと言ってもひたすら施設を検索して電話したり、という方法しかなく、かなり多くの時間をMSWが割いているのが現状です。
ちなみに、我々は逆に、病院のMSWさんのところに施設長が営業に行き、困っているお客様がいればxx床空きがあるので受け入れられますよー、という話をして、サ高住の入居者確保を行っています。
KURASERUの仕組み
今回資金調達を行ったKURASERUは、ここの不便さに目を付けたベンチャーです。
代表は元々介護職として働いた後、病院でMSWをされていた方で、COOは大学の同級生でIT関係のキャリアをお持ちの方とのこと。
実際に現場を良く知っているCEOと、実際にシステム構築ができるCOO、ということで理想的なスタートアップの布陣ですね。
サービス内容としては、MSWが様々な希望条件などを入力することで、条件にあった施設をすぐに探せるサービス、となっています。
これまで、お客様本人、ないしは家族が老人ホームを検索するようなサイトは存在していました。実際こういうサイトをMSWも使ってはいたと思うのですが、それと比較すると、
- 医療ソーシャルワーカーが患者の医療情報なども入力して利用するので、退院期限管理や退院患者のデータ管理もKURASERU内で行うことができる
- 病院の退院予定者リストを個人情報が判定できないレベルで閲覧できるため、施設から病院へ入所のオファーを出すことが可能
といった点が画期的な点と言えます。
使うターゲットを絞ったことで、彼らにとってのユーザビリティを磨き上げたサービス、と言えるかもしれませんね。
KURASERUのビジョン
これまでは、施設側から紹介料を得るという、ユーザー向けの老人ホーム検索サイトと同じようなビジネスモデルを採用していたものの、5月からは全て無料で利用可能としたようです。
「いまKURASERUの中で、病院と介護施設との間にコミュニケーションが生まれ、医療情報が集まっている。ここにコアな医療情報が集まり、共有できれば、より多くの病院や施設が参加して、さらに医療情報やコミュニケーションを生んでいくだろう。なので、課金モデルから要介護に関する情報のプラットフォーム化へ方向転換した」
と説明しているようなのですが、ちょっと個人的には気になる点があります。
私は、プラットフォーム戦略、というのは、本来であれば、自らは場を提供し、そのサービス上で企業と消費者がトランザクションを行い、そこで発生するお金の一部を手数料などで得るビジネス、という風に捉えています。
例えば、メルカリ、i-tunes、楽天市場、など、こうしたサービスが確かに今は隆盛です。
ただ、KURASERUについては、医療情報のプラットフォーム化、という耳障りの良い単語を上げていますが、実際にマネタイズするポイントをまだ明らかにしていません。
データを第3者に販売する、広告を打つ、といったことは考えられますが、実際彼らは多くの患者の情報と施設の情報が集まっているプラットフォームを使って、どうマネタイズしていくつもりなのでしょうか。
おそらくマネタイズに少なくとも時間はかかること予想されるため、今後どのくらいのスピードで資金調達をしていけるのかが生き残りの肝である、とは思います。
最終的に彼らがどのような絵を描いているのか、非常に楽しみです。