夜間の在宅介護が不足・・・ 解決策は?

在宅介護サービスには、我々もやっている訪問介護や通所介護に加え、夜間対応型訪問介護(定期巡回・随時対応型サービス)、ショートステイといったサービスがあります。

そんな中で、特に定期巡回などに代表される、夜間のサービスが足りていない、というニュースがありました。

「夜間の在宅介護サービスが足りない」 ケアマネの8割が回答 総務省が改善勧告

在宅介護で足りていないサービスは?

具体的に記事の内容を見てみましょう。

記事によれば、全国の527人のケアマネ、20の都道府県、40の市町村に対して、介護体制が十分なのかを調べる政府の調査が行われたとのこと。
介護離職ゼロ、を掲げているからには、地域での在宅介護サポート体制が整っているのかどうか、行政の取り組みぶりを調査する必要がある、というわけです。

その結果わかったことが、平日の夜間に使えるサービスについて77.8%が「やや不十分」「不十分」と回答し、土日の夜間に使えるサービスでは、84.2%が「やや不十分」「不十分」と回答した、とのこと。

要は夜間が足りておらず、土日が特に顕著、というわけです。

77.7%のケアマネからは、「家族に急な用件ができた時などに一時的に介護を引き受けるサービス」が不足している、との声も上がっているようです。

また自治体を調査したところ、事業計画(つまりはサービスの供給計画ですね)の達成状況の点検・評価を毎年行っていなかったところは、28.3%にあたる17自治体あり、このうち10自治体では、事前に見込んだニーズと実際に整備された量との乖離が50%を超えるサービスがあった、という回答が得られたことから、厚労省から自治体に対して助言・指導などで状況の改善を図るように、という指導をした、とのことでした。

皆さんは、この内容を見てどう思いますか?

自治体がしっかりと事業計画の点検・評価をすることで、こうしたサービスは充実していくはずだ!と本当に思いますか?

なぜ夜間対応の在宅サービスが足りないのか?

解決策を考えるには、その原因をまず考える必要があります。

今回の議論は、あくまで需要側の話しか出てきていません。
確かに需要側からすれば、24時間いつでもかけつけてくれるヘルパーがいれば便利だよねー、というのは当たり前のことです。

ただ、この日本では過剰サービスが当たり前となっていることもあり、サービス提供側に皆の思いが至らなくなってきている気がします。
例えば、電車は早朝から夜まで勝手に動いているもの、24時間コンビニでは物が買えるしファミレスも空いていて、Amazonで頼めば好きな時間に物が勝手に届く、と何となく心のどこかで思ってしまっていないでしょうか?
駅などで駅員を怒鳴りつける人、コンビニでお金を投げ渡す人、また配達員に無茶を言う人などがいるのも、そういった背景があるからではないでしょうか?

しかしそこには、始発の前から終電の後まで勤務している人、コンビニやファミレスで夜勤をしている人、汗水たらして必死で荷物を運ぶ人たちの姿があることを忘れてはなりません。

今回の件も、供給側から見ればすぐ答えはわかること。

夜勤が嫌、という理由で施設を辞めて訪問に転職してくる方も多いのが現状の中、施設内での夜勤よりも大変な、夜中の外の移動も加わったこの仕事、なかなかやりたいという人がいないのです。

当然、年収500万以上確実!ということであれば、やりたい人も一定数出てくるかと思います。
しかし、そこには介護報酬の問題が絡んできます。

例えば、要介護3の方が巡回型介護を利用すると16769単位/月、金額にして月17万弱の売上です。
一方、訪問介護では身1生2は389単位。定期巡回と同じような回数と想定して、1日2回、週に5日入ったとすると月に15万程度。月に2万しか変わりません。
つまり、訪問介護と比べて、年間20-30万程度しか売上があがらない、というわけです。売上が大きく変わらない、ということはすなわち、給与を大きく上げることもできないのです・・・

確かに、いつでも安い費用で夜中でもヘルパーさんが来てくれる!というのは、もちろん高齢者の方には最高のサービスかもしれませんが、働く人にとっては厳しいサービスと言わざるを得ません。

解決策は?

正直これに関しては、解決策は2つしか思いつきません
一つは、こうしたサービスについては、高いお金を払える人のみが受けられるサービスにしてしまうこと(単純に介護報酬を大きく上げる、あるいは例えば自費分を上乗せして支払うことを可能とする混合介護のような仕組みにする、など)。

もう一つは、国や自治体がこうした事業を直営してしまう、つまりここで働く人は公務員とする、というやり方です。

前者の方法であれば市場の原理が働き、どうしても夜間対応が必要な人の元に、十分な報酬をもらったヘルパーがサービスを提供する、という形が作れます。

そして、後者の方法であれば、会社と違い赤字でも構わない(国も自治体も社会保障費がなくて苦しんでいるのは確かですが・・・)ため、客には安くサービス提供をしながら提供する側に高い給与を払うことも可能でしょう。

ただ後者は非現実的ですし、前者のような話をすると必ず、平等な医療・介護、という観点に反する、という意見も出てくることでしょう。解決策とは呼べないかもしれませんが、そうした意見をお持ちの方やお金なんていらないからとにかく24時間お客様のために尽くしたい!という方たちを集めて、完全にボランティアで運営する、という究極の手段もありますが・・・

やはり、個人的には良いサービスや提供する人が大変なサービスには、それを受益する人がそれ相応の対価を支払うべき、という考えではあり、前者の方法しかないのかな、とも思っています・・・

CURATOR
ケアリッツマガジン運営者 Yuri
普段の業務に加えて、いろいろと記事を書いて情報発信しています。プライベートでは女子力高めなことが好きです。