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介護職なら知っておきたい、新型コロナワクチンの知識

介護職なら知っておきたい、新型コロナワクチンの知識

2020年、本当にコロナに翻弄された1年でしたね。
そして、2021年、新年早々感染者が再び拡大、緊急事態宣言が出されようとする事態になっています。

時を同じくして、アメリカをはじめとして、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカといった世界の製薬会社が開発したワクチン接種も始まっています。

このワクチン、日本でも2021年2月末から、特に医療関係や介護関係の人や高リスク者は接種できるようになると言われています。
ただ一方で、こんな急に開発されたワクチンなんて嫌!、ワクチンはそもそも信用していない!というような声も聞こえてきます。
特に子宮頸がんワクチンに反対していた方々などからの反発は、大きなものになることが予想されます。

というわけで、まずはいったんワクチンについて正しい知識を持ち、その上で、接種すべきか改めて判断をしてほしい、という思いでこの記事を書かせていただきます。

特に医療・介護職の方は、おそらく他の人たちに先駆けて、もしかすると接種を義務付けられる可能性もあります。その前に、ぜひ知っていておいてほしい情報です。
できるだけわかりやすく書くことを意識しているため、科学的な部分の正確性などには少々粗い部分もあるかと思いますが、ご容赦ください。

そもそもワクチンって何?なんでこんなに早く開発できたの?

天然痘という病気に対抗するべく、エドワードジェンナーという人が開発したものが、世の中で一番最初に開発されたワクチンです。

基本的な概念として、人間はウイルスや細菌に感染すると、様々な症状を起こします。これを感染症、といいます。しかし時間が経つと、自身の免疫がそのウイルスや細菌を認識し、攻撃することで体から排除します。

ウイルスって何?細菌とどう違うの?というかたはこちらをご覧ください(記事リンク)

ワクチンはこの免疫反応を人為的に起こさせようとするものです。

具体的に言えば、無毒化(不活化)したり、弱毒化した細菌やウイルスを敢えて体内に入れることで、免疫にその細菌・ウイルスの特徴を記憶させ(免疫獲得)、次回本当の細菌・ウイルスが体内に侵入した際に、排除できるようにする、という仕組みです。

しかし、これまでのワクチン開発には10年にも及ぶ期間が必要であり、それに伴い大きなコストがかかります。その労力とコストにリターンが見合うか、つまりはそこまでして防ぐべきものなのか?という観点から、ほとんどの感染症についてはワクチンが開発されていないのが現状です。

インフルエンザ、子宮頸がん、麻疹・風疹、日本脳炎ワクチンなどは馴染みがあるかもしれませんね。一方、HIVや風邪ウイルス全般、ノロウイルスなど、多くの感染症にはワクチンはまだありません。

では今回、なぜこれほどのスピードでワクチン開発ができたのでしょうか。
一つの理由は、このコスト・リターンが見合うと判断されたこと。つまりは緊急性が高いと全世界が判断したことで、これまでにないリソースがワクチン開発につぎ込まれた、ということです。

また本来であれば、何度も臨床試験を繰り返して完全に安全性が確立した上で、市場に投入するべきところを、今回は緊急性を鑑み、必要最小限の臨床試験で市場に送り出したことも理由と言えるでしょう。当然、5年後、10年後の有効性や安全性については、はっきりとはわかっていないのが事実です。

そして、もうひとつの決定的な理由は、今回のワクチンが、これまでにない新しい種類のワクチンだったことです。

従来型のワクチン

ここまで書いた通り、ワクチンの基本的な仕組みは、毒性のないウイルスや細菌を投与して免疫獲得させる、というものですが、その手法によってワクチンの種類は分けられます。

これまで実績のある従来型のワクチンは概ね以下の3種類となります。やることはウイルスでも細菌でも同様なので、ここからは病原体について、ウイルス、と記載していきます。

従来型① 生ワクチン

病原体となるウイルスの毒性を弱め、病原性をなくしたものを原材料とする方法です。あくまで病原性はないだけで、生きている(増殖機能を保っている)ところがポイントです。

毒性を弱められたウイルスが体内に入ると、体に何も症状は出ないものの増殖していきます。そのウイルスに対抗して体も徐々に免疫を高めていく、という疑似的な感染状況が起きますので、接種の回数は1度で済みます。

ただし、十分な免疫ができるまでに約1ヵ月が必要です。

はしかや水疱瘡ワクチンがこれにあたります。

従来型② 不活化ワクチン

生ワクチンと違い、ウイルスの病原性だけでなく、感染性(増殖機能)もなくすようにバラバラにしたものを原材料とする方法です(この作業を細菌であれば殺菌、ウイルスであれば不活化、といいます)。

自然感染や疑似感染である生ワクチンに比べると、ターゲットとなるウイルス量が少ないこともあって免疫は弱く、何度か追加で接種を行って免疫を高める必要があります。

インフルエンザワクチンはこの仕組みです。

従来型③ トキソイドワクチン

病原体が作る毒素だけを取り出して、その毒性をなくしたものを原材料とする方法です。
基本的に特徴は不活化ワクチンに近く、破傷風のワクチンがこれにあたります。

これらの手法の中から、安全性を鑑み、中国のシノバック社が不活化ワクチンでの新型コロナウイルスワクチンの開発にいち早く取り組みました。

ただ、この方法は、まずウイルスを大量に培養しなければならない(例えば、インフルエンザでは鶏卵を使って培養します)ため、どういった条件ならば効率的に培養ができるかを検討する必要がありますし、不活化の方法についても多くのトライアルが必要で、通常ならばおそらく長期間に渡る開発が必要になると想定されています。

新しいタイプのワクチン

不活化ワクチン以外にも、新型コロナに対しては各社、様々な手法のワクチン開発を進めています。いずれも、これまで実用化されたことのない新しいタイプのワクチンです。

その中で、組換えタンパクワクチン、ペプチドワクチン、というものがあります。これは、コロナの持つタンパク質の一部を作って、それを体内に接種するというもの。これが抗原となり、免疫が形成されます。
具体的には、大腸菌などに遺伝子組み換えを行い、タンパク質を生成させていきます。しかし、まだ開発が進んでいるものはありません。

現在、実用化されているのは、mRNAワクチン、ウイルスベクターワクチンという2つのワクチンです。
いずれも基本的な原理としては、抗原となるタンパク質ではなく、その「設計図」となるものを体内に接種し、それを元に体内でタンパク質を作らせて、それに対抗する免疫を獲得する、という仕組みになっています。

というわけで、今回はこの2つについて、原理やメリット・デメリットなどを紹介させていただきます。

新型ワクチン① mRNAワクチン

ファイザー、モデルナの開発したワクチンがこちらです。

生物の細胞にはDNAという設計図があります。体内ではこの設計図を使い、必要な部分だけを読み取って、必要なだけタンパク質を作ることで生命を維持しています。

しかし、DNAはもし大きく壊れてしまうと修復できず、ガンになったり、生命維持に影響が出てしまいます。そこで、DNAから一度、mRNAというものにコピーをとり、そのコピーからタンパク質を作る、という仕組みになっているのです。

要は、本を汚さないように、コピーを取った上で、そこにマーカーなどを引いたり書き込みするようなイメージでしょうか。

このワクチンは、新型コロナウイルスの一部のタンパク質(抗原)を作るための指示書となるmRNAを体内に入れ、体内で抗原を作らせることでそれに対する免疫を作る、という仕組みです。

なぜこれまで開発が進まなかったかというと、mRNAという物質が非常に不安定であり、大量に作成することがこれまで難しかったこと、そして体内に入れても狙った場所まで送り込むことが困難だったことがあげられます。しかし今回これを研究の結果克服し、2社が実用化に成功した、というわけです。

ただ、不安定であることは変わらないため、非常に低い温度で運搬する必要があることはデメリットのひとつ。また、体内でmRNAを効率よく運ぶため、脂質のカプセルに入れて注射するわけですが、それに対するアレルギー反応などは未知数であることがデメリットと言えるでしょう。

逆に、mRNAは、遺伝子の配列がわかればすぐに作成ができるのが大きなメリットです。
その結果、開発期間が非常に短くて済むため、変異が早くてワクチンが作れない、と言われていたRNAウイルス(新型コロナもそうです)についても、即時対応していけると考えられます。
また、mRNAが不安定なため、体内ですぐに消滅する、というのも逆に安全性につながります。

ちなみに似たようなもので、mRNAではなくその元となるDNAを投与する、DNAワクチンというものに、日本ではアンジェス社が取り組んでいます。
mRNAよりワンステップ回りくどくはなりますが、安定性が高いDNAを使おう、という狙いでしょう。

新型ワクチン② ウイルスベクターワクチン

アストラゼネカの開発したワクチンがこちらです。

こちらは、mRNAワクチンと同じように抗原の元となる遺伝子情報を体内に送り込むのですが、その方法として、無害なウイルスに乗っけて運ぶ、という仕組みになります。

具体的には人間に害を及ぼさないチンパンジー由来のアデノウイルス(ちなみにヒトアデノウイルスは、風邪のウイルスの一種です)の一部の遺伝子を、新型コロナウイルスの一部のタンパク質(抗原)の遺伝情報に入れ替えて、体内に入れる、というものです。

mRNAだと、不安定性や体内動態が問題だったわけですが、ウイルスベクターの場合その2つがいずれもクリアでき、安定して簡単に体内に送り込めるというのが利点です。
またそれにより、冷凍保存などが必要なく、常温で管理できるのも大きな利点でしょう。

一方、アデノウイルス自体に抗体を持ってしまうこと、あるいはそもそも抗体を持っている人がいる(風邪のウイルスなので)ため、体内ですぐに無力化されてしまうのでは?というのが懸念でした。

ただ、臨床試験の結果、一応アストラゼネカのワクチンについてはそれなりに高い有効性が示されたようです。

また、アデノウイルスが体内でさらに変異して未知の病原性を持つ可能性はないのか?など突き詰めて考えると、完全にリスクがゼロとは言い切れない気もしてきます。

少し長くなってしまいましたが、いかがでしたでしょうか。

「mRNA」、「ウイルスベクター」、「遺伝子ワクチン」、といった名称のせいで、人間の遺伝子を改変するのでは?というような誤解も招きがちですが、これらのワクチンは、人間のDNAには一切作用しませんので、心配無用です。

ただし、異物を体内に入れるということは確かなので、一定数アレルギー反応が出たり、あるいは予期できない副反応(ワクチンの副作用は、副反応、と言います)が出る可能性はもちろんあります。

本来ならここを完全に明らかにしてから、市場投入、と行きたかったところですが、今回はそのあたりは若干緩いままで投与が始まっています。
ただ、日本での投与が始まるまでに、少なくとも欧米人に対してどの程度のアレルギー反応が出るのかなどのデータはそろってくるでしょう。

それを見た上で、各自ワクチンを打つか判断していくかないですね。

(1/8 追記)
日本感染症学会が、副反応などの資料をまとめていました。(リンク)

残念ながら、こちらの資料を見る限り、ワクチンにはそれ相応の副反応が予想されるようです。
インフルエンザワクチンを打った後、腕が痛くなったり、という経験がある方もいらっしゃると思います。そういった疼痛、という副反応は過半数に見られます。
また、発熱や倦怠感、頭痛、寒気、といった副反応も相当数見られています。

こういった一定のリスクと、コロナ感染のリスクをしっかり天秤にかけていく必要はありそうです。また、接種を義務化した場合に被害が出た際、責任の所在がどうなるのか、など、問題も今後発生してきそうです。

WRITER
ケアリッツマガジン運営者 Yuri
普段の業務に加えて、いろいろと記事を書いて情報発信しています。プライベートでは女子力高めなことが好きです。
ペーパー薬剤師。

 

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