外国人介護士の日本語要件を緩和検討・・・

外国人介護士受け入れについての議論は、テレビやニュースでも本当に近頃良く目にします。
国策ということで、国も必死でアピールしているようなのですが、実際現場にとってはどう受け止められているのでしょうか。
弊社の外国人採用の現状
弊社にも、受け入れ支援を行っている会社から何度も営業が来ています。
ただ正直なところ、採用単価については日本人の採用よりも費用がかかること、また彼らがとにかく外国人を売り込むことに必死で何となく商売っ気を感じてしまうこと、そして何より弊社の場合は訪問介護という業態なのでネイティブなみのコミュニケーションが取れないと難しい、という理由から、現状では受け入れはお断りしています。
一方で、国籍で差別をしているわけでは当然なく、日本語力の高い方は積極的に採用もしています。言うなれば、まったく日本人・外国人で評価基準を変えることなく採用している、というわけです。
正直なところ、語学のハンデが少しあってもとても真面目で笑顔の素敵な方で、コミュニケーションを問題なく取れそうな外国の方もいますし、一方で日本人でも見た目もヨレヨレで清潔感がなく日本語も怪しい、という方がいらっしゃいます・・・ どちらを採用するかと言えば当然前者です。
これまで入社された方の出身国は、フィリピン、ブラジル、中国、韓国、ネパール、といったところ。元々日本人と結婚されていて現在はシングルマザーになった方、などが多い印象です。
そんな中、2ヶ月近く前のニュースではありますが、気になるニュースが・・・
技能実習、日本語要件の緩和を検討 厚労省「受け入れが進んでいない」
こちらのニュース、詳しく見てみましょう
日本語要件がどう変わるのか?
現状、どうやら外国人の受け入れはあまり進んでいないようです。
入国から1年後までに日本語能力試験の「N3」レベル相当に達しなければいけない、という日本語の要件が妨げとなり、受け入れが伸びない、という説があるようで、このハードルを引き下げよう、という話が出ている、とのこと。
ちなみに基準を引き下げた場合のN4とはどの程度なのか、というと、問題はこんな感じです。
どうですか?正直なところ、個人的には思ったより難しい印象でした。
そこそこの単語力はあり、文章をゆっくり読めば理解はできるレベルと言えるかもしれません。
しかし、やはり所詮ペーパーテスト、というところがあり、読み、だけはこれで担保されますが、聞く、しゃべる、書くといった部分はこのテストでは測れません。このペーパー試験が解ければ日本語でコミュニケーションが取れるか、というと、正直厳しいと言わざるを得ないでしょう。
実際N1という最高レベルの試験に合格された方もこれまで数多く見てきましたが、正直それでも日本語力はピンキリという印象です。中には、ほぼまともに日本語でコミュニケーションを取るのは無理、という方も実際いらっしゃいました。
介護というのは、コミュニケーションが非常に重要な職種です。認知症などで介護拒否がある方でも、声がけの仕方一つでちゃんと心を開いてもらえたり、ある意味介護の専門性が発揮される分野とすら言えるかも知れません。
ここを、人数が足りないからといって基準を緩めていくのは、やはり介護職の社会的な評価が落ちる一因にもなりますし、そもそも業務ができるレベルとして定めた基準を下げるというのは、現場の崩壊にもつながりかねません。
外国人を増やすこと自体が目的なのではなく、介護業界における人手不足を解消すること、が目的だということを厚労省にも今一度再確認してもらいたいところですね。